【柴を介護する】#6 自宅介護をもっとラクに。プロおすすめの「介護アイテム」で愛柴と自分の負担を減らす
特集『柴を介護(あい)する』シリーズでは、いつかはやってくる我が子の老後に備え、老犬介護の情報をお伝えしています。
今回は、愛犬を自宅で介護することになったとき、どんな介護アイテムを備えておくべきかを、実際に動物介護の現場で働くプロに教えていただきました!
自宅での介護に必要なものとは
ペットの高齢化が進み、愛犬を自宅で介護する人が増えています。
それにともなって、介護に役立つアイテムがたくさん販売されていますが、どんなものを選べばいいのかわからない。それが本音ではないでしょうか。
何が必要で、何が便利なのかは、実際に動物介護の現場で働くプロに聞くのが一番!
市販の介護用品から、簡単にできる手作りの介護アイテムまで、目黒区にある老犬ホーム・ペットホテル『THEケネルズ東京』の宮下喜美子さんにオススメを教えていただきました!
生活環境編
柴犬がシニアになるとなりやすいのが認知症。その症状のひとつに、徘徊があります。
日中の運動として適度に歩くぶんにはいいのですが、“足のもつれ”が見られたり、長時間歩き続ける場合には、オーナーさんがセーブしてあげることが必要です。
また、ただでさえ視力が落ちている老犬にとって、家の中は危険がいっぱい! 安全に歩き回れる環境を作ってあげなければなりません。
そのためには、どんなグッズを用意すべきでしょうか。
宮下さん:
「安全に歩き回らせてあげたいので、なるべく目を離さないであげてほしいのですが、そうは言っても、実際はずーっと見ているというのは難しいですよね。
どうしても目を離さなければいけない時はあると思います。そんな時に役立つのは、サークル。
いろんなタイプやサイズがあるので、愛犬の体長や部屋の広さに合わせて選んであげてください。円形サークルには角がないので、ぐるぐる歩きたい子にはおすすめです」。
女性の方や年配の方も簡単に持ち運び、組み立てができる折りたたみ式のペットサークル。 側面はメッシュ素材で出来ているので、通気性にも優れています。
折りたたみ八角形ペットサークル
寝たきり介護編
長時間一方向を向いたまま寝ていると、体重がかかる部分に“床ずれ(褥瘡)”ができてしまうので、2時間おきを目安に対位変換をしてあげる必要があります。
床ズレは一度なってしまうと、なかなか治りにくいので、気をつけて予防してあげる必要があります。そのため、介護マットは必須です!
宮下さん:
「THEケネルズ東京では、ユニチャーム・プロの介護マットを使っています。高反発クッションで、ワンちゃんの体にかかる圧力を分散してくれるので、ワンちゃんの体に優しいんです。
また、寝たきりの子はオムツをしている場合が多いんですが、していてもちょっと漏れてしまったり、オムツを外しているときにちょっと出てしまったりすることもあります。
それはしかたがないことなので、すぐにキレイにしてあげられるものを選ぶことも大事。
ユニチャーム・プロの介護マットは軽い汚れならシャワーでサッと洗い流すことができてラクなので、つねに清潔を保てるのもいいかなと思います。ちなみに、カバーを外して洗濯することもできますよ」
ユニ・チャーム ペットProは、初めて購入の場合、基本的に動物病院からの発注となります。詳しくは、ライフサポートセンター(0120-770-012)まで。
ユニ・チャームペットPro 介護用マット
体が思うように動かなくなってしまった愛犬の心身を少しでも爽快にしてあげるために、生活環境と愛犬自身を清潔に保ってあげることは大事です。
しかし、全身を濡らしてのシャンプーは体力を消耗するため、デイリーケアは洗い流す必要のないアイテムでおこなうのがオススメだそうです。
《CHECK! 人間のベビー用品は愛犬介護にピッタリ!?》
「自宅で愛犬の介護をされている方は、みなさんすごくいろいろ工夫をされていて、介護用のものじゃなくても便利ならなんでも使っていらっしゃるんですよ」と、宮下さん。
そこでオススメなのが、人間のベビー用品。考えてみれば、サイズ感的にもちょうどよく、体に優しい素材のものばかりなので納得です。
宮下さん:
「それに、“ペット用”とか“犬用”ってつくアイテムは、お値段が高いんですよね。なので、私が自宅で愛犬の介護をしていた時は、外出先で赤ちゃんのオムツ替えをする時に体の下に敷く防水シートを、ベビー用品の専門店『西松屋』で買って、介護マットの上に敷いたりしてました(笑)。
そうすると、寝てる時にちょっとおしっこが出ちゃったりしても、お掃除がラクなんですよ。マットは汚れないので」。
ベビー用お品では、こちらもおすすめ。
なんと母乳パットです! 関節などが床ズレしてしまった場合、患部にあてがってテープで止めてあげると、傷口を清潔に保てるうえにマットや寝具も汚しません。THEケネルズ東京でも介護に使うことがあるそうです。
ほかにも、宮下さんによると「人間の赤ちゃんのオムツを使っているワンちゃんもいらっしゃいますよ」とのこと。やはり「そのほうがリーズナブル」というのが理由だそうです。
寝たきりで自力では動けないワンちゃんの場合、お尻の部分に穴を開けて尻尾を通してあげればズレてしまうこともほとんどないのだとか!
