2021年10月7日5,077 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】#47 ドッグカフェを開業予定。他の犬に吠える、うなるクセを直したい【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。今回は、散歩中に他の犬(ほとんどオス)に対し、吠えたりうなったりするというお悩みです。犬同伴OKのカフェを開店予定だという相談者さんですが、吠える子を看板犬にするためにはどうすればいいのでしょうか。

今回のお悩み:他の犬に吠える、うなる…。ドッグカフェを開業予定なので吠えない子にしたい

3歳・男の子

体重7kgの豆柴オスです。

散歩中に、他の犬(ほとんどオス)に、吠えたりうなったりすることがあります。

 

決まった公園で会う知り合いの犬達には吠えず、ニオイを嗅いでいますが、自分のニオイはあまり嗅がせていない感じがします。

 

他の犬に吠える以外はとても大人しく、人間に吠えたり噛み付いたりもしません。

 

将来、犬同伴可のカフェを開業する予定なのですが、他の犬とケンカになってしまうと困るので、トレーニングしたいと思っています。

 

よいトレーニング方法を教えてください。

 

柴犬は元々「他の犬が苦手」な犬種

柴犬

Alister G Jupp/Shutterstock

 

まず最初に、未去勢の子は喧嘩っ早いです。去勢することで、他の犬への態度が一気に変わることもあります。

 

そして豆柴と言えども柴犬には変わりないという意識が大切です。

 

この連載で何度もお伝えしているように、和犬は洋犬のように、他の犬にフレンドリーではありません。

 

最近は柴犬でもフレンドリーな子も増えてきていますが、犬種ならではの特性として、もともと他の犬が苦手な子のほうが多いです。

 

また同じ柴犬でも、臆病な子、他の犬が気にならない子など、生まれつきの性格というものがあります。

 

プロが子犬を迎える時には、ブリーダーの元でその子の親、兄弟を見て、その子犬の持って生まれた性格を判断するので、自分の生活スタイルや性格に合わない子を迎え入れることはありません。

 

しかし、普通の人がペットショップから犬を迎え入れる場合、その親や兄弟を見る機会はありません。

 

つまり、どんな性格な子になるのか予想できない状態でお家にきます。

 

その子がもともとシャイな性格であれば、子犬時代に社会化トレーニングを他の子より時間をかけ、丁寧にしていかなければなりません。そしてその逆も然り。

 

ハイパーな性格ならば、落ち着いて過ごしていけるようなトレーニングを子犬の頃からしっかりとしていかなければなりません。

 

柴犬は看板犬には不向き

柴犬

Yoochun Lee/Shutterstock

 

そして後天的な要因としては、成長段階で適切な社会化トレーニングがされていなかったり、他の犬から怖い思いや嫌なことをされたトラウマがあったりといった原因が考えられます。

 

社会化期はとっくに過ぎている年齢、かつ柴犬という犬種の特性から、この子をカフェに常駐させるのはおすすめできません。

 

日本犬を看板犬にするのは、正直言って“賭け事”です。向き不向きで言えば、不向き。

 

なぜなら看板犬に必要なことは、噛まない、吠えないことだと思うからです。

 

柴犬を看板犬にしたいのであれば、お店をオープンさせてから犬を迎え入れ、小さい頃から“お店の環境下”で社会化やトレーニングをしっかり行なうことをおすすめします。

 

しかしこの子をどうしても看板犬にしたいのであれば、しっかりとトレーナーさんからトレーニングを受けましょう。

 

柴犬、3歳、オスということを踏まえると、プロの協力の上で、トレーニングにかなり根気と時間をかける必要があると思います。

 

看板犬にするためにやるべきトレーニングは

柴犬

RDoumer/Shutterstock

 

では、具体的にはどんなトレーニングをするか。

 

極端なことを言えば、この子がケガをする可能性があっても、毎日知らない犬がたくさんいる状況に身を置き、他の犬に耐性をつけていくトレーニングをする必要があると思います。

 

それを長い時間かけて繰り返し訓練しても、“オーナーさんが常にその子に注意を向けてあげていれば大丈夫”くらいのレベルになれたら大成功、といった感じでしょう。

 

社会化期をとっくに過ぎていますので、ここでサラッと「これをやってみてください」と書けるレベルのトレーニングでは、とてもじゃありませんが噛まない、吠えない犬に変えるのは難しいと思います。

 

ドッグカフェをやるための心構え

柴犬

Mushroom1995/Shutterstock

 

もしも、お客さんたちに、看板犬に噛まれたり吠えたりされることを“良し”としてもらえるとしても、犬が噛む・吠える行為をしている時は、犬自身にストレスがかかっていることを忘れないでください。

 

この子に無理をさせないよう、オーナーさんがストレスレベルを見極められることもとても重要です。

 

また、ドッグカフェとなると、自分の犬を見守るだけでは終わりません。

 

やってくる他の犬への対処も必要になるので、カフェにいらっしゃるお客さまにご迷惑をかけることがないよう、犬のこと全般を学ぶことをおすすめします。

 

犬にもオーナーさんにも心地の良い空間ができますよう、心から願っております。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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