2019年11月8日7,044 ビュー View

【特集】柴を介護する#4 もしも自宅介護が難しいなら「老犬ホーム」で幸せな余生を〜『THEケネルズ東京』に聞く〜

内臓が強く、中型犬の中では長生きだと言われる柴犬は、特に“要介護”になりやすい犬種。そこで、特集『柴を介護(あい)する』シリーズでは、いつかはやってくる我が子の老後に備え、老犬介護の情報をお伝えしています。

今回ご紹介するのは、自分の手で愛柴を介護するのが難しい事情が生じた場合に、選択肢のひとつとして考えてほしい“老犬ホーム”について。

目黒区にある『THEケネルズ東京』さんに伺い、老犬ホームとはどんなところか、詳しく教えていだだきました。

 

柴犬,介護

選択肢のひとつとして

かけがえのない時間をともに過ごしてきた愛犬には、少しでも長生きしてもらいたいもの。動物医療の発展で寿命が延びたのは喜ばしいことですが、そのぶん高齢化が進み、介護が必要になる子が増えているのが現状です。

 

認知症や寝たきりにならないように予防をしてあげるのはもちろんのこと、“もしも…”の時に備えて、愛犬とオーナーさんの心強い味方になってくれる施設の存在を知っておくのも大切なことかもしれません。

 

そこで今回は、東京都目黒区にある『THEケネルズ東京』をご紹介。デイケアから短期ステイ、終生預かりまで対応している、老犬ホーム&ペットホテルです!

 

『THEケネルズ東京』とは

ケネルズ東京

東急目黒線の洗足駅から徒歩1分という好立地にある『THEケネルズ東京』(地下1階、地上3階建て)は、2018年11月にオープンした老犬ホーム&ペットホテル。閑静な住宅街にあって、オシャレな外観がひと極目を引きます。

 

そして、中に入ってビックリ! 1階のレセプションカウンターも、まるでホテルのよう。そのすぐ横にあるスペースでは、スタッフさんと利用者さんがワンちゃんを囲んで談笑中で、その温かな雰囲気に記者も思わず笑顔に…。

 

そして、今回施設を案内してくださる、運営会社グローバル・エルシードの池貝英司さんとご対面。まずは、老犬ホーム&ペットホテルをオープンさせた経緯をお聞きしました。

 

池貝さん:

「自身も老犬と暮らす創業者が、“誰もいない家に老犬を残して出かけるときや、出張で家を空けるときに安心して預けられる場所がほしい”と感じた実体験から始まりました。そして、せっかくなら預けること自体がステイタスになるような、ワンランク上の施設を作りたいとの思いでたちあげたのが『THEケネルズ東京』です」

 

運営会社の母体は、首都圏エリアと関西エリアにおいて分譲マンションや商業施設、ホテル等の企画・開発をおこなっているデベロッパー。

 

そこで培った部屋づくりのノウハウとホスピタリティが、THEケネルズ東京に反映されているのだとか。なるほど、このオシャレな外観と内装にも納得です!

ケネルズ

地下1階から2階までの個室は、主にペットホテルとして利用。こちらは、手前がSルーム、中央がMルーム、奥2部屋がLルームです。全室、見守りカメラ、床暖房、ナノイー発生機付き。 

ケネルズ

2階にある個室のトビラは、とってもカラフル!これだけで気分が上がります。

 

都心にあるからこそのメリット

ケネルズ

外観や内装のクオリティー以上にこだわったのは、立地。「都心にあることに意味があるんです」と、池貝さんは言います。

 

愛犬を施設に預ける理由には「数日間旅行で家を空ける」「オーナーが体調不良のため、愛犬の世話ができない」など様々あり、そんな時も“すぐに預けに行ける”のは、利用者にとって大きな魅力。しかし、理由はそれだけではないそうです。

 

池貝さん:

「昔に比べ、近年では犬が長生きになりました。飼い主さんも高齢化が進んでいるため、愛犬の世話をするのが難しくなって施設に預ける選択をするケースが増えています。

 

『THEケネルズ東京』の利用者さんの中には、ペット可の老人ホームに入居して、しばらく愛犬と一緒に暮らしていたものの、それでもやっぱりお世話が難しくなって、こちらに預けに来られた方がいらっしゃいます。

その方が入居されている老人ホームは1〜2駅しか離れていないので、週に1度はお散歩がてら電車を利用して面会に来られていて、1時間ほど愛犬と遊んで帰られます。

 

愛犬は、離れて暮らしていても飼い主さんを忘れることはありません。飼い主さんが来られると、とてもうれしそうですよ」

 

これまで、老犬ホームといえば“郊外の広大な土地で放し飼い”を思い浮かべる人も多かったそうで、今でも利用を検討しているオーナーさんから「ここは窓口なだけで、遠いところに連れて行くんでしょ?」と聞かれることもあるんだとか。

 

