2021年2月8日10,931 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】♯34 散歩では9割が拾い食いタイム。上手に散歩したい! 【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。今回のお悩みは、拾い食いをさせない散歩に自信がもてないというオーナーさんから。まだ1歳未満のパピー柴犬だということですが、果たして上手に散歩させるための方法とは…!?

今回のお悩み:散歩では9割が拾い食いタイム。上手に散歩させるには?

1歳未満・男の子

散歩では、9割以上が木の実や葉っぱのハミハミタイムです。

 

パピー教室で「散歩は犬が行きたい所へ行かせて下さい」と言われ、好き勝手にさせていましたから、拾い食いさせない散歩に自信がもてません。

 

今更ですが、上手な散歩の仕方を伝授してください。

 

成長に合わせたしつけ・トレーニングを

柴犬

Daniel Rich Japan/shutterstock

 

パピー教室では「散歩は犬が行きたい所へ行かせて」と言われることも多いかと思います。

 

それはなぜか。大袈裟に言うと犬に「世界は楽しいよ」ということを見せたり、感じてもらいたいからです。

 

しかし、これはパピーだから。

 

成長に合わせて、しつけやトレーニング方法は変えていかないといけません。

 

しかしパピーから成犬へと少しずつ変化していることにオーナーさんが気づけず、パピーの頃と同じしつけ・トレーニングをしている方が結構いらっしゃいます。

 

その子その子で成長スピードが違うので、一概に「何ヶ月目からはこうしましょう」とは言えませんが、この子はまだ1歳未満。まだまだどうとでもなります。

 

むしろこれからが、上手に歩く練習をしていくのにいい時期かもしれません。

 

それに1歳未満ならば、引っ張らず、拾い食いもなく、臭い取りもしない子の方が稀(まれ)。

 

今からしっかりとお外を経験して、怖いものも少なくなっていれば、子犬の頃の“行きたいところへ行く散歩”がとても大きな意味があったと感じるはずです。

 

こんな散歩トレーニングはNG! 

首輪,チョークチェーン

Wynian/shutterstock

 

正しい散歩トレーニングをご紹介する前に、まず間違ったやり方を紹介します。

 

“犬が嫌がること=嫌悪刺激”を使ってのトレーニングはやめてください。

 

たとえば、全部が金属でできた首輪・チョークチェーンを適切に使わず、痛みを伴わせてガンガンにリードを引っぱったりするトレーニングはダメ。

 

そんなことをされたら犬は痛いし苦しいので、逃げ出そうとして暴れまくります。

 

暴れるからまたガンガンにリードを引く……こんなトレーニングは最悪です。

 

プロのドッグトレーナーであれば別ですが、チョークチェーンの正しい使い方がわかっていない人間が使うと、リードの取り回しが力まかせになってしまいます。

 

それだと人間の意図が犬に伝わらず、なかなか上手くいきません。ただ犬に恐怖と痛みを与えて終わるだけです。

 

もうひとつ、外を怖がっている、不安になっている状態でのお散歩も、よくない散歩の代表です。

 

こういう状態の犬は、一見上手に歩いているように見えるため“いい子”に見えるでしょう。

 

でも、これだと犬はお散歩が楽しくありません。そして何より、お散歩での最も大切な行為であるストレス発散が上手くできないのです。

 

こういう子の場合は、外にいても緊張をしなくなるまでお散歩の時間を増やしてください。

 

たくさん外に行くことで、いい変化が見られると思います。

 

必ず90分は散歩をするのが、散歩上手への第一歩

柴犬

Earth Point/shutterstock

 

木の実や葉を追い掛けたり食べたりするのは、どの子も通る道です。

 

そこばかりを気にせず、オーナーさん自身もお散歩を楽しむように心がけましょう。

 

一度、ご自身のお散歩を振り返ってみてください。

 

