2021年11月30日13,934 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】#50 嬉しくてガブッ!ケージから出すと興奮して噛み付きます【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。今回は、お留守番後、ケージから出すと興奮のあまり噛み付いてくるというお悩みです。「おすわり」と言っても言うことを聞いてくれないとのことですが、果たしてその解決策とは。

今回のお悩み:嬉しくてガブッ!ケージから出すと興奮して噛み付きます

3歳・女の子

 

私が帰宅後にケージから出してあげると、嬉しさのあまり我を忘れて走り回ります。

 

そのあと決まって太ももやふくらはぎ、手に噛み付きます。思いっきりではありませんが、摘む感じで噛んできて結構痛いです。

 

「おすわり」といっても、聞きません。どうしたら良いでしょうか。

 

「嬉しい興奮」と「怖くて興奮」ではトレーニングが変わる

柴犬

Africa Studio/Shutterstock

 

サークルから出すタイミング、出した後の飼い主さんの態度、噛まれた時の飼い主さんの態度、興奮をコントロールするためのコマンドの練習の練度など、いくつもの要素が絡んでる問題だと思います。

 

興奮している状態時での犬へのコマンドは、どれだけどんな「おすわり」の練習をしたのかにかかってきます。

 

犬は、怖くても嬉しくても興奮はします。

 

恐怖や不安で興奮している場合、コマンドはほとんど効きません。ただ恐怖を感じているだけで興奮をしていなければ、コマンドで落ち着かせることができる場合もありますが、恐怖かつ興奮している場合は、犬が“命の危機”まで感じている場合があるからです。

 

それほど大きな恐怖を感じている子の場合は、経験を積ませたりトラウマを取ってあげるトレーニングをします。

 

嬉しかったり楽しくって興奮している場合は、そこに段階があります。

 

ギアで捉えるとわかりやすいかもしれません。

 

トップギアに入るまでのスピードと、入ってからの興奮具合をその子それぞれで捉える必要があります。

 

嬉しくて興奮している状態は、犬が好きな人から見ると微笑ましいことに見えるのでコマンドの出し方が雑になったり、ゆるくなったりして余計に興奮させてしまいます。

 

興奮のギアが、コマンドを出すことでさらに上がってしまう状態になっている犬と飼い主さんをよく見かけます。つまり、一緒になって盛り上がっている感じですね。

 

こういう子の場合はコマンドの練習をしっかりすることと、普段の生活でのエネルギー発散をしっかりしてあげること。

 

よく遊んでよく走って頭を使って、良いストレスを日々与えましょう。

 

コマンドを徹底的に練習

柴犬

Anastasiia Cherniavskaia/Shutterstock

 

コマンドは一朝一夕にはできるものでもありませんので日々の積み重ねが大切になります。

 

まずは興奮していない時に「おすわり」ができるよう、しっかりと練習してください。

 

トレーニングの初期段階では、おすわりができたら褒めながらトリーツをあげてもOKです。

 

おやつを見せてからおすわりをさせるのではなく、おやつはできるだけバレないように(難しいですが)。

 

あとは“これでもか”というくらい繰り返し練習をしましょう。

 

家の中でたくさん練習することがすごく大事です。家の中で出来ないことは外ではできませんので必ず家の中でたくさんやるようにしてください。

 

できるようになったらレベルを上げていきます。

 

トリーツをあげる頻度を3回に1回にしてみたり、いろいろなタイミングで出してみたり。

 

このイミングがポイント。他に気が散っている状態をレベル分けしてみてください。

 

おもちゃで遊んでいる時やごはんを食べている時など、ちょっと他に気が散っている状態で名前を呼びアテンションをとれたら「おすわり」のコマンドを出しましょう。

 

名前でアテンションがとれなければアイコンタクトの練習をしてください。

 

どんな時でも「おすわり」ができるようになったら伏せの練習です。

 

このように教えるコマンドを追加していき、犬の頭の中に選択肢が増えると、飼い主の支持を考えたり聞こうとする力がついてきます。

 

興奮してもコマンドが入るようになるまではリードをつける

柴犬

Dilok Klaisataporn/Shutterstock

 

今回の相談では、興奮状態の時にコマンドを使って落ち着かせていくことができるようになるのが重要です。

 

これをできるようになるには、練習の積み重ねが1番の近道。

 

今は興奮して噛んだ時、言うことを聞かせようとすることを一旦辞めてください。おそらく犬を余計に興奮させているかと思います。

 

サークルを開けたらまずは犬の流れに乗っからない様にしましょう。噛まれても我慢し、反応を返さないでください。

 

それが難しければ、まずはリードをつけてください。

 

家の中でリードをつけることを不思議に思う方もいらっしゃいますが、全くコンタクトが取れない場合、リードをつけることがまず優先です。

 

お家の中だから外す、外だから付けるのではなく、コンタクトがうまく取れないので付けます。

 

これは、犬だけがコンタクトが下手というわけではなく、飼い主さんも犬とのコンタクトが下手だということでもあります。

 

まずは飼い主さんが犬がしっかりコンタクトが取れる状態にならなければ1歩も前に進めません。

 

アイコンタクトやコマンドはコンタクトを取るための練習ですので、練習の時は必ずリードを付けてください。リードをつけていないと犬がどこかに行ってしまったり、気づかせたりすることができなくなります。

 

ここに書いたコマンドやアイコンタクトをまずはできる様にならないと、興奮している犬を落ち着かせることは、暴力を振るう以外ではできません。

 

柴犬の場合、暴力・恐怖を与えれば、それに見合ったことを人に返してくることも多いので、けして暴力で言うことをきかせるようなことをしないでください。

 

一発で直す方法なんてないので、日々のトレーニングを積み重ね、でできることを増やしていき、コマンドがしっかり使えるようにがんばってくださいませ。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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