2021年7月30日9,835 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】#43 8ヶ月の元気な男の子。甘噛み、マウンティングが直りません【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。今回は甘噛み、マウンティングを直したいという8ヶ月のパピーオーナーさんからのお悩み。月齢的に、まだまだやんちゃで甘噛みもマウンティングも激しい時期ですが、果たしてその解決策とは。

今回のお悩み:8ヶ月の元気な男の子。甘噛み、マウンティングが直りません

8ヶ月・男の子

性格は元気で活発なかまってちゃん、興奮しやすい性格です。

 

悩みなのですが、未だに甘噛み、マウンティングが直りません。

嬉しい時も遊びたいときもムカついたときも全て甘噛みをしてきます。

 

マウンティングは、帰宅した家族一人一人に嬉しくてしています。

飛びついてきたらすぐに、ノーと言ってお座りをさせます。

 

しかし撫でているとまたすぐに飛びついて来るので、その場から立ち去るようにしていますが、全く効果がありません。

 

エネルギッシュな子なので、散歩は朝30分、夕方1時間。コースもいろんな所に行くようにして工夫もしているのですが…。

 

どう対処したらいいのかアドバイスを頂きたいです。

 

甘噛みではなく「本噛み」の可能性も

柴犬

Akim Lakeev/shutterstock

 

8ヶ月なので、まだまだ元気で活発なままで良いと思います。興奮しやすいのは性格的なものもありますが、性格よりも若さからきているほうが大きいでしょう。

 

甘噛みについてですが、ムカついたときに噛むのであれば、それは甘噛みではなく“本噛み”です。

 

「怒ったらすぐやめるから」などの理由で、それが甘噛みか本噛みかを見極めることはできず、どういう心理状態で歯を当ててくるかで見極めます。

 

もし、本噛みの最初のころだとすれば、怒ってやめさせていたら、この先もっとひどくなる可能性があります。

 

噛む・噛まれるという人と犬にとって最も起こってはならない事態になるかもしれないので、プロの方に一度きちんとみてもらうと良いと思います。

 

支配する意識は捨てて。犬が穏やかでいられるように配慮を

柴犬

Akim Lakeev/shutterstock

 

ご相談メールの文面からは、“言うことを聞かせる”ことに重点を置かれていることが伺えます。

 

犬が成長と共に自我が出始めると、オーナーさんはなぜか上に立とうとしたり、舐められちゃいけないと思い、犬を押さえつけるような雰囲気で接し始めます。

 

しかし“犬をコントロールする”という意識を持ちすぎると、オーナーさんが望んでいるような子に育てることができません。

 

そして飼育経験が足りなかったり、しつけの理解が浅かったりするオーナーさんだと、怒るというよりは大きな声を出して一緒になって騒いでしまう人が多い印象です。

 

その結果、犬の興奮を止めさせるどころか、より酷くしてしまうことが多々あります。

 

まずは“静かに”、“冷静に”を心がけ、決して怒らないこと。

 

元気で活発なタイプの犬と暮らすときは、その子が穏やかに過ごせるようオーナーさんが環境を作ることが大事です。

 

マウンティングも「静かに、冷静に」対応するのが大事

柴犬

Elena Shvetsova/shutterstock

 

マウンティングについては、月齢的に流行り始める時期と言えます。

 

このまま放っておけばマウンティングばかりする子に育つ可能性がありますので、対処すべき問題ですね。

 

「飛びついてきたらすぐにノーと言っている」とのことですが、オーナーさんの雰囲気はどうですか? バタバタしていませんか?

 

先程も言ったように、バタバタして一緒に騒ぐのはNG。

 

まずはオーナーさんが落ち着いてください。“止めさせる”ではなく“犬を落ち着かせる”意識で接してください。

 

そうすれば、かける声も自ずとトーンが静かになるはずです。

 

もしオーナーさんが声を出した方が犬が落ち着くのであれば、穏やかに出しても良いでしょう。

 

しかし大体の人は、声を出さない方が(オーナーの気持ちが)落ち着きます。

 

犬が激しければ激しいほど、人のほうも気持ちが落ち着くことができなくなるので、自分1人で行なうのが難しい場合はプロに教わりながらやるのがよいでしょう。

 

お散歩は時間をかけることより頭を使うことが大事

柴犬

IuliiaSlyshko/shutterstock

 

エネルギッシュな子の散歩は、ただ長くすればいいというものではなく、頭を使わせることが大事です。

 

つまり、ストレスや刺激の種類を変えなければいけません。こうすることで、メンタル的にも体力的にも、犬に良い疲労感を与えることができるからです。

 

僕たち人間も、イージーモードよりもちょっと難しい方が満足することが結構ありますよね。スポーツなどはその典型例じゃないでしょうか。

 

散歩で犬によい疲労感を与えるためには、お座りや待て、伏せ、おいでなどのコマンドを散歩中に行うことが効果的です。

 

お外でもできるようにお家でたくさん練習してください。

 

状況が変わってもできることが、本当にできているということ。本当にできるようになっていると、災害時や事故を防ぐためなど、いざという時に役立ちます。

 

「飛びつき」よりも楽しいと愛柴が感じるコマンドを作る

柴犬

Dat Trieu Quoc/shutterstock

 

コマンドをトレーニングするときのポイントは、“犬にして欲しくないことをコマンドで制御する”のではなく、犬が楽しく遊んでいる状態でコマンドを聞いてくれること。

 

いまこの子が飛びつくのは、それが楽しいし心地よいことだから。

 

それ以上に楽しいことが犬の頭にインプットされたら、そちらを選択する可能性が高まります。

 

まずは「これをやると楽しい!」となるまで、お座りなどのコマンドの練習をしてください。

 

もし楽しいと感じるコマンドが甘い状態で、飛びつきを止めさせるためにコマンドを使い過ぎてしまうと、そのコマンドが嫌になってしまう場合があります。

 

まだ8ヶ月。これからどんどん成長して、気持ちより頭で動くことが多くなります。

 

もう「これでもか!」というくらい、楽しさ満点でコマンドの練習をして、それを生活に落とし込んでいく流れを作りましょう。

 

日々の積み重ねだけがその子を作りますので、すぐに効果がでなくてもじっくりと取り組んでみてくださいませ。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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