2021年11月1日17,419 ビュー View

『犬は5歳』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#10

お笑いコンビ「アキナ」の山名文和さんは、2020年6月9日に愛柴のおまめを迎えました。保護犬施設からやってきた彼女は、当時8歳。

長年夢みてた“柴犬ライフ”を、ようやく実現した山名さん。おまめとどのように出会い、どんな生活をおくっているのでしょうかー。

アキナ山名と柴犬おまめの最高にラブい日々を、山名さんご本人が綴っていきます。

#10は、「だとしたら、犬は賢い」という話しー。

『犬は5歳』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#10

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顔を洗い、身支度を整える。それに合わせ、妻も化粧をし、着替える。財布携帯を持ち、キャップを被る頃には、おまめは玄関前に陣取る。扉を背にし堂々と真ん中に座り、こちらの様子を窺う。

 

これは、おまめが最近覚えた技。絶対に自分も行くんだという意志を覗かせる様になった。

 

こうなると、僕達の行き先はがらりと変わる。犬を連れていけない場所から、犬同伴オッケーの飲食店を探す時間がやってくる。

 

キャリーに載せ、歩き出す。おまめは前を見てちょこんと座るか、キャリーに前両足をかけて風景を楽しむ。子供達の声が聞こえるとバタバタとしだし、どれだけ「大丈夫」と声をかけてあげても飛び降りようとする。この瞬間僕らへの信頼は、無に帰す。声が聞こえなくなるとまたちょこんと時折鼻を舐めながら座っている。

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撮影:山名文和(アキナ)

 

犬同伴オッケーのお店で食事をして、おまめにあげられるものがあるときは一緒に注文したりする。ご機嫌にがっつく時もあれば意外に食べないときもある。

 

僕が子供の頃、母親が出かけるときそれがどんな場所であろうと付いて行きたかった。スーパーに行くときは当たりで、おばあちゃんの家に行くときは大当たり。

ヒカリ屋という婦人服売り場に行くときは大ハズレだった。見るものがない場所に飽き母親の袖を引っ張り早く帰ろうと催促した。その絶望からの「おばあちゃん家ちょっと寄るわ」という一言は、からからになった心への恵みの雨だった。

いやもっと。パチンコでいうと4万負けからの10万勝ちかもしれない。ストレートに10万もいいが、どん底を味わってからの大勝ちのひりつき具合はえぐい。兎に角、家に残る孤独感より、何が待っているかわからない期待感の方が当然幸せなのである。

 

おまめもそんな感覚なんだろうか。

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撮影:山名文和(アキナ)

 

散歩から帰り、玄関で足を拭き、「よし」と声をかければ、猛ダッシュで家に入っていく。そんなに、外嫌やったんかいと思うほどのダッシュ。

 

僕も出かけて家に帰れば、そそくさとテレビの部屋に行き、お菓子を食べながらこたつに潜り込んでいた。

 

照らし合わせると、合点がいく。

 

夫婦で歌っていると、ゆっくり寝ていたはずのおまめがそばに来たことがあった。

夜、両親がリビングでテレビを見ながら話しているのをこっそり姉と覗きに行くのが好きだった。運が良ければ、父親のつまみのおかきを一つ貰えた。

 

犬はいつまでも人間でいう五歳くらいの脳だと聞いたことがある。一緒だ。

 

だとしたら、犬は賢い。

きっとまだまだ気を遣っているに違いない。

 

姉は煮物が嫌いだった。だから僕まで嫌いというと母親が可哀想な気がして好きなふりをしたこともあった。

姉はあまり遊びに行かなかった。僕は毎日学校が終わると遊びに行った。姉まで行くと母親が可哀想な気がして、あまり外に行かなかったらしい。

子供なりに気を遣っていた。

 

おまめは、まだまだ何か遠慮しているのだろうか。

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撮影:山名文和(アキナ)

 

「おまめよ、あなたは家族であり友達であり恋人である。だから、何一つ我慢しなくていい。けれど、気に入らないご飯を食べなくなるのだけはやめてな」と、声をかけるようにしている。

届いているかわからないけれど、遠慮だけは溶かしていってほしい。

 

はっきりとわかるような変化はないけれど、毎日毎日がグラデーションの様にゆっくり色を変えていくのがわかる。

 

どれだけ眠くてだるい朝も、おまめを見ると「なんちゅう可愛いんや」という感情が飛び込んでくる。眠い、だるい、めんどくさい負の感情むき出しの朝にこれほど温かい気持ちが、はっきりとやって来る。

 

皆さん、犬って、本当にいいですよ。

 

 

【プロフィール】山名文和(アキナ)

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1980年7月3日生まれ。2012年、秋山賢太とお笑いコンビ「アキナ」を結成。

レギュラー番組を多数抱えるほか、『キンブオブコント』『M-1グランプリ』『THE MANZAI』で決勝進出を果たす。

愛柴は、保護施設から迎えたおまめ(9歳)。

 

 

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