【柴犬お悩み解決NOTE】#52 7ヶ月の子犬。どんどんひどくなる噛みグセを治したい【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】
第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。今回のお悩みは、7ヶ月のパピー柴の噛みグセについて。乳歯が生え変わってから、さらに噛みグセがひどくなってきたとの悩み。大ケガなどのトラブルに発展する前に、なんとかしたいというものですが……。
目次
今回のお悩み:噛みグセを直したい。噛んでいいもの・悪いものをどうやって教えればいでしょうか?
7ヶ月・男の子
歯が生え変わる前からよく私の手を噛んでいたのですが、生え変わってからより強く噛むようになったように感じます。とくに奥歯に力を入れて噛みます。
噛んだら低い声で「ダメ!」と言ってみたり、手を叩いて大きい音を出したりするのですが全く効果がありません。
硬いおもちゃを噛ませたり、ヒモで引っ張りあいっこしたりしますが、噛んで良いものと悪いものの区別をうまく教えられずにいます。
まだ7ヶ月の子犬ですが、今後トラブルに発展する前に手や脚を噛むクセを治したいです。
噛んで良いものと悪いものの区別を教えるために、なにかいい方法はないでしょうか?
ダメ!と言ったり大きな音を出すのはNG
7ヶ月は人間でいう“反抗期”のような時期ですね。僕が犬のことを学んだカナダでも7 month crazy と呼んでいました。
この時期は今までできていたことができなくなったり、自分に自信が出てきて主張も強くなってきます。
今回の相談内容は甘噛みの延長かと思いますが、僕は甘噛みはある程度必要だと思います。
甘噛みは歯が生え変わる時にだけしたくなるものではありません。
犬にとって“噛む=つかむ”です。人間の子供が手で色々つかんだり触ったりするのと同じことを口でしているだけ。
なんにでも好奇心がわく7ヶ月の時期は、甘噛みをして当然です。
とはいえ限度はあるので、ご質問のように区別させたり程度を教えたくなってしまうと思います。
奥歯に力を入れて噛むほど手を奥にいれているのか、噛ませ続けていると強くなっていくのかはわかりませんが、奥で噛ませるところまではさせない、もしくはしないでください。
そして、「ダメ!」といったり手を叩くなどして大きい音でびっくりさせるのもやめましょう。理由は後述します。
柴犬などのプリミティブドッグ(原始的な犬)は甘噛みが強い傾向があることも覚えておいてください。
まずは犬のエネルギーをしっかり発散させてあげる
甘噛みの問題はケースによって全く理由も対応も異なりますが、当てはまりそうなことをいくつか紹介します。
散歩などでエネルギーの発散がうまくいっていなければ甘噛みは多くなり、程度も強くなります。そして、区別を教えることも難しくなります。
甘噛みに限らず、何か問題行動を止めさせたい場合は、まずきちんとお散歩、発散ができているかを見返してください。
よくタオルを噛ませたり、スリッパを噛ませたりしているお家がありますが、噛んで良いスリッパと噛んではダメなスリッパを区別することは、犬にしてみたらとても難しいものです。
そこに飼い主さんの“怒る、叱る、大きな声を出す、噛まれまいと素早く動く”といった不適切な態度が合わさってくると、噛んで良いものと悪いものの区別が余計にわかりずらくなると思います。
最初から噛んで良いものも悪いものを区別できるようになるのを目指すのではなく、まずは噛む頻度を減らすことを考えるほうがよいでしょう。
7ヶ月ですのでこれから先、自ずと噛む事が減ってくる可能性が高いですし、社会化が上手にできているのであれば激しい甘噛みはなくなってきます。
もしなくならないのであれば、クセになっているか、心の成長が少し遅いかもしれません。
どういう時に手を噛んでくるかも大切
撫でようとした時に噛んでくる、飼い主さんが犬に気が向いてない時に突然誘う様に噛んでくる、遊んでいる最中に手を噛んでくるなど、状況によって犬が噛む理由は全く変わってきます。
撫でようとした時に噛んでくるのであれば、撫でるタイミングや遊び方に問題があるかもしれません。
飼い主さんに気がない時に突然噛んでくるのは、発散がうまくいってないか過剰にかまいすぎている可能性が高いです。
ハウスに入れている時間が長い、もしくはお留守番が長いなどであれば、エネルギーが溜まっていて噛んでくるかもしれません。
噛まれても騒がず無視するのが効果的なことも
タオルやおもちゃで遊ばせ過ぎて、それを見ると止まらなくなって噛んでくる場合もあります。
もしくはおもちゃを噛むより飼い主の手を噛んだ方がどのおもちゃよりもいい反応が返ってくるとなると手を狙って噛む様になってきます。
相談者さんの場合、おそらくですが噛まれた時、犬にとってみるといい反応をしてしまっている可能性が高いかなと思います。
噛んで楽しかったり、心地よければ噛みます。噛んでつまらなければ噛みません。
甘噛みを無視することで、つまらないと感じさせることが効果的な場合もあります。
しかし無視の効果は飼い主さんと犬との関係性、そしてその子の性格で大きく変わってきます。
柴犬に大して気にされていない飼い主さんであれば、無視しても全然効果はありませんし、いなくなることで余計にヤッホー!となる子もいます。
大体こういう子は手を噛むことも周りにあるものを噛むことも大差ないので、部屋を出て行ってもあまり効果はありません。
噛んだ時の飼い主さんの反応を楽しんでいるのではなく、噛むこと自体、噛み心地を楽しんでいる場合も、無視しても全く意味がありません。
そこの見極めは割と簡単です。
噛まれても我慢してジッとしていてください。声を出さず、わずかに動くのもダメ。
それでも噛むことをやめず、骨のおもちゃやみたいにガリガリと噛み始めたら、噛み心地が良くて噛んでます。
なぜそういう子になったかは直接見てみないとわかりませんが、多くの場合、手を噛ませすぎているせいです。
長い形状のおもちゃを使うなどして、上手に遊んでください。
発散、運動、刺激と休息のバランスが取れていたら噛まない
僕も「甘噛みが酷くて」と困っている飼い主さんの犬を預かることがあります。そんな子でも、預かっている時は甘噛みは一切しないことの方が多いです。
噛むこと以外での発散、運動、刺激と休息のバランスがとれていると、困るほどの甘噛みは出ません。
その子によってそのバランスがとれる時間や量、質は様々だと思いますが、甘噛みだけに注視せず、まずは運動、発散そして刺激。
ぜひそのポイントを見つけてあげてください。自身でわからなければ犬が若いうちにトレーナーやプロの方に頼むことも考えてみてくださいませ。
小野洋平 PROFILE
『inu-house』
通信のベンチャー企業に勤務後、
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