もちろん、『THEケネルズ東京』ではそんなことは一切なく、この目黒の地で愛犬のお預かりをしています。面会は、フロント営業時間内(AM8:00〜PM20:00)で対応してくれるんですよ。

 

《THEケネルズ東京 老犬ホーム入居までの3STEP》

(1)カウンセリング

ワンちゃんの健康状態、病歴、これまでの生活パターン、食の好みなどを、1時間ほどかけてじっくりと聞き取ります。今後の介護プランのもとになるので、気になることはすべてスタッフさんに伝えましょう。

(2)トライアル

老犬ホームへの入居を検討されているワンちゃんには、1週間のトライアル期間が。

 

ここでオーナーさんは「預けられるか?」を、施設側は「預かれるか?」を見極めることになり、同時に介護度の判定もおこないます。そのまま入居をする場合、このトライアル期間の料金は無料。入居を見送る場合には有料になります。

(3)入居

その子にあった介護・ケアで、快適な生活を送れるよう、スタッフがお世話をしてくれます。

 

老犬ホームの利用料金は、ワンちゃんの体重と介護度(軽度・中度・重度)によって金額が異なります。介護度については、カウンセリングにてどのようなサポートがどのくらい必要かを確認し、複数のスタッフで相談した上で判定するそう。

 

池貝:

「寝たきりの子や認知症の子のお預かりも可能です。持病がある子に関しても、入居前に健康診断を受けていただき、治療方針を相談した上でお預かりします。

 

ただし、医療行為が必要な子と、感染症や伝染病で治療が必要と当施設が判断した場合については入居ができません。

 

また、ワクチン類がすべて完了していること、もしくはワクチン接種を猶予されている場合は猶予証明書を提出いただくことが必要です」

 

老犬ホームの預かりは原則6か月以ごとの更新となり、その都度介護度のお判定を見直すのだそう。終生預かりもしてくれます。

ケネルズ

介護が必要な子は、3階にあるケアルームへ。

 

オープンスペースを1mほどの高さの壁とクリアなトビラで間仕切りした半個室で、ワンちゃんのちょっとした異変にもスタッフが気づきやすい作りになっています。

 

全室、スタッフがいつでも確認できるように見守りカメラが付いています。

 

『THEケネルズ東京』が目指しているのは“もうひとつの我が家”

『THEケネルズ東京』は、入居前のカウンセリングで聞き取った自宅での生活パターンに近いカタチでの介護をおこなっているのが大きな特徴です。

 

池貝さん:

「食事はもちろん、お散歩の回数(朝だけ、夜だけ、朝夜の2回)など、ケアプランをオーダーメイドできます。特に指定のフードがない場合は、その子の体調や好みにあったフードをこちらで選んでご提供させていただいていますね。

 

ほかにも“日中はできるだけ運動をさせてほしい”と“こまめに様子を見てほしい”といったご要望にも、看護や介護の経験があるスタッフが24時間対応します。

 

それをやってこそ“もうひとつの我が家”。本当の家にはおよばなくても、本当の家族にはおよばなくても、それに近いカタチでの“2番目”になれるようにお世話させていただいています」

 

ただ長生きをさせるだけではなく、“健康寿命を延ばす”ことをモットーに、健康維持のためのケアや運動プログラムが盛りだくさんなんです。

 

老犬ホームの1日の流れに沿って、ご紹介しましょう。

 

老犬ホーム1日のスケジュール

◆早朝〜 お散歩

お散歩

朝のお散歩は、自力で歩ける子が中心。

 

◆9:00〜 朝ごはん

柴犬

食欲の低下が見られる時や自力で食べることができない子には、食事の内容を見直したり、フードを飲み込みやすい形状にして食べさせるなどの食事介護をおこないます。

 

◆10:00〜 日光浴

荒天でない限り、1日1回は必ず外の空気に触れさせます。自力で歩けない子や寝たきりの子も、抱っこやカートを使って外出。

 

特に朝日を浴びることは昼夜逆転による夜鳴きを防ぐのにも有効です。(※お天気や気候によって時間は変わります)

 

◆12:00〜 リフレッシュタイム

2Fアスレチックルーム

3階のケアルームのほかに、2階のアスレチックルームやフリースペースで遊ぶこともあります。ほかのワンちゃんとの交流は、脳の刺激にもなって◎。

 

ワンちゃんの性格や体格でグループ分けをして、安全に遊べるように配慮しています。

マッサージ

ほかには、スタッフさんにマッサージをしてもらう子や、ゆっくり休憩するワンちゃんも。その子の生活パターンに合わせながらも、日中はなるべく起きている時間を増やすように心がけているそう。

 

◆14:00〜 お散歩・運動・ケアなど

フィットネス(トランポリン)

