2021年2月22日6,739 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】♯35 ドッグランで他の犬を触ろうとするとガウガウ!どう静止すべき?【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。今回のお悩みは、ドッグランでオーナーさんが他の犬に触ろうとすると豹変、とたんに攻撃的になってしまうというもの。静止するのに何度か噛まれたということですが、果たしてどのように対処すればいいのでしょうか。

今回のお悩み:私が他の犬に触ろうとしたり、他の犬が私のそばに来るとガウガウします

1歳・男の子

ドッグランに行くのですが、最近私が他のワンちゃんに触れようとしたり、他のワンちゃんが私のところに水を飲みに来たりすると、それが気に食わないのか突然ガウガウしてしまいます。

 

仲良く遊んでいたと思っていたら豹変したり。

 

他のワンちゃんやオーナーさんにケガをさせてはいけないと思い制止に入るのですが、私の手まで噛んでしまい、毎回自分の手を犠牲にするような形になります。

 

どのように対処したらよいか分かりません。

 

制止には「待て」「おいで」などのコマンドを使って

柴犬

supercat/shutterstock

 

噛みつきを静止するのに、我が身を呈して止めるのは最終手段。

 

普段から使うものではありません。

 

制止したかったら、まずはその子が聞いてくれるコマンドを使ってみてください。

 

名前を呼んだらこちらを向く、おいでと言ったらこちらに来る、待てといったら待てるなど、普段からしっかりできていますか?

 

もしできるのであれば、ガウガウしたときに「待て」や「おすわり」、「おいで」などをさせてみてください。

 

またコマンドは、犬が脱走した時や、興奮しすぎる時などに、犬の安全を守るのにとても役立ちます。

 

いざという時のためにコマンドの練習を重ねていれば、「やっててよかったー」と思える瞬間が、犬との暮らしの中で必ず一度は来るでしょう。

 

大切な我が子の命を守るためにも、しっかりと練習しておくことをおすすめします。

 

ただし、相談内容の状況では、犬が興奮している状態。

 

興奮状態の犬をコマンドでコントロールできるまでになるには、相当な練習が必要だと思ってください。

 

柴犬は犬が苦手な子が多い。また豹変が激しい犬種だということも理解を

柴犬

Alister G Jupp/shutterstock

 

ドッグランの中でのトラブルはつきません。

 

オーナーさんが制御できないほどのことが起こる可能性がある時には「行かない」という選択も大切です。

 

柴犬でも他の子と上手に遊べる子もいますが、柴犬(和犬)の場合、他の犬が苦手だったり、嫌いだったりすると態度の豹変ぶりが他犬種よりも激しいので注意が必要。

 

他の犬と遊べる子と遊べない子どっちが良いという話ではなく、そういう犬種なんだと、柴オーナーさんがしっかり理解することが大切です。

 

自分の犬について、得意不得意、好き嫌いをきちんとわかってあげて、その子に合った“楽しみ”を見つけてあげることが大事。

 

オーナーさんが「こうしたい」は二の次です。

 

元々の犬種の特性から、「こういうことは難しい」ということを知っているだけで、オーナーさんの悩みが減る場合もあります。

 

また、その子について、もっといろんな事に気づいてあげられると思います。

 

なにかあってからでは遅い。ドッグランは行かないで

柴犬

mannpuku/shutterstock

 

この相談のケースでは、ドッグランに行くのは控えた方がよろしいかと思います。

 

理由は、先にも書いたように「オーナーさんが手に負えない」状態になっているから。

 

必死で止めて“手を犠牲”にするような状態では、他の人は傷つきませんが、オーナーさんと犬との関係に傷が付きます。

 

また、ドッグランのマナーとして、水や食べ物を与える、おもちゃなどは使用しない方が良いと思います。

 

しかし、その場の雰囲気でそれを「よし」としているドッグランもたくさんありますね。

 

僕はそういうドッグランに行くのを控えています。

 

なぜなら、何か事故があってからでは遅いから。

 

「ドッグランだし仕方がない」では済まされないことも、たくさん起こりえます。

 

自分の愛犬が大ケガをさせられる可能性も大いにあることを忘れないでください。

 

