2019年8月31日117,683 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】#1外でしかオシッコしないんです…家の中でしてほしい!【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』が始まります。

記念すべき第1回目は、同じ相談が最も多く寄せられた“外でしかトイレをしてくれない”というお悩み。優れた観察力と独特の感性で犬とその飼主を導く小野さんですが、果たして小野流のトイレ解決策とは?

 

今回の悩み:外でしかトイレをしないので、家の中でもしてほしい

1歳未満 男の子のお悩み

今回のお悩みはこちら。

 

「3ヶ月半で我が家に迎え今月8ヶ月になります。
迎えてからずっとトイレを覚えさせることができず、本やサイト、しつけ教室で教えてもらった事も様々試しましたがなかなか上手くいかず、1ヶ月程前からはお散歩のときに外でしかしなくなってしまいました
外に出るまでずっと我慢しているので、今後何かあってどうしてもお散歩に行けない時どうなるのか心配です。
元々お粗相ばかりで成功するのは稀でしたが、外でしかしなくなったのをまた家でトイレをするように教えるのはやはり難しいでしょうか?
 
根気が必要だとは思いますが、是非教えていただきたいです。
 
似たようなお悩みがたくさん寄せられていましたが、さて、その解決方法とは!?
 

オスのほうが外でしたがります

Trybex/shutterstock

飼い主さんとしては、愛柴が家の中でも外でもして欲しいのはわかります。でも、それを変えるのは結構大変です。
 

オシッコの問題があるとき、僕はまず、以下の3つを考えます。

 

(1)オスかメスか?

マーキング意識の強いオスのほうが、メスよりも外でしたがる傾向が強いです。

 

また、オスでも去勢手術をすると、その傾向が弱くなる場合があります。メスは避妊手術の有無による影響の差はそれほどありません。

 

(2)取ってる水分量はどれくらいか?

たくさん水分を取っているほうが、オシッコの回数、量ともに多くなります。トイレトレーニングを家でやるには、たくさん水分を取らせておく必要があります。

 

排泄とマーキングは、その格好は似ていますが、犬の意識的としては“違うもの”なんです。

 

排泄をマーキングに使うことはしますが、たくさん水分をとったからたくさんマーキングをするとはなりません。マーキングは膀胱がすっからかんで、何も出なくても“します”。しかし、排泄は尿が溜まって無いとしません。

 

ですので、トイレトレーニングをする時は、膀胱に尿が貯まるように積極的に水分を取らせるようにします。

 

もし、いま取っている水分量が少なくて、家の中で中々オシッコをしたがらない状態かどうか、オーナーさんは気にしてみてください。

 

(3)過去にもし粗相をしたことを怒ってしまっていれば、それが原因で家の中でできなくなっている場合もあります。

「ションベンしてたらめっちゃ嫌な事起こったわ。特にあいつの前でするとやべー」

と、印象付けてしまって成犬になってたら、それを覆していかないといけないわけです。

 

ところが、相手は成犬ですから、一筋縄ではいきません。

膀胱もおっきくなって、たくさん尿を溜められるし、さらには柴犬の我慢強さと頑固さが絡んできますので、これを覆すのはかなり大変な場合が多いです。

 

僕がトレーニングをする際は、上の3つの前提を頭に浮かべながら、「この子はオスで、水分量は少ない、オシッコで嫌なことの印象がついている…これは治すのが難しいな」などと考えていきます。

 

オスメスは変えられないですが、水分量は、すぐに変えることは可能。オシッコへの嫌な印象を変えるには、他のトレーニングが必要です。

 

そして、これにプラスして、その子の生活のサイクル、飼い主のスタンス、犬の性格、育ち方、犬と飼い主の繋がり度なども関わってきます。

 

相談者さんはオス、そして成犬なので、いまから家の中でするようにコントロールするのは、かなり大変でしょう。それは覚悟しましょう。

 

また、相談内容に

迎えてからずっとトイレを覚えさせることができず、本やサイト、しつけ教室で教えてもらった事も様々試しましたがなかなか上手くいかず」

と書いてあります。ここが問題。

 

子犬時のトレイのしつけをしっかりとしておくことは、とても大事です。

 

頑固な性格の柴犬、しかもオス、なのにトイレトレーニングが100%出来てない…この状態なら、この子じゃなくても、外でのオシッコにどんどん移行してしまいます。

 

もし、今これを読んでいる柴オーナーさんで、飼っているのがまだ子犬という人はトイレトレーニングを必死で頑張ってください。

成犬になってからのトレーニングをやり直すより、数倍、いや数十倍はラクですから!

