2020年2月13日2,110 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】#11 家ではほぼケージで4歳まで。 最近、 部屋に放して遊ぶと噛むんです【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。

今回のお悩みは、4歳までずっと、散歩以外はケージに入れてきたという女の子の柴について。ケージに入れようと抱っこをすると唸ったり、ケージの外で遊ばせていると興奮して噛むことに困っていますが……。小野さんが指摘するのは、柴犬が「唸る」「噛む」ことより、柴犬と人間の間にあるもっと深い問題です。

お悩み:最近、ケージに入れようとすると唸ったり、遊んでいるうちに興奮して噛むように

4歳・女の子

家内で飼っています。ほとんどケージの中です。ケージは、中学3年の息子の部屋に置いています。

 

いつもは散歩後、すぐにケージへ入れていたのですが、最近、おとなしくなってきたからという理由と、散歩でおしっこもうんちもしてきたので「部屋を汚さないから」という理由から、散歩後、しばらく部屋の中でフリーにして息子が遊んであげていました。

 

しかし遊んでいるうちにだんだん興奮してきて、息子の手を噛んでしまいます。

 

また、散歩後はしばらく遊ぶのが習慣になったのか、なかなかケージに入ってくれず、中に入れるため、息子が抱っこしようとすると「ウー」とうなってしまうようになりました。

 

もともと、人も犬も好きで、誰のところにもいってしまうフレンドリーな子で、ほとんど吠えず、甘えた声でしかなかない犬です。

 

どうすればいいでしょうか。

 

心を育てる時期にずっとケージ…これでは「犬と人間の信頼関係」は築けない 

柴犬

Meeh/shutterstock

 

メールを読む限り、4歳までほとんどケージの中で育ったということになると思います。

 

小さい頃はケージに慣れさせるため、ケージに入れておく時間が多少長くても良いのですが、飼い主さんの「部屋を汚されたくない願望」や「家具をいたずらされたくない」などの願望と、「ケージの中でもおとなしく過ごしてるから」が掛け合わさり、人の方の都合だけを優先すると、ケージの外に出して一緒に過ごすタイミングを逃し、このような「ほとんどケージ状態」になると思います。

 

しかし、犬の心身の成長という大切な時期に“家の中でゆっくり過ごす”ということを経験させなかったことが、いまの悩みの根本の原因でしょう。

 

子犬の成長過程という適切な時期に家族と一緒に生活をすると、犬と人間との間には基本的な信頼関係や絆ができます。

 

しかしこのお家ではそれをやっていないため、人と犬の関係が希薄なのです。

 

そして、犬の方が主張ができる年齢になると「人が犬の行動を邪魔をする」と、唸ったり噛み付いたりなどして抵抗してくる流れが出てきます。

 

子犬のころにしっかりトイレのしつけをし、部屋でも粗相しないようにトレーニングをして、家族とお部屋で過ごしてあげられると良かったかもしれませんね。

 

トイレトレーニングがうまくいかないなど、家の中で犬と人が穏やかに過ごせるまでには、人間がかなり頑張らないといけない子もたくさんいますが、あきらめないことが大切です。

 

柴犬は「抱っこ嫌い」が多い。嫌がることをしていると、愛柴に嫌われるかも

柴犬

taa22/shutterstock

 

散歩後の遊びから、抱っこしてケージに入れるときに唸るとあります。

 

これは“柴犬あるある”ですが、柴犬は“抱っこ嫌い”が多いです。

 

人も犬も、好きな相手でもされたら嫌いなことはあります。オーナーさんのことが好きだから「噛まない」「唸らない」とは限りません。

 

人間だって、好きな人に嫌なことをされたら嫌いになってしまうことがありますよね。

 

犬の場合でも同じです。オーナーさんに嫌なことをされて、好きな人から“嫌いな人”になってしまう、最悪なケースもあります。

 

嫌いな人には、何をされても嫌になってしまうこともありますので、ケージに戻す時は“抱っこ”するのをやめましょう。

 

また、嫌なことから逃げるため、オーナーさんを噛んで大怪我させる可能性があります。

 

すでにいま、うなったり息子さんに噛みつくことがあるようですが、いまよりもっと酷く噛みつくようになるかもしれません。

 

もし抱っこが平気になることを望むのであれば、ドッグトレーナーさんにお願いしてくださいませ。

 

プロの手を借りれば、トレーニングで少しずつできるようになります。

 

ハウスの練習は必須。ケージではなくクレートでできるように

クレート

alenka2194/shutterstock

 

抱っこで入れるのをやめていただきたいので、これからは「ハウス」と言ったら戻るように練習してください。

 

今はケージがハウスだと思いますが、相談者さんの柴犬は“入っていること”は苦ではなさそうですので、“入ること”の練習が必要です。

 

出たり入ったりが楽しくなる、抵抗がなくなるように練習していきます。

 

