2022年3月28日5,078 ビュー View

【取材】家族一丸のサポートで19歳目前!夜鳴きや介護の不安から犬も人も救った「獣医師の言葉」とは #22トイチ

平均寿命は12〜15歳と言われる柴犬。そこで我が『柴犬ライフ』では、12歳を超えてもなお元気な柴犬を、憧れと敬意を込めて“レジェンド柴”と呼んでいます。 この特集では、レジェンド柴たちのライフスタイルや食生活などにフォーカスし、その元気の秘訣や、老犬と暮らすうえで大切だと思うことを、オーナーさんに語っていただきます。今回は、もうすぐ19歳(2022年3月28日現在)のトイチくんが登場! 家族全員からの献身的な介護を受け、車椅子で散歩を楽しむスーパーレジェンドさんです。

トイチくんのプロフィール

柴犬

年齢&性別

18歳10カ月の男の子(2003年5月22日生まれ)

体重

5.4kg(成犬時8.5キロ前後)

大好きなこと

1日2回の車椅子でのお散歩、食べること。

既往歴

・13歳のころ、尿管結石で手術。術後、出血が止まらないため尿管を切除、肛門の手前に排尿口を作る形成手術も。

・同じく13歳のころアレルギー性皮膚炎に。検査の結果、多種のアレルギー持ちと判明。

・17歳になるころには認知症が進み、漢方薬やサプリメント等を処方する統合治療をスタート。現在も通院中。

 

お散歩中に飛び散るような血尿が

柴犬

 

もうすぐ19歳のお誕生日を迎えるトイチくん。オーナーの高橋さんご家族に温かく見守られながら、車椅子でのお散歩が日課です。

 

迎えた当時、まだ幼かった娘さんと息子さんが習っていたのが剣道。トイチくんの名前は、剣道をテーマにしたマンガ『六三四の剣(むさしのけん)』(作者:村上もとか)の主人公が飼っていた犬・十一から命名したもの。

 

シニアになるまで、大きな病気やケガはなく元気に過ごしてきましたが、13歳のある日の散歩中、飛び散るように真っ赤な血尿が。

 

近所の病院に駆け込むと、尿道結石という診断でした。

 

止血剤を使って2~3週間ほど様子を見ていたものの、血尿が止まらなかったため、高度医療センターに入院することに。

 

その後、泌尿器科の専門医がいる病院へ転院。尿道に詰まった石を取り除き、おしっこが出るようにするための手術をしたのですが、詰まっていたのが相当大きな石だったためか、尿管を突き破った裂傷が見られました。

 

柴犬

 

手術でこの傷を縫合したにもかかわらず、出血が続き、二度目の手術に。肛門の手前に排尿口を作る形成手術をしたそうです。

 

「手術後は少しずつ回復し、去年までは立っておしっこをしていてマーキングもできていました」と高橋さん(以下「」内同)。

 

トイレは外派のトイチくん。思い返すと、血尿を出す1カ月くらい前から、夜中にトイレに行きたがることが続いていたんだそう。

 

近所の獣医さんで超音波検査をしたとき「おしっこがたまっている」と言われ、そのときにはすでに石が詰まっていたと思われますが、血尿が出るまで尿道結石だと気が付かなかったそうです。

 

術後に免疫力が低下し、様々なアレルギーを発症

柴犬

 

術後しばらくすると、今度はおなかと足にひび割れのようなかさぶたが。

 

かかりつけ病院で処方された犬のアトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎の治療薬・アポキルを半年ほど投薬していましたが、症状は悪化するばかり。

 

専門医のいる皮膚科に行くと、「免疫力が下がって、様々な食物アレルギーを発症したのと、皮膚にマラセチア菌が付いてる」と診断されます。

 

ぬり薬でマラセチア菌を除去し、ごはんは療養食中心に。花粉など植物のアレルギーもあったため、散歩後は必ず体を拭くといったケアを続けていたところ、アレルギー症状は約1カ月半で落ち着きました。

 

柴犬

 

このことがきっかけで、ごはんはサーモン、馬肉、鹿肉が中心に。フードは、ラボラインの『ピュアプロテイン サーモン』、ロイヤルカナンの『セレクトプロテイン カンガルー&オーツ ドライ』をあげています。

 

ハイシニアになった今は咀嚼力が弱まってきたので、フードをミキサーで細かくし、ふやかしたものをあげています。

 

牛、豚、鶏のほか、お米など様々なアレルギーがあるトイチくんですが、実は鶏肉が大好物。

 

「年を取るとアレルギー反応が鈍くなるから、あまり神経質になりすぎないようにと言われたました。オムツを変えたタイミングや、なかなか寝付けないときに、ゆでたササミやチーズをあげると、満足して寝てくれるんです」。

 

そのほかに腸内環境を整えるため、腸内フローラを増やすサプリメントもあげています。

 

連日の夜鳴きに悩み、漢方薬を服用

柴犬

 

アレルギーの次に頭を悩ませたのが、17歳になったころから進んできた認知症。

 

急に歩けなくなったこともあり、ストレスのせいか夜中に暴れたり、夜鳴きをするようになり、高橋さんご夫妻も満足に眠れない状態に。

 

「仕方なくけいれん止めの座薬を使っていましたが、強い薬は体への負担が大きいため、使い続けることが不安で…」。

 

そこでSNSなどで情報発信をしている埼玉県新座市にあるふじわら動物病院へ。

 

東京都西部のご自宅からは少し遠いものの、家族全員で出向き、治療法についてのカウンセリングを受けたそうです。

 

「ふじわら先生は、“いろんな治療をして苦しみながら生きるのもひとつだけど、枯れるように犬生を終えられるように、私も飼い主さんとワンちゃんとやっていく”という獣医さんでした。