 

僕がこれから教える方法だけでなく、ネットや本などに書いてある方法を手当たりしだい試してみてください。

 

方法はなんでも良いというと語弊があるかもしれないけど、僕の経験上、思ってもいないようなことで、トイレシーツで「ちゃー」とするようになることもあるので、飼主さんが色々試すのは悪くないと思います。

あ、「なんでも良い」と言っても、ぶん殴ったりはNGですよ。

 

もし、お家の中でオシッコをした場所が、ペットシーツであれば満点ですが、最初はこちらが決めた場所では無くてもOKです。徐々にして欲しいところに誘導していきましょう。

 

プラス、プロの人が段階を追ってフォローしてくれるのであれば、さらに成功する可能性は上がると思います。

 

おしっこをしたくなるタイミングを作る

shiba

KAMONWAN SIRIWAN/shutterstock

では、具体的に何をすればいいかアドバイスを。

 

まずひとつめは、おしっこしたくなるタイミングときっかけを作ること。外でしかしない子は家の中にきっかけがない。飼い主がきっかけを作れなかったんです。

 

このキッカケが「ハウスから出る」です。正確に言うと「ハウスで過ごす→出る→遊ぶ」という流れで、ハウスから出ることで尿意のきっかけを作れます。

 

イメージは「グーーーーと溜めて、チャー」です。溜めるのはオシッコだけじゃありません。エネルギーもです。

 

オシッコもエネルギーもたっぷり溜めていたので、ハウスの外に出たら遊び出し、体を動かすことで尿意が起こるため、遊んでいる最中にオシッコをするでしょう。

 

ですので、ハウスから出したら、すぐに外に行かずに必ずお家の中で遊んでください。

全く意味のない子もいるかもしれませんが、ドンピシャハマる子もいます。

 

ハウスが出来ておらず、お家で過ごす時間の大半を家の中で自由に過ごしていると、外に行くときのみが、オシッコをするタイミングになってしまいがちなのでNG。

 

ここで大切なのは、ハウスの中に、トイレトレーやトイレシーツを置かず、ハウスの外の「このへんでしそうだな」と思うところに、トイレを置いておいておくこと。「ハウスから出たらオシッコをする」というタイミングを作れます。

 

ですので、ハウスができない子は、まずはハウストレーニングから始めましょう。

「してしてオーラ」を出さない

柴犬

Aleksandr Abrosimov/shutterstock

僕がオシッコやトイレのトレーニングをしていると感じるのが、「してしてオーラ」が周りにはみ出てる飼い主がとにかく多いこと。

 

わかります。わかります。だってトイレのしつけしてるんですもん。

 

でも、隣でぐわーっと「オシッコは? オシッコは? オシッコは?」オーラで立ってられたら、出るもんも出ない。

 

オーラを出してるつもり無くても、「ジーーーーッ」と見てたら、犬はプレッシャーですから。オシッコしたら褒めなきゃと思ってたりする事からそういう態度になると思いますが、最初の時は褒めなくていいと思います。

 

特に犬が「しそう」になった時は、飼主は「見ない」「存在を消す」ことを意識してください。

 

褒めるのも、トレーニングが「ある程度」のレベルに達してないとNG

 

これは実際に犬と飼い主さん見てみないと難しいところですが、他のトレーニングやしつけがある程度までできているのであれば「褒める」という行為は、犬にきちんと「褒め」として伝わっているので、褒めてあげてもOKだと思います。

 

しかし、トレーニングのレベルがある程度までいっていないと「褒め」が褒めとして伝わっていなくて、最悪の場合、褒めることが逆効果になってることも多々あるので気をつけてください。

 

“ある程度”とは、お家の中でいつでも呼んだら来る、おやつが無くても「おすわり」「まて」「ふせ」ができるレベルです。

 

トイレのしつけからは少しずれますが、怒り方、直し方よりも、褒めとはどういうことなのかを犬と飼主の両方が学び、経験できるのがトレーニングです。トイレのしつけだけに取り組むよりも、まずは最初に基本的なトレーニングを学んだ方が、トイレ問題の解決が早かったりします。

 

ただし、そこまでトレーニングやしつけが出来て無くても、家でオシッコをさせることは出来ます。その方法が、「飼主さんがオヤツが出てくるロボット」になること。

 

オシッコしたら褒める言葉も、目を合わせることもしません。ただポイっとオヤツを落としてください。オシッコしたらいい事があった という部分だけをできるだけクッキリとさせたいためです。

 

既に何かしらの関係性がある事が、トレーニングの邪魔になってしまうことがあるためです。

 

この2つを試してみて。ただし飼い主の根気が必要!

