2022年11月2日1,541 ビュー View

【プロが教える!元気を育てる柴ごはん】#26慢性腎臓病と診断されたら…進行を遅らせるために知っておきたい「食事ケアの基本」

プレミアムペットフード・ケアの専門店『GREEN DOG』でペットフーディストの資格を持つ犬猫の食事のプロ・山本由能さんに、柴犬の食事について教えていただく連載が『プロが教える!元気を育てる柴ごはん』です。今回は、愛柴が慢性腎臓病に罹患したとき、その進行を遅らせるためにできる食事でのケア方法についてお伝えします。

 

慢性腎臓病には食事ケアが有効

柴犬,ドッグフード

UvGroup/シャッターストック

 

みなさんの愛柴は定期的な健康診断を受診していますか? 若い年齢なら年に1回、シニア期(10歳以上)は年に2回の受診をおすすめしています。

 

というのも今回のテーマである慢性腎臓病は、年齢とともに増えてくることやかなり進行してからでないと症状が出ない病気だからです。

 

腎臓は尿を作ったり、血圧の調整をしたり、体を維持するためのたくさんの働きを担っているので、脳に匹敵するくらいに精密な臓器だそうです。

 

それだけ体には不可欠な臓器なので、腎臓は2個あります。1個が使えなくなっても、もう1個が代わりに働いてくれるのです。

 

ただ残念なことに腎臓の細胞は一度壊れると修復されません。腎臓の機能が衰えていく慢性腎臓病は徐々に進行していく病気なのです。

 

慢性腎臓病は治すことはできませんが進行を遅らせるために食事のケアが有効なことがわかっています。

 

今回は愛柴の腎臓が気になりだしたとき、どんな食事が良いのかペットフーディストの山本が説明します。

 

慢性腎臓病とは

柴犬

thirawatana phaisalratana/shutterstock

 

慢性腎臓病は腎臓の重要な働き(ろ過機能)を担っているネフロンが壊れていく病気。

 

ネフロンが壊れると、体の外に排泄すべき老廃物や毒が溜まって尿毒症(食欲低下、嘔吐や下痢、元気がないなど)の症状が出てきます。

 

ネフロンに負担をかけるのは食べ物の中の特定の成分。つまり、腎臓に負担となる栄養素を含む食べ物を必要最小限に調整することや、腎臓の保護に役立つ成分を摂ることが腎臓機能の維持に役立ちます。

 

初期段階ではなかなか症状が出ないため、早期発見をするためには健康診断が有効です。

 

できるだけ早い段階で腎臓の異常に気付いて、食事ケアを始められるといいですね。

 

腎臓のための食事ケアの基本

ドッグフード

279photo Studio/shutterstock

 

食事ケアでの基本は、以下の4点になります。

 

・腎臓に負担をかける栄養素を減らす

・良質な素材を使用する(老廃物を増やさないため)

・腎臓のサポートに役立つ栄養素を加える

・水分を摂る(腎臓への血流維持のため)

 

腎臓に負担をかける栄養素

・リン

歯や骨、細胞膜など身体を構成する成分として必要な栄養素。

 

腎臓の機能が衰えてくると余分なリンが排出できなくなり身体の中に過剰に溜まります。このことが慢性腎臓病を悪化させる原因に。早い段階から制限することが有効であると考えられていますが、体に必要な成分ですので過度の制限には注意が必要です。

 

愛柴が好んで食べる煮干しのような小魚はリンを多く含むので、残念ですが他のおやつに変えましょう。

 

・タンパク質

ホルモンや身体を作るためなど欠かせない栄養素ですが、タンパク質の代謝産物が腎臓に負担をかけます。

 

ただし早い段階からタンパク質を制限すると、かえって腎臓に負担がかかるためNG。初期段階ではタンパク質を減らすよりも過剰摂取に気をつけるようにします。

 

・ナトリウム

リンと同じく、余分なナトリウムは腎臓でろ過され排出されますが、腎臓の機能が衰えると体内に溜まってきます。

 

急激な制限は必要ありませんが、過剰にならないように配慮すべき栄養素です。

 

腎臓の健康維持に役立つ栄養素

いつも働き続けている腎臓の健康維持に有効と考えられているのが、オメガ3必須脂肪酸(EPA/DHA)と抗酸化作用のある栄養素を摂り入れること。多くの腎臓ケア用食事療法食にも配合されています。

 

・オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)

オメガ3脂肪酸の中でも予防医学で注目されているのは、植物由来のものではなく魚油や海産物に含まれるEPA/DHAです。

 