また、犬に「ごめん」は通じません。ただの経験として蓄積されるだけで、無かったことにはなりません。

 

このトラウマのせいで、オーナーさんが予想だにしない態度を犬が取るようになります。

 

できるだけ、愛柴に「ごめんね」と言わなければならない出来事を回避していくことが、オーナーの役目だと思ってください。

 

愛柴はドッグランを楽しんでいる? 何が愛柴にとって幸せかを自分の頭で考えよう

柴犬

New Anawach/shutterstock

 

オーナーさんは、ドッグランのマナーやモラル、ルールなどについて今一度考えてみましょう。

 

『みんなそうしてるから、うちもそうしたい、そうする』。

 

それですと、愛柴の幸せや楽しみを奪ってしまうことになるかもしれません。

 

うちの子は何が苦手で何が得意か、どんな性格か。

 

「みんながそうだから」ではなく、オーナーさんが自分の目で一生懸命探ることが大切です。

 

多くのオーナーさんにとって、ドッグランは「犬を離して適当に遊ばせられる所」という認識かもしれませんが、果たして本当にそうでしょうか?

 

他の犬のように、愛柴が他の犬とランで上手に遊んでくれることを望んでしまうのもわかります。

 

しかし、自分の犬が他の犬と遊ぶことに向いていない性格の場合もあります。

 

そういう子は確実にいます。

 

そしてそれは、多くの日本犬に当てはまります。

 

洋犬(種類が多いので一概には言えませんが)は割と、他の犬とじゃれ合ったり遊んだりするのが上手ですが、それでも、社会化期を逃したり社会化が不足していると、他の犬とのファーストコンタクトが苦手になり、なかなか上手に遊べません。

 

和犬は逆の場合が多いです。

 

小さい頃は全然平気だったのに、大きくなるにつれて遊べなくなってきます。

 

人間で例えると、子供のころは異性と物理的な距離が近くてもなんともないものですが、年齢を重ねるにつれ距離を取るようになりますよね。それと一緒のこと。

 

ですので、他の犬と上手に遊べない場合、「大人になったんだなー」と思って、ドッグランとは違う楽しみを愛犬と見つけることが大切だと思います。

 

大体のドッグオーナーさんは、犬をずっと子供のように見てしまう人が多いため、この「大人になったんだな」という考え方がなかなかできない人が多いんですけれどね。

 

どうしてもドッグランに行きたいなら

柴犬

mannpuku/shutterstock

 

それでもどうしてもドッグランで遊びたいのであれば、オーナーさんが全員お友達で、ドッグランを貸し切りにすればよいかなと思います。

 

犬同士だと、ケンカをしてもその場で終わります。後腐れなし。

 

しかし、犬を介した“人間同士のトラブル”は、大事になります。

 

要するに、ドッグランで起きるやっかいなトラブルは、人間同士のトラブル。

 

自分の犬が他の犬を傷つけたり、また愛柴が他の犬によってケガをさせられても和解できるような、仲のいい人たちだけで遊ぶのが賢明でしょう。

 

もちろん、トラブルのせいで友達関係が破綻する可能性はありますが。

 

しかし、まったくの他人とトラブルを起こすよりは、泥沼になる確率が低いかもしれません。

 

ドッグラン以外の楽しみを見つけてあげよう

柴犬

OlesyaNickolaeva/shutterstock

 

僕でしたら、今のこの子をドッグランに連れていかないのはもちろん、今後しっかりとコマンドを聞いてくれるようになっても、ランに行くことはないでしょう。

 

その代わりに、普段のお散歩やお出かけ(山や海や川)などを増やしたり、その子の得意なことを探してあげて伸ばしてあげます。

 

そのためには犬についての勉強も必要ですし、時間も体力も、場合によってはお金も必要です。

 

しかし、それが愛情。

 

犬を迎え入れたら、その犬種や、その子の性格を理解し、幸せにできるよう、できる限り努力することが、愛犬との幸せな生活に繋がるのです。

 

周りに流されず、しっかりと今目の前にいる子と向き合って、幸せな柴犬ライフを送ってくださいませ。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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