【柴犬お悩み解決NOTE】#13 毎日一緒に散歩するワンコに、突然ガウガウ!【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】
第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。
今回のお悩みは、毎日一緒に散歩する仲良しのワン友に、“あるスイッチ”でガウガウしちゃうというもの。
なぜ、スイッチが入るのか。なぜ、仲良しのワンコに攻撃するのか。その理由が判明!
目次
お悩み:ほかのワンコが近づいてくると、なぜか一緒にいる仲良しのワンコにガウガウします
女の子・2才
毎日一緒にお散歩する仲良しのワンちゃんがいます。
ただ、2才過ぎた頃からお散歩中、他のワンちゃんが近くにくると急にスイッチが入り、その仲良しのワンちゃんにガウガウします。
近づいてきたワンちゃんにではなく、散歩友達のワンちゃんに、です。
ガウガウは一瞬で終わり、また何も無かったかのように仲良くお散歩を始めるんですが……。最近本当に悩んでます。
柴犬は「番犬」や「猟犬」の血筋。攻撃性が高い性格なのをお忘れなく
まず初めにお伝えしたいのが、「僕が柴犬をトレーニングするとき、他の犬との接触は、とても気をつけます」ということ。
なぜなら、柴犬は洋犬に比べ、攻撃的になる場合が多いから。
和犬と洋犬はやはり明らかに違う部分があります。
少し前までは番犬として飼われていたり、(今でもいますが)猟犬として繁殖されていたり。
他の犬や動物との関わり方においいて、オーナーさんが思うような“仲良し”とは遠い生活を送ってきた血筋です。
この血筋は、絶対に無視してはいけません。
人と暮らしやすいように改良もされてきたかもしれませんが、それでも柴犬はまだまだ他の犬や動物に攻撃的になったり、洋犬のように上手な戯れができない子の方が多いと感じます。
そんな柴犬を、洋犬のように他の犬と戯れ合うことを求めてはいけないと思います。
でないと、オーナーさんが抱く理想との“とてつもないギャップ”に悩まされてしまうことになるでしょう。
実際、自分の頭の中の理想の犬像と比べて“ダメ犬”のレッテルを貼ってしまい、必要以上に悩むオーナーさんを散見します。
まずは犬という動物を少しでも知る。犬種の特性を知る。
そして、自分の子の特徴や性格を知っていくことが、とても大切だと思います。
犬とオーナーの「仲良しの形」を考えてみる
少しご質問からはズレますが、もうひとつ、犬と暮らす上で大事な心構えとして心に留めておいてほしいことがあります。
和犬は仲良しと縁遠い生活を送ってきたといいましたが、この“仲良し”という言葉がとても曲者。何を持って仲良しとするかです。
人と犬との仲良しにも種類があること。
愛でることにも種類があること。
犬が満足することにも種類があること。
それを理解していてほしいのです。
人間が思っている理想の形だけが、犬と人の関係の全てではありません。
考えてもみてください。人間同士だって、親子や恋人…“仲良し”の関係性は様々ですよね。
家族のあり方が「我が家と違う」と思っても、よそはよそ。うちはうち。
でも仲良しには変わりない。
犬と人だって、それは同じ。
犬にとって、オーナーさんとの“仲良し”の形は千差万別なんです。
たとえば、オーナーさんにベタベタするのが苦手で、一定の距離感で一緒にいるだけで十分という犬もいます。
ナデナデしたり、ギューっとしないほうが仲良しでいられる関係もあります。
もしあなたが「触れる仲良しになりたい」と思っているなら、それは一方的な願望。
どんなに頑張っても、一生そうなれない場合だって、残念ながらあります。
それなら視点を変え、愛柴が求めている“仲良し”の形でいてあげたらいい。
相手は犬。社会的には弱い立場にいる存在です。
そこは犬に合わせてあげてもいいんじゃないかなと思います。
ただし、気をつけなきゃいけないのは、“合わせること”は“甘やかすこと”ではないということ。
この部分を理解できないオーナーさんが多く、また犬の価値観や固定観念が含まれてきますので、トレーニングやしつけのプロと直接お話しをして勉強するのが良いと思います。
前置きが長くなりましたが、以上を踏まえて今回のご質問を見てみたいと思います。
2才は我が出るお年頃! それまでのトレーニングが物を言う
ご質問に2才とありました。2才はオーナーさんが本格的に困るお年頃です。
犬の方が精神的にも成熟し、簡単に言うと「我を通す」ことが強くできるようになります。
つまりは、これまでのトレーニングの成果が、はっきり出てしまう時期。
犬が成長したとき、どんな大人になるかが、パピー期からやってきたトレーニングの大事な落とし所です。その時期が大体、2〜3才。
犬も日によって気分が違いますし、年齢によって物事の捉え方も変わってきます。
もちろん、体調によっても態度は変わってきます。
そういった部分も加味して犬を見てください。
「スイッチが入って」とありますが、犬は興奮状態になると近くのものに噛み付くことがあります。
興奮の程度が高い場合は、視界に入ったものになりふり構わず噛みます。
ですので、飼い主の足にも噛みつくことも多いです。
ガウガウする理由は「群れ意識」と「社会化不足」
“毎日一緒”という部分も気になります。
毎日一緒にいることは、犬に“強い群れ意識”を芽生えさせます。
ですので、簡単に言うと、群れに近づいてきた相手を追っ払いたいのでしょう。
さらに、社会化が不足している可能性も。
毎日一緒にいる子以外の犬とも遊べますか?
もし遊べなくても、怒らずに一緒にいれますか?
もしそれができなければ、社会化不足だと考えるべき。
そうなると、2歳になってガウガウし出しても、おかしくはないです。
そんな状況で、いつも一緒にいる子に攻撃が向かうのは
(1)社会化できていないレベルが高いので、パニックになってしまって、近くのもの=ワン友になりふり構わずガウガウする。
(2)群れの意識が変に高すぎるので、群れの犬が、近づいてきたよその犬に近寄るなどの勝手な行動をするのが許せなくてガウガウする。
このどちらか、もしくは両方の理由からでしょう。
もちろん、この2つと違う第3、第4の理由が合わさっている可能性もあります。
柴犬は攻撃性が出やすい犬種
気に入らないことがあると攻撃的になる。これは柴犬の特徴です。
パピーからトレーニングをしていれば、何とか攻撃性を抑えていける場合もありますが、成犬になってからは、相当にトレーニングを頑張らないと改善しないケースも多いです。
もしこのガウガウを今どうにかしたいとお思いでしたら、プロの方にお願いするか、前に書いたように、この子の“仲良し”の形がどういうものか、しっかりと理解してあげることが大切かと思います。
人間サイドの「犬はこうでなくてはならない」を押し付ける事はできません。
小さい頃からの環境と、飼い主さんとの生活の積み上げが今を作っています。
ですので、早く理解してあげることができれば、早く積み上げていくことができます。
実際に犬を見ていないので細かい部分でのアドバイスはできませんが、いずれにしても飼い主さんの意識改革は必要かと思います。
洋犬と柴犬は違います。これだけはしっかりと意識して、これからも付き合ってあげてくださいませ。
小野洋平 PROFILE
『inu-house』
通信のベンチャー企業に勤務後、
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