【柴犬お悩み解決NOTE】#2 まるで別犬格!? ご近所のあの犬にだけ激しく吠えるんです【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】
第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。
今回は、“特定の犬にだけ、人が変わった…ではなく、犬が変わったように吠えまくる”というお悩み。果たして小野流解決策とは?
目次
今回の悩み:よく散歩で会う、あの犬にだけ吠えるんです…。
8歳・女のコのお悩みの内容
「5歳過ぎから他の犬に吠えるようになりました。
お散歩中、オスワリ、マテでスレちがえばお利口に出来るのですが、どーしてもダメなコがいます。
元々は相手に吠えられていたのですが、今では姿が見えなくても匂いを取っただけで鼻が擦れるくらい激しくクンクンし、鳥のような変な声を出したり姿が見えたら激しく吠えます。
そして、オスワリ、マテ、などのコマンドも入らなくなりオヤツも食べず…。まるで別犬格になってしまうんです。
なるべく、会わないようにして見かけたらうちの犬が気が付かない様に道を変えたりしていますが、完全には避けられないので、その犬に会ったときもパニックにならないようにしたいのですが、何かいい方法はありますか?」
なかなか難しそうなお悩みですが、果たしてその解決方法は!?
シニア犬なので健康を第一優先にトレーニングを
まずお困りごとに取組む場合、僕の場合は徹底的に原因がどこにあるか調べます。
飼主さんからの情報だけですと、「飼主フィルター」を通しての情報になり、実際に犬を見てみると全然違うということもたくさんあります。
なので、大前提として、“こういう方法もあるんだな”というスタンスでお読みいただけると幸いです。
成犬になってからの問題行動は珍しくない
じつは、この柴犬のように、成犬になってから何か困ることが出てくることは多々あります。
原因は様々ですが、何か身に起きたことでそれ以降、苦手になったり出来なくなったり。
積もり積もった経験で嫌になってしまったり。たった1回の出来事でも、態度や対応が変化してしまう場合もあります。
直接的な原因ではなくても、なにかのキッカケで変わってしまう場合もあります。
わかりやすいのは、避妊去勢でしょうか。ホルモンなバランスや自律神経の乱れなどでも今まで許容できていたものが、できなくなることもあります。
そして、今回のケースですが、まず8歳という年齢。ここを考慮しなくてはなりません。
最近の犬たちは8歳でも十分に元気ですが、やはり若い子に比べると歳はとっています。健康状態が悪ければ、問題行動を治すトレーニングをするより、体調をまずは万全にしてあげることが最優先。
慢性的な病気にかかっているかも知れませんので、8歳くらいからは毎日よく体調を気にしてあげてください。
足腰も弱ってる場合がありますので、運動の仕方も変化を入れていく時期の子もいます。
トレーニングをするとなると、ストレスがかかるかもしれません。ストレスから体調を壊す可能性もあり、また体調を壊してしまったとき、回復にかかる時間も年齢ととも増しますので、実際のトレーニング方法は、ストレスとのバランスを見ながら考えないといけません。
特に、犬のメンタルに影響するようなトレーニングをするときは尚更です。そこは忘れずに頭に入れておいてください。
積もりに積もって変わってしまった可能性が
ご質問を読んで気になったのが、「元々相手に吠えられていた」という部分です。どのくらいの頻度で吠えられていたのかはわかりませんが、この子的には「堪忍袋の尾が切れた」状態になってしまったのかもしれません。
前に書いたように、積もり積もって態度が変わってしまったパターンですね。
ずっとこの子が、頑張って耐えていたのであれば、恐怖や不安が気持ちの中に含まれていて、先に排除しないと気が済まないかもしれません。
最初のころは、リードが付いていなかったら逃げたかったのに、「リードのせいで逃げられない」→「逃げられないから耐える」→「逃げられないなら排除する」なんて流れかもしれないですね。
オスワリ、マテがパニックのスイッチになっているかも
もう一つ気になったのが、特定の子以外はオスワリ、マテですれ違うことができるという点です。
すれ違う時、オスワリ、マテでしかすれ違え無いのなら、普通に歩いてすれ違うことをしてください。
もちろんオスワリしてすれ違うケースも大切ですし、必要な場面もあると思います。
しかし、あまりにもそのパターンをやり過ぎていていると、苦手な犬を前にしたとき、パッと頭に「犬がいる→コマンドが出る」という流れが浮かびます。
すると「今はオスワリ、マテはしたくないのに、させられるかもしれない」とパニックになったり、より特定の子が嫌になっているかもしれません。
どちらにしろ、苦手な子の前で不安定な状態になってしまうので、安定させてあげる事が大切です。
不意に出くわしたときの対処法は、直前の状態を「キープ」すること