EPA/DHAには多くの働きがあることがわかっていますが、腎臓の健康には細胞膜の柔軟性や血流の維持に期待できる点で注目されています。

 

・抗酸化栄養素

ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、ルテインなど。腎臓が働くたびに発生する活性酸素ですが、過剰になると細胞を傷つけ、老化の原因に。食事から抗酸化作用のある栄養素を摂ることは、腎臓をいたわるためにも意識したいものです。

 

食事のポイント

柴犬

MitchyPQ/shutterstock

 

慢性腎臓病にはステージが1から4まであり、それぞれに応じた食事療法食が作られています。

 

といってもステージごとにはっきり分かれているものではありません。

 

健康診断によるステージの振り分けに加え、愛柴の現在の状態も含めた総合的な判断により、必要であれば獣医師ぁら食事療法食の指導があります。

 

多くの場合、食事療法食のスタートはステージ3以降で、タンパク質、リン等が制限されたフードになります。

 

そのため悩ましいのは初期段階であるステージ1~2。まだ療法食を与えなくても良いと診断されても、愛柴のことを考えるとこれまでと同じ食事では心配ですよね。

 

また愛柴が見た目では元気であるなら、体を維持するために、ある程度のタンパク質も必要です。そこで、ここでは初期段階におすすめの食事療法食や手作り食のポイントをご紹介します。

 

腎臓ケア食事療法食

  • yum yum yum! 食事療法食「健康マネジメント・腎臓」

    yum yum yum! 食事療法食「健康マネジメント・腎臓」

    初期段階(ステージ1~2)におすすめのレシピで作られています。リンは制限していますが、タンパク質はAAFCO(ペットフードの栄養基準等を制定している米国飼料検査官協会のこと)の基準を満たしています。

    自然な食事に近い素材と豊かな香りでおいしさにも配慮した腎臓ケア用食事療法食です。

 

そのほかの食事療法食は過去記事「【プロが教える!元気を育てる柴ごはん】#18 年齢とともに衰えるから…シニア期の「腎臓ケア」におすすめのフード&療養食をおいしくする工夫」でもご紹介しています。

 

手作り食

食事療法食を食べてくれない場合、トッピングでおいしさアップしたり、完全手作り食なら食べてくれるというケースもあります。

◆お肉の量

必要なタンパク質量は愛柴の個体差にもよるので一概にこの量が良いとは言い切れるものではないのですが、目安として次の量を参考にしてください。

 

愛柴の体重が10㎏の場合、通常健康なら一日に与えるお肉の量は150~200gのところ、慢性腎臓病で制限が必要な場合は100gになります。

 

タンパク質量でみると健康な場合は3~4g/体重1kg、慢性腎臓病の場合は2g/体重1kgです。

 

リンについては、主にお肉に含まれるので肉量を減らすことで同時にリン量も減らしていると考えます。

 

鶏肉でリン量が多いの部分は、ささみ。お肉の量を減らす代わりに何かでエネルギーを補う必要があります。ささみの代わりに皮付きもも肉を使うとカロリーアップにもなります。

 

特にリンが多いのはレバー類。ビタミンA源として手作り食では欠かせませんが、お肉の量に比例して減らしましょう。

 

愛柴が初期段階のステージで、しかもまだまだ活発な場合はお肉の量を減らさない方が良いでしょう。

 

代わりにレバー類や小魚類(骨や内臓を丸ごとだとリンが多くなる)を減らすことを優先します。

◆野菜

ステージが進むと特に緑色の葉野菜に多いカリウムが気になる場合があります。

 

診断結果により指導される成分ですので、初期段階では制限の必要はありません。

 

気になるならカリウムは水に溶けやすいので、細かく刻んでから水にさらすことで減らすことができます。

 

健康なときと同様にいろんな野菜から栄養を摂るようにしましょう。

 

食欲が落ちてくると癖の強いものを嫌がる場合があります。白菜や大根、小松菜などは比較的食べやすい野菜ですし、にんじんは絞り汁を利用すると良いでしょう。

◆穀類

お肉の量を減らす分、何かでエネルギーを増やさないといけません。オイル(脂質)を増やすと膵臓に負担がかかるので、野菜や穀類を増やすことがおすすめです。

 

米の場合はミネラルが多い玄米よりも白米の方が良いでしょう。小麦アレルギーがない愛柴は小麦粉を使ったものも良いですよ。

 

小麦粉はリンが少なめで良いタンパク質源にもなります。食欲が落ちているときはお好み焼きのようなものも試してみると良いでしょう。

 

