2020年3月31日6,673 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】#14 お散歩中、声をかけてくれる人にワンワン!知人を避けて歩くしかないの?【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。

今回は、お散歩中に「こんにちは!」などと声をかけられると、その人にワンワン吠える…というお悩み。これでは、ご近所散歩がドキドキタイムになってしまいますよね。

果たしてその原因と対策とは!?

散歩中、声をかけてくれる知人にワンワン! 止めるとオーナーに噛みつこうとすることも…

男の子・1歳

 

お散歩中に「こんにちは!」など知人から声をかけられると、その人にワンワン吠えます…。

 

思うに、声をかけてくれた人のほうに行きたいのです。

 

それで撫でてくれたり匂いをかがせてくれたらしたら満足して落ち着くのですが、犬嫌いな人もいるので困ってしまいます。

 

止めると吠えがひどくなり、オーナーの私に向かって吠えまくり噛みつこうとします。

 

興奮してるときにはオスワリ、マテの指示も届きません。

 

知人を避けて散歩するしかないでしょうか?

 

まず最初に、家の中でも「吠える」、「唸る」がないかを見直して

柴犬

Pommy/shutterstock

 

今の状態でこの状況をどうにかしたいのであれば、知人を避けるしかありません。

 

もし、落ち着いて挨拶できたり、知人への吠えつきを止めさせたいなら、コツコツとトレーニングを頑張るしかないでしょう。

 

お悩みは“散歩中”ですが、この子の場合、トレーニングはまず、家の中からスタートさせる必要があるかもしれません。

 

というのも、「止めると吠えがひどくなり、オーナーに向かって吠えまくり噛みつこうとします」とあるからです。

 

ご相談にある状況以外でも、自分の思った通りにいかないと、吠えて噛みつこうとするのではないでしょうか?

 

お家の中での状態をよく見直してみて、もしお家の中でも噛むことや唸ることがあるなら、まずはそこから手をつけてください。

 

家の中での噛みつき、唸りをクリアしてから、お外のことに取り組むと良いかと思います。

 

オスワリ、フセがトリーツがあればできる状態なら、お家の中ではトリーツ無しでもできるように練習してください。

 

それでやっと、相談にあるような散歩の場面でも、オスワリ、フセをすることができるかできないかくらいのレベルにあると考えてください。

 

「うちの子は家で吠えない」と思ってても要注意! 実は外での吠えグセを増長させているかも

柴犬

Akbudak Rimma/shutterstock

 

「うちの犬は家の中でほとんど吠えないよ」と思っていても、それがむしろ、外での吠えつきを助長させているかもしれません。

 

なぜなら、お家の中ではオーナーが、犬が“吠える”、“唸る”状態にならないよう、自然と先手を打っていたり、吠えがひどくならないよう簡単に犬の要求に応えてしまっている場合があるからです。

 

もしくは、吠えつきの程度が低いため、オーナーさんがさほど気にしていないこともあります。

 

わかりやすい例だと

 

・お散歩の時間近くなって吠えはじめたからお散歩に行く。行けば“吠え”は止む。

 

・朝方吠えたり、怒ったりしたから、起きて愛柴にかまう。かまえば“吠え”は止む。

 

・おしっこをしたくて吠えるので庭に出す。出してしまえば“吠え”は止む。

 

など。

 

つまり、犬に吠えがグセが付くように、オーナーのほうもまた、“吠えさせないクセ”がついてしまっているのです。

 

かわいい我が子ですので、要求に応えてあげたくなるのはわかります。

 

しかし、犬はオーナーさんの“許容範囲”がどこまでか、わかりません。

 

ですので、愛柴の要求に応えれば応えるほど、その要求がエスカレートしていくことになります。

 

ですがそれだと、いつか人間側の“許容範囲”を超えてしまう。

 

すると人間は、急に犬に“悪い子だ”とレッテルを貼ってしまいます。

 

オーナーの主観による曖昧な許容範囲基準で、“良い犬”、“悪い犬”を人間が一方的に決めつけるのは、あまりにも勝手すぎるとボクは思っています。

 

要求が通らないと「吠え」「咬み」が激しくなることに

柴犬

Seregraff/shutterstock

 