フィットネスルームでトランポリンやバランスボール、トレッドミルなどを使い、運動機能・身体機能の維持・向上のために、その子に合った運動をおこないます。

ケネルズ

運動が難しい子にはマッサージやストレッチも。

※オプション料金がかかります。

【水中トレッドミル】

ウォータートレッドミル

“トレッドミル”は、いわゆるウォーキングマシーンのこと。水を利用することで浮力が生じ、関節にかかる負担や痛みを軽減しながら、しっかりと筋肉を使った運動をおこなうことができます。

 

水の量が調節でき、水位を高くすると負荷が高まるため、短時間でも運動量がアップ! 筋力維持だけでなく、持久力・心肺機能強化など、様々な効果が期待できます。運動時はライフジャケットを着用するので安心です。

 

また、THEケネルズ東京は陸上トレッドミルも完備。体の大きさに関係なく運動ができ、水を怖がる子もトレーニング可能です。

※オプション料金がかかります。

【ヒノキ風呂】

檜風呂

ヒノキ風呂の魅力は香りだけではありません。ヒノキが放出する物質(フィトンチッド)には高い抗菌性とリラクゼーション効果があり、ストレス解消、快眠、脈拍の安定など、数多くの効果をもたらしてくれると言われています。

 

お風呂嫌いのワンちゃんも高級旅館気分でバスタイムを楽しんでくれるかも⁉ 利用は月1回程度です。

※オプション料金がかかります。

 

◆15:00〜 休憩

お部屋で休む子もいれば、お部屋前のフリースペースで遊んでいる子も。

 

◆18:00〜 夕ごはん

ケネルズ

食事の介護は朝ごはん同様におこないます。脱水状態にならないよう、1日を通して飲水をサポート。摂取した食事や水の量はカルテに記録します。

 

◆20:00〜 消灯・就寝

ワンちゃんが快適に眠れるように、室温やベッドマットを調整します。

 

看護・介護経験のあるスタッフが24時間常駐。夜間巡回をしながら見守り、必要に応じて排泄サポートや体位変換などの夜間ケアをおこないます(緊急時には、動物病院と連携)。

 

夜鳴きがある場合は、プレイルームで少し遊ばせるなどして気分転換をさせてから、もう一度寝かせるなどの工夫も。

 

大まかなタイムスケジュールは、以上の通り。

 

そして、THEケネルズ東京では、季節ごとの行事やお誕生日のお祝いなど、楽しいイベントもあります!

*お誕生日祝い

イベント

*季節のイベント

フォトスポット

1階のレセプションカウンター前にあるフォトスポットにて。季節ごとにいろんな装飾がされます。

 

池貝さん:

「老犬ホームに入居している子たちと同じ時間を過ごしているペットホテル利用の子や、デイケアで通っている子たちが、THEケネルズ東京の近くに来ると一目散に駆け込んで来ます。

 

それは、ここを“楽しい場所”と認識してくれているからこそ。帰るときもイキイキとしているし、預けた結果、“反応がよくなった”という声も多い。

 

愛犬にしても人間にしても“お世話を家族以外の者に任せる=愛情が薄い”と思われがちなところがありますが、プロに任せるというのは決して悪いことではありません。そもそも、うちに預けたからといって愛犬を手放すことにはならないんです。

 

私たちは“健やかに生活ができるようにお手伝いをし、家族と同じ気持ちで接していますから」

 

「一生一緒だよ」と誓って家族になった愛犬の介護。どんなに手がかかろうと、愛する我が子のために頑張りすぎてしまうオーナーさんは多いはずです。

 

しかし、終わりが見えない介護にストレスはつきもの。愛犬はそれを敏感にキャッチします。オーナーさんが疲れ果ててしまう前に、老犬ホームに頼るのもひとつの選択肢なのではないでしょうか。

 

老犬介護の壁に直面したとき“もうひとつの我が家”として愛犬をお世話してくれる老犬ホームの存在は、心強い味方と言えるのではないでしょうか。

 

【施設DATE】

THEケネルズ東京

東京都目黒区洗足2丁目19番地2号

☎0120-085-808

受付時間8:00〜20:00

(老犬ホームは24時間スタッフ常駐)

 

《THEケネルズ東京の特徴》

*都心の駅から徒歩1分という好立地

*入居前に1週間のトライアル期間アリ

*デイケアから短期ステイ、終生預かりまで幅広く対応

*スタッフが24時間常駐

*その子に合ったオーダーメイド介護

*健康&体力維持のための豊富なプログラム

*“もうひとつの我が家”を目指す、ホスピタリティ

 

※老犬ホームの利用料金は、体重や介護度によって変わります。

詳しくは、ホームページ(https://the-kennels.tokyo/)と

カウンセリングでご確認ください。

 

《柴犬の場合の目安》

中型犬(〜15kg)基本6か月90万円

介護が必要な場合は

・軽介護45万円

・中介護54万円

・重介護63万円

医療予備費10万円

※医療予備費のうち、使用しなかった分は返却あり

 

取材・文/永野ゆかり

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