【特集】柴を介護する#11 「老犬デイケアサービス」って何をするの?高齢犬のQOLを高め犬も人も幸せに
特集『柴を介護(あい)する』シリーズでは、いつかはやってくる我が子の老後に備え、老犬介護の情報をお伝えしています。
今回は介護や預かり、リハビリなどを行う『ペットケアサービスLet’s』の伊藤みのりさんに、老犬ホームを始めたきっかけや利用するメリットを取材。
愛犬の柴犬を看取った経験をもつペットケアマネージャーとして、柴犬のオーナーさんに“幸せなシニアライフために今すぐ始めてほしいこと”をうかがいました。
目次
老犬ホーム開業のきっかけは20歳の犬の世話
犬の長寿化にともない、需要が高まっている老犬ホーム。
『ペットケアサービスLet’s』は、統括責任者の伊藤みのりさんが代表の三浦裕子さんと共に2007年に開業した施設です。
まずは老犬ホームを始めたきっかけをうかがいましょう。
伊藤さん:
「私がペットシッターをしていた16年ほど前に、20歳の老犬の世話を頼まれたことがありました。
高齢なので心配だけどつきっきりというわけにもいかず、かといってその子を置いて次の家へシッターへ行くのも心苦しくて、“老犬ホーム(デイケア)があったらずっとそばにいられるのに”と思ったことがきっかけです。
ちょうど当施設の代表の三浦裕子が犬の幼稚園をつくろうとしていて、それなら一緒にデイケアサービスもできるのではないかと思って開業しました」
現在の利用頭数は1日約20頭。身体づくりを中心にしたトレーニングが16〜17頭、デイケアとリハビリが3〜4頭です。
椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼などのケアのために通う犬もいるので、年齢層の幅が広いのも特徴。
おおよその内訳は1歳以下3頭、6歳以下7頭、13歳以下7頭、14歳以上3頭です。
カウンセリングで飼い主の悩みを聞くことから始める
まずは『ペットケアサービスLet’s』を利用するときの流れを紹介しましょう。
伊藤さん:
「最初にオーナーさんとのカウンセリングから始めています。
老犬の介護はとても大変で、オーナーさんが苦労を抱え込んで悩んでいることもあるからです。
当施設にお越しいただくか、ご自宅にうかがって介護の方法などをご相談します。
しっかりお悩みをうかがえるよう完全予約制にしているので、もし困っていることがあれば、ぜひ気軽にご連絡いただきたいですね」
介護を担当する家族が孤立したり、愛犬への後ろめたさで本当のことを言えなかったりと、いろいろな悩みを抱えているケースが多いそうです。
「まずは相談できる窓口になれたら」と伊藤さんは話します。
介助や介護は当たり前、さらに身体づくりもサポート。
施設では食事の介助や床ずれのケア、ショートステイなどの預かりサービスはもちろん、筋トレ、温感療法、低周波施術などもメニューに入れています。
さらに獣医師と連携して鍼灸やリハビリ(※普通の生活に戻すサポートや予防的なアスレチックリハビリテーション)も行っているので、若い頃から健康な身体づくりができるのが特徴です。
伊藤さん:
「私たちは犬が将来寝たきりにならないことを目指しています。
日常生活の中で少しでもおかしいと思うことがあったら、早めに相談していただきたいと思っています。
私の愛犬の柴犬も若い頃からケアを続けていたので、最期まで寝たきりにはなりませんでした。
生まれつきだから、歳だから、とあきらめる前に、ぜひ施設のショートステイを試してくださいね」
装具をつけてリハビリ中の柴犬もいる
取材時に施設に来ていた柴犬のアキくん(7歳)は、1歳のときから週に1回通っています。
子犬の頃からひざがはずれた膝蓋骨脱臼の状態で、手術をして完治しましたが、膝を曲げ伸ばしする歩き方をしたことがなかった為、膝を伸ばしたまま歩く、歩行状態は変わりませんでした。
オーナーさん自身による自宅でのリハビリが難しいため、施設で歩行をサポートする装具をつけて歩く練習をしています。
今回はアキくんのリハビリの様子を紹介しましょう。
◆身体を温める
体調を把握しているペットケアマネージャーやシニアドッグケアアドバイザー(老犬介護士)が担当します。
まずはハーブの温タオルで体を温めることから。ハーブの温タオルについては、過去記事「【特集】柴を介護する#7 皮膚がデリケートな柴犬の入浴はどうする? 老犬介護士に聞く清潔を保つケア」を参照ください。
◆ストレッチをする
身体が温まったら全身のストレッチ。こり具合によっては温タオルを当てながら行うこともあります。
アキくんはひざが曲がらずまっすぐになってしまうので、適切な形にやさしく整えていきます。高齢になってからトラブルが起きないようにする予防的なケアの一環です。
◆歩行をサポートする装具をつける
アキくんの足が自然に曲げることができるようにオーダーメイドした装具をつけます。
