2021年2月2日6,023 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】♯33 散歩が大嫌い!3歳でも直せますか?【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。

今回のお悩みは、外でしか用を足さないのに、散歩が大嫌いという3歳の柴犬オーナーさんからのお悩みです。果たして散歩が好きになる方法とは!?

今回のお悩み:外でしか用を足さないのに散歩に行きたがりません

3歳・男の子

小さい頃の散歩が少なかったせいか、散歩に行きたがりません。

 

無理やり連れていくのは嫌なので行くように促していますが、伏せて動こうとしません。

 

やっと連れて行っても、10分くらいで帰りたがります。

 

家のトイレトレーでオシッコウンチをしなくなったので、毎日朝晩、散歩に行くようにしていますが、難しいです。

 

行ける時は一緒に2歳の黒柴と散歩しています。散歩嫌いは直せますか?

 

「散歩に行きたがらないから行かない」は絶対にダメ

柴犬

Augustcindy/shutterstock

 

散歩に行きたがらない原因は、小さい頃の散歩が少なかったからとは限りません。

 

散歩に行きたがらない理由は様々で、それぞれ対処が変わってきます(この子の場合、ご相談内容だけでは不確定要素が多くて原因は確定できませんが)。

 

しかし、どんなことが原因であれ「行きたがらないから行かない」はやめましょう。

 

これはこの子のみならず、すべての散歩嫌いな犬に言えることです。

 

なぜなら、外に出る、外を歩くことは、動物として当たり前にできて、生きることに必要なことだから。

 

「嫌なことはさせない」、「嫌がっているからしない」と、成長や発達に必要なことさえ避けて通るような飼い方をしているオーナーさんも多く見受けられますが、それは間違った育て方です。

 

犬が若い時には、好きなことも嫌いなことも、どちらも“良い刺激”と捉え、経験値に変えてあげなくてはいけません。

 

0歳〜2歳くらいまでの経験は、その後の十数年の時間を穏やかなものにしてくれますので、どうかしっかり散歩をしてあげてください。

 

2頭で散歩に行くのはやめて1頭ずつにしよう

柴犬

Tarik Kaan Muslu/shutterstock

 

相談内容に「無理矢理連れていくのは嫌なので促していますが」とあります。

 

今までの僕の経験から言うと、大体のオーナーさんはトリーツを使って促している場合がほとんど。

 

もっと言うと、トリーツのみに頼っています。

 

その方法だと、“トリーツの魅力vsいきたくない気持ち”になり、先が見えません。

 

また、ご質問の最後に「2歳の子と一緒に行っている」とありますが、これもやめてください。

 

歩くためのきっかけ作りとして、もう1頭を一緒に連れていくのは有効の場合がありますが、そのままずっと2頭で行っていると、1頭だけでは歩かないという状態に陥ることがあるためです。

 

1頭しかいない家で、オーナーさんと犬だけでちゃんと歩けているのに、2頭飼っている子はもう1頭がいないと歩けない。なぜでしょうか。

 

それは、犬が「自ら歩きたい」と思って歩いてくれるためには、リードを持っている人との関係性が大きく関係しているからです。

 

他の犬と一緒の散歩では、リードがあるから逃げないだけの「オーナーさんと関わりが無い散歩」になっていて、もう1頭の子ばかりを頼りに歩いている可能性が強いでしょう。

 

また、2頭の状態がいつも、もしくはいつまでも続くわけではないので、1頭ずつオーナーさんとお散歩にいけるようにしておくことが大事です。

 

歩かない子の将来のストレス(もう1頭がいなくなったときのストレス)を減らすことにもなりますし、何よりオーナーさんと犬の関係をきちんと築くことに繋がります。

 

ただしこの子の場合は、2頭で行っても散歩が嫌いなので、2歳の子はすでに役割を果たしたか、きっかけを作れていません。

 

オーナーさんが1頭に集中できるように、それぞれ別々に行くようにしましょう。

 

お散歩の回数が増えて大変かもしれませんが、改善したいのであればがんばってください!

