【取材】3歳で初めて知った「走る喜び」。今では飼い主との絆が試されるスポーツ・エクストリームで全国大会入賞を果たすまでに!#2紅
“保護犬と家族になって感じた幸せ”をテーマに、元保護犬を迎えた柴オーナーさんに愛柴との出会いから、家族になっていくまでの過程などを伺う特集「保護犬と家族になって」。今回は、推定3歳で迎え入れた、現在7歳の女の子、紅ちゃんを取材しました。温かな家族に迎えられて、紅ちゃんが初めて知った走る喜び。それがきっかけとなり、今では誰よりも強い絆でオーナーさんと結ばれているのです…。
紅ちゃんプロフィール
年齢&性別
推定3歳で迎え入れた、現在7歳の女の子。
保護されていた理由
ブリーダーの廃業。
性格
あまり吠えない、少し臆病で静かな子。本当は人の温もりが好きだった。
立ち姿に惹かれて

迎えて1ヶ月ほどの頃
元々柴犬を飼いたいと思っていたオーナーの瀧さん。最初はペットショップを訪れました。
ですが、抱いてみた仔犬があまりに元気で活発だったため、少し戸惑ってしまったそうです。
「元気な仔犬は可愛かったものの、これはずっと構っていてあげないと大変だと思いました。
ですが、家族みんなフルタイムで仕事をしていたのでそれは難しくて。
家を空けている間も心配だし、仔犬から飼うことは少し不安に思ってしまいました」(瀧さん=以下「」内同)。
そこで仔犬以外の選択肢を探しているうちに、保護犬の譲渡情報が載っているサイトを発見。
廃業になるブリーダーからの募集に応じ、直接連絡を取って訪問しました。
「そこには50頭くらいの犬がいましたが、一番キレイな立ち姿をしていたのが紅でした。
大人なので落ち着きもあり、体の大きさも変わらないので、この子なら一生きちんと面倒を見られると思えました。
一緒に行った姉からも背中を押され、その場で譲っていただくことを決めたのですが、実は細かな手続きはありませんでした。
その施設はあまり管理が行き届いていないようで、ワクチン履歴等も不明だったんです。
心配なのですぐ病院に連れて行きましたが、便が緩い以外は悪いところもなく、便も薬ですぐに改善したのでホッとしました」。
保護犬の譲渡には様々なケースがありますが、外見からは分からない病気や怪我を抱えた子もいます。
早めにかかりつけ医を持つ意味でも、瀧さんのようにまず病院で診てもらうことは重要ですね。
紅ちゃんのペースで
晴れて瀧家の一員となった紅ちゃん。迎えてすぐの様子はどうだったのでしょう。
「最初はご飯も食べずに怯えていました。でも2食目からはバクバク食べて(笑)、それ以来ずっと食欲は旺盛です。
初めはこちらを見てくれませんでしたが、1週間くらいで目が合うようになり、尻尾も振ってくれるようになりました。
犬を飼っている同僚からのアドバイスもあって、嫌がらない程度に抱きしめてあげたのが良かったのかもしれません。
居場所も最初は玄関の端に隠れるようにしていましたが、3カ月くらいで家の中に入るようになりました」。
譲渡前はずっとケージの中にいたせいか、リラックスして座ったり伏せたりすることもできなかった紅ちゃん。
そんな紅ちゃんを見て、ご家族は抱きしめるとき以外にも、仕事のない朝と夜はなるべくそばにいるようにしていました。
最初は、嫌がりはしないものの喜びもしなかったそうですが、1週間くらい続けると喜んでくれるように。
そして半年もすると、紅ちゃんからくっついてくるようになり、「心を開いてくれた!」と感じたそうです。
適度な距離感を保ちながら、焦らずじっくり愛情を伝えることで、紅ちゃんのペースで安心や嬉しさを感じられるようになったのだと思います。
ドッグランでは⋯
散歩や他の犬とのコミュニケーションについても伺いました。
「散歩に慣れていないようで、ヒートだったこともあり、最初は楽しく歩ける感じではありませんでした。
歩く楽しさ、というより走る楽しさに紅が気付いたのは、ドッグランに行ってからです。
ドッグランでも最初は隅っこにいましたが、他の犬がいないときにボール遊びなどをして、遊ぶ楽しさを知りました。
初めて連れて行ってから3カ月経った頃で、回数は5回目くらいだったと思います。
楽しそうに走り回ってはしゃぐ姿は、最初の散歩のときからは想像できない程でした。
ただ、ドッグランに慣れると共に、他の犬への“威張り”が出るようになって。他の犬と遊び慣れていなかったからだと思います」。
瀧さん一家に迎えられ、初めて走ることや他の犬と遊ぶことを知った紅ちゃん。
その方法が分からないのも無理のないこと。やはり時間をかけて慣れさせてあげることが大事だと感じました。
ドッグランでは似た性格の犬と衝突することもあったそうで、保護犬に限らず、リードを外すときは最大限の注意が必要ですね。
走る喜び!
