2022年1月17日10,564 ビュー View

【取材】“余命3ヶ月”の宣告から6年目!17歳6ヶ月でも「オレはいけるぜ!」#21 茶々丸

平均寿命は12〜15歳と言われる柴犬。そこで我が『柴犬ライフ』では、12歳を超えてもなお元気な柴犬を、憧れと敬意を込めて“レジェンド柴”と呼んでいます。

そんなレジェンド柴たちのライフスタイルや食生活などにフォーカスし、その元気の秘訣や、老犬と暮らす上で大切だと思うことを、オーナーさんに語っていただくこの特集。

今回ご紹介するご長寿犬は、17歳6ヶ月を迎えた茶々丸くんです。家族に見守られながら穏やかな日々を送っている……かと思いきや、後輩のトイ・プードルのちくわくんや、散歩仲間の柴友達と張り合う日々だとか。余命宣告を乗り越えた不屈の茶々丸くんの暮らしぶりをお伝えします。

茶々丸くんのプロフィール

柴犬

年齢&性別

17歳6カ月の男の子(2004年6月16日生まれ) 

 体重

14.5kg

 大好きなこと

犬友達との散歩、家で焼くサンマ

 既往歴

・1歳半ころに散歩で急に倒れ動物病院で脳か心臓の疾患を指摘され。興奮すると年に1回程度倒れることがあったが、頻回ではないので経過観察に。

・12歳になって急に倒れる回数が増え、検査で心臓の隣に腫瘍が見つかる。

・13歳のときに急性膵炎。また、腎臓の状態が悪化。

・15歳4ヶ月のときに前提疾患と診断。

 

プライドもボディも大きいのが元気の秘訣?

柴犬 

愛柴がシニアになったら、一緒に縁側でお茶を飲むような日々を送れたら……と穏やかな老後をイメージしている飼い主さんは、17歳6ヶ月を迎えた茶々丸くんの日々に驚くかもしれません。

 

同居犬の後輩である13歳のちくわくん(トイ・プードル)を兄として見守り、若い柴友達と散歩に行けばと張り合うように歩きます。

 

「茶々丸なりにプライドがあって、後輩や若い犬の前でかっこつけたいんだと思います。『オレは17歳でもこれだけ歩けるんだぜ』と言っているよう(笑)。

 

もともと骨格が大きいデカ柴犬で、成犬になってから体重12kgをキープ。歳をとったら痩せてくる犬もいますが、茶々丸は逆に10歳をすぎてから18kgまで太ってしまいました。

 

老化で徐々に体重が落ち、今は13.5Kgを維持しています」(茶々丸くんオーナーさん=以下「」内同)

 

茶々丸くんの元気の秘密は、高いプライドと頑丈な骨格かもしれませんね。

 

「後輩のちくわも9.5kgもあるデカトイプーです」と笑うオーナーさん。ビッグなコンビでこれからも長生きを目指したいそうです。

 

興奮したときに突然倒れるように

5歳のころ、富士山と一緒に

 

オーナーさんが茶々丸くんを迎えたのは、生後50日すぎのころ。当時はアパートに住んでいましたが、茶々丸くんは「ごはんが食べたい」「散歩に行きたい」といった最低限の要求で吠える程度で、集合住宅でも困ることはなかったそうです。

 

しばらくして庭付きの一戸建てに引っ越してからは、門扉の近くが定位置に。番犬をするのかと思いきや、「通行人に声をかけらえるのを待っているだけ(笑)」と人懐こい性格でした。

 

「もともとおっとりしているタイプです。ただ、子犬のころから興奮するとやたらとウレションをするのが気になっていました。

 

そんな中、1歳半のとき、はしゃいだ後に失禁して倒れてしまったんです。

 

すぐ何事もなかったかのように立ち上がって歩き始めましたが……。

 

それからも年に1〜2回、興奮すると倒れることがありました。ウレションが何かの前兆だったのかもしれないなと思います」。

 

柴犬

 

念のため動物病院に連れて行ったところ、心臓か脳の問題だろうとのこと。

 

動物病院が苦手な茶々丸くんには検査が逆に負担になるため、獣医師と相談してそのまま様子を見ることに。

 

「よく見てみると、茶々丸が倒れる前に呼吸がハアハアと変なふうに荒くなるんです。

 

だんだん危険なサインがわかってきたので、呼吸が変になったら落ち着かせたり、倒れたときに頭をぶつけないように支えたりする準備ができました」。

 

オーナーさんのしっかりとした観察が、茶々丸くんを救っていたんですね。

 

余命3ヶ月と宣告されてから、6年目に突入

2021年10月。17歳でも若いものには負けません!

 

7歳になって受けた健康診断で心臓の超音波検査を行った際には、獣医師に心臓の丈夫さにお墨付きをもらいました。

 

ところが12歳になって急に倒れる回数が増えたので検査したところ、心臓の隣に5cm大の腫瘍が見つかります。これが心臓の動きを邪魔していることが判明。

 

「腫瘍が良性か悪性か調べるためには全身麻酔になるし、悪性とわかっても手術が難しいと言われました。

 

茶々丸の生命力に任せるしかないんじゃないかと。しかも余命3ヶ月と言われて……。

 

このときは落ち込みました。心臓の血流を助ける薬を処方されたものの、これからだんだん弱っていくんだろうな、次のお正月は迎えられないんだ、と覚悟しました」。

 

ところが、茶々丸くんは今までどおり散歩に行き、ごはんもしっかり完食。なんと、むしろどんどん元気になっていったそう!

