2021年8月11日6,845 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】#44 2歳で急にやきもち焼きに!小型犬を触ると怒ります【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。今回は、2歳になってから急に、オーナーさんが他の小型犬を触ると、怒るようになったというもの。犬もやきもちを焼くのか? もしそうであれば、やめさせる方法はあるのでしょうか?

今回のお悩み:2歳ごろから急に他の犬を触ると私を怒るように

2歳・男の子

2歳になってから急に、私が他の犬、それも小型犬を触ると、私に対して怒るようになりました。

 

ドッグランなどのフリースペースでも、私が他の小型犬を触ると遠くから飛んできて、しまいには私を監視するのに必死になって側を離れなくなります。

 

大型犬は大丈夫なのに、なぜ小型犬はダメなのか? なぜ急にダメになったのか? なにが原因で、なにか対策はないでしょうか。

 

犬は「やきもち」を焼く動物

柴犬,ポメラニアン

Olga Murzina/shutterstock

 

犬もやきもちを焼くことがあるのは、論文などでも発表されています。このケースも、小型犬へ嫉妬をしていると考えられますね。

 

この嫉妬をどうやってやめさせるか。

 

もし犬が高い社会性を持っている生き物だと考えるなら、嫉妬深い人間を嫉妬深くない性格に変えることと同じくらい難しいことだと思います。

 

たとえば、この子をたくさん可愛がればすむことでしょうか? いいえ、そんな単純な話ではありません。

 

下手をすれば逆に、それが嫉妬深い子に育てる原因にもなります。

 

話はそれますが、犬をただ可愛がることだけが愛情ではありません。

 

僕が愛情だと思うのは“犬のことをしっかり理解しようと勉強したり、時間をとったりすること”。

 

愛柴が人間社会で生きやすく暮らせるようにするため、オーナーが犬の心を育まなければいけません。

 

また、オーナーが努力をして、愛犬が考えたり、思いっきり遊ぶことができたりする環境を作ったり見つけたりすることも、とても大切です。

 

つまり、犬がイキイキできる場所を見つけるための苦労をすることも愛情です。

 

“ただ可愛がるだけが愛情ではない”ということを知ると、もっと愛柴が愛おしくなると思います。

 

小型犬にだけ嫉妬する原因は永遠にわからない

柴犬

Jessi et Nono/shutterstock

 

「大型犬は大丈夫なのに、なぜ小型犬はダメなのか?」というご質問ですが、それはきっとこの子なりに理由があるんでしょう。

 

ここからはこちらが勝手に想像して楽しむところですが、もしかしたらこの子の場合、大型犬には「俺は敵わない」と思って怒れないのかもしれません。

 

しかしこれはあくまで想像です。理由を断定してはいけません。

 

仮説を色々と立てても、よっぽどのことがない限り確定しないことが大切です。なぜなら、言葉を話せない犬の本心なんて、どうやっても知ることができないから。

 

たとえば、言葉でコミュニケーションをとる人間なら「今日カレーにしない?」「うん、いいよ」というやりとりで済むことがほとんどでしょう。

 

「なぜいいの? カレーが大好きだから? 久しぶりだから? ほかのメニューを考えるのがめんどくさかったら?」など、「いいよ」と答えた理由を突っ込んで知りたいとは思わないですよね。

 

しかし、こと“人と犬”となると「いいよ」「嫌だよ」の裏側まで知りたくなります。

 

しかし、犬の本当の気持ちは、個体差が大きくとてもわかりづらいもの。

 

「本当はこちらが思っている理由と違うかも?」と思って接していくことが、愛柴の気持ちと大きく掛け違わないコツだと思います。

 

「留守番をさせたから、すねてわざとオシッコをしたんだ」「抱っこしてあげると安心する」など、愛柴をつい擬人化してしまい、犬の気持ちを間違って捉えてしまうオーナーさんが多い印象がありますが、それはNG。

 

「犬として」を一番に考え、接してあげましょう。

 

一番簡単な解決方法は、小型犬を触らないこと

柴犬

natashka_ribkin/shutterstock

 

僕の経験上、犬の2歳あたりは、犬にとっての大きな節目。

 

自我がしっかりと目覚め、自分への自信、問題解決能力、物事の判断、好き嫌い、性の成熟度など、さまざまなものが成犬になる時期です。

 

そして、今回のテーマでもある嫉妬心も、しっかりと芽生える時期といえます。

 

嫉妬させないための解決方法として一番簡単なのが、ドッグランに行かないこと。そして他の小型犬を触らないことです。

 

ドッグランも、よその小型犬を触ることも、どちらも愛柴との生活に必ず必要なことではありません。

 

嫉妬が愛柴のストレスになっていることは間違いありませんので、わざわざストレスを与えてしまう場所へ行くことが正しいことか考えてみてください。

 

また、嫉妬は割と本能に近いところです。

 

そこに手を入れていくとなると、全体的な生活の見直し、日々の接し方、嫉妬したときのコマンドの掛け方など、いろんなことの積み重ねをしないと、変化させることはできません。

 

最初に言ったように、嫉妬深い人間を嫉妬深くない性格に変えることと同じくらい難しいのです。

 

精神的な距離をとる必要がある場合もありますので、嫉妬深い性格を直したいなら、プロの方と適切なトレーニングをするようおすすめします。

 

オーナーさんが他の犬と同じようにドッグランで遊ぶ柴犬ライフが理想だとしても、目の前の愛柴はそれが嫌いかもしれません。

 

嫌いなことを無理強いすると、飼いづらくなってしまうこともあります。

 

他のどの柴でもない、目の前の子をしっかりと見て暮らしていくことが両方のハッピーにつながるのです。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

いいなと思ったらシェア

おすすめ記事

特集

特集一覧

  • 柴犬,Ta-Ta,タータ