2020年9月3日9,010 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】♯25 心配!6ヶ月の子犬ですがフードを半分も食べません【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。今回のお悩みは、まだ成長期真っ只中の6ヶ月のパピーなのに“フードを食べない”というもの。神経質な気質を持つ柴犬は、食い渋りをする子も少なくありません。どう対処すべきかをお伝えします。

今月のお悩み:ドッグフードを半分も食べません

6ヶ月・男の子

 

間もなく6ヶ月になりますが、ドッグフードを目安の半分も食べません。

 

食べるときも少しずつ、一日かけるぐらいです。

 

この先が心配です。

 

フードを置きっぱなしにしない!

柴犬

UvGroup/shutterstock

 

ドッグフードを食べないというのは、よく受ける相談のひとつです。

 

犬が食べなかったり、食いつきが悪い理由は様々。

 

もともと食が細い子もいますし、1歳未満ですと“食べむら”がある子もいます。

 

神経質な子や、1日中ダラーっと過ごしてる子も食べなくなったりします。

 

しかし成長時期によってや環境が変化すれば、“食”に対する意識も変わってくるものです。

 

6ヶ月齢ですと成長過程ですのでしっかり食べて欲しい時期ですが、体重の増減はどうでしょうか。

 

体重が順調に増えているのであれば心配はいりません。

 

しかし今の与え方だと食に対する執着が落ち、成犬になってもなかなか食べてくれるようにならない可能性も。

 

体重の増減に問題が無いことが大前提でですが、「食べないから」とご飯を置きっ放しにしているのであれば、一度やめてもいいかもしれません。

 

一度出して食べなければ片付ける。

 

しばらくしてまた出し、それでも食べなければ片付ける。

 

最初のうちは、“ご飯の時間”を決めずに、あげられる時間に与えてみてください。

 

もう一つ注意したいのが、フードを“食べない”という行動をした後に、フードを変えてみたり、トッピングを追加すること。

 

これは極力避けてください。

 

そのトッピングが好きであれば、それを意地でも待つようになってフードを食べなくなっていきます。

 

しつけのためにおやつをあげるのはNG!

UvGroup/shutterstock

 

栄養素的に考えられた食事を食べていないうちは、おやつは与えない方が良いです。

 

栄養バランスが取れなくなり不調をきたします。

 

または、ただの肥満になります。これは人間でも一緒ですね。

 

“ご飯は食べないのに、おやつは食べる”子にしないことが、後々の健康を考える上で大切。

 

飢餓状態になるほど食べないのであればおやつは仕方がありませんが、そこまで重症でしたらプロの方に直に一回見てもらったほうが良いでしょう。

 

もし、しつけやトレーニングのためにおやつを使っているのであれば、それも控えたほうが良い場合があります。

 

僕はトレーニングやしつけは健康な体があってこそだと考えています。

 

ですので、まずは健全な生活、“食べて、寝て、動く”の流れをしっかり作ることを優先します。

 

もし、お座りや伏せなどをおやつで教えているのであれば、一旦ストップをすることも視野に入れてください。

 

「食」「睡眠」「運動」はすべて影響し合う関係。どれかひとつでも足りないと、全部に悪影響

柴犬

Spencer Xu/shutterstock

 

僕は、犬の身体、メンタルは全て“バランス”で成り立っていると考えています。

 

食事が悪いと、運動の質も落ちてしまう。

 

運動の質が悪いと、眠りに影響が出ます。

 

眠りに影響が出ると、メンタルにも悪影響。子犬の時期なら成長にも影響が出ます。

 

食、睡眠、運動はないがしろにせず、どれかに問題があれば、最優先事項でこのバランスを整えていくことを考え、実行しましょう。

 

相談者さんは食の心配だけされてますが、運動と睡眠はどうでしょうか?

 

この二つもしっかりみてあげてください。

 

食に問題があるならば、かなりの確率で“運動”の部分に不足部分があると思います。

 

体力も使い、頭も使うのが理想の運動。つまり運動はメンタル(脳)と体、両方を刺激するのが大切なんです。

 

刺激は“予測ができない遊び”に多く含まれますので、いつもの遊びがもし単調であれば、すでにこの子にとってつまらなくなっているのかもしれません。

 

犬対犬での遊びでは、自分の思った通りにいかないなど“予測不能”なことが起こります。

 

また、上手に遊べる犬には「ちょっと怖い」など、少しだけ“嫌なこと”も起こります。

 

これが頭を使わせとてもいい刺激に。心を成長させ、犬自身に自信をつけてくれます。

 

神経質なように見えたり、食事に問題がある子は、こういう刺激のある経験をすれば、

ご飯を食べるようになることもあるので、ぜひトライしてみてください。

 

オーナーさんが刺激のある遊び、散歩をしてあげよう

柴犬

Lichtflut/shutterstock

 

犬と遊ぶのが苦手な子であれば、オーナーさんが遊びの質を高めていくしかありません。

 

散歩も排泄だけを目的とせず、思いっきり犬と遊ぶつもりで行きましょう。

 

もちろん、ずっと思いっきり遊んでいる必要はありません。

 

まったりと思いっきりの緩急をつけてお散歩を楽しんでください。

 

行ったことのない道や、いつもはちょっと怖がって歩かない道を歩けるようにしてみるなど、“刺激”を求めて外に出ましょう。

 

知育玩具も場合によっては有効かもしれません。

 

使い方に一工夫が必要な場合もありますので、どちらにしてもオーナーさんが頭をフル回転させ、ユーモアを持って犬への刺激を考えてあげてください。

 

甘やかすだけだと、犬も人も「楽しい」が減っていく

柴犬

Aleksandr Abrosimov/shutterstock

 

トレーニングやしつけの一番大切なポイントは人も犬も“楽しい”です。

 

テンションが高い“楽しい”だけではなく、じんわり“楽しい”のも大事。

 

そして日常生活で大切なのも“楽しい”です。

 

この“楽しい”は贅沢や甘やかすことをしていると、甘やかしたぶんだけ減っていきます。

 

人間に例えると、わかりやすいのがお金。

 

お小遣い100円で喜んでいた子供が、社会に触れる機会が多くなると100円では喜ばなくなる。

 

なので1,000円にする。でも、またしばらくして他を知ると喜ばなくなり、「10,000円にして」と要求する。

 

それでももっと贅沢をしたくなれば、10,000円でも喜ばなくなる。

 

ですが人間の場合は、「それではよくない」と自分で気付けたり、親や社会から教わるため歯止めが効きます。効かない人もいますが。

 

だけど犬の場合は、「これじゃダメだ」とどこかで学んできてくれるわけではありません。

 

犬に「もっともっと」と欲が出ても、人が犬に与えられる報酬は限られていますし、犬が満足する報酬がなにかをオーナーさんが理解していないことも。

 

なので、報酬を与えても「またそれか」に変わり、犬は生活の中で楽しさを感じ取れなくなります。

 

要するにただのわがままってやつです。

 

でも、これは重大な運動、食事、睡眠を害します。

 

この辺りのバランスを人も犬もどうとっていけるかで、犬の幸福感は変わってくるのかなと思います。

 

“動物として普通のこと”をバランスよくできるように、オーナーさんは気をつけてあげてください。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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