2021年9月8日10,497 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】#45 他の犬を見るとフセ&ロックオンして動かず…近づくとギャン吠えします【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。今回は、散歩中に他の犬を見かけるとフセをしたままロックオンして動かず、近くに来るとギャン吠えしてしまうという7歳の柴オーナーさんからのお悩みです。フセ&ロックオンする理由や心理とは? そしてその解決方法は果たしてあるのでしょうか。

今回のお悩み:他の犬を見るとロックオン、近づくとギャン吠えします

7歳・女の子

散歩中、よそのワンちゃんを見つけるとフセをして全く動きません。

 

そしてお相手の犬が近くまで来ると途端にギャン吠えします。仲良しのお友達ワンちゃんが相手でも同じです。

 

いちどロックオンするとおやつにも見向きもしません。

 

先日フセ&ロックオンしていた際はブルブル震えており、その後ワンちゃんが横を通る時にやはりギャン吠えでした。やめさせる方法はありますでしょうか。

 

柴犬はもともと狩猟犬であり他犬と仲良くする犬ではない

柴犬

MitchyPQ/Shutterstock

 

このフセ、ロックオンからの吠えは、神経質で縄張り意識の強い柴犬特有の性格に加え、社会化不足が原因です。

 

もしく7歳という歳なので、もしかしたら年齢的にどこか調子が悪い可能性もほんの少しですがあるかもしれません(あくまでも可能性です)。

 

柴犬は、小さい時から遊んでいる相手以外、洋犬のように“他の犬と仲良し”になることはほとんどありません。

 

中にはどんな子とも遊べる子もいますが、全体からみたらほんのわずか。

 

そのわずかに自分の愛柴が入っている可能性は低いですよね? まずはそのような観点からこの問題を見ていきましょう。

 

柴犬は猟犬としての作出が根本にある犬種です。番犬にはなっても、愛玩犬とはやはり違います。

 

そこが柴犬の良いところでもありますが、洋犬のような人にも犬にもフレンドリーなイメージで接していると、柴犬にとって普通の行動も“問題行動”として目に付くと思います。

 

フセ&ロックオンから大ゲンカ、死亡事故になる可能性も

柴犬

Akim Lakeev/Shutterstock

 

よそのワンちゃんを見るとフセをして全く動かないのはいろんな意味がありますが、この場合は大人しくフセをしてやり過ごすためでは無く、アクティブな方のフセだと思います。

 

後ろ足はジリジリするような感じ、すぐ飛びつける感じで力が入っているようなら、このアクティブなフセと考えてほぼ間違いありません。

 

そしてロックオン=相手をジッとみてしまうのは、犬同士では良しとはされません。ガウガウとやってしまうことが多い前兆です。

 

プルプルと震えてるのは気持ちが張っている状態。怖いか、または飛びつきたくてしょうがないかのどちらかの場合が多いです。

 

どちらにしても気持ちがパンパンになってしまっているので、その後弾けてしまわないよう避けたいところです。

 

ですので、ジッと見つめたら、私はすぐに対処できるように犬に手の届く範囲まで近づきます。

 

7歳だと、ガウガウから大事になってしまう可能性が高いです。

 

幼犬であればケンカから学んでいく部分も大いにありますが、歳を取るとただのケンカから殺し合いにまで発展する可能性があります。

 

飛びついたり噛み付いたりできないように、オーナーさんが制止しましょう。

 

アイコンタクトの練習を

柴犬

Blanscape/Shutterstock

 

今の状態から脱却したいのであれば、オーナーさんと愛柴の関係性をより強くしていき、いざと言う時に役立つコマンドの練習をしてください。

 

どんな状況でもオーナーさんに注意を向けられるように、一般的に言われるアイコンタクトの練習をこれでもかというほどやりましょう。

 

アイコンタクトと書きましたが、他に気が散っている時に名前をよんで、自分に気を向けてくれれば大丈夫です。

 

しっかり目と目が合うというよりは、こちらに気を向ける練習だと思ってください。

 

ポイントは“他に気が散っているとき”というところです。

 

おやつを使ってこちらに気を向かせ、愛柴がこっちを見そうになったら名前を呼んでおやつをあげ「名前を呼ばれたら良い事がある」ということをわかりやすく示してあげてください。

 

名前を呼んで良い事があるとわかれば、勝手に目があってきたり、オーナーさんへ気が向きやすくなりますので、楽しくたくさん練習してくださいませ。

 

アイコンタクト練習のコツ

柴犬

OlgaOvcharenko/Shutterstock

 

おやつで成功したら、本当にシンプルに名前だけ呼んでください。

 

人間からしてみたら“太郎”に“ちゃん”、“くん”が付いても同じ名前ですが、犬は「太郎」と「太郎くん」は別のものだと認識します。必ず一定の呼び名で練習してください。

 

そのうち、名前が入っていればちゃんやくんを付けても向けるようになります。

 

音でこちらに反応して欲しいので、他の動きはつけないでください。

 

自分から犬の目を見に動いたり、手を動かしたりはしないようにしましょう。

 

犬は視覚でも聴覚でも触覚でも嗅覚でも判断して行動します。できる限り音に反応しやすいように、環境と自分の動きに気をつけてください。

 

練習でできるようになったら普段の生活の中で使うようにしてみましょう。

 

ここで大事なのが、怒る時は名前を呼ばないこと。名前を呼ばれたら嬉しくなるように、楽しいことがあるときにだけ名前を呼んでください。

 

アイコンタクト以外のコマンドも極めていく

柴犬

xxii_gallery/Shutterstock

 

ここまでできたら“オスワリ”の練習をまたこれでもかとやります。

 

もしおやつでしかできないのであれば、おやつを使わずにできるまで練習しましょう。

 

オスワリができたら、「フセ」「マテ」「おいで」と、さまざまなコマンドを練習し、どんどんレベルを上げていきましょう。

 

おやつを使わないでできるようになるには、今のオーナーさんの体の位置やリードのさばき方、犬との関係性、コマンドや声を掛けるタイミングなど、実際の犬とオーナーさんを見ながら非常に細かいレクチャーが必要になります。

 

ですので、実際に見ないで「こうしてください」と書いてしまうと、よけいにコマンドが入らなくなってしまう恐れがありますので、ぜひ基本的なトレーニングはトレーナーさんから直接学んでくださいませ。

 

今のオーナーさんと愛柴に合ったやり方がきっとありますので、トレーナーさんと一緒に根気強く探してみてください。

 

一つ言えるのは、トレーニングのやり方を間違ってしまうと、より酷くなる場合もあるということ。

 

7歳という年齢を考えれば、プロの方に見てもらうのが一番早いかと思います。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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