これは、自宅での十分なケアが難しい飼い主さんと相談して、病院から装具製作者へ注文したもの。オーダーメイドの装具の相談もできるのは心強いですね。
足を触られるのが苦手なアキくんのために、着脱が素早くできるマジックテープを採用。
大好物のおやつをあげながらスタッフがつけていきます。
◆トレッドミル
装具をつけたらトレッドミルで歩行のリハビリから。
足が加重するメリットを考えて、施設では水中ではなく陸上トレッドミルを使っています。
ゆっくり歩ける速さで始め、少しずつスピードアップ。
アキくんはここでも大好物のおやつに釣られ、余裕の笑顔でリハビリをこなしていました。
マッサージやバランスボールなども行っている
施設ではでカウンセリングを行い、さまざまなケアのメニューから1頭ずつケアプランを作成し、犬に合うサービスを提供しています。
◆マッサージ
凝り固まった筋肉や筋をほぐすマッサージやツボ押しなど、手技による施術を行います。最初は緊張している犬も、施術を受けるうちに気持ちよくてウトウトしてくるとか。
◆バランスボール
人のリハビリでも使われているバランスボールは、体幹や四肢のバランスを整えたり、筋力をアップしたりするトレーニングに使われています。
犬に合わせてドーナツ型やピーナツ型を使い分けると効率よく鍛えられるそうです。
◆脳トレ
追いかけっこやかくれんぼ、嗅覚トレーニングなどの頭を使う遊びを取り入れて、犬がデイケアの時間を楽しく過ごせるように工夫しています。
介護のプロに頼り、オーナーが休むことも必要
老犬の介護は、どんなに我が子を愛していようと、思った以上に肉体的、精神的にオーナーさんの負担になることも。
伊藤さん:
「愛犬のためにがんばって介護をしていても、負担が増えてくるとマイナスの気持ちを抱いてしまうこともありますよね。
老犬の介護はオーナーさんの休む時間も必要なので、ぜひ老犬介護士などに相談してほしいと思います」
愛犬の世話がうまくできないこと、施設に預けることに罪悪感を覚えるオーナーさんも少なくありませんが、一人で悩まずに、介護や予防のプロであるペットケアマネージャーやシニアドッグケアアドバイザーに頼ることが大切ですね。
【施設DATA】
ペットケアサービスLet’s
東京都江戸川区中葛西2-19-13-1F
電話番号:03-3675-0250
※介護がいらない一生を目指す『犬の介護ZERO教室』を定期的に開催。シニアドッグケアアドバイザーから暮らしに関するアドバイスを受けられると好評です。
取材・文/金子 志緒
おすすめ記事
-
柴犬は、なぜお風呂が苦手!?「リファファインバブル U」で『時短・ニオイ軽減・被毛ふんわり』が実現した感動エピソード
以前柴犬ライフでもご紹介した、シャワーヘッド「リファファインバブル」シリーズ。毛穴の約200分の1程度の小さな泡で、シャワーを浴びるだけで毛穴汚れにアプローチしてくれます。
編集メンバーも2年以上愛用し、愛犬のバスタイムに使用中。
さらに、肌のバリア機能が低下してお風呂が負担になりやすいシニア柴たちにも、ピッタリなことが判明!
パピーからシニアまで、豊かな柴犬ライフを実現してくれる理由を、実際の体験談とともにどうぞ!
(PR 株式会社MTG)
PR -
世界でいちばん大切な柴犬が、アレルギーに立ち向かう物語【Ta-Taってなんだ?】
「柴犬は丈夫で、病気にもなりにくい犬種である」。
まことしやかに囁かれるこの文言ですが、ほんとうにそうでしょうか?
もちろん、犬種としての完成度がとてつもなく高い柴犬だから、そういった側面はあります。
でも、いざそれぞれの個体を見ていくと、丈夫で病気にもなりにくい、とは言えないような気もするのです。
実際に「病気にならない」などということはないし、飼い主はそのためにやるべきことがある。
今回は、柴犬に関わる方たちすべてに読んで欲しい、ある柴犬とその家族のお話。
ご本人からのレポートは、愛情たっぷりで示唆に富んだ物語でした。
※文章はご本人の了承を得て編集しています
エッセイ
※画像はすべてイメージです
※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません -
【累計1億2000万食突破!完食率95%】「ココグルメ」は元気に夏を乗り越えたい全柴犬に食べてほしい!
みなさんは、犬も夏バテになることを知っていますか。とくに柴犬は、厚い被毛や水を飲まない性格などから注意が必要です。
夏バテと上手に向き合う秘訣は、なんといっても食事。
累計1億2000万食を突破し、完食率95%。フレッシュフードの王道といえる「ココグルメ」は、夏を元気に乗り越えたい柴犬にぴったりなのです!
「今だけ初回限定500円」のキャンペーン情報もありますので、最後までお見逃しなく!
(PR 株式会社バイオフィリア)
PR -
【取材】ハワイの柴犬に会ってきました!10頭が集結!
