2021年3月25日8,935 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】#37 服を嫌がって大暴れ!上手に着せるには?【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。「うまく服を着せられる方法を教えてください」というパピー柴オーナーさんへ小野さんがレクチャーしたことは、一見服とは関係なく思えるもの。しかし、犬と一緒に暮らす真髄といえるものでした。

今回のお悩み:服を嫌がって大暴れ!上手に着せる方法を教えて

1歳未満・男の子

一緒にキャンプや雪遊びをしたいと思っています。

 

そこで濡れ防止、防寒用にレインコートを着せたいと思っていますが、着せようとすると激しく嫌がり、噛んだり吠えたりと暴れまくりです。おやつを使ってもダメ。

 

ポンチョみたいに楽に着せられるものを何とか着せていて、一度着れば、散歩はそのまま行きます。

 

カフェなどにお出かけもしたいので、毛が抜ける時期だけでも薄い服を着せたいのですが、服をスムーズに着せる良い方法を教えてください。

 

もう一度考えて。犬にガマンさせてまで服は必要? 

柴犬

Honcharuk Andrii/shutterstock

 

犬が嫌がることが出てきたときには「それは本当に必要なのか」を考えましょう。

 

今回の場合は、服の必要性についてもう一度しっかり考えるべきです。

 

キャンプや雪遊びなら、コートを着なくてもよい可能性が大。

 

“防寒のため”とありますが、ふさふさの毛皮に覆われている柴犬が、さらに防寒着を着ないといけないほどの寒さなど、犬も人間も遊びどころではない気温・状況でしょう。

 

また、雨で毛が濡れるのが嫌なのは、犬と人、どちらでしょうか?

 

犬の気持ちを主体に考えるのであれば、濡れても平気な犬にとってはレインコートなどなくてOKです。

 

また、もし雨や水に濡れるのがキライな子ならば、たいがい服もキライです。

 

もし、着せるのは嫌がるけれど、身体を拭くことは嫌がらないのであれば、無理にコートを着せず、拭く方を選べば済む問題でしょう。

 

ただし、ドッグカフェでは毛の飛散防止に服を着せることは有効ですね。

 

しかし、そもそもカフェにお出かけすること自体が、犬にとっては嫌なことかもしれません。だって、じっとしているだけですから。

 

人が楽しいことにイヤイヤ付き合わせて、なおかつそのために苦手な服を着させる。

 

この流れが、僕は犬がかわいそうだと思ってしまいます。

 

犬と何か一緒にするなら、“犬が楽しいことに人が付き合う”ほうが、犬も人間も楽しめることが多いですよ。

 

どちらかの我慢が多いなら、そのアクティビティーは考えなおすべき。

 

カフェに行かなくてもよい。服を着せなくてもよい。

 

オーナーさんがそう思えるなら、それが解決としては一番早いです。

 

という僕の考えをご理解してもらった上で、今回は犬と人、両方がお出かけを楽しめるようになるためのしつけやトレーニングを考えていきましょう。

 

触られることで穏やかな気持ちになるように練習を

柴犬

leungchopan/shutterstock

 

柴犬は洋犬と違って、服を着たり、体に触られたりするのが苦手な子が多いです。

 

この苦手が、無理なトレーニングをすることでさらに悪化する場合も。

 

ですので、トレーニングのやり方は細心の注意が必要です。

 

服はひとまず置いておき、まずはどのくらい触れるかどうかを確認しましょう。

 

ブラシは気持ちよく掛けられますか? 

 

服を着ることは犬にとって、強引に触られ続けているのと同じ感覚です。

 

ブラシを心地よく感じるようになるくらい、触られることに慣れさせましょう。

 

触られることで穏やかになることが目標なので、ブラシの種類は、極端に言えばなんでもOK。

 

ブラシでできなければ手で練習してください。

 

手ですら苦手であれば根本的なトレーニングができていない証拠。この場合、まずはトレーナーさんなど犬のプロと取り組みましょう。

 

この練習の目的は、穏やかな気持ちと空気の中で服を着させる流れを作るため。

 

ですが、とても長いみちのりになる可能性があります。

 

出かける前にチャレンジしたら、お出かけができなくなるかもしれません。

 

そのくらい、柴犬にとって嫌なことをしていると思ってくださいね。

 

上手に着せるためのテクニックはない。犬との関係性がすべて

柴犬

663665_watchstock/shutterstock

 

犬にもよりますが、力に従う犬もいます。

 

力に従うと書くと誤解されがちですが、力とは実際の腕っ節の強さや怖さではなく、こちらが犬に何かしようとする時のタイミング、ブレない態度、押し引きなどのうまさという意味です。

 

ですので、怖く怒っても無駄。

 

犬に力を上手に見せることができたら、信頼関係や上下関係が良い方向に向き、関係が良好であればあるほど、犬に何かする時に素直に受け入れてくれます。

 

犬が嫌がることをする時は、このように関係性が全て。

 

僕は上手に着させるテクニックは無いと思っています。

 

関係性がしっかりできていない状態で、服を着させることだけが上手くいったとしてもそれは上っ面だけの誤魔化し。

 

ちょっとした軽いキッカケで、また着せられなくなる恐れがあります。

 

関係ないと思われるかもしれませんが、お座りや伏せといった基本的なトレーニングから服が着られるようになる子もいるんですよ。

 

もし基本的なトレーニングをあまりしていないのであれば、しっかり取り組んでみるのも良いと思います。

 

小さいころだけではダメ。トレーニングは成犬になってからも続けて

柴犬

MitchyPQ/shutterstock

 

人の強引さを受け入れられる柴犬にするには、小さい頃からの適正な飼育が大切です。

 

この子はまだ月齢が8ヶ月とのことですが、パピーのときに「人は強引に触ったりするけれど、けしてあなたを殺すわけでもないし痛いことをするわけではない」としっかり理解してもらうことが大切。

 

そして、それをずっと継続することが大切です。

 

よくパピーのころだけトレーニングして、その後はなんとなく飼っている状態になっている子を見ます。

 

迎え入れてから2〜3ヶ月くらいの、一番手のかかる時期だけトレーニングをして、その後の最も攻撃性や性的な目覚めが起きてくる時期、成犬として自己自信をつけていく時期はなんとなく過ごしている方が多いです。

 

迎え入れて最初の時期はおしっこやいたずらで手を焼き、オーナーさんは困った困ったと言いますが、犬は困っていませんし、トイレの失敗を直したところで、犬の心の成長に良い影響が加わるわけではありません。

 

人のためのしつけなのか、犬のためのしつけなのか。しっかり分けて考えてください。

 

人が困っていることの大きさでトレーニングを考えてはいけません。

 

そして犬のためのしつけは、犬が成犬になり自我が出てきてからも終わりません。

 

オーナーさんは犬とたくさん関わり、犬との時間を作ってお互いに理解し合いながら、ともに成長していかなければならないのです。

 

そうでないと、強い信頼関係は築けないと思ってください。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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