生まれて初めて知った、走る喜び。その喜びが紅ちゃんの才能を開花させます。
「基本的なしつけのために近所の教室に通うことにしたのですが、そこに『エクストリーム』の練習場があったんです。
しつけの個人レッスンに途中からエクストリームの基礎も入れてもらい、その後エクストリームのグループレッスンに参加しました。
私が元々スポーツをやっていたので、紅と一緒に何かできたら良いな、と思っていたんです」。
エクストリームとは、『アジリティ』に近い犬の障害物競争のような競技で、飼い主と犬の絆を深めることがテーマになったスポーツです。
アジリティとの大きな違いは、犬と一緒に走るハンドラーが飼い主でなければならないこと。
愛犬と一緒にスポーツを楽しみたい、愛犬のことをもっと知って絆を深めたい、という方に最適な競技ですね。
紅ちゃんと瀧さんは2年前から競技会に向けた練習を始め、今では全国大会で特別賞をもらう程の腕前!
大会ではドキドキの瀧さんを尻目に、紅ちゃんは休憩中に眠ってしまうくらい余裕たっぷりだったそうです。

休憩中に寝てしまった、肝が座った紅ちゃん
家族の変化
紅ちゃんを迎え入れて4年が経ち、ご家族にも変化がありました。
「紅は普段リビングにいるのですが、家族が自然とリビングに集まるようになりました。
一緒にいる時間が増え、紅のことを中心に会話も多くなったと思います。
それと、当たり前ですが紅が来ていなかったらできていなかったこともたくさんあります。
一緒に過ごす日常の時間や、エクストリーム、おしゃべり、ベルでの受け答えなどもそうです」。
紅ちゃんは「しゃべる犬」としてテレビに出たこともあり、取材中もおやつを前に「食べる」と明言してくれました(笑)。
おしゃべりを始めたきっかけは、全然吠えたりしなかった紅ちゃんの声が聞きたい、という瀧さんの思いでした。
ベルでの受け答えも、どうにかしてコミュニケーションを取りたいという瀧さんのお母さまのアイデア。
何か質問すると、紅ちゃんが「チーン」と前足でベルを鳴らして答えてくれるそうです。
言葉がそのまま通じているかは別としても、「コミュニケーションを取りたい」という気持ちは間違いなく伝わっていますよね。
紅ちゃんとも、ご家族の間でも、コミュニケーションやそのための努力が自然に増えていた。
それが、紅ちゃんを迎えることで瀧さん一家に起きた、最大の変化だったのかもしれません。
「保護犬」ではなく「紅ちゃん」
紅ちゃんと滝さん一家は、とても良い形で家族になっていると感じます。その秘訣はどこにあるのでしょう。
「我が家に迎えた時から、紅はもう保護犬じゃない、と思って接してきました。
生活に必要なフォローはしますが、心の中で“保護犬だから”、“かわいそう”といった偏見を持たないように。
犬は同情なんか求めてないんじゃないかな、と思うんです。
紅を他の誰でもない紅として接することで、紅も心を開いてくれたのではないかと思います」。
“保護犬のオーナーになる”とあまり強く意識し過ぎると、それが犬にも伝わり、家族ではなく“保護者と保護される側”という関係になってしまう。
だから、同情ではなく愛情で接する。それが家族になる近道なのだと、滝さんの言葉や紅ちゃんの表情から実感しました。
以前は誰にも吠えることのなかった紅ちゃん。いまでは外から来た人にはしっかり吠えるそうです。
きっと、「ここはワタシの家よ! ワタシが家族を守ってるの!」と言っているのでしょうね。
取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)
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