2020年6月1日7,174 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】♯18 留守番中に壁やソファーを破壊…これって分離不安によるストレス?【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。

今回は、留守番中に壁などを破壊してしまうというお悩み。相談者さんは、「分離不安からくるものなのでは?」と不安に思っています。果たして、その解決策とは。

今回のお悩み:分離不安によるストレス? 留守中に、主に壁やソファーに穴をあけたりオシッコをします。

6歳・女の子

去年の夏頃から分離不安からくると思われる破壊行動をするようになりました。

 

約5時間の留守中に、主に壁やソファーに穴をあけたりオシッコをします。

 

毎日ではありませんが、多いときは月に5~6回ほどあります。

 

見守りカメラで様子を見ると、破壊行動中は尻尾を下げて何度も部屋のドアを見ています。

 

不安によるストレスかなと思うのですが、ケガが心配なので何か対処法があれば教えて頂きたいです。

 

すでに分離不安になっている可能性が高い。思い当たるきっかけは?

柴犬

Sakkarin Pongrujikorn/shutterstock

 

分離不安になるかどうかは、お留守番していない時の過ごし方が大切になります。

 

元々群れていたい性質の動物ですので、“おひとり様”が苦手になっていくのは仕方がない面も。

 

しかし、人と生活すると、留守番という“おひとり様時間”ができる場合がほとんど。

 

このおひとり様を上手に過ごせるように、オーナーさんが一緒にいるときに少しでも練習をし、どのくらい不安になるのかを把握しておくことが大切です。

 

去年の夏頃からとありますが、そのころ何かありましたでしょうか? 

 

雷が鳴った、風の音が強くて音が凄かったなど、何かひとりでいるときに怖いことがあったかもしれません。

 

このように、外的な要因が分離不安のきっかけになってしまう場合もあります。

 

また、分離不安には、遠吠えを続ける、手や足を舐めたり噛んで傷つけたりするなど、さまざまな症状があります。

 

留守番するたび、分離不安のほかの症状も起こっているのか? 

 

それとも破壊行動だけが月に5〜6回なのか? そのあたりも気になるところです。

 

原因や現状を知ることで、その先の解決に繋がることが多いですので、ぜひできるだけ細かく見てあげてください。

 

ご質問の状態では既に分離不安になっている可能性が高いです。

 

分離不安であれば、その程度も見極める必要があるので、対処はプロの方と一緒に取り組まれるのがベスト。

 

ぜひ、プロや専門家の方にご相談してくださいませ。

 

留守番の前にやるべきこと

柴犬

Akim Lakeev/shutterstock

 

全般的な対処になりますが、犬が安心して留守番できるようになるための準備をレクチャーさせていただきますね。

 

留守番そのものの練習も大切ですが、まずは留守番をしていない時間の過ごし方を見直しましょう。

 

お散歩、遊び、まったりする時間の3つをバランスよく取ってください。

 

エネルギーが溜まっている状態ですと、留守番中、ひとりで上手に過ごす事ができません。

 

エネルギーを発散させるために、留守番の前には散歩などの運動をしっかりとしましょう。

 

そして、知育玩具などによる脳への刺激も与えます。

 

この2つで、体にも頭にも良い疲労感を感じさせてください。

 

お散歩は質をあげたり、量を増やしましょう。

 

もし、1日のうちに走る時間がないのであれば、“走る”こともお散歩の中に加えてください。

 

質を上げるにはトレーナーさんと一緒にお散歩に行き、正しい散歩のやり方を教わるのが良いかと思います。

 

楽しく“一緒”に歩くだけでも、だら〜っと行っているお散歩とは全く頭の使い方や疲労感が変わってきます。

 

この“よい疲労感”がある生活を繰り返しながら、知育玩具で遊ぶことやハウスの練習をし、少しずつお留守番の練習もしていきましょう。

 

家にいても愛柴との距離感を保って

柴犬

Nut Korpsrisawat/shutterstock

 

日頃からオーナーとベタベタするばっかりではなく、柴犬がひとりでも楽しめたり休めるような工夫も大切です。

 

メンタル的に適度な距離をとるために、オーナーさんが家にいる間でもハウスで過ごす時間を作ってください。

 

落ち着く場所が“オーナーさんのそばにいるときだけ”ですと、いなくなっただけで不安になるからです。

 

オーナーさんがいなくても愛柴が安心して休めるように、ハウスからは見えない位置にオーナーさんがいられるようハウスの位置を工夫し、家の中でもできるだけお留守番に近い状態を作ってください。

 

「もしも」を想定して育てる

柴犬

Trybex/shutterstock

 

人との暮らしは、犬からしてみると想像もしていなかったことがたくさん起こります。

 

引越ししたり、オーナーさんの仕事が変わってしまったり、オーナーさんが入院したり。

 

人間はその変化についていけるかもしれません。

 

しかし、犬にとっては大きなストレスになることもあるでしょう。

 

だからこそオーナーさんは、子犬のときから「もしこんな変化が起きたら」を想定して育ててあげてほしいのです。

 

引越しも、お仕事が変わることも入院も、それ自体の練習はなかなかできませんが、メンタル的なタフさ、変化に不安にならない寛容さを、犬に持たせてあげることはできます。

 

大変ですが、さまざまなことにオーナーさんと一緒に取り組むことで、強いメンタルを育ててあげてください。

 

犬をホテルや幼稚園に預け、オーナーさんと離れることに慣らしておくのもよいでしょう。

 

刺激や変化にもタフで、オーナー依存になりにくく、おひとり様の時間を上手に過ごせる子に変わってくれる場合もあります。

 

メンタルの問題はプロに相談を

柴犬

xiaochuan/shutterstock

 

いま、目の前にいる子の態度や性格が、あなたと愛柴が“いままでやってきたこと”の結果です。

 

ですので、オーナーさんが愛柴に不安や悩みがあるのなら、これまでの犬との過ごし方や1日の流れを意識的に変えていくことがとても大切。

 

犬のメンタル的な不安やストレスはなかなかわかりづらく、愛情深いオーナーさんほど困ってしまうと思います。

 

そして、オーナーさん自身が不安なとき、家族にしてもらったら嬉しいことや不安が和らぐことも、犬にとっては解決方法ではない場合が多々あります。

 

問題が深刻になる前に、早期にプロの方と一緒に問題解決に取り組むことをおすすめします。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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