これは、「犬と飼い主が今まで何をやってきたか」という部分に大きく起因しますので、この相談者さんと犬との関係を見てみないと本当のところはわかりません。
ですので、ほんの一例として捉えてください。
犬が緊張したら飼い主はリードを短く持ちます。歩いていて、なおかつすれ違える道幅であれば、そのまま歩き続けてください。
信号待ちなどで動いていなかったときは、そのままそこを動かないようにしてください。
決して犬と目を合わせたり、言うことを聞かせようと声を掛けないでください。
怒るのは厳禁です。できるだけ、飼い主は平常心で緊張しないように(難しいですが)。
緊張している対象が離れて少し落ち着いてきたら、何事もなかったかのようにいつも通り歩いてください。
このくらいが、不意に出くわした時の対処です。
先にも書きましたとおり、「今まで何を犬とやってきたのか」というのがポイントになります。
それまでの散歩の練習ややり方などが大きく絡んできますので、お散歩の仕方に自信が無ければ、お散歩のトレーニングから始めないといけません。
もう一つ。これは完全にトレーナーと特定の犬の協力が必要になるので現実的ではありませんが……。
相手の犬との距離が遠いうちに、愛柴が相手に気がついたときは、MAXの興奮状態、パニックになる前の平常心が保てている距離、飼主のコマンドが聞けている距離で、愛柴を落ち着かせる練習を繰り返します。
パニックに「させないこと」より、「パニックからなるだけ早く復帰する」ことが大切
年をとってからの特定された嫌いなもの、人、犬などを平気にさせるのは、“知らないから嫌い”という状態よりも、かなり難しいです。
なぜなら、年齢的にも色々経験してきた上での好き嫌いですから、根深いんですよ。
年齢を考えると、パニックにさせないことより、パニック状態から早く復帰するという方向に目を向けることも大切かなと思います。
パニックになった犬の不安感を早く取り除いてあげるために、体調を見ながらトレーニングしてみてください。
トレーニングは犬を幸せにする
「飼主の言うことを聞く」。このことを、とても当たり前のように捉えてる人もいれば、「そんなの犬が可愛そう」と捉えている飼い主もいます。
しかし、これはバランスやら加減やら程度が大事。なんでも“やり過ぎ”は良くないですよね。
子犬の頃から適切なトレーニングをしたことのある犬の、最も特徴的な部分は「精神的な安定性」です。
もちろん、持って生まれた性格や犬種特性を踏まえた上での適切なトレーニングですが。
色々なトレーニングやしつけがありますが、飼い主さんと毎日一生懸命取り組んだこと、取り組んでいることがある犬は、心が安定していて幸せだなと思います。
例えば、大震災のような災害が起こった時に「なんともないよ。大丈夫だよ」と伝えるために、飼い主といつもやってることを一緒に行うことは、犬のメンタルを安定に強く導きます。
犬が不安がっている時に「初めてやること」はほとんど意味をなしません。日頃の接し方が緊急時には成果を発揮し、犬を安心安全に導けます。
ですので、「飼い主の言うことを聞く」ことは、とても大切な一面もあります。
例えが大震災でしたので、今回の問題とあまりリンクしていないように思われるかもしれませんが、犬は毎日、大震災以上の不安を抱いているかもしれません。
ぜひ犬のメンタルの主軸を作るような適切なトレーニングを心掛けてトレーニングしてください。
そうすれば、ゼロではありませんが、成犬になってから急にダメになるモノや可能性を低くする事ができると思います。
小野洋平 PROFILE
『inu-house』
通信のベンチャー企業に勤務後、
おすすめ記事
-
世界でいちばん大切な柴犬が、アレルギーに立ち向かう物語【Ta-Taってなんだ?】
「柴犬は丈夫で、病気にもなりにくい犬種である」。
まことしやかに囁かれるこの文言ですが、ほんとうにそうでしょうか?
もちろん、犬種としての完成度がとてつもなく高い柴犬だから、そういった側面はあります。
でも、いざそれぞれの個体を見ていくと、丈夫で病気にもなりにくい、とは言えないような気もするのです。
実際に「病気にならない」などということはないし、飼い主はそのためにやるべきことがある。
今回は、柴犬に関わる方たちすべてに読んで欲しい、ある柴犬とその家族のお話。
ご本人からのレポートは、愛情たっぷりで示唆に富んだ物語でした。
※文章はご本人の了承を得て編集しています
エッセイ
※画像はすべてイメージです
※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません -
【取材】ハワイの柴犬に会ってきました!10頭が集結!
日本を代表する犬といえば、我らが柴犬。
ところが近年、世界中で柴犬ファンが増えています。そんな中「柴犬ライフ」が目をつけたのは、南の楽園ハワイ。柴犬オーナーが多く、定期的にオフ会まで開催されているとか。
そんな噂を聞きつけ、今回はハワイの柴犬たちを取材してきました!
