2021年4月4日4,468 ビュー View

【特集】柴を介護する#18 シニアでも歯磨きできるように!口を触る練習から始める4ステップトレーニングで愛柴の歯を守る

特集『柴を介護(あい)する』シリーズでは、いつかはやってくる我が子の老後に備え、老犬介護の情報をお伝えしています。

愛犬の歯磨きがうまくできなかったり、抵抗されて磨くのをあきらめてしまったりするオーナーさんは少なくありません。しかし歯磨きを教えるためにはテクニック以上に、手順やタイミングが重要です。

「シニアだからもう無理」とあきらめていたオーナーさんが再チャレンジできるように、ドッグハイジニスト&グルーマーの二村郁子さんに練習を実演していただきましょう。

子犬を迎えたばかりの初心者のオーナーさんもぜひ参考にしてくださいね。

ドッグハイジニストとは……

セラピスト&ドッグハイジニスト,チワワ

セラピスト&ドッグハイジニストとして活動する二村郁子さんとご実家の愛犬

 

ドッグハイジニスト協会が認定した、ペットの口腔ケアのプロのこと。

 

歯のケアや歯磨きの方法など、犬のデンタルケアについて専門的に学び、道具を使いオールハンドで行う歯石除去の技術をマスターした、ワンちゃんのデンタルケアのスペシャリストです。

 

口を触られるのが苦手な理由を探る

柴犬

MitchyPQ/shutterstock

 

二村さん:

「柴犬は口もとを含む顔まわりを触られるのが苦手な子が多い犬種。ですが、歯磨きを嫌う理由は、それだけとは限りません。

 

まずはその理由を探ることから始めましょう。お口を触られたくない理由はさまざまです」

 

◼歯磨きが苦手な原因

(1)今まで触られる習慣がなかった

→歯磨きの前に、口もとに触れる練習から始めましょう。

 

歯磨きができるようになるためには、小さなステップをコツコツと積み重ねていくことが重要です。

(2)口腔内にトラブルがあって痛い

→オーナーさんから見えづらい口の奥などに痛みがあるのが原因かもしれません。

 

口の中をチェックする習慣がない場合には、念のため動物病院で診てもらいましょう。

(3)最初に歯磨きをされたときに痛くて嫌になった

→嫌なことをされそうになったとき、犬が抵抗するのは当たり前ですよね。

 

口元を触る練習からやり直すのが成功への近道です。嫌な思いをした歯磨きグッズとは違う種類に変えてみるのも一案です。

 

また、歯ブラシを見たら逃げ出す場合は、歯ブラシにおいしいニオイのする歯磨きペーストを付けて、ただ舐めさせるところからスタートしましょう。

 

“歯ブラシ=よいもの”というイメージをつけるためです。

 

歯磨きが大事ということはわかっていても、「うちの子はできないから」「もう8歳なのでいまさら無理」とあきらめてしまうオーナーさんもいます。

 

しかし「練習をすればできるようになりますから、ぜひチャレンジしてほしいと思います」(二村さん)。

 

お口の健康は、ずっと元気で長生きするためにとても大切。いくつからでもぜひ、練習を。

 

口もとを触る練習:犬が心地よいと感じるところからスタート

 歯磨きの前に口元を触る練習をします。

 

以下の手順は1つクリアしたら次のステップに進むこと。

 

犬によっては1つのステップを数週間以上かけたほうが成功しやすくなります。「急がば回れ」の気持ちで行いましょう。

 

また、ごほうびを使いながら練習したほうがスムーズに進むのでおすすめです。

 

がんばった先にごほうびがあることを犬が理解してくれれば、歯磨きの成功率がアップしますよ。

 

ステップ1

柴犬

 

いきなりマズルをつかんだりすると犬に嫌な印象を与えてしまうので、最初は犬が心地よいと感じる首まわりをなでることから。

 

ステップ2

柴犬

 

犬が受け入れている場合は、続いて顔まわりをなでましょう。

 

ステップ3

柴犬

 

