2021年4月21日15,101 ビュー View

【取材】膵炎、腫瘍を克服した18歳!奇跡を起こしたのはママの「食べさせること」を諦めない気持ち #10さくら

平均寿命は12〜15歳と言われる柴犬。そこで我が『柴犬ライフ』では、12歳を超えてもなお元気な柴犬を、憧れと敬意を込めて“レジェンド柴”と呼んでいます。

そんなレジェンド柴たちのライフスタイルや食生活などにフォーカスし、その元気の秘訣や、老犬と暮らす上で大切だと思うことを、オーナーさんに語っていただくこの特集。今回は17歳にして立て続けに病魔に襲われるも、3月に無事18歳になったさくらちゃんが登場です。

さくらちゃんのプロフィール

柴犬

年齢&性別

18歳の女の子

体重

8.8kg

大好きなこと

食べること。テラスで日光浴。

既往歴

・9歳のとき、抱っこから飛び降りたときに着地した場所が不安定で、右後ろ足を股関節脱臼。2回手術をし、安静のため2週間入院。

・17歳で、外歯漏(がいしろう)を発症。頬に穴が開く。

・同じく17歳で、重度の膵炎(すいえん)を発症。さらに腫瘍らしきものが見つかる。

 

17歳のとき「外歯漏」で膿が頬を貫通

柴犬

2021年3月18日に、めでたく18歳のお誕生日を迎えたさくらちゃんは、三重県でオーナーの渡邉ルリ子さんご一家と暮らしています。

 

若いころはお散歩が大好きで、朝晩30~40分のお散歩が日課でした。ウォーキングが趣味のご主人に連れられて、近くの川沿いを歩いたり、山を登ったり。

 

ふたりで5㎞先まで行ってしまって、歩き疲れたふたりを車で迎えに行く、なんてこともあったそうです。

 

長年病気知らずで、シニアになってからも毎日元気に過ごしていたさくらちゃんですが、17歳のある日、右頬が腫れているのを発見。

 

「診断の結果は、シニアによくある歯肉炎でした。そのとき、右頬に1.5cmほどのしこりができていましたが、特に痛がる様子がなかったので、抗生物質でしばらく様子を見ることに。

 

その数日後、朝起きるとしこりが破裂して、流血していたんです。慌てて病院に行きました」(渡辺さん=以下「」内同)。

 

診断は、歯周病による膿が頬を貫通して表に出る“外歯漏(がいしろう)”でした。

柴犬

 

穴が開いてからは腫れがひいていき、抗生剤を5日ほど飲むと、傷はふさがり毛も生えそろって綺麗に治ったそうです。

 

犬は8割が歯周病だと言われていますが、重度に進行してしまうとさまざまな病気を引き起こします。

 

柴犬は歯磨きがニガテな子が多いですが、歯のケアはなるたけ頑張りましょう!

 

17歳7ヶ月のとき、嘔吐が続き胃にあやしい影が

柴犬

17歳のある日、突然ひどい嘔吐が続くようになりました。

 

「食べたものではなく、液体をパシャーっと1日に10回以上吐いてしまうのです。診断名は、膵炎(すいえん)でした。もうショックで…」

 

大好きだったチュールも受けつけず、抗生物質と吐き止めの点滴に2週間通っても、嘔吐は止まりません。

 

2週間飲まず食わずで、11kgあった体重は、7.9Kgまで減っていました。

 

「病院の先生から“こんなに嘔吐が止まらないのは、ほかに何か病気があるかも”と言われ、1日病院に預けてバリウム検査をすると、胃に腫瘍らしきものが見つかったんです」

 

それが悪性か良性のポリープなのかは、全身麻酔の内視鏡検査をしてみないと分からないとのこと。

 

高齢のさくらちゃんが全身麻酔をすることのリスクを考え、しばらく様子を見ることにしました。

 

日に日に衰弱していくさくらちゃんに、「この年まで元気だったのに、どうしてこんな辛い目にあうのだろう…」と、渡邉さん一家は、毎日泣きながら看護に励んだそうです。

 

食欲がないさくらちゃんのために、ごはんは手作り食に切り替えました。

 

ママさんが流動食を「お願いだから、一口でも食べて」と祈るような気持ちでシリンジで流しこんでいたそうですが、なかなか食べてくれません。

 

自力で歩けないほど弱っているさくらちゃんを抱え、点滴のために毎日病院へと通う生活が1カ月も続きました。

ドッグフード

 

 

困りはてて病院の先生に相談し、膵炎の子も食べられるドクターズケアの低脂肪消化サポートを試してみました。

 

「ふやかして、ささみを混ざたら食べるようになりました」

柴犬

 

少しずつ食べる量が増えてくると立ち上がれるようになり、見違えるように回復したそうです。

 

2カ月後には完治し、お友達から“奇跡の復活”といわれるほど元気になり、お散歩にも行けるようになりました。

 

献身的な介護と渡邉さんのあきらめない気持ちが、さくらちゃんを救ったのです。

 

涙するご主人に「さくらの前では泣かないで」

柴犬

さくらちゃんが体調を崩した当初、一家で毎日涙を流していたという渡邉さん。家族でいちばん泣いていたのはご主人だったそうです。

 

「徐々に弱っていたのではなく、急に発症して弱ったので、“もう外で一緒に遊べないのか…”と、主人は元気だったころの写真を見返しては、泣いていました」

 

