2020年9月15日28,214 ビュー View

【取材】夜鳴きや徘徊もあるけれど、ただただ愛おしい。愛に包まれて過ごす17歳 #6モモ

平均寿命は12〜15歳と言われる柴犬。そこで我が『柴犬ライフ』では、12歳を超えてもなお元気な柴犬を、憧れと敬意を込めて“レジェンド柴”と呼んでいます。

そんなレジェンド柴たちのライフスタイルや食生活などにフォーカスし、その元気の秘訣や、老犬と暮らす上で大切だと思うことを、オーナーさんに語っていただくこの特集。

今回は、目が見えない、耳が遠いなどの老化現象のほか、認知症まで患う17歳のモモちゃんが登場です。そのリアルな介護生活は、これからシニアを迎える柴オーナーさんの参考になるものばかり!

モモちゃんプロフィール

柴犬

年齢&性別

17歳の女の子

体重

6.2kg(若い頃は9.2kg)

大好きなこと

散歩や遊ぶこと!

既往歴

・9歳のとき急に歩けなくなり病院へ。いきなり「手術を⋯」と言われたが、一旦家に連れて帰り様子を見ながら検討していると自然に回復。その後病院は変更。

 

・14歳のとき、片方の目から涙を流すようになり、病院で緑内障と診断される。点眼薬で治療を続けたが、翌年には両目とも緑内障に。

 

眼圧はそれほど高くなく、痛みは少ないとのことだったので、外科的治療や義眼挿入等はしていない。

目薬をさす柴犬

 

・16歳で歯が悪くなり抜歯。元々歯並びが悪く気をつけてはいたものの、歯石が溜まったことが原因。抜歯には全身麻酔が必要だったため躊躇していたが、同年代の子の経験談を聞き決意、無事に乗り切った。

 

何でも食べる、おっとりさん

柴犬

 

機嫌良さそうに抱っこされている可愛い姿は、とても介護が必要な17歳には見えないモモちゃん。

 

ですが、目は全く見えず、耳もよく聞こえていないそうです。

 

それでも食欲は旺盛で、ママさんも「むしろ最近の方がよく食べるかも!」と驚くほど。

 

同じくシニアの14歳、ポメラニアンのミミちゃんとの同居生活や、食べ物にしつけ、そして今の介護生活のことなど、色々とお話を伺いました。

 

「小さい頃からおっとりしていましたね。散歩や引っ張りっこなど体を動かすことは好きでしたが、人にも犬にも興奮して吠えたりはせず、マイペースで優しい子でした。

柴犬

 

食べ物にもがっつくことはありませんでした。

 

何でもよく食べますが、ご飯の時間を心待ちにするようなことはなく、好きな時に好きな分だけ食べたいみたいで。

 

食事の時間を決めても食べないことが多かったので、好きな時に食べられるように、ご飯はずっと置いていました。

 

食材に特別なこだわりはなく、成犬期までは市販のドライフードにジャーキー、それに人間の食べ物も、大丈夫そうなものは色々あげていました。

柴犬とポメラニアン

 

シニアになってからは、ドライフードを少しふやかしたり、缶のウェットフードや、牛・豚・鶏を茹でたもの、卵のおじやなども加えて、水分が多く食べやすいものに変えました」

 

食事の時間を決めないことや、人間の食べ物を与えることには様々な見方がありますが、モモちゃんには合っていたようで、特にパンとチーズが好きだったそうです。

 

妹が来て、嫉妬したりもしたけれど⋯

柴犬とポメラニアン

 

食への順応能力は高いモモちゃんですが、生活環境の変化に対してはどうだったのでしょう。

 

「モモは引っ越しなどは経験していないのですが、私の結婚を期に、一緒に暮らしていた母と別れ、主人が新たな家族になりました。

 

ですが、何の変化もありませんでした(笑)。

 

唯一変化があったのは、ミミが来た時くらいですね。

柴犬とポメラニアン

 

私を独り占めできなくなったストレスを感じているようでしたが、それもほんの少しだけでした。

柴犬とポメラニアン

 

その後は、わがままで自分が一番! なミミを受け入れ、仲良く暮らしてくれています。

 

