2020年5月11日10,669 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】♯17 歯磨きが大キライ!どうやったら覚えてくれる?【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。

今回は、歯磨きが大嫌いで怒って逃げてしまうというお悩み。「うちの子も同じ!」というオーナーさんも多いと思いますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

今回のお悩み:歯磨きが大キライなんです…!

1歳・男のコ

歯磨きシートも歯磨き粉を見せても、怒って逃げていきます。

歯磨きガムはカロリーが高いと聞き、毎日あげるのは良くないと思って歯ブラシや歯磨きシートで磨けるようになりたいのですが…。

 

どうやって歯磨きを覚えさせたらいいのでしょうか?

 

歯磨きは「覚えさせる」ではなく「受け入れてもらう」スタンスで

柴犬

MitchyPQ/shutterstock

 

歯磨きだけでなく、日頃のさまざなケアは飼い主さんができればできるほど、良いスキンシップになります。

 

また、ちょっとした体の不調やいざという時の対処にも役立ちます。

 

ですので、できるようになっておきたいことのひとつ。

 

歯磨きガムの是非はここでは触れないでおきますが、歯磨きガムを与えていたとしても、歯ブラシやシートで行う歯みがきもできるようになっておきましょう。

 

歯磨きには、たくさんメリットがあるからです。

 

大切なのは、無理はしないこと。そして、少しずつステップを踏むこと。

 

また、歯磨きやケアは“覚えさせる”というスタンスではなく、あくまで犬が“受け入れてくれる”、“許してくれる”というスタンスで臨むことも重要です。

 

これは、オーナーが下手に出るということでもなければ、歯磨きをイベントにすることでもありません。

 

最初は“スキンシップのうちのひとつ”といった感じで、愛柴に歯磨きに対しての嫌なイメージを持たれないようにすることが大切です。

 

人と犬との関係性があってこそ。あなたの愛柴はマズルを触らせてくれますか?

柴犬

MitchyPQ/shutterstock

 

まず最初のステップとして

 

(1)マズルやマズル近くは撫でられるか

(2)しつこく触っても唸ったりしないか

 

を確認してください。

 

それが無理なら、犬とのスキンシップ方法や、愛柴との関係性を見直すところから始めないといけません。

 

犬を仰向けにして、脱力させた状態で触れるとやりやすいかと思います。

 

ただし、仰向けにすることができないのであれば、無理矢理やるのは絶対にやめてください。

 

歯磨きからは少しそれますが、犬の体をどこでも触れるようになるというのは、上下関係などという話ではありません。

 

犬がこちらを受け入れてくれているかどうかです。

 

受け入れてもうらうには、力(物理的なパワーだけではない)で入っていくことが必要になる子もいます。

 

しかし、それは必ずプロの手でやるか、プロが同伴するかという形で行ってください。

 

ほとんどの犬の場合、力ずくだけでなんとかなるなんてことはありません。

 

ですので、無理に仰向けにすることはNG。

 

本やwebなど、どこかで見たり聞いたことを、自己判断でやるのは危険です。

 

まずは「歯を触ること」に慣れさせて

柴犬

Segmed87/shutterstoc

 

もし、マズル付近を触れるのであれば、次のステップにいきます。

 

歯磨き粉や歯磨きシートは使わず、まずは手で歯を触ってください。

 

それも、撫でたり、たわむれている最中に何気なく触る感じで。

 

相談者のオーナーさんの場合、「怒って逃げていきます」とあるので、すでに犬が歯磨き道具に対して悪い印象を持ってしまっています。

 

ですので、道具を持って「歯磨きするよー」と近づくのはダメ。

 

警戒からの威嚇が出てきます。

 

もし今まで、歯磨き以外のことで唸ったり威嚇したことがなかった子でも、歯磨きをきっかけに“威嚇すると嫌なものが遠ざかる”と学んでしまいます。

 

すると、ほかの嫌なことに対しても、威嚇行動が出やすくなってしまう場合があります。

 

“歯磨きタイム”なんて聞くと、人間の子供の歯磨きと同じ程度に軽く考え、イヤイヤしてもなんとかできると思いがちです。

 

しかし、歯磨きをする文化のかけらもない動物からしてみると、口の中に手を突っ込まれるのは異常なこと。

 

なので、最初は手で。

 

少しずつ触ることに慣れさせる。

 

子犬のころから、口の中を触るなどのスキンシップを行い、それが普通のことになっていると、歯磨きもできるようになることが多いです。

 

まだ子犬を迎え入れたばかりの人は、ぜひ普段から口の中まで触ってあげてくださいね。

 

次のステップは、歯磨き道具を使って「触る」だけ

柴犬

MitchyPQ/shutterstock

 

歯に手で触れるようになったら、今まで使ったことのない歯磨き道具で、歯を触ってみてください。

 

磨くのではなく、触るだけ。

 

チョンチョンくらい軽くでいいです。

 

道具は、自然に触れるので、指に巻くタイプが良いでしょう。

 

けして、いきなりゴシゴシはしないでください。犬がまた警戒してしまいます。

 

“犬の方が受け入れる”という流れを作っていくためには、嫌な思いをさせてはいけません。

 

少しずつ少しずつ「緊張が出る」ラインを探りながら進む

柴犬

KPG Payless2/shutterstock

 

そこで問題なのが、“嫌な思い”が、どこからが嫌なのかを理解することです。

 

チョンチョンと軽く触っても何ともなければ、少し擦ります。

 

擦っても嫌がらないようなら、一か所だけゴシゴシとやってみます。

 

そこで緊張が出てきたらやめます。

 

ブラッシングなどもそうですが、どうしても全部やりたくなる飼主さんが多いです。

 

犬が苦手としているものは緊張が出る前にやめるのが理想です。

 

ここからは、犬の状態と飼い主さんのスキルによりますが、ちょっとできるとあっという間に全てOKになる子もいます。

 

でも、ちょっとずつ進めていくしかない子もいます。

 

一度に全部やろうとせずに、自分の犬と状態を見て進めてくださいませ。

 

先ほども書きましたが、人間には当たり前のことでも、犬には異常なことがたくさんあります。

 

こちらからのゴリ押しでやるのではなく、受け入れてもらえるよう、やさしく、我慢強く取り組むことがポイントです。

 

全ての取り組みにおいて、けっして無理をしないでください。

 

そして、ステップのどこかで行き詰まったら、ひとりでやらず、プロの方に実際に見てもらうことをお勧めします。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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