2021年5月1日28,213 ビュー View

『おまめと初めての春』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#4

お笑いコンビ「アキナ」の山名文和さんは、2020年6月9日に愛柴のおまめを迎えました。保護犬施設からやってきた彼女は、当時8歳。

長年夢みてた“柴犬ライフ”を、ようやく実現した山名さん。おまめとどのように出会い、どんな生活をおくっているのでしょうかー。

アキナ山名と柴犬おまめの最高にラブい日々を、山名さんご本人が綴っていきます。

#4は、おまめと初めて過ごす「春」についてー。

『おまめと初めての春』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#4

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おまめと過ごす初めての春が来た。

おまめは、去年の6月9日に家に来てくれた。だから、春のおまめは初めまして。

 

冬が終わり、暖かくなりだし、おまめの身体に変化が起きた。望んでなかった変化。落ち着いていたマラセチアが暴れだした。脇がベタつき、なんとも言えない匂いの黄色いカスが溜まりだした。強い酸味に香ばしさを加え、おならを一吹きしたような癖になる匂い。主人だからか、嫌ではない。

 

この感覚、分かってもらえるだろうか。足の爪に溜まったゴミを嗅ぐのと同じ感覚。小学生の頃、臭いとわかっていて人差し指で肛門に指をあてては、何度も匂ってしまう感覚。さすがにこちらは少ないかもしれない。兎に角、他人のそれなら許せないが自分のものなら大いに嗅げる。なんなら愛おしくも思える。

 

そんな匂いを伴った痒みの元になるものが再発したのである。治って来ていると思っていたそれは、単に冬の寒さで乾燥している身体を好まなかっただけらしい。暖かくなり、湿度があがり、湧いて出てきた。

今はシャンプーの回数を増やし、飼いたての頃は知らなかった知識を武器に、立ち向かっている。

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撮影:山名文和(アキナ)

 

去年、アトピー、マラセチア、アレルギーと一気に飛び込んできたおまめの病状。何も知らなかった僕は右往左往した。そうして慌てることをやめた、ある日。そんなことを経て、冬の間に培った知識を存分に試せる気がして、今はワクワクしている。あの時なかったものが、沢山揃っている。棚には、サプリとヒューマングレードと言われる人間食に近いフード、加えて手作りのフード。保湿剤。そして何より心の中に落ち着きがある。この約一年間の成長がどれだけ通用するのか、主人と細菌のマウントを賭けた戦いだと想っている。

 

ただ、こうしておまめの痒みと戦っていると想うことがある。

おまめは、五年間誰かに飼われていた。その誰かはどうしても飼えなくなり、保護施設におまめを預けた。おまめは施設で三年を過ごした。

 

おまめはどんな風に産まれ、どんな風に過ごしてきたのだろう、と。最初に飼っていたその誰かに会いたいな、とも想ってしまう。幼い頃から、アトピーなどはあったのか。もしそうだとしたら、どんな風に対応してきたのか。(親バカかもしれないが)おまめは凄く優しい。それは何かトレーニングを受けたのか。そんなことを沢山訊いてみたい。

 

その方は、施設に預けてからも何度もおまめに会いに来ていたとのこと。余程の、余程の、余程の、余程の何かがあったのだろうと想っている。腹も立っていない。ただ、シンプルに、おまめの幼い頃を知りたい。ただ、それだけ。

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撮影:山名文和(アキナ)

 

飼い主を放棄することは絶対に許されない。

だけど、今、おまめと出会えたことの感謝が強過ぎて、おまめが教えてくれたことの沢山のことが嬉しくて、どうしても腹がたてなくなってしまっている。

 

もし、会えるなら「こんな子だったよ」って教えて欲しい。笑って話せそうな気がする。これからのおまめと過ごす主人として、共有したいなと想う。

これは、傲慢な考えだろうか。

 

時々シャンプーをお願いしているサロンのお母さんとよく話す。サロンというと豪奢な気がするが、アットホームな優しいお店。そのお母さんから聞いた話。

 

とある方が、息子の為に犬をかった。引っ越した先がペットを飼えないということで、たちまちサロンに引き取り募集の張り紙をしてくれないか、とお願いしてきたそうだ。快く引き受けたお母さん。やがて旦那さんと話し合い、結局そのお母さんが引き取った。それを伝えると、飼い主は大変喜んだらしい。

 

「一番安心です。お母さんが飼ってくださればいつでもここに来たら会えるし。本当に有り難いです」と。

その方は、それ以降一度も店には来ないらしい。

 

こんなに憤る話はない。こんな奴に比べたら、と思ってしまう。時々会いに来ていたその誰かのほうがよっぽど信じられる。

 

飼育放棄に寛容になっているわけではない。人として誠意を感じるということ。

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撮影:山名文和(アキナ)

 

話は戻るが、もう一つしたいことがある。

おまめの元祖飼い主と僕がそれぞれささみを持ってしゃがみこむ。せーのでおまめがどちらに走ってくるか挑戦したい。

 

もし、元祖飼い主に走って行けば、僕の心はぐちゃぐちゃになり、嫉妬の嵐で帰ることになると思う。

それでもやってみたい。なぜやってみたいか。僕はドMなのかもしれない。

 

 

【プロフィール】山名文和(アキナ)

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1980年7月3日生まれ。2012年、秋山賢太とお笑いコンビ「アキナ」を結成。

レギュラー番組を多数抱えるほか、『キンブオブコント』『M-1グランプリ』『THE MANZAI』で決勝進出を果たす。

愛柴は、保護施設から迎えたおまめ(9歳)。

 

 

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