2021年1月15日9,452 ビュー View

【特集】柴を介護する#15 寝たきりにならない体づくり!特別な道具なしで簡単にできる「健康寿命をのばすトレーニング」9つ

特集『柴を介護(あい)する』シリーズでは、いつかはやってくる我が子の老後に備え、老犬介護の情報をお伝えしています。

「健康寿命(日常生活に制限のない期間)」を伸ばすことの大切さは、人でも犬でも変わりません。愛犬が1日でも長く、自分の足でしっかりと歩けるよう、元気なシニア犬を目指して今日からトレーニングを始めませんか?

老犬介護士の平端弘美さんに、健康寿命をのばすアイデアやテクニックをうかがいました。介助や介護が必要になる時期を先にのばし、いつまでも若々しいシニア犬を目指しましょう!

体と脳を動かす習慣が「健康寿命」を長くする

「Hello doggie ひだまりシニア部」の老犬介護士、平端弘美さん。

「Hello doggie ひだまりシニア部」の老犬介護士、平端弘美さん。東京・多摩地域を中心に活動している。愛犬はポメラニアンのライチ(15歳・オス)。(写真はめいちゃんのオーナー・新井さんご提供)

 

柴犬は3歳ごろから行動が落ち着いてきて、仔犬の頃よりは体を動かして遊ぶことが少なくなってくる子もいます。

 

しかし、愛犬の「健康寿命」を延ばす観点からも、体を動かしたり脳トレをすることが大切です。

飛行犬,柴犬

体を動かす習慣があった犬は、シニアになっても元気いっぱい!(写真はめいちゃんのオーナー・新井さんご提供)

 

人間の場合、健康寿命を延ばすための方法として、厚生労働省「スマート・ライフ・プロジェクト」では第一に「毎日プラス10分の身体活動」を挙げています。

 

さらに体を動かすことは、脳トレや認知症予防にも。シニアになると運動を生活習慣に取り入れたいところ。

 

そして老犬介護士の平端弘美さんは、人間同様に「犬にも健康寿命をのばすトレーニングを取り入れてほしい」と話します。

 

平端さん:

「愛犬が元気なうちは、なかなか老後のことを考えられないですよね。

 

でも若いころから日常生活で散歩や運動を続ければ老犬になっても筋肉量を維持でき、将来の寝たきりを防ぐことにつながります。

 

介助や介護が必要になってからできることもありますが、早いうちに始めたほうが効果が出やすいのでぜひ実践してくださいね」

 

まずは、平端さんがおすすめする健康寿命をのばす運動から紹介しましょう。

 

室内でもできる! 足腰を強化するトレーニング

平端さん:

「犬は後ろ足から衰えていくので、足腰の強化を目指す筋トレを取り入れましょう。

 

散歩のときには自然の環境を利用してトレーニングを行います。

 

バスタオルなどを使えば室内でも簡単に筋トレができますよ」

 

◆障害物をまたぐ

柴犬

 

障害物を犬にまたがせると、後ろ足を意識して上げる動作をさせることができます。

 

散歩のときは木の根や縁石などを利用し、室内ではバスタオルやヨガマットを巻いて並べたものを使いましょう。

 

◆階段や坂道を上り下り

柴犬

スタスタと軽快に階段を降りるめいちゃん。散歩中にある階段は無料ジムだと考えて。(めいちゃんのオーナー・新井さんご提供)

 

階段をゆっくり上り下りさせると、足の運びを意識するようになります。

柴犬

階段以外でも、坂道を上り下りすることもトレーニングになります。

 

◆でこぼこしたところを歩く

柴犬

 

でこぼこした不安定な場所を歩かせて、体のバランスをとるための筋肉を鍛えましょう。

 

室内ではヨガマットやブランケットの下にクッションなどを入れてでこぼこをつくります。

柴犬

 

散歩では石畳や枯れ葉などを利用しましょう。足裏からさまざまな刺激を得られるのもメリットです。

 

◆体幹を鍛える

柴犬

 

犬も体幹を意識したトレーニングが大切。バランスボールなどが使えます。

 

バランスボールを使う場合、初心者の犬には平たいディスクタイプがおすすめ。両方の前足を乗せるところから始め、慣れたら後ろ足もチャレンジしましょう。

 

バランスボールがなくても体感を意識したトレーニングはできます。

 

犬を立たせた状態で、オーナーさんが足を1本ずつ持ち上げて下ろすことを繰り返しましょう。

柴犬

 

(1)4秒かけてゆっくり持ち上げる

(2)4秒かけてゆっくり下ろす

 

柴犬

 

後ろ足も同様に行います。

 

これを1日1セットでもいいので毎日続けることが大切です。

 

◆障害物競争のようにトレーニングを連続で行う

柴犬

 

廊下やベランダ、庭などを利用して、トレーニングを連続で行ってもOK!

 

犬が自主的に歩くようにおやつなどで誘導しましょう。

 

◆テンポを変える「インターバル速歩」

柴犬

 

ゆっくり歩きと速歩きを2分ずつ繰り返す歩き方です。ポイントは間にインターバル(休憩)を挟むこと。

 

(1)犬と一緒にゆっくり歩く(2分)

(2)オスワリやマテで休憩(10秒程度)

(3)テンポよく速歩き(2分)

 

という流れで実践しましょう。

 

オーナーさんは背筋を伸ばした姿勢を意識すること。このインターバル速歩は人の健康にも有効といわれています。

 

オーナーさんも楽しい! 脳を鍛えるトレーニング

平端さん:

「知的なゲームを取り入れれば、脳を鍛えるトレーニングに早変わりします。

 

たとえばおやつを隠して犬に探させる『宝探しゲーム』や、グーチョキパーで指示を出す『ジャンケンゲーム』など。ぜひ試してみてくださいね」

 

◆嗅覚を使う宝探しゲーム

柴犬

めいちゃんのオーナー・新井さんご提供

 

紙コップなどさまざまな容器におやつを入れて犬に探させましょう。

 

オーナーさんの両手のどちらかに隠して犬に当てさせる「どっちゲーム」なら、散歩中にも気軽に取り入れられます。

 

◆グーチョキパーの指示でオテ・オカワリ・オスワリ

オテ・オカワリ・オスワリのときの手の指示をジャンケンに変えるゲームです。いつもと違う指示なので、オーナーさんの脳トレにもなるかも!

柴犬

 

手をグーにして「オスワリ」と合図を言いましょう。

 

柴犬

 

次はチョキをつくってから「オカワリ」です。

 

柴犬

 

最後はパーにして「オテ」です。

 

このグーチョキパーの順番をランダムに繰り返すのがポイント。

 

まとめ

 高齢になると活動的な遊びに興味を示さなくなったり、身体的な問題で動きたがらなくなったりします。

 

「年だから仕方がない」とあきらめずに、犬ができることを楽しく実践しましょう。

 

平端さん:

「たとえばオスワリとタッテを交互に繰り返せば、スクワットのような効果が得られます。

 

犬が嫌がらなければ、体や顔をやさしくマッサージしてあげるだけでも良い刺激になりますよ。

 

室内でも気軽に楽しめるアイデアを見つけてくださいね」

 

愛犬の性格や体調、好みに合わせてトレーニングをアレンジしてみては?

 

我が家のオリジナルのメニューを考えるのも楽しいですよ!

  

【施設DATA】

老犬介護Hello doggie ひだまりシニア部

平端弘美さん

電話番号:090-4453-7908

http://hellodoggie.info

 

取材・文/金子 志緒

 

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