2022年4月11日6,024 ビュー View

【取材】17歳にして毎日5kmを歩く!丈夫な体は自然食品店を営むママのスゴ腕食事管理のたまもの #23ビジン

平均寿命は12〜15歳と言われる柴犬。そこで我が『柴犬ライフ』では、12歳を超えてもなお元気な柴犬を、憧れと敬意を込めて“レジェンド柴”と呼んでいます。 この特集では、レジェンド柴たちのライフスタイルや食生活などにフォーカスし、その元気の秘訣や、老犬と暮らすうえで大切だと思うことを、オーナーさんに語っていただきます。今回は、17歳目前の女の子、ビジンちゃんの登場です。今でも自分の足でロング散歩をするというビジンちゃん。その健康のカギは自然食品のお店を営んでいるママさんによる食事管理でした。

ビジンちゃんプロフィール

柴犬

年齢&性別

16歳10か月の女の子(※2022年3月時点。2005年5月29日生まれ)

体重

7.6kg(MAX10.5kg)

大好きなこと

ママに抱っこされてコタツに入ること

既往歴

・生後2か月半で引き取ったばかりのころ、ケンネルコフ(伝染性気管支炎)になるも自然治癒。

・3歳のころアトピー性皮膚炎を発症し、おなかの皮膚が真っ赤に炎症。体質的なものか、口のまわりと耳の内側に白癬菌による皮膚炎も。

・7歳の時には尿路結石に。

・15歳を過ぎたころからだんだん老いの症状が見られるようになり、昨年11月ごろ(16歳6か月)に一気に症状が進行。認知機能、視力、聴力が著しく低下。ほぼ見えない、ほぼ聞こえない状態に。

 

展覧会に参加経験アリ!正真正銘のビジン(美人)ちゃん

柴犬

2015 年4月、満開の桜の下で。

 

京都にお住いのママさんが、「できれば柴犬で」と引き取れる保護犬を探していたのは、今から約17年前。

 

しかし、なかなか条件が合う子にめぐりあえず、結局ブリーダーさんにお世話になることに。

 

「“売れ残り”といったらかわいそうですけど、ブリーダーさんのところでも愛想がいい子から売れていくわけですよ。

 

この子は全然愛想がなくて、人が“おいで”と言っても知らん顔だったので、生後2か月経っても買い手がいなくて。それでうちで引き取ったんです。

 

男の子だったら名前を“ビダン”、女の子だったら“ビジン”にしようというのは決めていて、たまたま女の子だったので“ビジン”と名づけたわけです」。

 

けして名前負けをしていないのがビジンちゃんのすごいところで、ブリーダーさんに柴犬の展覧会への出場を勧められた経験も。

 

「でも、性格が向いていなくて…。

 

展覧会に出る子って、吠えられたら吠えかえすくらいの根性がないとダメなんですね。

 

でも、ビジンは“早く帰ろう”って感じの性格で、立ち込み(ポージング)もできないので、参加はできませんでした」。

 

一般的に“独立心が強い”と言われる柴犬の中でも、とくにその傾向が強かったビジンちゃん。

 

「抱っこされるのが大嫌いで、家族以外の人がパーソナルスペースに入ってくると急にガブッとやったりするんです。

 

10歳くらいになってドッグランに連れて行ったりもしたんですけど、ほかの子たちがビュンビュン走り回っていても、知らん顔で座ってくつろいでるんですよ。

 

で、においを嗅ぎに来られると途端に機嫌が悪くなる。“私はたそがれるので放って置いてください”って感じで。とにかくまわりに興味がない子でした」。

 

ママさんこだわりの食事管理で病気を克服

柴犬

2022年3月。最近あくびが増えてきました。

 

17歳目前の現在、内臓疾患は一切ナシというスーパーレジェンドぶりを発揮しているビジンちゃんですが、その健康長寿は、自然食品のお店を営んでいるママさんによる食事管理がカギだったと言っても過言ではありません。

