2025年3月1日7,387 ビュー View

『ずっとずっと犬を飼いたかった』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#30

お笑いコンビ「アキナ」の山名文和さんは、2020年6月9日に愛柴のおまめを迎えました。保護犬施設からやってきた彼女は、当時8歳。

長年夢みてた“柴犬ライフ”を、ようやく実現した山名さん。おまめとどのように出会い、どんな生活をおくっているのでしょうかー。

アキナ山名と柴犬おまめの最高にラブい日々を、山名さんご本人が綴っていきます。

 

#30は、幼い頃の自分と、今の自分と、犬ー。

『ずっとずっと犬を飼いたかった』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#30

子供の頃から犬を飼いたかった。ずうっとずうっと、飼いたかった。だけど、親に飼いたいとお願いした記憶は、あったのか定かではない。

六つ離れた弟が生まれるまで、油断できないほどこわかった母親。なので、僕が小学校を卒業するくらいまでは恐ろしく怖かった。毎日怒られていた気がする。当然こちらが悪い。姉と年子で、意味の分からない喧嘩を繰り返し、年相応に走り回って目に入るものは悪気なく破壊し続けた。都度怒られ、最悪なケースは、父親まで話がいく。「今日お父さん帰ってきたら言うからな」という、途轍もない暴力に満ち溢れていた台詞。そんな日は、夕方以降寝るまでの時間が終わる。

そんなこともあって、母親に「犬を飼いたい」などと言えば、すごい剣幕で怒られるに決まっていると思い込んでいた。でも諦めきれないから、機嫌の良いときを窺って、何度もお願いしようとイメージしたのは覚えている。勿論、イメージの中でも随分怒られた。

「散歩毎日でけへんやろ、どうせお母さんがいかなあかんようになんねんで」「自分の世話もでけへんのに、犬の世話なんかできるわけないやろ」

「なんでも始めのうちだけ。だいたいな、あのおもちゃも買うたのに、全然遊んでないやん。はじめのうちだけ。犬はおもちゃちゃうで」

どれだけ想像しても「いいよ」という言葉は返ってこなかった気がする。今となっては、想像が強く残って、現実にお願いしたかどうかは曖昧になってしまった。

 

撮影:山名文和(アキナ)

 

犬を飼いたいという気持ちは幼少の頃からあった。幼稚園で家族の絵を描く時なんか広い庭付きの一軒家とお父さんお母さんお姉ちゃんと僕を描き、そばに犬を描いて自分の気持ちを忍ばせた。ボーダーコリーの様な犬がうねるように走り回っているイメージ。

「ただいま」

「おかえり、そこのふすま開けてみ」

「え? ダンボール…あれ? 犬?」

「吉井のおばちゃんとこの隣のワンちゃんがようけ産んだみたいやから。一匹もうてきたんよ」

「え? なんで? 飼うん?」

「あんたの絵にはいつも犬がおったな。飼いたかったんやろ? 大切にしいや。世話はあんたやからな」

「うん! ありがとう!!」

こんな夢が叶うことはなかった。思いは届くこともなく、儚く散り続けた。どうしても諦めきれない僕は、一度だけ、祭りの出店でひよこ釣りのようなものがあり、釣って持って帰ろうとした。自分の中では、子供なりにかなりの折り合いをつけた答えだった。犬は無理かもしれないが、ひよこならおいおいニワトリとなって卵を産んでくれるし、皆笑顔になるはずだ。

「そんなん出来るはずないやんか! ニワトリまで育てられへんに決まってるやろ! 簡単なこといいな!」

一太刀で斬られ、儚く散った。

こっちからしたらかなり譲歩した提案だったのに、その事さえ伝えることも出来ない僕は、悔しくて泣きそうになり、喉の奥が痛くなった。どしんどしんと床に音を立てて自分の部屋に戻った。何も知らない姉に「うるさいな、静かに歩いて」と言われ、同じ部屋の勉強部屋で睨むしかなかった。それでも、晩ご飯の頃には好きなコロッケをおかずに白飯をかきこむ自分が恥ずかしかった。

芸人になり、ロケでたまに行く神社の先々で願い事をするときがあった。「なにをお願いしたん?」と訊かれる。神様を前に、ちょうどいいボケをしないといけない。結構いやなやつ。いつからか、「犬飼いたい」と言う様になった。本気やし、ふざけてないし、でも一瞬ふざけてるようにも感じるしということで落ち着いた。あとはツッコミで「飼えよ」「ちっちゃ」「どうでもええわ」とテンポと間でいってもらえれば、ぎりなんとかなると思った。どんなボケも、ツッコミの間さえ間違えなければある程度はぎり逃げられると、僕は思っている。

 

撮影:山名文和(アキナ)

 

夢は、叶った。

神様は居るのかもしれない。

おまめが来て、妻が来て、子供が二人。広い庭はないが家はある。あの時、何度も描いた絵は、未来だったのかもしれない。ボーダーコリーのように走り回らないが、本当に柴犬のおまめで良かったと思っている。

 

 

【プロフィール】山名文和(アキナ)

柴犬ライフ,アキナ山名,おまめ

1980年7月3日生まれ。2012年、秋山賢太とお笑いコンビ「アキナ」を結成。

レギュラー番組を多数抱えるほか、『キンブオブコント』『M-1グランプリ』『THE MANZAI』で決勝進出を果たす。

愛柴は、保護施設から迎えたおまめ(12歳)。

 

 

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