【特集】柴を介護する#16 犬の8割が歯周病!長生きするために愛柴の口の健康を見直そう
特集『柴を介護(あい)する』シリーズでは、いつかはやってくる我が子の老後に備え、老犬介護の情報をお伝えしています。
今回は寿命に関わり、介護予防の観点からも大切な“口の健康”にスポットを当てました。最近は犬にも歯磨きが必要だと知られてきましたが、柴犬は老犬になっても歯が抜けにくいため、口腔に気を配る機会が少ないのではないでしょうか? そこでセラピスト&ドッグハイジニストの二村郁子さんに、口腔健康の大切さについてうかがいました。
「歯が生えているから健康」とは限らない

セラピスト&ドッグハイジニストとして活動する二村郁子さんとご実家の愛犬
3歳以上の犬の8割が歯周病になっているとも言われています。
柴犬は高齢になっても歯を維持できている犬が目立ちますが、“生えているから健康”とは限らないのが怖いところ。
そこでセラピスト&ドッグハイジニストの二村郁子さんに、柴犬の口腔についてお話をうかがいました。
ドッグハイジニストとは……
ドッグハイジニスト協会が認定した、ペットの口腔ケアのプロのこと。
歯のケアや歯磨きの方法など、犬のデンタルケアについて専門的に学び、道具を使いオールハンドで行う歯石除去の技術をマスターした、ワンちゃんのデンタルケアのスペシャリストです。
二村郁子さん(以下、二村さん):
「アゴの小さな犬種は歯周病になりやすいため、年齢とともに歯が抜け落ちることも多いと思います。
柴犬の場合は、歯が丈夫で歯並びもしっかりしているので、いっけん口腔内の健康を維持できているように見えます。
しかしじつは歯周病が進んでいたり、ダメージが蓄積したりしていることが少なくありません。
むしろ問題なさそうに見えるので、オーナーさんが愛犬の口腔ケアの重要性を意識しづらいのではないでしょうか」
歯周病の細菌は口腔にとどまらず、全身に広がることがわかっていて、心不全、腎不全、肺炎などの病気を引き起こす原因に。
また、動物病院での歯科治療が必要な歯瘻、歯槽膿漏、口鼻瘻管、下顎骨骨折などにも要注意だそうです。
咀嚼(そしゃく)が脳の活性化につながる

今は歯磨きができなくても、まずは口に意識を向けることが重要(モデル:りんちゃん)
二村さん:
「人間の医療の分野では、咀嚼が脳の活性化に役立つことが明らかになりつつあり、認知症への影響も指摘されています。
犬については明らかになっていませんが、同様の働きが推測できるでしょう。
ということは、口が不健康な犬はしっかり噛むことができないため、脳を活性化させる刺激が減ることになりますよね。
“犬は食べ物を丸飲みできるから歯がなくても大丈夫”と考えられがち。
ですが、噛むことで得られる効用があるはずです。お口の健康の大切さを見直してほしいと思います」

thirawatana phaisalratana/shutterstock
人間では、厚生労働省と日本歯科医師会では、80歳になっても20本以上の歯を保つ『8020運動』が行われています。
犬も15歳になっても42本のうち30本以上を維持するための『1530運動』を提唱する獣医師もいます。
さらに健康面だけでなく、歯の状態が悪い犬は、口もとにシワが目立って老け顔になってしまうとか。
二村さん:
「愛犬にはいつまでも元気でいてもらいたいし、いきいきとした表情で過ごしてほしいですよね」。
犬歯と臼歯はトラブルが起きやすい

唇をめくって歯をチェックすることから始めよう(モデル:源太郎くん)
犬の口腔トラブルで多いのが咬耗(こうもう)と破折(はせつ)です。
咬耗は、食べ物やおもちゃを噛むときに歯と歯や硬いものがこすれ合って歯の表面がすり減ってしまうこと。
とくに咬耗しやすいのは犬歯で、やすりで削ったように先端が丸くなったり平らになったりします。
破折は歯に力が加わって折れたり割れたりしてしまうこと。
臼歯によく見られますが、奥歯なのでオーナーさんが気づかないまま時間が経ち、悪化してしまうこともあるとか。
二村さん:
「どちらも歯の表面のエナメル質や象牙質が削られ、中の歯髄が露出する場合があります。
すると強い痛みに加え、雑菌が体内へ侵入して新たな病気を引き起こす危険も。
じつはオーナーさんが気づいていなくても、咬耗と破折を起こしている子は少なくありません。
硬いおもちゃやおやつは与えるのを避けてください」

良かれと思って硬いものを与えると歯にダメージ(写真はイメージ)
犬はアゴの力が強いとはいえ、歯の構造は人と同じ。
ウシのヒヅメや太い骨を噛ませることは、歯を痛める原因になります。

下アゴのアップ。中央の前歯が1本折れている(写真はイメージ)
なかには「シニアになってから前歯が折れた」というオーナーさんもいます。
高齢になると歯根が弱くなるので、口腔のチェックを怠らないようにしましょう。
お口の中のチェックはできれば若い頃から習慣にしておきたいもの。
また、目を離したときに犬が思いがけないものを噛む可能性もあるので、安全な生活環境を整えることも大切です。

シニアになっても噛んで食べる楽しみを守ってあげたい
今は愛柴が嫌がるので歯磨きをやっていないというオーナーさんも、大切なわが子の口の健康を守るため、そして健康寿命を伸ばすために、一歩踏み出してみませんか?
次回は「歯にやさしいおやつとおもちゃの選び方」を紹介します。
【取材者DATA】
ドッグハイジニスト&グルーマー
二村郁子さん
メールアドレス:wankowanko118@gmail.com
取材・文/金子 志緒
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