【柴犬お悩み解決NOTE】#4 庭の玉砂利をパクパク!拾い食いグセをやめさせたい【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】
第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。
今回は、“庭の砂利を食べる”というお悩み。具合が悪くなるほど食べてしまうそう。
果たして小野流解決策とは?
お悩み:庭に敷いてある玉砂利を食べるんです
5歳・男の子
初めまして。黒柴の男の子を飼っています。
子犬の頃からの悩みなのですが、庭に敷いてある玉砂利を食べます。都度「ダメ!」と叱ってもダメ。
食べた玉砂利はウンチで出てきますが、ヒドイ時にはウンチになるまで行かずフラフラになって吐き出します。
ご飯はカリカリを一日に180グラムほど食べています。
ご飯が足りないのでしょうか。でも、13キロありお医者さんにはもっと痩せてと言われています。
本当に心配です。ご教示ください。
どうぞよろしくお願いいたします。
この子の玉砂利に限らず、拾い食いに悩むオーナーさんは多いのではないでしょうか? 果たしてその解決方法は!?
やみくもに叱るのはNG!
拾い食いや悪戯で何かを口にして食べてしまうのは、子犬の頃にはよくある悩み事の一つです。
子犬の頃は、好奇心が旺盛で何にでも興味をもち、口に入れたり遊んだりするのが、大切な成長の過程です。
拾い食いを叱って止めさせたいのは、とてもよくわかるのですが、怒る・叱るという行為は、犬からすると「せっかく手に入れたものを奪われる」という考えが強化されてしまう恐れが高いです。
そうすると、すぐにゴクンと飲み込むことや、その子の性格によっては「守る」意識が強く育ち、口の中のものを取り上げようとすると、唸る、噛む、逃げ回るなどをするようになってしまい、取りづらくなってしまいます。
ですので、やみくもに叱るというのはNGだと考えてください。
そこでできる対策が、飼育環境の整備です。
子犬を迎え入れたら飼育環境の整備がとても大切になります。お庭に出すのであれば庭の環境整備も重要事項です。
面倒臭く、大変だったりしますが、一般的な「しつけ」をする前に、またそれ以上に、犬を好きにさせてあげる環境を整えることはとても大切です。
イタズラを止めさせたい、トイレを覚えさせたいとのトレーニング依頼の場合、よくあるのが、じつは犬の飼育環境が整っていないケースなんですよ。
飼育環境が整っていないわかりやすい例だと「ゴミ箱」でしょうか。
犬がすぐ届くところにゴミ箱があり「ゴミを漁るのを止めさせたい」という依頼です。
みなさん、もうお分かりかと思いますが、ゴミ箱を届かないところ蓋つきの物に変えるというのが、最も早い解決方法です。
ゴミ箱の中身は、人間にしてみたらゴミでも、他の動物にしてみたらご馳走の場合もあります。
つまり、私たちが環境をどのように理解しているのかで気付くことが増えます。
「人間にとって」「犬にとって」「他の動物にとって」という考えは、時代で答えは変わりますし、哲学的で難しい部分もあるかと思います。
ですが、できるだけ自分のわかる範囲で理解を深め、飼育する動物の環境をできるだけ整えてあげてください。
人間にとっての当たり前は、他の動物にとっては当たり前ではない事が多いです。
地球上のあらゆる動物の中で、人間のみがしていることの方が多いです。
どちらかというと人間の方が多くの動物よりズレているかなと思います。
人間だとあり得ないから、犬にもあり得ないことだと「押し付ける」しつけは、一度考え直した方が良いかもしれません。
まず環境を変えること
話が逸れちゃいました。
この子の場合は、玉砂利を食べることを今すぐどうにかしたいのであれば、環境を変えてあげましょう。
要するに玉砂利の除去です。
それができないのであれば玉砂利のあるところに入れさせないことです。
もし玉砂利があるところでも、玉砂利を食べないようにすることを望んでいらっしゃるのであれば、かなり大変です。
子犬のときからこれまで、はち君の中にも、はち君と飼主さんの間にも色々なことが積み重なって今の状態が起きています。
ですので、はち君の中の間違った認識を一個ずつ解いていく、愛柴との正しい関係性を築くなど、根気強くトレーニングをしていかないといけないかもしれません。
また、もし「砂利を食べる以外は本当に良い子」と感じるのであれば、砂利を食べた時に叱ったことで、砂利への執着が強くなってしまったかもしれません。
あと考えられる原因としては、子犬の好奇心旺盛な時期に、もしかしたら庭で好き放題やらせ過ぎてしまったのかもしれません。
パピー時代は、なんでも楽しく感じやすい時期ですので、砂利が大好きになってしまった可能性も。
「叱ってもやめない」と書いてらっしゃいますが、「叱る」のは1回だけ。
叱って止めないのなら、それ以上叱るのは止めてください。
前の記事にも書きましたが、良好な関係であれば、大きな声を出して怒らなくても、叩かなくても、犬はこちらの意思を汲んでくれます。
しかし、これが子犬ならまた話は違います。
なぜなら、子犬の時期はまだ犬と飼い主の間に「叱る・叱られる程」の関係性ができていません。
一緒に過ごした時間、飼い主が教えた事、犬が覚えてくれた事はほとんど無い状態だからです。
あなたが、愛柴を叱れるほどの立場なのか、その関係をしっかり見極めてください。
そして、その犬にとって適切な「叱る」「怒る」を使うことをしてください。
しつけやトレーニングは「問題が起こってからやればいい」と考えられがちですが、子犬の頃からの適切な飼育・しつけ・トレーニングによって、成犬になってから怒ること、叱ることを物凄く少なくて済むようにしてくれます。
おなかが減っているから拾い食いをするわけではない
ご飯についてですが、砂利を食べることと「お腹が空いている」ことは、恐らく関係ないと思われます。
拾い食いは、普段「何を」食べているのかは(可能性としては薄いですが)関係している場合もありますが、「どれほど」食べているかは関係がありません。
なぜなら、動物は常にお腹空いてるのが当たり前だからです。
人間は次の食事の約束があったりすると、目の前の食べ物を残したり食べることをセーブしたりできます。
しかし他の動物は次の約束はありませんので、あればあるだけ食べるのが動物の当たり前です(人間が飼っていることで、その本能が狂ってることも多々ありますが)。
ですので、「満腹だから砂利を食べない」ということもありません。
もう入らないところまでフードやおやつを食べていたのなら話は別ですが、そこまでフードをあげないと思いますのでそういう可能性はありえませんね。
しかも肥満気味ということですので、食べる量は十分足りていると考えます。
つまり、砂利を食べたがるのは「空腹」以外に、原因があるのです。
犬を知っていくと、全てのことを見直さなければならないかもしれません。
飼主さんが感じている愛柴の問題と言われている行動は、色々な要因があって積み重なり表面に現れた一部分です。
もしかしたらという部分に原因があったり、食事、運動量、生活習慣、環境の整備(この環境には飼主さんも含まれます)も変えなくてはいけないかもしれません。
「一部分だけを治す」 という様な考えではなく、全体を見据えてトレーニングやしつけに取り組んでくださいませ。
小野洋平 PROFILE
『inu-house』
通信のベンチャー企業に勤務後、
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