 

「動物病院に行くたびに、先生も『ん?』みたいな感じになってきて(笑)。腫瘍は良性だろうということになったんです」。余命宣告から6年目、茶々丸くんは記録を更新中です。

 

急性膵炎と前庭疾患を1週間で乗り越える

柴犬

2012年、お嫁さんの福さんと

 

最大の危機を乗り越えたと思った矢先、13歳のときに急性膵炎が茶々丸くんを襲います。

 

「動物病院で命に関わると言われましたが、1週間後にはまだ元気に」と、オーナーさんも獣医師も茶々丸くんの生命力の強さに驚かされっぱなし!

 

「でもこのころから足腰の衰えが顕著になって。車にぴょんと乗れないことが増えたので、抱っこで乗せるようになりました。

 

『オレは跳べる!』と意地を張ることもありましたが、今はおとなしく介助させてくれますね」。

またこの頃から背中が曲がってきたので、腰の痛みを抑える注射を毎月打ってもらっていたそうです。

 

15歳4ヶ月のときには頭が傾くようになり、前庭疾患と診断。

 

「診断されたとき、3週間後に茶々丸のお嫁さんと娘と家族旅行の予定だったんです」。

 

柴犬

初娘とご対面!

 

実は茶々丸くん、6歳のときにパパに。ご縁があった柴犬・福ちゃんとの間に、ポーちゃんと幸(さち)ちゃんが生まれています。

 

「私の勝手な自信で『茶々丸は治る!』と思っていました。そうしたら本当に傾きもほとんどわからないくらいまで回復したんです。

 

動物病院の先生にも気分転換に旅行をすすめられたので、予定どおり楽しんできました。茶々丸はむしろパワーアップして絶好調でしたね(笑)」。

 

食事は体に合っている成犬用フードにトッピング

柴犬,トイプードル,浅間山

2017年、浅間山をバックに

 

現在、茶々丸くんは17歳6ヶ月のハイシニア。老化によって小さな不調が出ることもあります。

 

そんな茶々丸くんの体調の管理のため、オーナーさんが役立てているのが、大好物のおやつ! 

 

「ドギーマンの『紗(さや)』が大好きで、これを食べないと不調だと思って動物病院を受診する目安にしています。

 

朝は調子が出なくてごはんを昼から食べ始めることもあるので、ごはんよりもおやつのほうが食欲をチェックしやすいんです。歯も丈夫で、今も馬アキレスだって食べちゃいます」。

 

普段の食事は、スマックの『家族のごはん すき焼き味(成犬用)』。シニアや病気に配慮したフードに変えたこともありましたが、食欲がなくなったりウンチがゆるくなったりしたので、若いころと同じものにしているそうです。

 

「フードには鶏ササミや牛ヒレを旬の野菜と一緒に茹でてトッピングしています。

 

秋には茶々丸が大好きなサンマも加えますね。

 

あとはおいなりさんをあげることも。ここまできたら、食べて毒になるものでなければ、好物を食べさせてあげたいという気持ちです」。

 

長生きのためにやってよかったこと、後悔していること

柴犬,秋田県犬っこまつり

2009年、秋田県犬っこまつりへ

 

長寿犬と暮らす上で、やっておいてよかったことがリフォーム。

 

茶々丸くんが本格的なシニアになる前、リビングを滑りにくい床材に変えたそうですが、茶々丸くんの足腰が衰えてからは、踏ん張れることの大切さを実感しているとか。

 

また庭にミニドッグランをつくったのもやっておいてよかったこと。“完全外トイレ派”な茶々丸くんを朝晩、自由に過ごさせることができています。

 

「わんこ友達がたくさんいることも茶々丸の生きがいになっていると思います。

 

相性がよくない犬とも一緒に散歩をしているうちに、心得を許して“柴距離”で付き合えるようになりました。

 

会って何をするわけでもないんですが、『若い者に負けるか』という張り合いが出るようです。弟分のちくわには相変わらず兄として大らかで、おやつを横取りされても『まぁいいか』とのんびりしています」。

 

柴犬,トイプードル

 

逆にやっておけばよかったと思うことは、ハーネスの練習です。

 

茶々丸くんは若いころに装着して固まってしまったので断念しましたが、「歩行補助ハーネスを使うときに役立つと思います」とのこと。

 

また、災害時に備えて「クレートトレーニングもしておくべきでした」とオーナーさん。『レジェンド柴の肖像』を読んでいるオーナーさんにおすすめしたいそうです。

 

柴犬,トイプードル,シーズー

 

「シニアになったら気難しくなると言われることもありますよね。

 

でも茶々丸を見ていると、『オレ、どうしちゃったんだろう』って自分自身の老化にとまどっているような気がするんです。

 

代わりに家族が老いを受け入れてサポートすることも大切ですが、過保護にしすぎるのもよくないと思って、今も1時間くらい散歩に行くこともあります。

 

行ったことのない公園に行くと、うれしそうに“くん活”もしていますね。何歳になっても新しいことへのチャレンジが大切だと思います」。

 

茶々丸くんが「まだいけるぜ!」と張り切っていられるのは、オーナーさんのこんな配慮のおかげではないでしょうか。これからもかっこいい“レジェンド柴”の姿を見せてくださいね!

 

柴犬

 

取材・文/ 金子志緒

 

★「#レジェンド柴」で投稿お待ちしています!

柴犬ライフでは、取材にご協力頂けるとレジェンド柴を探しております!

12歳を超えた柴たちは、「#レジェンド柴」をつけてInstagramに投稿してみてくださいね。

編集部から取材のお声がけをさせて頂くかも!?

 

 

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