海外取材 -
【インタビュー】お笑い芸人・ニューヨーク屋敷、「拒否柴」を掘る。
世界中の人々を魅了する「拒否柴」。彼らのすべてが詰まったその行動は、柴犬を語る上では外せません。そして拒否柴がここまで話題になるのは、“映える”ことも理由のひとつ。
では…拒否柴を「版画」にしてみたら、どんな作品ができあがるのでしょうか。
最近版画製作を始めた、お笑いコンビ「ニューヨーク」の屋敷裕政さんに、拒否柴を掘っていただきました! インタビューと合わせてご覧ください。
取材 -
「くっっっさ!」耳をほじった足が臭すぎてビクッとなる柴犬。最後足を隠してて笑う【動画】
今回登場するのは驚いてしまった柴犬たち。そうはいっても誰かにビックリさせられたとか、なにかアクシデントが起きたとか、そういうことが原因ではありません。全ての原因は彼ら自身にあったのです…!
-
ゆっくりゆっくり登場する柴犬に「外で見るんじゃなかった」「表情がいい」と爆笑【動画】
柴犬を下から見る…たったそれだけでいつも見ているものとは違う光景が目に飛び込んできます。つぶらな瞳はさらにつぶらに見え、モフモフのお顔はさらにモフモフに見えます。これはクセになる…!
-
【取材】「ときろう」が望むバランスで関わる。17歳まで元気でこれた秘訣は干渉し過ぎない距離感 #38ときろう
平均寿命は12〜15歳と言われる柴犬。そこで我が『柴犬ライフ』では、12歳を超えてもなお元気な柴犬を、憧れと敬意を込めて“レジェンド柴”と呼んでいます。 この特集では、レジェンド柴たちのライフスタイルや食生活などにフォーカスし、その元気の秘訣や、老犬と暮らすうえで大切だと思うことを、オーナーさんに語っていただきます。今回登場してくれたのは、17歳のときろうくん。小さい頃から食が細かったため、何でも食べさせてきたということですが、そんなときろうくんの長寿の秘訣とは。
-
「オモチャ置いてきなさい」と言われた柴犬が最後にとった行動に爆笑【動画】
ふとした瞬間、柴犬から出てしまう人間っぽさ。特にちょっとイラッとした時なんかは、人間っぽさを隠す気などないように見えます。もしかして本当の本当は、中身は人間なんじゃ…?
-
【“既視感ゼロ”の柴犬グッズが爆誕!】ウ◯チ姿が愛おしすぎるコラボプロダクトがついに完成!
柴犬を心の底から愛している私たち。とくに柴スマイルやオコ柴、拒否柴は彼らの特徴があらわれていて大好き。
でもちょっと待て…もうひとつ、忘れてはならない愛おしいシーンがあったぞ。それは、背中を丸めて“ウンチなう”の姿だ。
そこで私たち柴犬ライフは、ドッグブランド「PEGION(ペギオン)」とコラボしてオリジナルの柴グッズを製作!
柴犬と暮らす人もそうでない人も、とにかく柴犬を愛してやまない皆さまへ。とんでもない柴グッズが爆誕です!
ストア情報
特集
-
柴犬(しばいぬ)の性格/基本情報
柴犬のからだの特徴や性格、歴史など基本情報をご紹介!
-
豆柴(まめしば)の性格/基本情報
豆柴のからだの特徴や性格、歴史など基本情報をご紹介!
-
子犬/はじめての柴犬(しばいぬ)
柴犬ビギナーの不安を解消!迎える前の心得、揃えておきたいアイテム、自宅環境、接し方などをご紹介
-
柴犬ライフ ストア
厳選&オリジナルの柴グッズが勢ぞろい!
-
【特集】新・家術〜進化型家電と、新しい愛情物語
愛犬たちとのかけがえのない生活をもっと楽しく快適に暮らすために。
-
【特集】レジェンド柴の肖像ー12歳を超えて
12歳を超えた柴犬を取材し、長寿の秘訣を探る。
-
【特集】保護柴と家族になって
-
【マンガ連載】こいぬと柴犬
「柴犬ライフ」オリジナル作品!
-
【連載】アキナ山名とおまめのラブい日々
山名さんご本人が綴る“柴犬ライフ”エッセイ。
-
【特集】柴犬のお悩み解決NOTE
ドッグトレーナーがみなさんのお悩みに応えます!
-
柴犬 病気辞典
獣医師監修のShiba-Inu Lifeオリジナル病気辞典。あなたの愛する柴犬を守るための情報満載
-
柴犬里親/保護犬情報
Shiba-Inu Lifeでは、保護犬を一頭でも多く救うための活動支援をしています。
-
SHIBA-INU LIFEとは
柴好きによる、柴好きのための、柴犬情報メディアです。その規模は、日本最大級!