2024年11月1日7,034 ビュー View

『あみだくじ』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#26

お笑いコンビ「アキナ」の山名文和さんは、2020年6月9日に愛柴のおまめを迎えました。保護犬施設からやってきた彼女は、当時8歳。

長年夢みてた“柴犬ライフ”を、ようやく実現した山名さん。おまめとどのように出会い、どんな生活をおくっているのでしょうかー。

アキナ山名と柴犬おまめの最高にラブい日々を、山名さんご本人が綴っていきます。

#26は、「いつか」と想っていることはー。

『あみだくじ』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#26

知り合いのご夫婦と食事をしていたとき。

5歳の息子さんが、手作りのあみだくじを見せてきて選べと言った。5本の中から一つ選ぶと「あみぃだ〜くぅじ〜」と唄いはじめ、それに合わせて紙に這わせた指が下に降りていく。3回ほど折られた紙をするすると広げると(みどり)と書かれていた。

「大当たり!!」と嬉々として叫ぶと、ポケットからたくさんの折り紙を出して、緑色のやっこさんのようなものをくれた。

「大当たりなん?」と訊くと、「そやで」と興奮気味に言う。

 

ただ握りしめられた手の中に、赤、黄、青、その下に金色の折られた紙も見える。「大当たりは金色じゃないの?」と確認するように訊ねる。息子さんは、意味のわからないような顔をして「なんで?」と訊いてくる。「きらきらしてるし、金色は一等賞やから一番いいやんか」と説明する。「僕、緑が一番好きやから緑が一位やで」と不安そうな顔をした。

その不安を消すように「えぇ。嬉しい! ありがとう!! やったあ!」と声を張りながら、僕は内心驚いていた。

 

自分の好きなものを信じること。大人になるにつれて僕たちは、少しずつその感情を摩耗されていく気がする。好きなだけでは、生きていけないっていつの間に考え始めたんだろう。僕は、これがやりたいと思った世界で生活しているので、比較的好きなことをやっている。それでも、数ある仕事の中で本当にこれがやりたかったことかどうかを迷いながら、やることもある。

 

今年、そんな気持ちに蓋をしながら、ぼんやりと過ごすのをやめてみた。

好きなものをミクロで書き出して、自分にとって大事なものを整理した。すっきりとして、生活は変わった。より生きやすくなった。

撮影:山名文和(アキナ)

 

こんなことを言えば、

いやそんなん言い出したら俺全部やめなあかんし、

好きなことをやるために嫌なことせなあかんやん、

しんどいことから逃げんなよ、はげ!

とか

色んな意見が飛び込んでくるかもしれない。

 

ただ、それに返す言葉があるとすれば、「すんません。個人的に決めてみたことなんでそこに関してはわからないです。僕は、少なくとも大満足です」だ。

そもそもしんどいことをしんどい思いでやるより、好きなことをしんどい思いでやるほうが充実しはじめた。なので、好きなことをやるために嫌なことは相変わらずやっている。もちろん、結婚し家族もいるからそのバランスは大いに取りながら。

 

妻は、保育園の迎えの帰り、長男が指を差す方へひたすら行きながら家に帰る。2歳の子供は、右や左へ指を差し、時々上を差すらしい。空に行きたいんだろう。

 

残念ながら、僕らは上に行けないことをもう知っている。知っているから、あほやな、そんなんも知らんのか、可愛いなと思いながらも、同時にその考え方が羨ましいなと思う。

撮影:山名文和(アキナ)

 

物理的には無理でも、心は自由でありたい。

ああなったらどうしようとか、こうなったらどうしようって考えるくらいなら、こうなろうって決めてしまう方がいい。

 

あなたの理想があるとする。小さなことでもいい。

いつか白いシャツを着て、さらっとデニムを穿いて、お洒落なカフェでお茶したい。

じゃあ、安くてもいいから白いシャツとデニムを買って、カフェに行けばいい。

バーでお酒を飲みながら、小説を読みたい。

じゃあ、行けばいい。

 

いつか、と想っていることは案外すぐに出来ることがあったりする。

 

いつか、と想っていることを可能な限りすぐにやっていけば、そのいつかはすぐにやってくる。痛みを伴うこともある。でも嫌なことを選択したうえでの失敗より、やりたいことをやった上での痛みは納得できるし、大怪我にはならない。また立ち上がれる。

 

そんな感じでいきたいなと想像して始めたこと。

撮影:山名文和(アキナ)

 

おまめは、トイレに行きたいならくううんと鳴き、お腹が空いたらテーブルの下に座る。

 

どこまでもどこまでも自由だ。

 

素晴らしい。

 

突き抜けるほどに自由なその姿は、愛おしさしかない。

 

人も同じだ。どこまでも真っ直ぐに生きている人は、可愛らしくて笑える。

 

おまめから、子供から、学ぶことが本当にたくさんある。

 

 

一つ意味が分からないのは、おまめは次男をなめている。それが、面白い。

 

 

【プロフィール】山名文和(アキナ)

柴犬ライフ,アキナ山名,おまめ

1980年7月3日生まれ。2012年、秋山賢太とお笑いコンビ「アキナ」を結成。

レギュラー番組を多数抱えるほか、『キンブオブコント』『M-1グランプリ』『THE MANZAI』で決勝進出を果たす。

愛柴は、保護施設から迎えたおまめ(12歳)。

 

 

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