2020年10月18日2,012 ビュー View

【特集】柴を介護する#11 「老犬デイケアサービス」って何をするの?高齢犬のQOLを高め犬も人も幸せに

特集『柴を介護(あい)する』シリーズでは、いつかはやってくる我が子の老後に備え、老犬介護の情報をお伝えしています。

今回は介護や預かり、リハビリなどを行う『ペットケアサービスLet’s』の伊藤みのりさんに、老犬ホームを始めたきっかけや利用するメリットを取材。

愛犬の柴犬を看取った経験をもつペットケアマネージャーとして、柴犬のオーナーさんに“幸せなシニアライフために今すぐ始めてほしいこと”をうかがいました。

柴犬,介護

老犬ホーム開業のきっかけは20歳の犬の世話

ペットケアマネージャーの伊藤みのりさん

ペットケアマネージャーの伊藤みのりさん。老犬介護士、ドッグリハビリトレーナーなどの資格を取得。

 

犬の長寿化にともない、需要が高まっている老犬ホーム。

 

『ペットケアサービスLet’s』は、統括責任者の伊藤みのりさんが代表の三浦裕子さんと共に2007年に開業した施設です。

 

まずは老犬ホームを始めたきっかけをうかがいましょう。

 

伊藤さん:

「私がペットシッターをしていた16年ほど前に、20歳の老犬の世話を頼まれたことがありました。

 

高齢なので心配だけどつきっきりというわけにもいかず、かといってその子を置いて次の家へシッターへ行くのも心苦しくて、老犬ホーム(デイケア)があったらずっとそばにいられるのにと思ったことがきっかけです。

 

ちょうど当施設の代表の三浦裕子が犬の幼稚園をつくろうとしていて、それなら一緒にデイケアサービスもできるのではないかと思って開業しました」

 

現在の利用頭数は1日約20頭。身体づくりを中心にしたトレーニングが16〜17頭、デイケアとリハビリが3〜4頭です。

 

椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼などのケアのために通う犬もいるので、年齢層の幅が広いのも特徴。

 

おおよその内訳は1歳以下3頭、6歳以下7頭、13歳以下7頭、14歳以上3頭です。

 

カウンセリングで飼い主の悩みを聞くことから始める

柴犬

 

まずは『ペットケアサービスLet’s』を利用するときの流れを紹介しましょう。

 

伊藤さん:

「最初にオーナーさんとのカウンセリングから始めています。

 

老犬の介護はとても大変で、オーナーさんが苦労を抱え込んで悩んでいることもあるからです。

 

当施設にお越しいただくか、ご自宅にうかがって介護の方法などをご相談します。

 

しっかりお悩みをうかがえるよう完全予約制にしているので、もし困っていることがあれば、ぜひ気軽にご連絡いただきたいですね」

 

介護を担当する家族が孤立したり、愛犬への後ろめたさで本当のことを言えなかったりと、いろいろな悩みを抱えているケースが多いそうです。

 

「まずは相談できる窓口になれたら」と伊藤さんは話します。

 

介助や介護は当たり前、さらに身体づくりもサポート。

 

施設では食事の介助や床ずれのケア、ショートステイなどの預かりサービスはもちろん、筋トレ、温感療法、低周波施術などもメニューに入れています。

 

さらに獣医師と連携して鍼灸やリハビリ(※普通の生活に戻すサポートや予防的なアスレチックリハビリテーション)も行っているので、若い頃から健康な身体づくりができるのが特徴です。

 

伊藤さん:

「私たちは犬が将来寝たきりにならないことを目指しています。

 

日常生活の中で少しでもおかしいと思うことがあったら、早めに相談していただきたいと思っています。

 

私の愛犬の柴犬も若い頃からケアを続けていたので、最期まで寝たきりにはなりませんでした。

 

生まれつきだから、歳だから、とあきらめる前に、ぜひ施設のショートステイを試してくださいね」

 

装具をつけてリハビリ中の柴犬もいる

取材時に施設に来ていた柴犬のアキくん(7歳)は、1歳のときから週に1回通っています。

 

子犬の頃からひざがはずれた膝蓋骨脱臼の状態で、手術をして完治しましたが、膝を曲げ伸ばしする歩き方をしたことがなかった為、膝を伸ばしたまま歩く、歩行状態は変わりませんでした。

