2020年11月6日2,600 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】♯29 噛み癖がひどい。トレーナーに習った方法でさらに悪化した気が…【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。

今回は、噛み癖を直そうと、ドッグトレーナーに教わった方法で練習をしているものの、直るどころかさらにひどくなっている気がする…というお悩みです。

今回のお悩み:噛み癖がある子。トレーナーさんに教わった方法をやればやるほど、どんどん噛み癖が強化されている気が……。

4歳・男の子

本気で噛む癖がついてしまい困っています。

 

噛み癖が始まったのは2歳頃からで、徐々に頻度が多くなり、加減が無くなり傷も深くなって来ました。

 

噛むタイミングとしては、
・抱っこされたくない時
・ハーネスのつけ外しの時
・カッパを着せる時
・間違って足を踏んでしまった時
・ウトウトしている時 
などです。

 

トレーナーさんに相談し、犬がされて嫌なことをする時には、高さのある台に乗せて行うようにアドバイスをいただきましたが、抱き上げが毎回できなくて上手くいきません。

 

トレーナーさんから「我慢の経験が少ない」との指摘があり、台の上で手を防具のような物でガードしながら、愛柴の体に触れる練習を教わりましたが、効果が無いように感じています。

 

そして愛柴がニガテなことを私がするたびに、噛み癖が強化されている気がします。

 

どんどん許容範囲が狭い子になっているような...これから噛み癖のしつけは可能でしょうか?

 

大嫌いな「拘束」に慣れる練習を

柴犬

Anastasiia Chystokoliana/shutterstock

 

抱っこ、ハーネスのつけ外し、カッパの3つは似ていますね。どれも“拘束”です。

 

小型犬や中型犬の小さい子を抱っこしている姿をよくSNSや外で見るので、犬を抱っこすることが当たり前だと思っている人も多いかもしれませんが、犬からしてみると抱っこは“拘束”。

 

今やっていることを全て強引に終了され、かつ動けず、苦手な高いところにいて逃げることもできず…。犬からしたら、されたくないこと。

 

特に柴犬のように“自分のことは自分でタイプ”の犬は大嫌いになってもおかしくありません。

 

小さい時から、“抱っこされたい”と思ってくれるようにしつけていくことが、噛むといったトラブルを減らすことに繋がります。

 

ハーネスをつけたりカッパを着せるといった拘束に少しでも慣れるよう、これから練習していきましょう。

 

ハーネスの練習ステップ

柴犬

Lichtflut/shutterstock

 

(1)ハーネスに慣れる

ハーネスはできるだけつけやすいものを選びます。これはカッパも同じ。なるべくさっと着れるものを選びましょう。

 

トレーニングを始める前に、まずは首輪をつけてください。

 

「ハーネスをつけるのに首輪も?」と思うかもしれませんが、首輪もハーネスも付いていない状態で噛んでくる犬と対峙する練習は、とても難しいためです。

 

首輪をつけるのさえ難しければ、投げ縄タイプでさっと簡単につけられるスリップリードを用意します。

 

次にリードをつけます。首輪とリードがついたら練習スタート。

 

ハーネスを見たら逃げますか? もし逃げるのであればお家の生活スペースの床にハーネスを置き、生活の中で普通に存在するものにしてください。

 

そしてハーネスを見せながらトリーツをあげる、ハーネスの布の部分で挟みながらトリーツをあげることをして、ハーネスに対する警戒を取っていきます。

 

とはいえ、もし散歩時は首輪で問題がなければ、無理にハーネスをつける練習をする必要はないと思います。

 

しかし、ハーネスを付ける=苦手なことをオーナーさんと犬で乗り越えられると、もう一歩進んだ関係が構築できますよ。

 

ただしやり方を間違えると関係性が悪化する可能性もあることはご承知おきください。嫌なことをするわけですからね。

 

(2)触られることに慣れる

ハーネスへの警戒心を解く練習と一緒に、触られることに慣れるための練習をしましょう。

 

まずは犬が本当に拘束されることが嫌いかどうかを見極めます。

 

リードを持って、犬を撫でて見ましょう。優しくですよ。

 

どこでも撫でられますか? もし、触られて嫌な場所があればそこがなくなるように練習していかなければなりません。

 

練習するときは、必ずリードを持ちながら。もし噛んできても制御できますし、犬が変に距離を取ろうとしてもリードの範囲で止められるからです。

 

お腹の下、足の先、マズル、耳、尻尾などが、犬が触られるのが苦手な部分。

 

この辺を多少強めに触っても怒らなければ、触られることはOKで、“抱っこ”だけが嫌いなんだと思います。

 

もし嫌がるなら、一瞬でもよいので触れる練習を。

 

一瞬と言うと素早くパッと触るイメージを想像するかもしれませんが、ゆっくり、なんと無くふわっと触ります。

 

なぜなら、素早い動きは犬が警戒するから。もし、オーナーさんが噛まれる怖さから緊張しているのであれば、それが犬にも伝わってよけい警戒します。

 

