2021年10月25日19,597 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】#48 ハーネスをつける際に本気噛みをしてくるため散歩ができません【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。今回のお悩みも、柴犬に多い噛みつき問題です。ハーネスをつける際や一緒に寝ているときに本気で噛んでくるという悩みに対しての解決策とは?

今回のお悩み:ハーネスをつける際や一緒に寝ているときに本気で噛んできます

2歳・男の子

ハーネスをつける際に本気噛みをして、散歩ができない状態が続いてます。

 

以前は一緒に寝てる時に途中で唸りはじめて、本気噛みされました。

 

ドッグトレーナーさんのカウンセリングも受けましたが難しいと言われてしまい悩んでおります。

無理にでも首輪をつけて力技で対応すべきでしょうか?

 

ハーネスにこだわらず首輪も検討を

柴犬

Elena Shvetsova/Shutterstock

 

柴犬の場合、ハーネスを付ける時のトラブルは多いですね。

 

もうすでに試されているかもしれませんが、ハーネスを嫌がる場合、首や気管などに問題がなければ首輪でも大丈夫です。

 

首輪さえつけられないなら、投げ輪タイプの首輪とリードが一体になったチョークリードを使うことも視野に入れましょう。

 

ハーネスが付けられずにお散歩をしないよりも、首輪でお散歩をすることのほうが大事です。

 

なぜなら、お散歩をしていない柴はエネルギーやフラストレーションが溜まっている状態。

 

そんな爆弾を抱えているような状態では、トレーニングや練習が難しくなります。

 

特に今回のような犬が嫌がることを克服するトレーニングでは、犬にしっかりとエネルギーを発散させてから行うほうがうまくいく確率がいくらかは上がります。

 

まずはしっかりとお散歩に行くこと。散歩をたっぷりできている状態になってはじめて、ハーネスの問題にとりかかります。

 

しかしその前に、ハーネスが本当に必要かどうかについてもよく考えてみてください。

 

首輪ではダメですか? どうしてもハーネスが必要という結論に至ったのであれば、犬に無理をさせないように気をつけながらハーネスをつける練習をがんばります。

 

一緒に寝るのはいい関係性ができてから

柴犬

Pratchaya.Lee/Shutterstock

 

一緒に寝ている時に噛んできた理由は、寝ているところを邪魔されたので威嚇したとだろうと思います。

 

これはハーネスをつけようとしたら噛んできたことと根本は同じ。人と犬との信頼関係の問題です。

 

犬と一緒に寝ること自体、僕は全く反対しませんが、犬の状態や犬との関係性によってはやめたほうがよいと思います。

 

あなたの愛柴はハウスで寝ることができていますか?

 

ハウスに人の合図(コマンドなど)で入って扉を閉め、朝まで寝ていられることができるなら合格です。一緒に寝ても大丈夫。

 

ハウスで一人で寝られないから一緒に寝ているというのであれば、この先、今より問題が増え、いつか飼い主さんの許容量を超えてくる可能性が高いでしょう。

 

力技でハーネスをつけるのは絶対にNG!

柴犬

Wollertz/Shutterstock

 

犬が飼い主を唸ろうが噛もうが、飼い主と犬が敵味方になることはほぼありません。

 

しかし、相談メールの最後の一文にある“力技”ということを除いては。

 

力で犬をどうにかしようとすると、下手をすると犬が敵味方関係を意識し始めます。

 

そして暴力的なトレーニングでは関係がこじれるだけでなく、噛みつきなどの問題行動が重大になってしまうのです。

 

そこでハーネスの問題に手をつける前に、犬との生活自体を一度見直してください。

 

ハウスを使うこと、日頃の接し方、お座りや伏せ、待て、おいでなどのコマンドの効き具合など、しっかりとできていますか? 

 

愛犬との信頼関係をしっかり築けていますか?

 

野良犬や虐待を受けていた犬と違い、飼い犬の場合、ほとんどの問題行動は関係性を見直すことで解決します。

 

そして柴犬は他の犬種よりも飼い主との関係性を大切にしているように思います。

 

飼い主さんがしっかりと関係性を改善し、ハーネスの装着に限らずどんなときも人間に歯を当てないように変えていくこと。

 

飼い主さんへの警戒心を取り除き、体を触られることに犬が抵抗がないように愛柴を変えていくこと。それが必要です。

 

そのためには、ハーネス問題だけではなく、まずは全体的なバランスを整えてください。遠回りに見え、結果そっちのほうがスムーズにハーネス問題が解決します。

 

なぜなら飼い主さんが感じている1つの問題(この場合はハーネスをつけようとすると噛む)には根があり、そこから発展しているものだから。

 

根の部分を解決しなければ、ハーネスや一緒に寝ているとき以外にも唸ったり噛んだりする場面が多々出てくるでしょう。

 

どちらにしても根気は必要。先にも書きましたが生活全般の見直しとコマンドの練習は必須です。

 

愛柴との仲を深めた上でハーネス問題に取り組んでみてください。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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