食事介助編
宮下さんが「食べる子は強い」と言うように、“食べる意欲(食欲)”は“生きる意欲”につながります。なので、愛犬ができる限り自分の力で食べられるようにサポートしてあげましょう。
一口でも多く食べさせたい気持ちになってしまいますが、無理は禁物。唾液や食物、胃液などが気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)に注意しながら、ゆっくりと食べさせてあげることが大切です。
さらに、使う食器にも気を配ってあげると、食事介助がさらにスムーズ&安全なものになります。
宮下さん:
「うちではシリコン製の食器を使って食べさせあげています。
シリコンは柔らかいので、ワンちゃんの口元にごはんを運んであげた時、歯などに当たってしまってもカツンとならないし、痛くないんです。
シリコン製のおわんは変形するので手にフィットして持ちやすいですし、中に入っているごはんもかき集めやすい。
老犬だと舌の動きが弱くなっていることも多いので、すべて舐めきれないことも多いんです。おわんの中でごはんをこんもりと山にしてあげたほうがパクッと食べれられて、ワンちゃん自身がラクだったりするので、“かき集めやすい”のと“口元に運んでも安心”なのは大切かもしれません。
また、体調がすぐれない状態の時には食器のカチャカチャした音が不快だったりもするので、そういった点でもカチャカチャ鳴らないシリコン製の食器はオススメですね。
【ケネルズで使用中】
宮下さん:
「固形物を食べるのが難しくなった子には、流動食を与える時に使うシリンジがあるとよいでしょう。
自分で水を飲むのが難しくなってきた子や、なかなか水を飲まない子に対して、脱水症状にならないように飲水サポートをおこなう時にもシリンジを使用します。1回の量が測れて、1日のトータル水分量も計算できるので便利ですよ」。
【ケネルズで使用中】
《CHECK! まだある介護のお役立ちアイテム》
温湿度計
これからの季節は“愛犬の冷え対策”が大切になります。
グッと気温が下がると、若いワンちゃんでも胃腸炎になってしまう子が増えるので、老犬ならなおさら気をつけてあげなければいけません。そんな時に役立つアイテムが温湿度計。
暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ行くことを考えると、エアコンで人間が適温と感じる室温に設定していても、床に近い高さで生活しているワンちゃんにとって適温になっているとは限りません。ワンちゃんがいる場所の温度・湿度を計るようにしましょう。
一般的に、ダブルコートの柴犬にとっての冬の適温は、19〜23度。湿度は50〜60%をキープしてあげるといいと言われています。
あずき袋
ナント、こちらは宮下さんの手作り! 木綿の生地を縫い合わせた小袋の中にあずきが入っています。
レンジで軽くチンすれば即席のカイロになって、手先や足先を温めてあげるのにピッタリです。
また、夏は冷蔵庫で冷やしたこちらを脇などに挟んで、クールダウンしてあげることも可能。
ほんのりと優しい温かさ&冷たさになるので、低温ヤケドや冷えすぎの心配がありません。便利なだけではなく、愛情が伝わるアイテムです。
介護経験者からのメッセージ
最後に、ご自宅でも2年半愛犬(チワワ)の介護を経験された宮下さんから、まさに今、愛犬の介護に直面しているオーナーさんへメッセージをいただきました。
宮下さん:
「私の経験でいえば、愛犬が亡くなった時、“自分にできることは全部やってあげた”と思えたのが救いになりました。愛犬が快適に過ごすために“これはどうかな、あれはどうかな?”と、いろいろやってみましたからね。
自分なりに工夫して、試してみて、たまにそれがピタッとはまる時があるんです。そんなとき、愛犬が穏やかな表情をしていると、すごくうれしくて(笑)。
いずれ症状が進んで、それでは対応しきれなくなってくるんですけど、また次の工夫をすると少しよくなったりとか…。
