【取材】本当は活発な性格が…迎えてもケージに閉じこもっていた鶴。外に出る勇気が湧いた「あるキッカケ」とは #6鶴
“保護犬と家族になって感じた幸せ”をテーマに、元保護犬を迎えた柴オーナーさんに愛柴との出会いから、家族になっていくまでの過程などを伺う特集「保護犬と家族になって」。今回は、推定12歳で権田さんの家にやってきた鶴ちゃん。迎えたその日からケージに引きこもっていた鶴ちゃんを変えた出来事や、ある日突然ベッドで寝るようになった出来事まで、驚きと喜びが詰まった話がたくさん聞けました。
鶴ちゃんプロフィール
年齢&性別
推定12歳で迎え入れた、現在16歳の女の子
保護されていた理由
前の飼い主が亡くなったため
性格
活発で、激しめに遊ぶのが好き
保護犬たちとの出会い
高齢だった前の飼い主が亡くなってしまい、家に取り残されていたところを保護された鶴ちゃん。
保護団体がSNSにアップした里親募集の写真が、現オーナー・権田さんの目に止まりました。
鶴ちゃんの寂しい目が頭から離れなかったという権田さん、実は保護犬を迎え入れるのは初めてではありません。
「高校生のとき初めて迎えた犬も、父が動物愛護センターから引き取ってきた子だったんです。
当時はダックスフンドが人気で、私も飼いたいと言ってたんですけど、父が“どうせ飼うなら、死んでしまうかもしれない子を助けてあげようよ”と。
そのときは、保護されている犬ってすごく弱っていたり攻撃的だったりするイメージだったんですが、実際は全然違って本当に可愛い子でした」(権田さん=以下「」内同)。
でも、その後に迎えたチワックスのウズラくんは、ペットショップで購入したそう。
「ペットショップで何度も値下げされている値札を見て、私が買わなかったらこの子はどうなるんだろう、と思ったんです。
それと、この頃はペットショップのことをあまり知らなくて。パピーミルのことなどを知ってからは、ペットショップで買おうとは思わなくなりました」。
いま一緒にいる2頭の猫も、外出時に助けが必要なところを保護し、そのまま家族に迎え入れました。
困っている子を見ると放っておけない権田さん夫妻。鶴ちゃんが来たときはもう1頭“ボス猫”がいたので、全部で5頭の大家族でした。
寄付も自然に
そんな権田さんですが、家族として迎え入れるだけでなく、寄付という形でも保護犬・猫を支援されています。
「最初に飼っていた犬が亡くなったとき、買い置きのフードが残っていて。療養食など、割と高額なものもあったので、寄付できないか調べてみたんです。
すると受け付けているところが見つかったんですが、かなり遠方で送料が高かったことを憶えています。
その後は受け付ける団体も増えたので、送料分も寄付に回せるよう、できるだけ近いところに寄付するようになりました。
フード以外に、家にあったエアコンやホットカーペット、電気ストーブ等を寄付したこともあります」。
今でも、通販サイトで貯まったポイントやご自身が経営するショップの売上の一部などを使い、日常的に寄付を続けている権田さん。
誇るでも深刻になるでもなく、ごく自然なこととして話されているのが印象的でした。
因みに経営されているのはドッグウェアのオンラインショップ『犬服 スピンセレクト』。
楽天やBASEにショップがあります。
“ボス猫”の看病やコロナ禍を機に仕事をシフトしていき、2年ほど前に在宅でできるこの仕事に行き着いたそうです。
推定年齢より体年齢が3歳も老けていました
鶴ちゃんに話を戻し、引き取った当初の様子を伺いました。
「最初は今より老けて見えました。保健所ではまったく動かず、下痢をするなど相当弱っていたそうで、看取りになるだろうと言われました。
引き取り当日に病院で診てもらうと、幸い大きな病気はなかったものの、やはりストレスが大きかったようです。
後日、鶴の推定年齢は約12歳になったのですが、そのときは先生に15〜6歳と言われるくらいの状態でした」。
保護前から新しい家族が見つかるまで、様々なストレスに見舞われる元保護犬たち。
鶴ちゃんは保健所に引き取られるまで2週間も元の家にひとり取り残されていたそうで、3歳も老けるほどのダメージを受けていました。
「ウチに来ると、鶴はすぐに寝ていました。保健所では大型犬の声に怯えて眠れなかったらしくて。
その後3日目まではケージの中でじっとしていましたが、ごはんは食べられて、散歩にも何とか行けていました。
ですが、歩くのもやっとという感じで、おしっこするときは足が震えたりもしていました」。
安全な場所で眠れるようになり、少し落ち着いた鶴ちゃん。このまま徐々に元気を取り戻すかと思いきや、あるとき急な変化が訪れます。
きっかけは猫じゃらし!