 

犬が止まったら、構わず無理やり歩くこと

柴犬

ikate25/shutterstock

 

犬が歩かない場合、まずはきちんとオーナーさんが歩くことが大切。

 

犬と一緒だと、きちんと歩けていないオーナーさんは、実はとても多いんです。

 

特に止まってしまう子の場合は、

 

<犬がとまる→オーナーさんも止まる(→優しい声・おやつ)>

 

の繰り返しになっています。

 

これだと「止まったらおやつがもらえた」と犬が思ってしまうことに。

 

タイミングを間違えると、どんどん止まってしまう犬ができあがってしまいます。

 

おやつではなく、オーナーさんが避けている“無理やり”を使う練習方法を行ってください。

 

もちろん、“無理やりの加減”を考えながらやらなければいけません。

 

しかし、この方法だと歩くきっかけになる場合が多くあります。

 

やり方は簡単、犬が止まっても歩き続けましょう。

 

リードをグイグイ、腕を使って引くのではなく、ピンと張った状態で引っ張ってください。

 

要するに、引きずる感じになりますが、それでもオーナーさんは歩くことを続けてください。

 

3歳の柴犬ともなれば、なかなか歩いてくれないかもしれません。

 

ここで無理矢理の加減をする必要が出てきます。

 

あまりにも無理矢理歩かせるのはNGです(加減は私たちプロと一般のオーナーさんの間にはきっと乖離がありますので、一概にはどこまでとは言えません)。

 

そして大切なのは、無理矢理でも歩いてくれたら褒めること。

 

褒めるのはトリーツでもいいですが、関係性が良好であれば声をかけてあげるだけでもいいです。

 

“褒め”とは犬が喜んでいることを意味します。

 

褒めが褒めとして成り立っていなければ、まずはそこから練習していかないといけません(今回は褒め方については省略します)。

 

無理矢理と報酬(褒め)のバランスが取れた時、はじめて練習として成り立ちます。

 

程度によってはかなり難しいので、できないと思ったらトレーナーにお願いするといいと思います。

 

オーナーさんの楽しいムードに愛柴を巻き込んで

柴犬

Evgenia Parajanian/shutterstock

 

練習やお散歩で一番大切なのは、楽しく二人で外に行くことです。

 

歩かないから、引っ張るから何とかしようとせずに、まずは楽しく陽気に、引っ張ってもいいのでズンズンと進んでください。

 

もし止まっている時に不安そうだったり、怖がったり、極度に警戒しているようであれば、外そのものや外にある車やバイク、他の人などに慣れさせるところから始めないといけません。

 

そのためには、外に行く時間をたくさん増やしてください。

 

このときも、オーナーさんと1頭だけで行ってください。

 

最初は歩かなくてもいいです。“外にいる”ということをできるだけ長時間します。

 

これはトレーニング全般に言えますが、人の方のテンションや楽しさ、陽気さに犬を巻き込んでください。

 

お散歩の時はもちろんのこと、お家の中での接し方や飼い方を見直すと、柴犬も楽しいムードに巻き込まれてきてくれます。

 

0歳のころからトレーニングやしつけもしてこなくて(おやつを使ってのお座りなどはしつけではないです)、家の中で好き放題に育てられた子は、外でも好き放題です。

 

引っ張りたければ引っ張るし、歩きたくなければ止まります。吠えたければ吠えます。

 

お散歩中だけオーナーさんの思った通りに行動にするなんてありえません。

 

練習している時間だけではなく、犬と一緒にいる時間全てがオーナーさんと犬の関係性に影響します。

 

家の中で犬の好き勝手ばかりになっていないか見直すなど、全体的な過ごし方、接し方もお散歩の練習と一緒に見直してみることもおすすめします。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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