“要求”、つまりワガママが通る数、時間が多ければ多いほど、要求が通らなくなったときの“吠え”、“咬み”は激しくなります。

 

しかし外出中は、相談にあるようにオーナーさんが犬の要求を通してあげられない場合が多々ありますよね。

 

すると要求に応えてもらえない柴は、癇癪(かんしゃく)を起こします…。

 

ものすごく簡単にいうと“ワガママが過ぎている状態が、“吠え”、“咬み”です。

 

オーナーさんは、「散歩中だけ吠えないようになればOK」だと思っているかもしれません。

 

しかし犬は、家だろうが外だろうが関係なく、自分の思った通りにならないときに苛立ちを爆発させます。

 

「いつもなんでもボクの要求に応えてくれるのに、今はダメなの? ひどい!」と。

 

つまり、“こういう状況のときだけ”オーナーの都合(ワガママ)に合わせてね、と思っても無理な話なのです。

 

人に撫でられたりすることが好きであれば、なおさらワガママを聞いてもらえないと駄々をこねるでしょう。

 

ですので、特定の状況以外でも、コンタクト、コミュニケーションを円滑に取れるようになっておくべき。

 

そのために、家でのトレーニングが大切なのです。

 

ワガママを直す方法は2つだけ

柴犬

Thoranin Nokyoo/shutterstock

 

犬の思った通りにしてあげることだけが、コミュニケーションになっているオーナーさんが多々見受けられます。

 

すると、オーナー側の“ワガママ”を、犬が一切受付てくれない関係性になっています。

 

相談者さんからは「止めると吠えがひどくなり、オーナーの私に向かって吠えまくり噛みつこうとします」とあるので、コミュニケーションが上手くいっておらず、オーナーのワガママを聞いてくれていない状態になっているのが見て取れます。

 

この状態からの脱却は、

 

・さまざまなトレーニングをやり直す。

もしくは

・オーナーの許容範囲を広げる(ワガママを受け入れる)

 

ことしかありません。

 

どちらも簡単ではないかもしれませんが、自分にあったものを選ぶと良いかと思います。

 

愛柴は自分を映し出す鏡

柴犬

August_0802/shutterstock

 

許容範囲を広げるには、オーナーさんが色々勉強しないといけないかもしれませんし、周りとの付き合い方を変えないといけないかもしれません。

 

もしかすると、同じ許容範囲を持つ仲間を見つけたら、気持ちが楽になるかもしれません。

 

楽になったら、トレーニングに前向きに取り組めるかもしれません。逆に、そこで満足してトレーニングをする気がなくなるかもしれません。

 

また、楽になった気持ちでリードを持ったら、犬の態度が変わる場合も多々あります。

 

つまり何を言いたいかというと、目の前にいる愛柴が、今のような性格、行動をする子に育ったのは、良くも悪くもオーナーさんの影響が多大なのです。

 

違う人に飼われていれば、今の問題はないかもしれません。

 

オーナーさんの性格、行動が、鏡のように表れるのが家庭犬です。

 

オーナーさんが愛犬に対してもし、「どうして?」「何で?」と思っているのであれば、犬の方も「どうして?」「なんで?」と思っていると考えましょう。

 

オーナーが犬に対するスタンスや態度をしっかり持てば、犬を楽にしてあげることができます。

 

トレーニングとは、犬が人間社会で楽に生きられるようにしてあげること

柴犬

Thoranin Nokyoo/shutterstock

 

トレーニングやしつけはオーナーのストレスを減らす役目もあるかもしれません。

 

しかし、“人間の言うことを聞いてくれる犬になると、オーナーのストレスが減るから”やる、という考えであれば、それは悲しいトレーニングだと思います。

 

トレーニングとは、犬を楽にして、自分と生き生きと生活していくためにするものだと、人間側が深く理解することが必要です。

 

モヤモヤとしているところがあるなら、トレーニング方法だけではなく、自分はどんな風に犬と暮らしたいのかを、いま一度考え直すことも、トレーニングやしつけをする上で大切な部分です。

 

柴犬への視点や知識を増やして、心に余裕を持って、ぜひ豊かな柴犬ライフを送ってくださいませ。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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