 

オーナーさん自身による自宅でのリハビリが難しいため、施設で歩行をサポートする装具をつけて歩く練習をしています。

 

今回はアキくんのリハビリの様子を紹介しましょう。

 

◆身体を温める

柴犬,老犬介護

 

体調を把握しているペットケアマネージャーやシニアドッグケアアドバイザー(老犬介護士)が担当します。

 

まずはハーブの温タオルで体を温めることから。ハーブの温タオルについては、過去記事「【特集】柴を介護する#7 皮膚がデリケートな柴犬の入浴はどうする? 老犬介護士に聞く清潔を保つケア」を参照ください。

 

◆ストレッチをする

柴犬,老犬介護

 

身体が温まったら全身のストレッチ。こり具合によっては温タオルを当てながら行うこともあります。

柴犬,老犬介護

 

アキくんはひざが曲がらずまっすぐになってしまうので、適切な形にやさしく整えていきます。高齢になってからトラブルが起きないようにする予防的なケアの一環です。

 

◆歩行をサポートする装具をつける

歩行をサポートする犬用装具

 

アキくんの足が自然に曲げることができるようにオーダーメイドした装具をつけます。

 

これは、自宅での十分なケアが難しい飼い主さんと相談して、病院から装具製作者へ注文したもの。オーダーメイドの装具の相談もできるのは心強いですね。

おやつをもらう柴犬

 

足を触られるのが苦手なアキくんのために、着脱が素早くできるマジックテープを採用。

 

大好物のおやつをあげながらスタッフがつけていきます。

 

◆トレッドミル

柴犬,トレッドミルをする柴犬

 

装具をつけたらトレッドミルで歩行のリハビリから。

 

足が加重するメリットを考えて、施設では水中ではなく陸上トレッドミルを使っています。

 

ゆっくり歩ける速さで始め、少しずつスピードアップ。

 

アキくんはここでも大好物のおやつに釣られ、余裕の笑顔でリハビリをこなしていました。

柴犬,トレッドミルをする柴犬

 

マッサージやバランスボールなども行っている

施設ではでカウンセリングを行い、さまざまなケアのメニューから1頭ずつケアプランを作成し、犬に合うサービスを提供しています。

 

◆マッサージ

柴犬

 

凝り固まった筋肉や筋をほぐすマッサージやツボ押しなど、手技による施術を行います。最初は緊張している犬も、施術を受けるうちに気持ちよくてウトウトしてくるとか。

 

◆バランスボール

バランスボールに乗るプードル

 

人のリハビリでも使われているバランスボールは、体幹や四肢のバランスを整えたり、筋力をアップしたりするトレーニングに使われています。

 

犬に合わせてドーナツ型やピーナツ型を使い分けると効率よく鍛えられるそうです。

 

◆脳トレ

走る柴犬

 

追いかけっこやかくれんぼ、嗅覚トレーニングなどの頭を使う遊びを取り入れて、犬がデイケアの時間を楽しく過ごせるように工夫しています。

 

介護のプロに頼り、オーナーが休むことも必要

老犬の介護は、どんなに我が子を愛していようと、思った以上に肉体的、精神的にオーナーさんの負担になることも。

 

伊藤さん:

「愛犬のためにがんばって介護をしていても、負担が増えてくるとマイナスの気持ちを抱いてしまうこともありますよね。

 

老犬の介護はオーナーさんの休む時間も必要なので、ぜひ老犬介護士などに相談してほしいと思います」

 

愛犬の世話がうまくできないこと、施設に預けることに罪悪感を覚えるオーナーさんも少なくありませんが、一人で悩まずに、介護や予防のプロであるペットケアマネージャーやシニアドッグケアアドバイザーに頼ることが大切ですね。

 

【施設DATA】

ペットケアサービスLet’s

東京都江戸川区中葛西2-19-13-1F

電話番号:03-3675-0250

https://lets-pet.com/

※介護がいらない一生を目指す『犬の介護ZERO教室』を定期的に開催。シニアドッグケアアドバイザーから暮らしに関するアドバイスを受けられると好評です。

 

取材・文/金子 志緒

 

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