 

この考え方に感銘を受け、“この先生にお願いしてみよう!”と思ったんです」。

 

それから月1回の通院がスタート。毎回、そのときの体調に合わせて薬の量を調整してもらっています。

 

薬,サプリ

 

今は朝晩、煌風(そくふう)、寧心(ねいしん)、精心(せいしん)という漢方薬3種類とサプリメントを服用。

 

また寝る前に、脳の興奮などを抑えることで不安、緊張、不眠などを改善する薬『ホリゾン』5mgを1.5錠を服用しています。

 

そのおかげで、夜に起きることはあっても騒ぐことがなくなったそうです。

 

「病院を変えるのは、それまでお世話になってきた先生に申し訳なかったんですけどね」と、心苦しさを語る高橋さんですが、誤診を避けるだけでなく、自分が納得の行く治療方針と出会うためにも、セカンドオピニオンを取るのは大切なこと。

 

また認知症は、とかくご家族だけで不安を抱えてしまいがち。

 

認知症専門医に相談をすることは、家族と愛柴、お互いが穏やかに過ごせる時間を少しでも長くするために有効な手段です。

 

家族だけで悩みを抱え込まず、どうか専門医を頼りましょう。

 

初めて乗せたときからうれしそうだった車椅子

柴犬

 

昨年夏、18歳になってからは筋力が低下し、歩幅が狭く、長い距離が歩けなくなってきたトイチくん。

 

そこで大阪の犬用車椅子メーカー『歩犬舎』で車椅子をセミオーダーしました。

 

体長や胴回りなどを測り、注文から1週間ほどで届いた車椅子に初めて乗せたときから、トイチくんはすごくうれしそうだったんだとか。

 

「以前に行っていた病院で、足を動かすと内臓も動くから、なるべく歩かせたほうがいいですよ、と言われていたんです」。

 

最初は“車椅子に乗せるのはどうか?”と懐疑的だったママさんですが、「今のところ、トイチは歩く楽しさを失わずにいます。

 

お散歩が大好きで、ご近所でいろんな人に声をかけていただける。ほめられると、帰り道は足取りが軽快になるんです」。

 

犬用車椅子

 

今は朝はご主人、夕方はママさんが30分ずつお散歩へ。

 

犬の介護士資格の保持者でもある『歩犬舎』代表・新井川さんによる具体的なアドバイスも役立ったそうです。

 

「ごはんは抱っこして食べさせるよりも、立ってる状態で食べないと誤嚥しやすいので車いすのまま食べさせてくださいとか、ペットシートをクリップでたわませて、トイレができるようにすると掃除の手間が省けるといったことを教えていただきました」。

 

老いるとは、失うばかりではなく得るものもある

柴犬

 

若いころは、とにかく我が強かったトイチくん。

 

「私たちの思い通りにいかないことがほとんどで。若いころは息子や娘に抱っこされるのも不快そうでしたけど、今は抱っこし放題です(笑)。

 

抱っこすると、私の顔を見上げるんですよね。たぶん白内障で見えてないんですけど。それでも身を委ねてくれるのが、愛おしくて愛おしくて」。

 

そんな高橋さんが考えるトイチくんの長寿の秘訣は「大好きなお散歩に行き、よく食べて、腸内環境を整える。そして何より、たくさんの方々からの愛を全身で受けること」。

 

柴犬と家族

 

さらに、ご家族の協力も欠かせません。

 

息子さんも娘さんもすでに独立していますが、ご夫婦とトイチくんの体調を気づかって、息子さんはノートPC持参で在宅で仕事をしたり、娘さんは毎週末実家に帰ってきて、夜の介護を代わってくれるそう。

 

「2年前にトイチが胃腸炎で2日くらい飲まず食わずだったことがあって。

 

そのとき、娘は“この子と過ごせる時間は限られているんだ”と痛感して、出張先から泣きながら帰ってきたんです。娘はトイチを激しく愛していますね(笑)」。

 

転院を検討していたときも、「どういう先生にお願いするのか」と心配で、家族全員で病院へ行ったそう。

 

「おかげで、通院も安心して任せられます」。治療や介護の方針をご家族で共有するのも、大事なことですね。

 

柴犬と家族

 

最後に、トイチくんへの思いを伺うと、ママさんは瞳を潤ませ、言葉に詰まりながらも「もう感謝しかないです」と話してくださいました。

 

「この子がいろんな人とのご縁をつないでくれて、いろんな人の愛情に気づかせてくれました。家族みんなをつなげてくれたのもトイチ。宝物です。

 

また、トイチが年を取るとともに、いろんなことを受け入れるようになってくれて。

 

その姿に、“老いるというのは、失うものばかりではなくて得るものもあるのだな”と感じました。私も見習わないとと思います(笑)」。

 

お散歩をしてると、いろんな人がトイチくんに「キミは幸せだね」と声を掛けられるそうです。そのたびに、高橋さんは「私たちが幸せをもらってるんだなぁ」と実感するそうです。

 

そんなトイチくんはあと少しで19歳に!

 

柴犬と家族

 

「去年、河口湖にあるペットOKのホテルに行ったとき、“これまでのゲストで最高齢の犬です”と言われたんです。今年もぜひ記録を更新しに行きたいですね。

 

だけどトイチは家が好きなので、家がいちばんなのかも(笑)。大好きなワンちゃん用のケーキと馬刺しでお祝いしたいです」。

 

愛情あふれるご一家で、楽しいお誕生日が迎えられますように。その後も穏やかな暮らしが1日も長く続くといいですね。

 

柴犬

 

取材・文/都丸優子

 

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