気づくと同じ格好で寝ていたりして、可愛いんですよ」

柴犬とポメラニアン

 

何とも微笑ましい姉妹ですね。それに可愛いだけでなく、2頭が一緒にいることで、嬉しい変化もあったそうです。

 

「モモが独りのときは留守番させるのが難しかったのですが、2頭だと落ち着いていられるようで、ちゃんとお利口に待っていてくれるようになりました。

 

それからモモは小さい頃にしっかりしつけをしたのですが、ミミは自分でモモから学んで、お利口な子に育ってくれたと思います」

 

モモちゃんの包容力と、ミミちゃんの奔放さ。全然違う性格が噛み合って、2頭はとっても仲良しの姉妹になりました。

 

目も耳も不自由で、認知症も発症。老犬介護のリアルとは

柴犬

 

そして現在。モモちゃんの介護生活は色々と大変なご様子ですが、今一番大変なのは、“ギャン鳴き”だそうです。

 

「昼夜問わず、何かあると耳にキーンと来る声で鳴くんです。ミミなんか、そのせいで戻してしまうこともあったんですよ。

 

こっちではモモがトイレ、あっちではミミが戻して⋯と重なったときは大変でした(苦笑)。

 

夜中に鳴かれると近所の方に迷惑なので、すぐに抱き上げに行きます。

 

夜中に鳴くときは、トイレか水かご飯なんですが、トイレのときは外に連れて行ってます」

 

トイレに連れて行くと出ないこともあるそうで、それも含めると、散歩以外に1日10回くらいは外に連れ出しているそうです。

柴犬

 

「何も出なくても、外を少し歩くと気持ちが落ちついて鳴き止むこともあります。ほかにも、抱っこして私の心臓の音を聞かせると落ち着いたり。

 

モモのことをずっと見ているので、外に行きたい、喉が渇いた、お腹空いた、寂しい、不安など、何をしたいかだいたい分かるようになりました」

 

モモちゃんは目も耳も不自由で、認知症も発症しているため、単なる要求だけでなく、不安や寂しさが募ることも多いようです。

 

病院で相談しても、昼によく歩かせれば、夜鳴きは改善するかもしれない、という程度で、根本的な解決策はないそうです。

 

それでも、じっとモモちゃんの鳴き声を聞き、様子を観察して、できるだけモモちゃんの望むことをしてあげたいというママさん。

 

自分よりモモちゃんの気持ちが先に来るから、どんなに大変で、解決策がなくても頑張れる。

 

愛情がそのまま自然に形を結んだような、純粋で尊い想いを感じました。

 

手厚い介護は続く⋯

柴犬

 

ギャン鳴き以外にも、大変そうなことはたくさんあります。

 

「家でも徘徊が続いていて危ないので、赤ちゃん用の広めのサークルに入れているのですが、サークルの中でも時々転んだりします。

 

ある時、頭から転んで逆立ちのような体勢になり、そのまま固まってしまったことが。

 

びっくりして慌てて起こしましたが、首の骨が折れるのではと心配しました。

 

そのことがあって、熟睡している時以外は本当に目が離せないなと思ってます」

 

サークル以外にも、天井にカーテンレールを付けてリードを繋ぎ、安全に歩き回れるようにしたり、モモちゃんが通る床はすべてクッションフロアに変えたり。

 

家のいたるところで、モモちゃんを守るための工夫をしているそう。

 

ですが、もちろんそれですべてをカバーできるわけではありません。

 

日中も独りにはできないため、どうしても外出しないといけないときも、1時間くらいが限度だそうです。

 

「ご飯のときは、フラフラと倒れ込んで座れないので、抱き抱えてスプーンで食べさせています。

柴犬

 

お水も自分では飲めないので、注入器で飲ませています。

 

水分補給はこまめにしたいので、いつでもあげてみて、拒まなければ飲ませる感じです」

 

カートに乗せての散歩も1日2回行かれているそうで、ママさんがいつ休まれているのか心配なくらい、手厚い介護が続いています。

 

オムツにも探究心!