さくらちゃんの病気と介護を受け入れた渡邉さんは、「泣きながら世話をするのはやめよう」と誓いました。

柴犬

 

「あのころは、リードをつないで一緒に歩くのは、もう無理だと思っていました。このまま介護生活に入るんだなって」

 

けなげに頑張るさくらちゃんの姿に、息子さんも「さくらはまだ生きているし、一生懸命頑張っているのに、あきらめたようなことを言うのはやめよう」と共感してくれたそう。

柴犬と家族

 

ご主人には「さくらの前では、絶対泣かないで」とお願いし、ご家族と協力して、希望を忘れず介護に取り組むと決めたそうです。

 

「“何年生きた”ではなく“どれだけ濃い時間を過ごせているか”が大事なんだなって、病気を機に痛感しました」

 

さくらちゃんは奇跡的に回復し、元気な様子を日々インスタグラムで公開しています。

 

「若くして旅立ったお友達もいます。その子たちの分まで、『まだまださくらは頑張っているよ!』という気持ちで、アップしているんです」

 

シニア犬はパピーみたいにかわいい

柴犬とその家族

渡邉さんは、若いワンちゃんのオーナーさんに「シニア生活の楽しさを伝えたい」と言います。

 

「柴犬は気性が荒いので、パピーのころは、しっかりしつけをしないといけませんよね。

 

娘が4歳のころ、さくらに噛まれたことがありました。さくらに、娘を自分より下だと思わせてはいけないので、噛んではいけないと教えたり、拾い食いを叱ったりしました。

 

シニアの今はのほほんとしていて、昔は嫌がった抱っこもされるがままで、大人しくしていますよ」

 

その場でグルグル回ったり、部屋の隅っこで、じっとしていたり、シニア犬特有の動きをするようになったさくらちゃんを、渡邉さん一家は温かく見守っています。

 

「最初はショックでした。だけど、慣れてくると面白いんです(笑)。

 

“なんで、そんなところでじっとしてるの~?”ってお尻をポンって叩くと、ハッとして戻ってくるんです」

 

そんなシニアらしい姿も「おかしくて愛おしくてかわいい。家族の癒しです」と、渡邉さん。

 

帰宅時にしっぽを振って出迎えてくれることはなくなりましたが、「帰ってくれば起きてくるし、夜中はしっかり寝てくれるし、お利口やなって思います」と、スローライフを楽しんでいます。

 

「ごはんをガツガツ食べて、鼻や口の周りを拭いてあげるのもかわいいんです。

 

子どものころは拭こうとしても逃げ回ってばかりで。悪さをしないパピーちゃん、って感じです」

 

先輩シニア犬のオーナーさんたちが、「また赤ちゃんみたいで本当にかわいいよ」と言っていたことを思い出して、実感しているそうです。

 

「嫌がることはしない」が長寿の秘訣

柴犬

去年は、外歯膿、膵炎、胃のポリープと病気が続き、「初めて命の危機を感じた不安な数ヶ月でした」と振り返る渡邉さん。

 

最近は食欲もあり、体重は8.5Kgまで戻ってきました。獣医師さんに「9Kgまで増やしましょう」と言われたばかりなので、そこまで戻すのが今の目標です。

 

「さくらが若いころは、15歳くらいで介護してるだろうなぁって、なんとなく思っていたんです。一度、あんなに弱ってしまったのに、ここまで元気になるなんて!」と、その回復力に驚いているそう。

 

少しずつしか食べられないのでごはんは1日3回に分けて、夕方にはお散歩へ。

 

夜はトイレの後に、おやつをひと口だけ食べると安心するのか、翌朝までぐっすり…と、規則正しい生活です。

柴犬

 

渡邉さんが考える長寿の秘訣は、「さくらが嫌がることはさせない」だそう。

 

「若いときは、家族で旅行やキャンプに行ったり、一緒にいっぱい出かけていました。でも帰ってくると、“わーい、家だ♪”って、うれしそうな顔をするんですよね。

 

若いときからお出かけが好きな子もいるけど、さくらの場合は、家で家族とゆったり過ごすのがいちばん幸せそう。

 

シニアになってからは、私と主人が夜に出掛けると、普段はしない粗相をしたり、翌日体調を崩すようになって。息子や娘がいてもダメなんですよね」

 

そこで、夜にご夫婦で外出するのはやめたそうです。

柴犬

 

「外食も無理ですけど、さくらに負担をかけてまで行かなくてもいいし、昼間は外出できますしね(笑)」と、今ではすっかりさくらちゃん優先の生活。

 

「20歳も夢じゃないのかな? と考える反面、18歳を迎えてさらに老いが目に見えてくるんだろうなって覚悟もしています。命の灯が自然に消えるまで、楽しく過ごしたいですね」

 

と、さくらちゃんへの想いを話してくれました。

 

ご家族と過ごす何げない日常こそが、さくらちゃんにとってはいちばん幸せな時間のよう。

 

渡邉さんが「おかしくて愛おしくてかわいい」と語るハイシニア柴とのスローライフ。

 

どの柴オーナーもその日を目指して、毎日を過ごしていきたいですね。

柴犬とその家族

 

取材・文/都丸優子

 

★「#レジェンド柴」で投稿お待ちしています!

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