2022年1月18日16,259 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】#53食べ終わった皿を取ろうとするたび噛みつかれます 【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。今回はフードガードのお悩み。まだ5ヶ月のパピー柴ですが、食後に空のお皿を取ろうとすると、吠えて嚙みついてくるようになったというもの。柴犬には多いと言われるこの問題行動ですが、その解決方法とは…?

今回のお悩み:食後、空のお皿を取ろうとすると吠えて噛みつくように……

5ヶ月・女の子

 

まだ5ヶ月の子犬ですが、1ヶ月前ごろから、エサを食べ終わった後、空のお皿を取ろうとすると毎回、吠えて嚙みついてくるようになりました。

 

夫婦で何回も噛まれたので、犬のエサあげが怖くなりそうです。

 

攻撃性を飼い主が強化している可能性も

柴犬

Jane Koshchina/shutterstock

 

これはフードアグレッシブ(食べ物を守りたくて攻撃性が出る)、フードガード(食べ物への執着性が高い)などと呼ばれるものです。

 

フードガードは遺伝的に起こるとも言われていますが、自分のものに執着するのは動物としては当たり前の行動だと言えるでしょう。

 

しかしフードガードを飼い主が強化してしまっている場合もあります。

 

この子の場合、ご飯の前は興奮しますか?

 

ご飯の音や匂いがするだけで興奮する子は、それを収めようと「待て」をさせたり「お座り」させたりなどをさせることがあると思います。

 

しかしそれが余計にご飯への執着を強くしたり、興奮を煽ってしまうことがあるのです。

 

そのため、ボクはご飯の前に「お座り」や「待て」は必要ないと考えています。興奮する子であれば尚更、させないほうがよいでしょう。

 

興奮と噛みが結びついているケースも多くあります。噛み付く時にこの子が興奮しているなら、まずは落ち着かせるところからはじめましょう。

 

そのためには、飼い主さん自身が落ち着いている必要があります。

 

「待て」も「お座り」も言わず、ただ黙って食べ物を持ったまま、犬が落ち着くまで待ってください。

 

2つのポイントを守って練習を

柴犬

Benoist/shutterstock

 

噛まれずにお皿を片付けるための簡単な方法は、今食べているものよりも嗜好性が高くその子が興味引くものを与えることです。

 

犬が噛み付いてお皿をガードしようとしたら、近づきながら、先ほどあげた食べ物よりも犬が喜ぶものをあげて、“近づいても嫌なこと(この場合はお皿を取り上げること)をしない”という態度を徹底的に見せましょう。

 

食べ終わったお皿は人間からしてみたら片付けるのが当たり前ですが、犬からしてみたら“私のもの”なのです。

 

そして最悪、片付けないことも頭に入れてください。

 

また、完全にお皿に意識が向かなくなった状態でしかお皿に触らないでください。

 

もしハウスをきちんと使っているのであれば、ハウスで寝ている状態の時にお皿を取ってください。

 

まとめると、ポイントは二つ。

・フードガードが出たら犬にとって“良いこと”しかしない。

・お皿を片付けるのは、犬の気持ちがお皿から完全に離れてから。

 

どっちかひとつだけやってもあまり効果はないと思います。また、フードガードの程度によっては、両方やっても効果がない場合もあるでしょう。

 

そうした場合は、基本的なトレーニングをやり、生活全般をきちんと整え、関係性をしっかりと築いていくことが必要です。

 

犬と人間との間に関係性がきちんと築けた状態になれば、何の問題もなくお皿を取れるようになることもあります。

 

フードアグレッシブはプロの介入が必要

柴犬

taa22/shutterstock

 

フードガードを解決しようと思ったら、トレーナーさんをつけた方が懸命。

 

やり方次第では問題行動をより強化してしまうこともあるため、プロの目で犬を慎重に観察し、フードガードの程度をきちんと把握する必要があるのです。

 

また、噛みの問題において飼い主さんに「恐怖を持つな」というのは無理な話だとは思いますが、恐怖を持って犬に接してしまうと、その緊張が犬に伝わり、さらに噛まれるという“負のサイクル”に入ってしまうことも。

 

こういった理由から、フードガードは、プロの手を借りないと解決が難しい問題。

 

恐怖心を取り除くなど、飼い主さんのメンタルもフォローしつつ、愛柴をトレーニングしてくれるようなプロと一緒に取り組みましょう。

 

噛まない犬に育てるには1歳までが勝負

柴犬

Jessi et Nono/shutterstock

 

噛まない犬にしていくことはもちろん大切ですが、そのトレーニングの過程で噛まれないこともとても大切です。

 

なぜなら、噛むことがそのまま習慣化してしまうと、犬との付き合い方が本当に難しくなってしまうから。

 

5ヶ月は、まだまだいろんなことが大きく変わる月齢。

 

1歳くらいまでは、環境、接し方、しつけの仕方でその後が大きく変わる、ほぼ一生を左右すると言っても過言ではないくらい大切な時期なのです。

 

“過去に犬を飼ったことがある”程度の知識・経験では、全く役に立たないことも多々あります。

 

また力ずくや叱る、怒るでは、噛みつきがさらに酷くなっていくことも珍しくありません。

 

ネットで読んだり見たりした知識を“ちょっと試す”くらいの気持ちでは良くならないため、噛む犬になってしまうと本当に大変なので、自分たちだけでどうかなると甘く考えず、早めにプロの方にトレーニングを教わってください。

 

社会化はもちろん、攻撃性、自制心がどのくらい育まれているかなど、きちんと把握できればできるほど、問題が起こった場合のアプローチがいろいろとできます。

 

ここがプロに頼る大きなメリット。

 

また噛んでいる犬の方にとっても大きなストレスが掛かっている状態なので、早くプロと一緒に問題行動を修正してあげて欲しいと思います。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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