 

「うちに来たばかりの時は、一般的な子犬用フードを与えるだけで、食事に関しては難しいことは考えていなかったんです。

 

ただ、3歳で突然アトピー性皮膚炎になって、おなかが真っ赤になっちゃって。

 

それをきっかけにアレルゲンを除去したドッグフードに切り替えました。

 

あとは、亜麻仁オイルや酵素を食べさせることは徹底していましたね」。

 

酵素といえば、犬に限らず人間にとっても生命維持に不可欠なもの。酵素がなければ、食べ物に含まれている必要な栄養素を体に運ぶことができません。

 

「酵素にもいろいろあるんですが、私はラムネタイプのものをおやつのように食べさせていました。

 

あと、ビジンは生の大根が好きで、大根も酵素が多いのでよくドライフードに混ぜてあげてました」。

 

仕事のために栄養についていろいろ勉強されたママさんによると、動物は本能的に酵素を求めているそうで、キャベツやフルーツが好きな犬が多いのも酵素が豊富だからなんだとか。

 

柴犬

2017年ごろ、近所の公園にて。

 

そして、次に食事を大きく変えたのが、ビジンちゃんが7歳の時。

 

「避妊手術は済んでるはずなのに、絨毯にポトッと血がついていて。“あれ?”と思って病院に連れて言ったら、“あー、砂みたいなのが混ざってるね”と…。診断は尿路結石でした」。

 

犬の尿路結石は大きく分けて2タイプ。

 

尿のpHがアルカリ性に傾く“ストラバイト結石”と、尿のpHが酸性に傾く“シュウ酸カルシウム結石”です。

 

ビジンちゃんの場合はシュウ酸カルシウム結石だったため、それに対応したドライフードに切り替えたそう。

 

「ただ、ドッグフードには犬が好きな油やちょっと困った酸化防止剤が入ってるものも多いので、“これは長く与えられないな”と思い、ネットで酸化防止剤無配合のものを探しました。

 

どんな食べ物でも酸化はするので酸化防止剤は仕方ない部分もあるんですけど、それならローズマリーとか自然由来のものを選びたくて」。

 

市販のフードも成分表示をしっかり確認してから購入すること、できるだけ自然由来のものを与えること。

 

これは自然食品を取り扱うお店をやられているママさんならではのこだわりでした。

 

柴犬

2022年1月。今でも自分の足で散歩します。

 

シニアと呼ばれる年になってからは、シニア用のドライフードでアレルゲンがないもの、食べやすい小粒のものをチョイス。

 

ただ、年齢のせいもあってか、最近食べむらがあるのが悩みだそうです。

 

「ウエットタイプのフードのほうがニオイが強いので食いつきがいいんです。

 

なので、たまにウエットタイプをあげたり、いつもの食事にササミがパウダー状になったものをかけてあげたりはしてますね。

 

それでもなかなか食べてくれない時は、食器を傾けて食べやすいようにしてあげたり、スプーンで口元に運んであげたりすると食べてくれます。

 

なので、近々シリコン製のスプーンでも買ってこようかと思ってます。金属だと歯にガチガチ当たって嫌だと思うので。

 

器も金属製のものから紙皿に変えたら食べむらが解消された…なんて話も聞くので試してみようかと思いますね」。

 

首の筋肉や足の関節、嚥下機能が低下している老犬にとって、下を向いての食事は苦痛です。

 

その子に合った高さ&角度&素材の食器を選んであげることは、とても大切なことだと再確認しました。

 

健康&長寿の秘訣は毎日の通勤

柴犬

 

ママさんいわく「愛想がない」ビジンちゃんですが、じつはこの16年以上、立派にママさんのお店の看板娘を務め続けています。

 

自宅からお店までの距離は2.5km。毎日5kmもの道のりを歩いて往復しているのです。

 

「それが朝晩のお散歩代わり。お店の配達があって車で通勤することもあるんですが、その時はいったん帰って、車を置いてからお散歩へ。

 