そして、練習するならハウスはケージではなくクレート(キャリー)に入る練習をしてください。

 

必ず、その子の体のサイズに合ったクレート(キャリー)で行ってくださいね。

 

ここで声を大にして言いたいのが、ハウスは絶対にできるようになっていたほうが良いです。

 

犬の一生を考えた場合、お座りや伏せなどよりも優先事項と僕は考えています。

 

理由は過去記事『【柴犬お悩み解決NOTE】#9 脱走の名人!? ケージで留守番ができません【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】』で書きましたので割愛しますが、サークル(囲うもの)でハウスができても意味がありません。

 

犬の中には、お家にクレートを置くだけでビビってしまう子もいます。

 

ビビっている間は、それ以上怖くならないように注意を払い、慣れさせていく必要があります。

 

無理矢理突っ込んで、扉をガッシャン! と閉めることはやめてください。

 

ハウスに慣れるやり方は、最初のビビリ具合と拒否具合でやり方が変わってきます。

 

置いてるだけでも怖がるなら、まずは置いておくだけにしましょう。

 

中におやつを入れたり、上下が分かれるタイプのものであれば下半分にしたりして、少しずつ慣れさせます。

 

相談者さんの柴の場合、すでに4歳ですので簡単には慣れない可能性も。

 

ですので、ちょっと強引にきっかけを作ることも必要になってくるかもしれませんが、強引なことを行う際には、絶対に失敗しないようにしないと、クレートがもっと嫌いになったり怖くなったりしてしまいます。

 

必ずプロの方と一緒に行ってくださいね。

 

ただし、その子の精神状態によっては、すんなりとクレートに慣れ、すぐにハウスができるようになる場合もあります。

 

噛むことをやめさせたいなら、基本的なトレーニングとたくさんのスキンシップを

柴犬

RISLUK/shutterstock

 

遊んでいるうちに息子さんの手を噛むようになった」とありますが、4歳という年齢的に、それが甘噛みとなのか本噛みなのか、見極めが必要になります。

 

「痛いから」「ちょっと血が出たから」で判断をしてはいけません。

 

痛みは人それぞれ感じ方が違いますし、血が出ても、たまたま引っかかっただけかもしれません。

 

甘噛みか本噛みかは、犬の緊張具合、興奮具合など体の様々なところを観察して判断します。

 

同じ動作でも、緊張の具合によっては意味が180度違う場合があります。

 

よくある間違いが、尻尾を振っている=喜んでる、と勘違いしてしまうことです。

 

確かに喜んでいるときも尻尾は振りますが、犬は緊張をしていても尻尾を振ります。

 

嬉しくても、緊張しても、興奮します。興奮をすれば、尻尾を振ります。

 

こういう些細なことも含めて、人間が間違った判断を重ねていくと、犬を見極めることができずに、正解とは反対の対処をしたり、誤った態度をとってしまうことに。

 

もし甘噛みをしているとしたら、この犬が幼いとき、戯れて遊んであげることが足りなかったのだろうと思います。

 

あくまでボクの想像ですが、こちらの可能性が高いと思います。

 

なぜなら、散歩以外はケージに入れっぱなしで育てられたため、ケージから出たら“興奮タイム”になってしまっているはずだからです。

 

一言で言うなら、全体的に育て方の問題が原因。

 

ですので、飼い方や遊び方といった基本的なしつけやトレーニング、スキンシップなどの時間をとってあげたほうが、噛むことに対する解決は早いかと思います。

 

唸る、噛む…問題行動の解決は、根っこが肝心。犬と人間がいい関係を築ける飼い方を!

柴犬

WildStrawberry/shutterstock

 

犬の場合、ハウスに入れっぱなしで飼うこともできなくはありません。

 

ただし、それは“飼っている”とは言い難く、アニマルウェルフェアからは大きくはずれて虐待に近い状態になってしまう恐れもあります。

 

犬が無駄に家の中で興奮することなく、穏やかに過ごせる場所にするには、まず慣れさせること。

 

それにはトイレなど、色々な問題がつきまとうかと思います。

 

しかし、飼い主がトレーニングでそれに取り組む過程でも、犬と人の関係性は作られていきます。

 

リビングに出して育ててたとしても、育て方によっては、飼い主に唸ったり噛んだりする犬になる可能性は往々にありますが、ケージの中が長いと、その可能性はもっと高くなりますし、問題の根が深くなる恐れもあります。人への信頼度や、できること、性格のベースが変わってきます。

 

「噛んだり」「唸ったり」という問題は、表面的に出てきているものであって、根っこの問題ではありません。

 

人との信頼関係を再構築できたら、問題行動が直る可能性も変わってきます。

 

大変かもしれませんが、犬の飼い方を見直し、犬と一緒に過ごす時間の素晴らしさや愛しさを感じてもらえればと思います。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

 

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