噛まれる恐怖心を持ってしまうなら、1人で行わずプロの方と一緒に取り組んでください。

 

このやり方で、まずはリードをつけたまま今よりも触ることができるようになりましょう。

 

台に乗せるのはNG。まずは家の中でもリードで過ごして

柴犬

leungchopan/shutterstock

 

トレーナーさんに相談し、犬がされて嫌なことをする時には、高さのある台に乗せて行うようにアドバイスをいただきましたが、抱き上げが毎回できなくて上手くいきません>

 

とありますが、このやり方ですと「嫌なことをする時は犬を怖がらせてからやってください」と言っているのと一緒です。

 

たいていの犬は高いところから飛び降りることが苦手で、高い台の上では怯えます。

 

ただでさえ、“抱き上げる”というされたくないことをしてから台に乗せるので、このやり方ではオーナーさんがおっしゃるように、もっと噛み癖が酷くなる気がします。

 

触ることさえ難しいのであれば、今はリードを持ってずっと一緒にいてください。

 

まずは家の中で好き勝手にさせず、“ソファではつねに足元”など一定のルールを作り、それをリードを使って守らせるようにします。

 

側にいる間は時々おやつをあげてもOK。ご褒美のためというより、オーナーさんの隣にいることが楽しく好きになるようなイメージです。

 

リードで距離が近い状態を保ち、一緒に過ごす時間をたくさんとってください。

 

側にいるときに穏やかな空気が作れたら、愛柴を触ってあげて心地よくしてあげましょう。

 

ポイントは愛柴の居場所は犬に決めさせず、オーナーさんがリードでコントロールすること。

 

例えば犬がオーナーさんの左側で休もうとしたら、リードで右側にずらしたり、ソファの上に乗ろうとしたら下で休ませます。

 

犬がどこかに行こうとしたらリードで止め、その場に留まらせてください。その場で犬がリラックスしたらOKです。

 

これにより、自分の思い通りに動けないことを受け入れること、要するに“我慢”するという心の流れを作ります。

 

我慢ができるようになるために、“触られる”ことよりもハードルが低い“動けない”から初めるのです。

 

ウトウトした時の噛みはハウスを使って回避を

柴犬

AkaneHY/shutterstock

 

眠いときにも噛まれるようですが、ハウスは使っていますか?

 

今のこの子では、家の中でフリーにさせ、そのへんで寝させることは避けたほうがよいと思います。

 

これはあくまで、“今のこの子”の状態でしたら、です。状態が変わってきたらフリーにしたり、変化を与えていきます。

 

この子に限ったことではなく、どの子も絶対にハウスができた方がメンタルも安定しますし、災害や入院時など、いざという時に困りません。

 

ハウスは必ずできるようにしておきましょう。

 

ハウスの外にいる時は遊ぶ。くつろぐ時はリードをつけて自分の側で。目を離さないといけないとき、好き放題になってしまいそうな時はハウスで過ごさせる。

 

このように生活にしっかりとメリハリをつけてください。休ませるのは基本ハウスです。

 

トレーナーに教わったことをやるだけではダメ。そのトレーニングをやる意味や、犬の気持ちをしっかりと理解して

柴犬

Naviya/shutterstock

 

間違って足を踏んでしまった時>にも噛むとありますが、犬の足を踏んでしまったら噛んでくるのは当たり前と言えば当たり前。

 

それを問題だと思うことにこそ、問題があるような気がします。

 

もちろん噛んでこない犬もいます。しかし人間にも、すぐ怒っちゃう人とそうではない人がいますよね。それと同じです。

 

すぐ怒る人は、元々短気な性格なのか、それともストレスが溜まっているせいで怒りっぽくなっているのか、原因はさまざま。

 

犬だって、噛み癖の原因が何なのかを見極めることが大切です。

 

この子はすぐ口を使ってしまう子なのだと思いますが、それはなぜか。生まれつきの性格なのか、後天的なものなのか? その原因で対応は変わってきます。

 

全体を見て考察すると、この子は“怒りっぽいがんこ親父”といったところ。

 

トレーニングとは、がんこ親父をなんとか変えようとがんばることです。

 

そう考えれば、あなたがいかに難しいことにトライしているかが理解できるのではないでしょうか。

 

まずは現状をできるだけ正確に把握してください。それによってスタート地点が変わってきます。

 

また、犬のトレーニングでは、ここではとても書ききれないほどのたくさんの注意事項があります。

 

ケースによっては180度手段を変える場合も多いものです。

 

トレーナーさんに頼んだとありますが、トレーナーさんの言われた通りやるだけではなく、「なぜそのやり方をするのか?」までしっかり理解してから取り組みましょう。

 

犬は機械ではなく動物です。しかも、そこにオーナーさんという動物も絡んでくる。

 

この組み合わせに対しての説明書はどこにもありませんのでお互いハッピーになれるようしっかりと考えて暮らしていきたいものですね。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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