2020年7月2日6,473 ビュー View

【柴犬お悩み解決NOTE】♯20 他の犬とじゃれあううち、私に飛びついて噛んできます【ドッグトレーナー・小野洋平がズバリ回答】

第一線で活躍するドッグトレーナーの小野洋平さんが、読者からのしつけ・トレーニングのお悩みに答える連載『柴犬のお悩み解決NOTE』。

今回は、遊んでいて興奮スイッチが入ると、オーナーさんに噛み付くというお悩みです。

解決のポイントは2つ。興奮させる状況を作らないこと、そしてもし興奮してもオーナーの声をしっかり受け止めることができる強い関係性を、愛柴との間に作ることです。

今月のお悩み:他の犬とじゃれあってるうち、エキサイトをすると私に飛びついて噛んできます。

1歳・女の子

いつも仲良くして頂いてるほぼ同じ年の柴犬の男の子と、散歩途中にじゃれあって遊ぶんですが、それがエキサイトしてくると、私に飛びついて噛んできます。

 

何度も何度も飛びついてくるので、リードで阻止するのですがなかなかやめません。

 

それは、遊んで欲しいサインなのでしょうか?

 

お友達のお母さんの足も噛もうとします。

 

低い声で怒っても効果がないようで、目を合わせません。良い、アドバイスをお願いします。

 

リードをつけたままじゃれ合いをさせるのはNG

柴犬

Paparacy/shutterstock

 

まず前提として、ご質問メールの言葉などからオーナーさんを想像してアドバイスをさせていただいてます。

 

違う場合もあるかもしれませんので、ご容赦くださいませ。

 

さて、今回の相談ですが、ひと言でいうと“エキサイトした柴犬をどうにかしたい”という悩みだと思います。

 

犬に限らず、興奮した動物をコントロールしたり、興奮を抑えたりすることはとても難しいですよね。

 

興奮した人間を冷静にさせるのだって、かなり大変です。

 

それが犬ともなれば、言葉がないので、グサッと胸に刺さる様な言葉を投げかけることもできません。

 

また、噛むという攻撃も加わってきます。

 

ですので、エキサイトしてから対処するのではなく、エキサイトさせないことが大事。

 

そうすれば、“飛びついて噛む”という、悪い流れを作らずにすみます。

 

リードをつけた状態でじゃれあいをさせてるようですが、それだと、犬が動きたいように動けず、フラストレーションが溜まってしまう場合があります。

 

犬は言葉の代わりに、ボディーランゲージで多くのコミュニケーションをとる生き物。

 

動きをリードで邪魔したり、おかしくしてしまうと、本来うまくいくはずのコミュニケーションも、うまくいかない場合が出てきてしまうのです。

 

というわけで、リードがついている状態で激しいじゃれあいはお勧めできません。

 

ですが、一つだけポイントをあげるとすれば「リードが張らないよう」にしてください。

 

もちろんリードが絡むのも危ないので、オーナーさんがたくさん動いて、リードが絡むのも防ぎましょう。

 

興奮させないように、オーナーが先回りを

柴犬

Annlove.art/shutterstock

 

「遊んで欲しいサインなのか?」というご質問についてですが、それは実際に犬を見てみないとわかりません。

 

ですが、オーナーさんがやめて欲しいとリードで阻止しても止めないということなので、遊んで欲しいかどうかは、この際どうでもいいこと。

 

オーナーさんが「止めて!」という態度を示しているのに、それを犬がキャッチできていず、飛びつく上に“噛む”という行動を止めないことのほうが問題です。

 

この状態のままでは、興奮度合いが大きくなったり、噛む頻度が増えていくと、オーナーさんが全く手に負えなくなってしまいます。

 

・興奮を抑えられないのであれば、興奮するような状態を作らない。

 

・興奮しても、それを鎮めることができるコマンドや方法があるのであればそれを使う。

 

この2点、どちらもできないのなら、散歩で他の子と遊ばせる=興奮させる状況を作ることを避けてください。

 

その上で、まずはオーナーさんがコントロール不能な状態にならないよう、基本的なトレーニングをしっかりすることが先決。

 

オーナーさんが自信を持って犬と接するようになれることが、何より大切です。

 

他の犬とこれからも遊ばせてあげたいと思うなら、リードを外して遊べる場所まで時間を作って連れて行ってあげましょう。

 

あなたと愛柴の関係はどれくらい築けている? 簡単チェックをやってみよう

柴犬

Thürler Baptiste/shutterstock

 

オーナーさんと犬との関係がしっかりしていれば、犬が興奮してもそれをしずめることができます。

 

今、あなたと愛柴との間に、どのくらいの繋がりがあるかを少しテストしてみましょう。

 