犬歯が見えるくらいに唇をめくって上げます。最初は1秒で指を離し、2秒、3秒と延ばしていきましょう。

 

このように、手の中にあるおやつに興味を集中させながらだと、口元を触るのがうまくいきやすいですよ。

 

ステップ4

柴犬

 

唇をめくられることに慣れてきたら、指で歯ぐきをさわります。

 

次に歯磨きペーストを指につけて歯ぐきにつけてみましょう。

 

犬が嫌がったときに中断すると「抵抗すれば練習が終わる」と学習してしまいます。

 

練習をやめる場合は、犬が落ち着いているときにしましょう。

 

歯ブラシで磨く練習:自分と愛犬の経験値に合わせて行う

口腔内の健康を守るためには、奥歯や歯の裏も歯ブラシで磨けるようになるのが理想です。歯ブラシを使い分けて歯をピカピカにしましょう。

犬用歯ブラシ

 

練習を始める入門編には上のようなシンプルな犬用歯ブラシがおすすめ。

 

歯ぐきを傷つけたり犬に痛い思いをさせたりしないように毛先がソフトなタイプで、かつ犬が柄を噛んでも折れにくい素材を選んでください。

 

上は臼歯(奥歯)を磨くときに使うので、2本そろえておくと便利です。

柴犬

 

歯磨きペーストを歯ブラシにつけてから、最初に犬歯を磨きます。

 

柴犬

 

次に奥歯を磨きましょう。

 

歯と歯ぐきの間に毛先を45度の角度で当てて小刻みに動かします。

 

歯ブラシと口腔内模型

 

歯周ポケットの汚れをかき出すように磨くのがポイント。これは人の歯磨きと同じですね。

 

歯ブラシと口腔内模型

 

毛先がとがった歯ブラシは奥歯のでこぼこを磨くときに役立ちます。

 

柴犬

 

最後に前歯も磨きます。犬がここまでの歯磨きに慣れてきたら、口を開けさせて歯の裏側の歯磨きにもチャレンジしましょう。

 

柴犬

 

円型のブラシがついている種類もあります。

 

このタイプは、口に歯ブラシを入れられることに慣らすため、歯磨きペーストをつけてなめさせることもできて初心者向き。

 

ブラシ部分が大きすぎると歯ぐきや粘膜や傷つける原因になるので注意してくださいね。

 

指で磨く練習:ガーゼや指サックのデンタルケアグッズを活用

指サックタイプ歯磨き

 

歯ブラシで練習するのが難しい場合は、指につける歯磨き用の指サックやシートを試してみましょう。

 

指サックタイプは、オーナーさんの人さし指にフィットするサイズを選びます。

 

柴犬

 

指サックをつけた指で唇をめくりながら、最初は犬歯を磨きます。犬が慣れてきたら奥歯や前歯も磨きましょう。

 

柴犬

 

指に歯磨き用シートを人さし指に巻いてもOK。巻き終わった最後の部分は親指でしっかり押さえ、ほどけないように気をつけて。

 

 今回はオスワリの姿勢で歯磨き練習の撮影をしましたが、オーナーさんが足を伸ばした姿勢で座り、その上で犬を仰向けにした姿勢で行うのがベスト。

 

口の奥までしっかり磨くことができます。老犬や寝たきりの犬は、体に負担の少ない姿勢で行いましょう。

 

ドッグハイジニスト,犬の口腔ケア

 

歯磨きなどのケアは、オーナーさんが犬の体を触ったり支えたりする動作が必要です。

 

そのため「歯磨きをするためには、オーナーさんと愛犬が良い関係を築いていることも大切なんです」と二村さん。

 

デンタルケアを通して、愛犬との関係づくりも見直しましょう。絆が深まる上に健康も守れるので一石二鳥ですよ!

 

【取材者DATA】

ドッグハイジニスト&グルーマー

二村郁子さん

二村さんHP

wankowanko118@gmail.com

 

 

取材・文/金子 志緒

 

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