柴犬

 

それからもうひとつ、耳よりな情報を伺いました。

 

「トイレは、モモは外で自分でするのですが、家ではオムツも使っています。

 

犬用のオムツはほぼ全種類試したのですが、どれも機能は良いものの、ちょっと高いんですよね。

 

そこで人間の赤ちゃん用オムツに尻尾の穴を開けて使ってみたんですけど、その穴から吸水ポリマーが出てしまって。

 

それで赤ちゃん用オムツも色々なメーカーを試してみたところ、今のところは『メリーズ』のパンツ型が一番ですね。

 

尻尾穴を開けてもポリマーが出てこないんですよ。

 

この『メリーズ』で十分なのですが、色々試すのが好きなので、引き続き他のメーカーも使っていきます(笑)」

 

因みに、犬用でオススメなのは『ペットの紙おむつ(カインズ製)』で、分厚くて、テープを何度も貼り直せるところがポイントだそうです。

 

「テープが一度しか貼れないタイプは、お出かけ前に着けていて粗相をしてなくても、帰宅後にもう一度使うことができず、もったいないんですよね」

 

それにしても、オムツにまであくなき探究心を発揮されるママさん、脱帽です。しかもそれを楽しんでらっしゃるところがまた素敵ですね。

 

どんなシニアになっても

柴犬とポメラニアン

 

これほど手厚くお世話をされているママさんにこそ伺いたいと、これからシニア期を迎えるオーナーさんへのアドバイスをお願いしました。

 

「アドバイスというわけではないのですが、例えばお友だちで同年代の子がいても、ウチとは全然様子が違って驚くことがあります。

 

モモも、目が悪くなってなかったらもっと元気に過ごせていたかもしれませんし、同じシニアでも個体差や状況の違いで、お世話の仕方も様々だと思います。

 

ですが、愛犬がどんなシニアになって、どんな症状が出たとしても、それを優しく受け入れてほしいなと思います。

 

どの子もみんな必ず歳を取るので、そのときになってお世話が大変だからもう飼えない、とはならないように。

 

でもそれが特別に大変とか、そういうことではないんですよ。

 

私が今モモと暮らしていて感じるのも、ただただ可愛くて、愛おしいということだけですから。

 

あと、腰の痛みも感じています(笑)。抱っこが多くて」

柴犬

 

「気の持ちよう」と言うと軽くなってしまいますが、同じようなお世話をしていても、愛情や気持ち次第で、まったく違う感情を覚えることはあると思います。

 

それは世話をする側だけでなく、される側も同じではないでしょうか。

 

ママさんのように、愛犬の望むことをするだけでなく、そこに優しい気持ちが込もっていること。

 

そしてその気持ちが伝わり、愛犬が心穏やかに幸せな日々を送れること。

 

「シニア期のすべてを優しく受け入れる」とは、そういうことなのだと思います。

 

長寿の秘訣

柴犬

 

最後に、モモちゃんの長寿の秘訣を伺いました。

 

「そうですね、散歩が好きで、とにかくよく行っていたので、いっぱい歩いたおかげで丈夫になったこともあると思います。

 

目が悪くなって歩き辛くなった後も、外に出るだけでも喜ぶので、カートに乗せて散歩しています。

 

日に2回行くので、カートもよく壊れて、もう3台目です(笑)。

 

それから、病院では行く度に心臓や他の内臓も強いと言われていました。

 

15歳になってから“長生きするよ”と言われたのは嬉しかったです。

 

あとは、何でもよく食べることと、できるだけずっと一緒にいたことでしょうか。

 

逆に、もっとハミガキをしてあげれば良かったとか、シャンプーや雨が苦手なので、小さい頃に水に慣れさせておけば良かったとか、そういうことも思いますね」

柴犬

 

これだけ手を掛け、心を掛けていても、もっとしてあげたいことが心に浮かんでしまうママさん。

 

日々の暮らし、散歩や食事やオムツのことまで、もっとしてあげられることはないか、と常に思い続けていらっしゃるのだと思います。

 

どんなシニア犬も、ここまで想われたら、きっと長生きで幸せなレジェンドになれますよね。

 

ママさんのところに来て良かったね、モモちゃん!

 

取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)

 

 

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