とにかく歩かせることには力を入れていて、今、寝たきりになっていない理由のひとつはそこかなと思っています。

 

ワンパターンになりがちな通勤ルートも日によって変えて、いろんな景色を見せるようにしていたのもよかったかもしれません」。

 

お店のお客さんにはビジンちゃん目当ての方も訪れるそうで、そこでのふれ合いや、ビジンちゃんの“看板犬”としての職業意識も脳へのいい刺激(?)となって、長寿にひと役買っているのかもしれません。

 

認知機能、視力、聴力が低下。介護が現実のものに…

柴犬

 

今も自分の足で歩いてお散歩に行っているビジンちゃん。夜、用を足したい時も鳴いてママさんに知らせるため、オムツはしていません。

 

そんなビジンちゃんも、5月になれば17歳。寄る年波には勝てず、最近では少々まだら認知症の兆候が…。

 

「京都では、15歳になると長寿犬の認定証がもらえるんですよ。

 

それで私が“それをもらうまではしっかりしてて”って言ってたのがいけなかったのかもしれません。

 

昨年9月に認定証をもらってから、ちょっとずつ“あれ…?”と認知症を疑うような症状が出てきて、11月くらいに一気にガクッときたんです。

 

目がほとんど見えなくなったのも、“耳が聞こえてないのかな”と感じ始めたのも、食欲がなくなったのもその頃からです」。

 

もともとは自立心が強く、人や犬に興味がない性格。

 

ママさんが出かけても分離不安で吠えるようなことは一切なかったため、5〜6時間のお留守番も心配なかったそうです。ところが…。

 

「今は2時間でもお留守番はさせられませんね。

 

目が見えていないので、狭いところに入り込んで出られなくなったりするんです。そうなると鳴くんですね。

 

今は家具と家具の間に詰め物をしたりして入り込まないように対策はしてるんですけど、それでも“またどこかに頭を突っ込んでるんじゃないかな”とか“鳴いてるんじゃないか”って心配に。

 

正直、子犬の頃と同じくらい気を遣わないといけないので大変です」。

 

昔から抱っこが大嫌いだったビジンちゃんですが、今はママさんに抱っこされて一緒にコタツに入ってる時間が一番落ち着いているのだとか。

 

「昔はそういうことをすると暴れて嫌がってたので、やっぱり視覚、聴覚が衰えてしまって心細いのかな…とは思います」。

 

ママさんの体温と香りを感じられることで安心しているのでしょう。このようなスキンシップの時間を今は大事にしているそうです。

 

柴犬

 

ただ、愛犬が老いていく姿を目の当たりにして不安になるのはオーナーさんも同じ。ママさんがこんなお話をしてくれました。

 

「今までにも犬を飼ったことはありますが、実家でほかの家族もいたので犬に対する“責任”を一人で背負わなくてよかったんですよね。

 

ところが、今は私一人しかいない。全部自分の責任で愛犬を介護し、いつか見送らないといけないんです。

 

認知症が始まってからの鳴き方は、今までとはちょっと違うので、住宅街なので夜鳴きが激しくなったら近所迷惑になってしまうので、本当は嫌ですけど、老犬ホームに預けることも考えなきゃいけないのかな…と。すごく悩みどころです」。

 

介護が必要な年齢まで愛犬が長生きしてくれた…と考えればとても幸せなことなのですが、問題山積なのが現実。

 

でも、愛犬の介護はオーナーさんの心身の健康あってこそ成り立つものです。人の手を借りることは悪いことではありません。

 

ビジンちゃんの日常を中心にアップしているInstagram(@rourke.yu7808)では、全国の愛犬家さんたちからの温かいコメントが寄せられるそう。

 

その言葉を味方に、どうか納得のいくかたちでの介護ができますように。そして、ビジンちゃんが1日でも長く生きられますように…!

 

取材・文/永野ゆかり

 

柴犬

 

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