もちろん、何をやっても全然ダメで“こんなに頑張ってるのに…”と切なくなることも多かったのですが、いろいろやってあげられる時間があったのはとても幸せなことだったなと、思います。
そして、愛犬に対して“17年も一緒にいてくれてありがとう”という気持ちは、いまも忘れていません」
最後に
お役立ちアイテムを利用して愛犬の介護をなるべくラクにすることや、ときには施設を頼ることは、決して手抜きなんかではありません。
食べることが困難だったり、寝返りが困難だったりする愛柴のサポートをしてくれるアイテムは、愛しい我が子の負担だって減らせるんですから。
愛犬との残された時間を穏やかで楽しいものにするためにも、使えるものはなんでも使って、時間と心に余裕を持てるようにしましょう!
【施設DATA】
THEケネルズ東京
東京都目黒区洗足2丁目19番地2号
TEL:0120-085-808
受付時間8:00〜20:00
(24時間スタッフ常駐)
取材・文/永野ゆかり
紹介されたアイテム
おすすめ記事
-
世界でいちばん大切な柴犬が、アレルギーに立ち向かう物語【Ta-Taってなんだ?】
「柴犬は丈夫で、病気にもなりにくい犬種である」。
まことしやかに囁かれるこの文言ですが、ほんとうにそうでしょうか?
もちろん、犬種としての完成度がとてつもなく高い柴犬だから、そういった側面はあります。
でも、いざそれぞれの個体を見ていくと、丈夫で病気にもなりにくい、とは言えないような気もするのです。
実際に「病気にならない」などということはないし、飼い主はそのためにやるべきことがある。
今回は、柴犬に関わる方たちすべてに読んで欲しい、ある柴犬とその家族のお話。
ご本人からのレポートは、愛情たっぷりで示唆に富んだ物語でした。
※文章はご本人の了承を得て編集しています
エッセイ
※画像はすべてイメージです
※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません -
【累計1億2000万食突破!完食率95%】「ココグルメ」は元気に夏を乗り越えたい全柴犬に食べてほしい!
みなさんは、犬も夏バテになることを知っていますか。とくに柴犬は、厚い被毛や水を飲まない性格などから注意が必要です。
夏バテと上手に向き合う秘訣は、なんといっても食事。
累計1億2000万食を突破し、完食率95%。フレッシュフードの王道といえる「ココグルメ」は、夏を元気に乗り越えたい柴犬にぴったりなのです!
「今だけ初回限定500円」のキャンペーン情報もありますので、最後までお見逃しなく!
(PR 株式会社バイオフィリア)
PR -
【取材】ハワイの柴犬に会ってきました!10頭が集結!
日本を代表する犬といえば、我らが柴犬。
ところが近年、世界中で柴犬ファンが増えています。そんな中「柴犬ライフ」が目をつけたのは、南の楽園ハワイ。柴犬オーナーが多く、定期的にオフ会まで開催されているとか。
そんな噂を聞きつけ、今回はハワイの柴犬たちを取材してきました!
海外取材 -
【インタビュー】お笑い芸人・ニューヨーク屋敷、「拒否柴」を掘る。
世界中の人々を魅了する「拒否柴」。彼らのすべてが詰まったその行動は、柴犬を語る上では外せません。そして拒否柴がここまで話題になるのは、“映える”ことも理由のひとつ。
では…拒否柴を「版画」にしてみたら、どんな作品ができあがるのでしょうか。
最近版画製作を始めた、お笑いコンビ「ニューヨーク」の屋敷裕政さんに、拒否柴を掘っていただきました! インタビューと合わせてご覧ください。
取材 -
「くっっっさ!」耳をほじった足が臭すぎてビクッとなる柴犬。最後足を隠してて笑う【動画】
今回登場するのは驚いてしまった柴犬たち。そうはいっても誰かにビックリさせられたとか、なにかアクシデントが起きたとか、そういうことが原因ではありません。全ての原因は彼ら自身にあったのです…!