一般的に、お散歩ですることといえば歩く、排泄をさせる、公園に行く、友達に会うなどでしょうか。

 

しかし、散歩=運動です。

 

リードを付けた状態でただ歩くだけの散歩は、犬にとって大した運動にはなってません。

 

だらだらと歩いているだけでは、もったいないお散歩になっている可能性が高いのです。

 

お散歩が面倒臭いというオーナーさんも、どうか1日のうち最低でも90分は犬と一緒に散歩に出てください。

 

1日24時間(1440分)のうちの90分です。できればもっと多く散歩してほしいくらいですが。

 

なぜなら、外にいても落ち着いている犬を目指す一番シンプルで一番効果的な練習は、外でたくさんの時間を過ごすことだからです。

 

極端な話、外でずっと生活していれば、外だからと変に興奮することもなくなりますよね。

 

しかしそれは無理な話ですので、最低でも1日のうち90分は外に行くようにしてほしいのです。

 

「犬にこうしてほしい」「これをやめてほしい」などとこちらからお願いするのは、“最低でも90分”をこなしてから。

 

犬に対して最低限(運動、食事、睡眠)のことをしてあげていない状態でこちらの要求だけを強いるなんて、無理なことですからね。

 

3つの運動パターンを組み込んで

柴犬

JanWolanski.com/shutterstock

 

しっかり運動するためには、まずは車を使ってでも行ける範囲で、犬と思いっきり遊べるスペースを探してください。

 

車が使えなければ徒歩圏内で探します。

 

次に、1週間単位でスケジュールを立てましょう。

 

運動は

・リードあり

・ロングリード

・リード無し

の3タイプで考えます。

 

“リード無し”で自由に運動させるのは、最低でも週に1回は行いたいこと。

 

ですが、都市部ではリード無しで運動させられる場所はドッグランなどしかありませんので難しいかもしれません。

 

ノーリードにすることは国から禁止されています。

 

もしノーリードが原因でトラブルになれば刑事、民事どちらの責任も問われることがあります。

 

もし近くにノーリードにできる所が無ければ、“ロングリード”での運動を組み入れましょう。

 

この場合も、犬が苦手、嫌いな人の立場に立ち、しっかりと周りの状況を見極め、必ず人がいない場所で使うこと

 

人が少ない場所や時間を見つけるのも、オーナーさんの大事なお仕事です。

 

この3つ、もしくは2つを組み合わせて1週間のお散歩スケジュールを立てましょう。

 

スケジュールの通りにできなくても、次の日に取り戻したり、お休みの日に多く時間をとったりなどすれば、 “なんとなく”運動することがなくなると思います。

 

近くにロングリードで運動できる場所がなければ…

柴犬

Thürler Baptiste/shutterstock

 

ロングリードで運動ができる場所がなければ、いつものお散歩の中身を変えましょう。

 

頭を使う散歩をして刺激を与え、いい疲労感を犬に与えるように心がけます。

 

犬に頭を使わせるためには、いつも同じコースではなく違うコースを選んだり、トレーニング要素を取り入れたり。

 

リードがついたまま一緒にダッシュしたり(オーナーさんの怪我に注意です)、おやつを使って遊んだりするのもいいでしょう。

 

また、おすわり、伏せ、待て、おいでなどのコマンドができると、お散歩の中身が充実してきます。ぜひ練習してください。

 

まとめますと、お散歩を運動と捉え、毎日しっかりと犬を動かす。これが大事です。

 

もしパピーの頃でトレーニングをやめてしまっていたら、ぜひこの後も月齢や年齢に合わせたトレーニングコースも受けてみてくださいませ。

 

まだ何もしていないのに自信を無くす必要はありません。

 

そして「上手に歩いて!」とか「いい子に歩いて!」とかでは無く、まずはオーナーさんが犬と思いっきりお散歩を楽しんでください。

 

オーナーさんのテンションが犬に伝わるので、とても大事なことです。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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