2021年7月10日4,770 ビュー View

【取材】バンビのような可愛いらしさをまとう19歳10ヶ月。「家族一丸での介護生活」で絆も愛も深く強く #12みかん

平均寿命が12〜15歳と言われる柴犬。そこで我らが『柴犬ライフ』では、12歳を超えてもなお元気な柴犬を、憧れと敬意を込めて“レジェンド柴”と呼んでいます。そんなレジェンド柴たちのライフスタイルや食生活などにフォーカスし、その元気の秘訣や、老犬と暮らす上で大切だと思うことを、オーナーさんに語っていただくこの特集。

 

今回お話を伺ったのは、間もなく20歳を迎えるみかんちゃん。19歳になってからは寝たきりになってしまったけれど、ママさんの献身的なケアと介護で幸福な日々を重ねています。ただ、この取材を終えた翌日の7月1日、みかんちゃんは虹の橋へと旅立ちました。まるで取材を終えるのを待っていたように。ただね、これだけは確信を持って言えるのです。もう抱え切れないほどたくさんの愛に包まれて旅立ったのだと。

みかんちゃんのプロフィール

柴犬,ハイシニア犬

年齢&性別

19歳の女の子。8月29日で20歳になるはずでした。

体重 

4.5kg(若い頃は8kg)

大好きなこと 

ママとのお喋りやスキンシップ、シニアになってからは抱っこ。若い時は庭を駆け回ること。好物はちゅ〜る。

既往歴

・6歳頃に、子宮に水が溜まり腫れる病気にかかり緊急手術。その際に避妊手術も行なう。

・7〜8歳頃にジャンプで失敗、膝のお皿を負傷して手術。

・17歳で前庭疾患に。

 

THE・柴犬な性格がハイシニアになって “甘えん坊”に

柴犬

 

幼い頃のみかんちゃんは「これぞ柴犬」というタイプで、人間とは程々の距離感を保ちつつ、マイペースに自分の世界を謳歌して過ごしていたのだそう。

 

「娘が小学生の時に近所のペットショップに見に行き、生まれたばかりのみかんちゃんに一目惚れ。

 

それでこの子を迎えようと決め、みかんという名前も娘たちが決めました」(みかんちゃんママ=以下「」内同)。

 

若い頃は、昼は庭で自由に過ごし、夜は“上がりかまち”(玄関の段差)で寝るのがスタイルだったそう。

柴犬

 

「約20年前の当時は、室内飼いではなく、これが日本犬のスタンダードな暮らし方だったと思います。

 

みかんは我が家で初めて迎えたワンコでしたが、特にしつけをした記憶がなく、本当にお利口でした。

 

教えたのはお手やおすわりぐらいで、夜になっても上がりかまちから中には入ってこようとしなかった。

 

でも年齢を重ねるごとに甘えん坊になり、昔は抱っこが嫌いだったのに今はすっかり抱っこ好きに。

 

シニアになってからは室内犬になりましたが、今では一瞬でも家族の姿が見えないとキョロキョロ辺りを探します」

柴犬

 

そんなみかんちゃんですが、過去には病気や怪我も経験。最初は6歳のころになった子宮が腫れ上がる病気でした。

 

「あと数時間遅ければ命も危なかったようで、いまだにこの時のことを思うと何故もっと早く気付いてあげられなかったのかと悲しくなります。

 

その翌年くらいにジャンプに失敗して膝を負傷し手術。それ以降トラブルはなかったけれど、17歳で突然前庭疾患に...。

 

診断後2ヶ月ほどで急に悪化し、立つことができなくなりました」

 

フードを一切食べずお水も少しだけ。眼振が1週間も続き、もうダメかと思ったこともあったそうです。

 

けれど少しずつ食欲が戻って体力が回復し、再び立ち上がれるように。そこからみかんちゃんの介護生活が始まるのです。

 

介護生活は家族全員で取り組む一家の大仕事に。

柴犬

 

前庭疾患になって以来くるくると回ることが増え、次第に転ぶことも増えたみかんちゃん。

 

頭を下げた状態で歩くようになり、足が滑って歩きにくそうにしていることも。

 

そこでママさんはヨガマットを敷くなど、工夫をこらした介護生活を始めたそうです。

 

19歳の中頃からは徐々に筋力が落ち、今年の2月からは寝たきりに。

 

 “寝たきり“と聞くとネガティブなイメージを持ちがちだけれど、みかんちゃんのお顔はとても幸せそうで満ち足りた表情。

 

そこにネガティブさは微塵もありません。

柴犬

 

しかし、介護に慣れるまでのご家族の負担は相当だったようで、その時のことをママさんはこう話してくれました。

 

「良かれと思って敷いたヨガマットですが、頭をマットに擦り付けて歩くため顔が床擦れみたいになってしまって。いろんなことが試行錯誤の連続でした。

 

介護が一番大変だったのは、18歳から19歳前半でしたね。

 

まず夜鳴き。全く寝てくれず、ときには日中もずっと鳴いていて……。

 

どうしたものかと2〜3時間おきに少しずつご飯をあげたりお散歩に連れ出していたから、24時間のうち20時間は起きていました(笑)。

 

今考えれば、みかんは自分の体が思うように動かせない戸惑いやもどかしさを、鳴くことで訴えていたのだと理解できます。

 

また一番辛く大変だったのは、誰でもないみかん自身です。

 

しかし当時は私も寝不足と疲れで心に余裕がなく、なんでそんなに鳴くのなんて怒った日もあって。

 

今はそのことをすごく反省しているんです」

柴犬

 

24時間中20時間という過酷な介護生活。しかしご夫婦と3人の娘さんの家族全員で分担したおかげで、なんとか乗り越えられたのだそうです。

 