-
ゆっくりゆっくり登場する柴犬に「外で見るんじゃなかった」「表情がいい」と爆笑【動画】
柴犬を下から見る…たったそれだけでいつも見ているものとは違う光景が目に飛び込んできます。つぶらな瞳はさらにつぶらに見え、モフモフのお顔はさらにモフモフに見えます。これはクセになる…!
-
【取材】「ときろう」が望むバランスで関わる。17歳まで元気でこれた秘訣は干渉し過ぎない距離感 #38ときろう
平均寿命は12〜15歳と言われる柴犬。そこで我が『柴犬ライフ』では、12歳を超えてもなお元気な柴犬を、憧れと敬意を込めて“レジェンド柴”と呼んでいます。 この特集では、レジェンド柴たちのライフスタイルや食生活などにフォーカスし、その元気の秘訣や、老犬と暮らすうえで大切だと思うことを、オーナーさんに語っていただきます。今回登場してくれたのは、17歳のときろうくん。小さい頃から食が細かったため、何でも食べさせてきたということですが、そんなときろうくんの長寿の秘訣とは。
-
「オモチャ置いてきなさい」と言われた柴犬が最後にとった行動に爆笑【動画】
ふとした瞬間、柴犬から出てしまう人間っぽさ。特にちょっとイラッとした時なんかは、人間っぽさを隠す気などないように見えます。もしかして本当の本当は、中身は人間なんじゃ…?
-
【“既視感ゼロ”の柴犬グッズが爆誕!】ウ◯チ姿が愛おしすぎるコラボプロダクトがついに完成!
柴犬を心の底から愛している私たち。とくに柴スマイルやオコ柴、拒否柴は彼らの特徴があらわれていて大好き。
でもちょっと待て…もうひとつ、忘れてはならない愛おしいシーンがあったぞ。それは、背中を丸めて“ウンチなう”の姿だ。
そこで私たち柴犬ライフは、ドッグブランド「PEGION(ペギオン)」とコラボしてオリジナルの柴グッズを製作!
柴犬と暮らす人もそうでない人も、とにかく柴犬を愛してやまない皆さまへ。とんでもない柴グッズが爆誕です!
ストア情報
特集
-
柴犬(しばいぬ)の性格/基本情報
柴犬のからだの特徴や性格、歴史など基本情報をご紹介!
-
豆柴(まめしば)の性格/基本情報
豆柴のからだの特徴や性格、歴史など基本情報をご紹介!
-
子犬/はじめての柴犬(しばいぬ)
柴犬ビギナーの不安を解消!迎える前の心得、揃えておきたいアイテム、自宅環境、接し方などをご紹介
-
柴犬ライフ ストア
厳選&オリジナルの柴グッズが勢ぞろい!
-
【特集】新・家術〜進化型家電と、新しい愛情物語
愛犬たちとのかけがえのない生活をもっと楽しく快適に暮らすために。
-
【特集】レジェンド柴の肖像ー12歳を超えて
12歳を超えた柴犬を取材し、長寿の秘訣を探る。
-
【特集】保護柴と家族になって
-
【マンガ連載】こいぬと柴犬
「柴犬ライフ」オリジナル作品!
-
【連載】アキナ山名とおまめのラブい日々
山名さんご本人が綴る“柴犬ライフ”エッセイ。
-
【特集】柴犬のお悩み解決NOTE
ドッグトレーナーがみなさんのお悩みに応えます!
-
柴犬 病気辞典
獣医師監修のShiba-Inu Lifeオリジナル病気辞典。あなたの愛する柴犬を守るための情報満載
-
柴犬里親/保護犬情報
Shiba-Inu Lifeでは、保護犬を一頭でも多く救うための活動支援をしています。
-
SHIBA-INU LIFEとは
柴好きによる、柴好きのための、柴犬情報メディアです。その規模は、日本最大級!