日本を代表する犬といえば、我らが柴犬。
ところが近年、世界中で柴犬ファンが増えています。そんな中「柴犬ライフ」が目をつけたのは、南の楽園ハワイ。柴犬オーナーが多く、定期的にオフ会まで開催されているとか。
そんな噂を聞きつけ、今回はハワイの柴犬たちを取材してきました!
海外取材 -
【インタビュー】お笑い芸人・ニューヨーク屋敷、「拒否柴」を掘る。
世界中の人々を魅了する「拒否柴」。彼らのすべてが詰まったその行動は、柴犬を語る上では外せません。そして拒否柴がここまで話題になるのは、“映える”ことも理由のひとつ。
では…拒否柴を「版画」にしてみたら、どんな作品ができあがるのでしょうか。
最近版画製作を始めた、お笑いコンビ「ニューヨーク」の屋敷裕政さんに、拒否柴を掘っていただきました! インタビューと合わせてご覧ください。
取材 -
「くっっっさ!」耳をほじった足が臭すぎてビクッとなる柴犬。最後足を隠してて笑う【動画】
今回登場するのは驚いてしまった柴犬たち。そうはいっても誰かにビックリさせられたとか、なにかアクシデントが起きたとか、そういうことが原因ではありません。全ての原因は彼ら自身にあったのです…!
-
ゆっくりゆっくり登場する柴犬に「外で見るんじゃなかった」「表情がいい」と爆笑【動画】
柴犬を下から見る…たったそれだけでいつも見ているものとは違う光景が目に飛び込んできます。つぶらな瞳はさらにつぶらに見え、モフモフのお顔はさらにモフモフに見えます。これはクセになる…!
-
【取材】「ときろう」が望むバランスで関わる。17歳まで元気でこれた秘訣は干渉し過ぎない距離感 #38ときろう
平均寿命は12〜15歳と言われる柴犬。そこで我が『柴犬ライフ』では、12歳を超えてもなお元気な柴犬を、憧れと敬意を込めて“レジェンド柴”と呼んでいます。 この特集では、レジェンド柴たちのライフスタイルや食生活などにフォーカスし、その元気の秘訣や、老犬と暮らすうえで大切だと思うことを、オーナーさんに語っていただきます。今回登場してくれたのは、17歳のときろうくん。小さい頃から食が細かったため、何でも食べさせてきたということですが、そんなときろうくんの長寿の秘訣とは。
-
「オモチャ置いてきなさい」と言われた柴犬が最後にとった行動に爆笑【動画】
ふとした瞬間、柴犬から出てしまう人間っぽさ。特にちょっとイラッとした時なんかは、人間っぽさを隠す気などないように見えます。もしかして本当の本当は、中身は人間なんじゃ…?
-
【“既視感ゼロ”の柴犬グッズが爆誕!】ウ◯チ姿が愛おしすぎるコラボプロダクトがついに完成!
柴犬を心の底から愛している私たち。とくに柴スマイルやオコ柴、拒否柴は彼らの特徴があらわれていて大好き。
でもちょっと待て…もうひとつ、忘れてはならない愛おしいシーンがあったぞ。それは、背中を丸めて“ウンチなう”の姿だ。
そこで私たち柴犬ライフは、ドッグブランド「PEGION(ペギオン)」とコラボしてオリジナルの柴グッズを製作!
柴犬と暮らす人もそうでない人も、とにかく柴犬を愛してやまない皆さまへ。とんでもない柴グッズが爆誕です!
ストア情報
特集
-
柴犬(しばいぬ)の性格/基本情報
柴犬のからだの特徴や性格、歴史など基本情報をご紹介!
-
豆柴(まめしば)の性格/基本情報
豆柴のからだの特徴や性格、歴史など基本情報をご紹介!
-
子犬/はじめての柴犬(しばいぬ)
柴犬ビギナーの不安を解消!迎える前の心得、揃えておきたいアイテム、自宅環境、接し方などをご紹介
-
柴犬ライフ ストア
厳選&オリジナルの柴グッズが勢ぞろい!
-
【特集】新・家術〜進化型家電と、新しい愛情物語
愛犬たちとのかけがえのない生活をもっと楽しく快適に暮らすために。
-
【特集】レジェンド柴の肖像ー12歳を超えて
12歳を超えた柴犬を取材し、長寿の秘訣を探る。
-
【特集】保護柴と家族になって
-
【マンガ連載】こいぬと柴犬
「柴犬ライフ」オリジナル作品!
-
【連載】アキナ山名とおまめのラブい日々
山名さんご本人が綴る“柴犬ライフ”エッセイ。
-
【特集】柴犬のお悩み解決NOTE
ドッグトレーナーがみなさんのお悩みに応えます!
-
柴犬 病気辞典
獣医師監修のShiba-Inu Lifeオリジナル病気辞典。あなたの愛する柴犬を守るための情報満載
-
柴犬里親/保護犬情報
Shiba-Inu Lifeでは、保護犬を一頭でも多く救うための活動支援をしています。
-
SHIBA-INU LIFEとは
柴好きによる、柴好きのための、柴犬情報メディアです。その規模は、日本最大級!