方法は簡単。名前を呼んでこちらを見るかどうかだけ。アイコンタクトの練習ですね。

ステップ1:

まずは興奮していない状態で名前を呼ぶ。

 

オーナーさんを見てくれたらOKです。

ステップ2:

ご飯やトリーツを目の前にして名前を呼ぶ。

 

食べ物が出てくることで少し興奮しています。食べ物を見ないでオーナーさんの目を見れるようならOKです。

ステップ3:

家族の人が帰ってきたときなど、他に興味が移っているときに名前を呼ぶ。

 

呼んだ人を見てくれたらOKです。

 

ステップ3くらいから、その子によって興奮したり執着したりするものの度合いが変わってきます。

 

執着が弱いもの、興奮が低いものから、だんだんと強いものへとステップを上げていってください。

 

どんな状況でも、オーナーさんの方を向くことができればOKです。

 

ステップ3までできないのなら、興奮している愛犬を力ずく以外で止めるのは、ほぼ不可能。

 

ただし、こういうトレーニングはポイント抑えておかないと、意味のない練習になる場合があります。

 

ですので、トレーナーさんと一緒に練習することをお勧めします。

 

どんな理由、状況であれ、噛むことはNG

柴犬

Sarawut Konganantdech/shutterstock

 

「遊んで欲しいサインなのでしょうか?」とありますが、もしそうだとしたらどうしますか?

 

オーナーさんの中には「遊んで欲しい=可愛い」からよし、「何か攻撃の意識がある=怖い」からダメ、という考えの方がいらっしゃいますが、それは違います。

 

犬が自分の要求を通すために噛む、もしくは噛みそうなのであれば、理由はなんであれ「ダメ」。

 

それは、噛むというレベルで止まる保証がどこにもないから。

 

エスカレートして、もっともっと激しく噛むようになったり、手に負えなくなる可能性の方が高いでしょう。

 

この相談者さんの柴は、他人も噛みそうになっているので、少し注意が必要です。

 

知り合いの仲が良い人が相手であれば問題ないのかもしれませんが、全く赤の他人を噛んだ場合、大変なことになるかもしれません。

 

何か理由をつけて“犬だから「よし」”とすることは、オーナーさんとの間だけと考えてください。

 

第三者に迷惑をかけない、怖がらせないなどの配慮は、社会との接点を持っているオーナーさんとその飼い犬には絶対に必要なことです。

 

他人には“犬だから仕方ない”は通じない場面がたくさんありますので気をつけましょう。

 

人と犬との強く太い信頼関係を築けたら、問題は解決する

柴犬

thirawatana phaisalratana/shutterstock

 

「低い声で怒っても」とありますが、これはオーナーさんの意識を変えてほしいところ。

 

犬のしつけを考える時、どうしてもトレーニング方法だけにしか考えがいかない方が多くいらっしゃいます。

 

しかし基本的には、しつけの方法より、“犬からみた関係性”が最も大切。

 

機械やロボットのように、“こうすれば、こうなります”というようなことばかりではないのです。

 

特にこの場合、興奮している犬に対してなので、相当にトレーニングを積んでもなかなか練習通りにならない場面です。

 

しかし、犬とのしっかりとした関係性ができていれば、低い声や大きな声を出す必要なんてありません。

 

名前呼べばこっちを向いて、「おいで」と言えばこちらにくる。

 

それで済むくらいの環境や状況を作ってあげましょう。

 

犬という動物を理解し、関係性を太く強くしていくことが、トレーニングのメインコンテンツです。

 

オーナーさんの許容範囲を犬が超えたとき、そこを修正していくことも大切ですが、まずはオーナーさんがきちんと自分の愛犬と向き合って。

 

困ったことが起こった時になにかをするだけではなく、困ったことが起こっても繋がっていられるように、日々関係作りをして過ごしていくことが、犬も人も幸せにします。

 

日々の積み重ねだけが、“いざ”という時に役に立ちます。

 

今はべつに必要ないことだとしても、しっかり積み上げていくことがとても重要。

 

“いざ”は、いつくるかわかりませんので。

 

小野洋平 PROFILE

『inu-house』代表。

通信のベンチャー企業に勤務後、カナダに渡りドッグトレーニングを学ぶ。カナダでは、いきなり家庭犬のトレーニングを行う現場で問題犬と呼ばれている犬たちに囲まれての修行。帰国後、介助犬育成と家庭犬トレーニングのケイナイン・ファミリーを立ち上げるが、日本人の犬の考え方や家庭犬の在り方に疑問を抱き、家庭犬トレーニングを主に行うようになる。日本独特の犬文化を守ることと変えていくことが目標。

 

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