と、色々書きましたが、実際は個別対応で見てみないとなかなか難しいところが多いです。特に柴犬は頑固なので。

 

外でしかしなくなった犬を、どうしても家の中でして欲しいのであれば、ちょっとくらい犬の具合が悪くなっても構わないくらいの覚悟が必要です。

 

大概は愛情が勝ち、犬の体を心配する気持ちに負けてしまいますので、「本当にそこまでして家の中でするようにしたいか?」と自問自答するのも大事です。

 

「そこまでじゃないけど、できれば家でしてくれたらなー」くらいの人がほとんどだと思いますので、絶対に家の中でするようになるとは限りませんが、改善するかもしれない方法をお伝えします。日頃から、意識してやってみてください。

 

犬の体に良い悪いは個体差が大きいですので、この際置いといてください。

 

<Step1:水分量を増やす>

柴犬

MitchyPQ/shutterstock

まずは、摂取する水分量を増やす。おやつを水の中に浮かべるなどして増やしてください。フードにスープをかけてもいいです。1回に取る量を増やすよりは、1日で取る量を増やす感じにしましょう。

 

これは、犬に早く尿意を催してもらって待ち時間を減らし、飼い主の負担を減らす為です。

 

<Step2:眠るまでハウスさせる>

柴犬

HelloRF Zcool/shutterstock

トイレなしのハウスに、昼でも夜でも眠りにつくまで入れておく。こうやって、あなたの愛柴にオシッコを溜めさせます。

 

寝起きでハウスから出します。変にオシッコを促したりせず、まずは家の中で遊んで体を動かしてください。

 

併せてオスだったらオシッコを掛けやすいもの、他の子の匂い付いてあるものなど用意すると良いと思います。

 

で、するまで外に行かない。これの繰り返し。もしかするとウンチの方が先に出るかもしれません。

うんちしたら、続いてオシッコもしたがる子が多いので、体を動かすのは大事です。

 

オシッコがしたくなったらお散歩をせがむような態度を取る場合は、遊びをやめてちょっと放って置くのも有効な場合があります。

 

どんなタイミングでしてくれても、どの場所にしても成功です。

そして、家でしてくれたら「褒める」かロボットの様に大好きなオヤツをあげましょう。

 

1回では覚えてくれないかも知れません。はじめから飼い主の方が上手に出来ないかもしれません。根気よく続けましょう。

 

飼い主に「ゆとり」があることが大切

上記のトレーニングで飼主が注意するところは、オーナーが「してしてオーラ」を出さないことと、時間に追われない事です。

 

どんなトレーニングやしつけもそうですが、時間に追われてるときはしない方が良いです。

 

雑になるし、イライラするし、見逃します。ゆとりを持って取り組んでくださいませ。

 

犬は色々なところで色々な考えを巡らせ判断します。目があうタイミング、オヤツを出すタイミング、飼い主の位置、雰囲気作り、何かひとつでも噛み合うと上手くいくことがあるし、一つでも噛み合わないと上手くいかないこともあります。

 

めげずに根気よく続けてください。真剣に向き合えば必ず犬は応えてくれます。

 

トライすることが大事。トイレを覚えなくても「違うなにか」を得られる

柴犬

Aaron Lim/shutterstock

やってみたけど、やはり家でなかなかオシッコをしない。体に悪いから、結局外に行ってしまう…という人も多いかと思います。

 

「家で排泄させたいんだったら、絶対にするまで外には行かないで」と言いたいところですが、病気や体調にまで大きく影響することですので、ここではそうは言えません。プロのフォローやバックアップ、今の犬の体調等が細かいところまでわからなければ、「○時間までは頑張ってみて」なんてことも言えないです。

 

それほど、簡単なこと、安易なことでも無いということをわかっていただければと思います。

 

ですので、外に行ってしまっても良いです。

取り組まないよりは全然良いです。

 

取り組むことで、色々なことが起こると思います。ハウスのストレスから吠えるようになったり、もしくは逆に、生活にメリハリが出来てイキイキとしてくる場合もあります。

 

どちらにしても、その子の性格や今までの生活とのギャップで、犬には大なり小なりストレスがかかります。

 

できるだけストレスをかけないように、もしくはかかったら開放してあげられるように、トイレのしつけだけでは無いことも学ばなくてはいけなくなるかも知れません。これをきっかけにプロの人に巡り会えるかもしれません。

 

それはずべて、愛犬ともっと仲良くなる機会だと思ってください。もっと犬との生活が豊かになると思って、積極的に、面倒臭くても色々なことにチャレンジしていってもらえればと思います。

 

最後に

柴犬は特に、一度クセがついてしまうと、そのクセを取る事に一苦労します。

 

今、まだ若い犬であれば早々にしつけやトレーニングをできればプロの方と一緒にスタートしてください。

 

成犬になってから何かに取り組むのであれば相応の覚悟と時間、犬の負担を考えて取り組んでくださいませ。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

 

 

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