「これは今もそうで、夜寝る時は必ず誰かが付いています。

 

今では驚くほど夜鳴きがなくなったものの、今もお腹が空いたとき、排泄したとき、水が飲みたいときなんかは鳴いて教えてくれるので。

 

夜泣きがおさまったのは、みかん自身が、自分が動けなくなったことを受け入れたせいかもしれません。

 

しかしそれはそれで少し寂しくて、前のように元気に鳴いて欲しいなんて思ったりもします」

柴犬

 

介護をしていくうちに身につけたアイデアもたくさん。

 

「今も食欲旺盛なみかんですが、18歳頃から自分でご飯を食べることが難しくなりました。なのでカリカリをひと粒ずつ手であげるように。

 

咀嚼力が弱くなって以降は、カリカリをふやかしています。

 

昔からお腹が弱かったので、ずっと食事は犬用フードのみ、オヤツも少しだけ。もしかしたらそれが長生きに影響したのかもしれません。

 

最近は『ちゅ〜る』がお気に入りなので、今は毎日のご飯にちゅ〜るも必ずつけています」

柴犬

 

とはいえ、食事は1日がかり。食べる量は同じにもかかわらず、寝ている時間が長いので、起きている時を見計らい少しずつ食べさせる必要があるのだそう。その時にお水も飲ませています。

 

「ときには食べながら寝ちゃうことも。おばあちゃんになって赤ちゃんに戻ったみたいです。

 

寝床には痩せた体の骨が当たらないよう、底に人間用の枕を敷いて調節しています。あとは手足のマッサージを欠かしません。

 

歩けないけれど、動かさなければ筋肉が硬くなるので、摩ったり関節部分を曲げ伸ばしするなど、自己流ですがこれも必ず行なっています」

 

ママさんは当たり前のように語りますが、どれも深い愛情がなければれできない大変なこと。みかんちゃんがどれだけ大切に思われているかが伝わります。

 

ハイシニアになっていっそう深まる絆

柴犬

 

常に人の気配を感じることで安心している現在のみかんちゃん。今の方が若い頃よりずっと、家族と一緒にいる時間が長いそう。

 

「留守番をさせるのが心配で、抱っこでお花を見に行ったり外の香りを嗅いだり、一緒に出かけることが増えました。

 

まだ目も見え耳も聞こえているので、やはり外の刺激があった方がいいかなと思って。

 

ただ昨年の冬頃、眩しい光で痙攣を起こしたことがあったので、それ以降は日中は避け夜に外の空気を吸いに出るようにしています。

 

今年の最初までは日光浴なんかもしていましたが、体力がかなり落ちた今は何事もみかんのペースを大事にしています」

柴犬

 

「寝たきりになってからの方がみかんとの距離がより近くなりましたね。

 

若い時はいて当然と思っていたのが、こうして寝たきりになった状態の彼女を見ていると改めて“かけがえのない家族の一員”だと日々実感しています。

 

まさか寝たきりになるなんて思わなかったので、今になってもっといろいろ連れて行ってあげたり駆けっこしたりすれば良かったのかなと思う時もあります。

 

だけど長い年月を共に過ごした中で、その時その時でみかんが満足してくれる楽しいことはたくさんしてきたな、とも思うんですよ」

 

寝たきりになってもみかんちゃんが幸せそうな顔をしているのは、きっと満足した日々が宝物のようにたくさん積み重なっているからでしょう。

 

どんな時もユーモアを忘れず、みかんちゃんファーストで。

柴犬

 

みかんちゃんの日々の姿がアップされているSNS(@mikantheshiba)には、可愛いお写真と共にいつもユーモアたっぷりのコメントが添えられています。

 

例えばムキッと歯を覗かせた写真には“ママのお話しあんまり面白くなかったけど、とりあえず作り笑いだけでもしておくか”なんて、みかんちゃん目線の一文が。

 

寝たきりや介護というワードが連想させる悲壮感が全くないのです。

 

それは、ママさんが介護を辛いことだと思ってないからこそなのでしょう。

柴犬

 

「大変だった時期を乗り越えた今は、みかんがどうすれば快適に過ごせるのかを考えるのが何より大事だと気づきました。

 

寝た状態で痛い箇所がないか、心地よさはどうか。

 

たくさんの反省と試行錯誤を繰り返して、ようやく今の形に落ち着いたんです。

 

今は食べることが一番大事なので、まずは栄養管理。そして快適にのんびりと過ごして欲しい。

 

そして最期を迎えても家族みんなが悔いのないように、できることは全部してあげたいなと思っているんです。

 

みかんはそこにいてくれるだけで家族の中心ですから」

柴犬

 

取材の際、たくさんのお話を聞かせてくださった中に、とても印象的な言葉がありました。

 

「夜一緒に寝ていて、みかんちゃんが起きてこっちを見ているともったいなくて寝れないんです。可愛くて」

 

この一言だけで、その愛がどれほど大きいかが伝わります。

 

もう少しで20歳というところでみかんちゃんはお空に旅に出たけれど、最後の最後まで大好きなご家族に見つめられながら、こぼれ落ちるほどの愛情をもらって生きた19年10ヶ月。

 

旅立ちの日の朝、みかんちゃんは自分で元気に朝の排泄をして、キレイにしてもらっている時にやり切ったような表情で虹の橋へと向かったそうです。大好きなご家族の手の中で。

 

目いっぱい生き、愛され、それ以上の愛情や喜びををくれたみかんちゃん。

 

取材させてくれて本当にありがとう。さようなら、またね。

柴犬,ハイシニア犬

 

 

取材・文/横田愛子

 

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