権田家に来て3日間、ずっとケージに閉じこもっていた鶴ちゃんですが、あるとき突然ケージを飛び出しました。
「鶴のケージの近くで猫と遊んでいたら、突然ケージから飛び出してきて、猫じゃらしで遊び始めたんです。
ケージの扉はずっと開けていたのですが、それまでは全然そんな素振りもなく、本当に突然だったのでびっくりしました」。
その日以降、鶴ちゃんは活発な性格を表に出せるようになり、ボス猫にも気に入られてみんなと仲良くなったそう。
そして、権田さんとの距離も縮まっていきます。
「10日くらい経った頃から、帰宅するとお出迎えしてくれるようになったんです。
このときはまだ挨拶程度でしたが、2〜3カ月もすると本気で喜んでくれるようになりました。
私の方からは、取りあえずいつも話しかけて、あとスキンシップもしました。鶴がソファで寝てたらぐいぐい割り込んでいったり。
猫たちも同じようにしてくれて、寝ている鶴のところに引っ付いて寝たりしていました。
すると半年後くらいに、鶴からも寝ている猫たちに添い寝するようになって。それを見たときは、本当に家族になれたのかなとジ〜ンときました」。
突然の猫じゃらし事件からソファでの添い寝まで、半年かけて家族に溶け込んでいった鶴ちゃん。
本来の快活さを取り戻し、その後も幸せな暮らしが続きます。
初めても思い出も⋯
前飼い主が高齢だったせいか、未経験のことが多かったという鶴ちゃん。でもその分、初めての楽しみがたくさんありました。
「鶴は私より主人の方が好きで、それはプロレスみたいにちょっと激しく遊んでくれるからみたいなんです。
しっかり体を動かす遊びが好きなんですが、ドッグランも初めてだったようで、今はそういう遊びも満喫しています。
初めての食べ物も、他の子が食べているのを見て“それ食べられるの??”という感じで食べたりしてました(笑)」。
人間がさせてあげるだけでなく、マネできる他の子がいたことも、“初めて”にチャレンジする鶴ちゃんの背中を押してくれました。
そして、逆に前飼い主の環境に近づけることで喜ぶことも。
「前は田舎の方で飼われていたらしく、田舎に行くと嬉しそうにするんです。
車で田舎道に入ると窓の外を熱心に眺めたり、都心のドッグランより田舎の畦道のようなところを走る方が楽しそうだったり。
散歩中に道端をクンクンするときも、街中と田舎では表情が全然違うんですよ」。
初めての経験も思い出も、鶴ちゃんにとって大切なもの。その両方を味わわせてあげたいという権田さんの気持ちが、鶴ちゃんをどんどん幸せにしていきます。
アニマルコミュニケーション
ここで少し不思議なお話を。動物の“心の声”を聞き、意思疎通ができるという“アニマルコミュニケーション”によって、鶴ちゃんの行動が変わったというのです。
「私はあまりスピリチュアルなことを信じていなかったので、本当にお試しのつもりでアニマルコミュニケーションができる人にリーディングを頼んでみたんです。
そのときは、鶴がベッドで寝てくれないことを相談したんですが、相談したその日からずっとベッドで寝るようになって、本当に驚きました。
理由を聞くと、ベッドはこの家の子のためのものだから、自分のものじゃないと思っていたんだそうです。
つまり、前の飼い主さんが亡くなったこと、それで自分がこの家の子になったことが理解できていなかったからだと。
そのことを教えてあげたので、ベッドで寝られるようになったらしいです」。
「あと、家の中でウンコしてしまったときだけ食糞する癖があったんですが、それは悪いことをしちゃったから隠したいという理由だったそうで。
気づいてあげられなかった私も悪かったね、隠さなくていいよ、と伝えてもらうと、その後は食べなくなりました。
それから、ドライフードがあまり好きじゃないという告白もありました(笑)」。
程度の差はあれ、犬たちに言葉や気持ちが通じることはあると思います。それにしても、ここまで通じると衝撃ですが⋯。
ともあれ、鶴ちゃんにとって良い結果が出て何よりでした!
家族の絆に
鶴ちゃんがすっかり家族の一員になった今、権田さんは元保護犬と暮らすことをどう思われているのでしょう。
「最初は落ち込んでいたり、怖がりな性格になったり、いろんな子がいると思います。でも、オーナーが愛情をかければみんな変わると思うんです。
子犬から迎えるのとは違って、一緒に居られる時間が短いこともあります。でも、幸せって長さじゃないと思いませんか?
我が家に来てからの短い時間で、鶴も明るく元気に変わってくれましたが、私たちもたくさんの幸せをもらいました。
夫婦の会話が増えたり、仕事やお付き合いよりも家族との時間を大事にしたいと思えたり。朝も早起きになって生活のリズムも良くなりました。
どこかに出かけて写真を撮ったりするのも、鶴が来るまではやってなかったと思います。
それから主人の両親も孫のように可愛がってくれて、鶴のために庭をドッグランみたいに改造してくれたりもしたんですよ。
鶴は本当に私たちの子どものような存在で、家族の絆になってくれています」。
今を生きる
鶴ちゃんの幸せそうな寝顔を見ているだけで、自分たちも幸せな気持ちになるという権田さん。
鶴ちゃんと過ごす日常の一つひとつをとても楽しそうに話してくださいましたが、締め括りにこんなことを仰いました。
「犬は今を生きています。だから私も、これからの楽しい時間を想像しながら、一緒に今を生きていきたいんです」。
犬たちの過去を思い、同情したり、心配したり、落ち込んだり⋯。私たちはそんな気持ちを引きずりがちですが、犬たちはきっと違います。
心身ともに立ち直った後は、「いま・ここで・この家族と、一瞬一瞬を楽しくハッピーに過ごしたい!」そう思っているのではないでしょうか。
以前とは別犬のような鶴ちゃんの笑顔には、誰でもアニマルコミュニケーションできるくらい、そんな気持ちが表れていました。
取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)
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