■食欲のスイッチONには

 

鶏肉の茹で汁を利用するのはよく聞かれると思います。また少しだけ温めて匂いをたたせる方法もおすすめ。

 

しかし腎臓の衰えや高齢期の食欲不振のときには、肉そのものの匂いが受けつけない場合もあります。

 

そんなときは甘みを感じるものを試してみてください。調理法は茹でたり蒸したりするよりもこんがり焼いたもののほうが、犬の嗜好性が高くなります。

 

たとえば、カボチャを茹でてつぶしたものを丸めて、バターで炒めると、食いつきがアップします。食べなくて困ったときには試してみてくださいね。

 

塩分が心配な場合は無塩バターを使うと良いでしょう。

 

このようにおいしいもので食べるきっかけができると、また食欲が少し復活することがあります。

 

おすすめのおやつ

柴犬

MitchyPQ/shutterstock

 

腎臓の数値が気になりだしたら、お肉系のおやつを控えるようにします。リンやタンパク質が多いからです。

 

特にこれらを多く含むのはレバー類や小魚。代わりにクッキーやボーロのようにお肉を使っていないおやつを選んでください。

 

焼き芋をはじめとして甘みの強いさつまいもは、腎臓や心臓の症状が悪化した際に気になるカリウムを多く含みます。

 

ほんの少量、楽しむくらいなら影響はありませんが、心配なら獣医師に相談のうえ与えてくださいね。

 

<おすすめのおやつ参考商品>

おやつに含まれる量はかなり少ないですが、ブルーベリーのように抗酸化栄養素を含む素材を選ぶのはいかがでしょう。またカボチャは比較的人気の素材です。

 

  • ころころボーロ ブルーベリー WITH GREEN DOG

    ころころボーロ ブルーベリー WITH GREEN DOG

    メレンゲで作ってあり、サクッと軽い歯ごたえで食べやすい。顎の弱いパートナーやシニア犬のパートナーにも与えやすいボーロです。

  • ベジビス ブルーベリー

    ベジビス ブルーベリー

    北海道で収穫されたじゃがいもをベースに、ポリフェノールをたっぷりと含む北海道産のブルーベリーを使ったひと口サイズのビスケット。カリカリした硬めのクッキーだから食べ応えがほしい愛柴に◎

  • ベジビス パンプキン

    ベジビス パンプキン

    北海道で収穫されたじゃがいもをベースに、βカロテンをたっぷりと含む北海道産のかぼちゃを使ったひと口サイズのビスケット。使用している食材はすべて国産で安心。

よくあるお悩みと間違ったケア

柴犬

Ksenia Raykova/shutterstock

 

食事制限しすぎはNG!

腎臓に負担がかかるからといって、腎臓が健康なうちからリンを制限したり、ステージ初期段階からタンパク質を制限したりするのはNG。

 

まして心配だからと、健康な犬に腎臓ケア用療法食を与えると、かえって健康を害する原因になります。

 

たとえば体にとって必要なタンパク質量が足りなければ、愛柴自身の体を壊して補おうとします。このことは腎臓にとても大きな負担になるのです。

 

食事ケアが必要か、必要であればどれくらい制限すべきかの判断を間違わないよう、獣医師とよく相談してくださいね。

 

食事療法食は品質面が気になる?

獣医師から指導された療法食を与えるのを躊躇する飼い主さんもいらっしゃいます。

 

主な理由としては、酸化防止剤をはじめとした添加物の種類。自然由来の素材を与えたいという飼い主さん自身の志向のほか、多く見かける情報に惑わされるケースもあります。

 

たとえばペットフードに使われる合成添加物は、愛柴が一生食べ続けても健康に害を及ぼさない安全量を守って使用されています。

 

またそれらは自然由来のものより働きが安定しているという点で採用される場合もあります。

 

療法食であればなおさら成分の変化が起きないことを求められるからですね。

 

このように獣医師は診断内容や療法食の情報を含めて判断されているため、まずは優先的に与えてみることをおすすめします。

 

どうしても心配な気持ちがぬぐえない場合は、その心配が愛柴に伝わってしまい、食べてくれない原因になる場合も。その場合は獣医師と相談し他に与えられるフードを探してみると良いでしょう。

 

療法食を食べてくれない

残念ながら療法食はバリエーションが少ないため、愛柴が食べてくれないと代わりのものを探すのに苦労します。

 

先述したとおり、食べない状態が続きエネルギーが不足してしまうと愛柴自身の体に負担がかかります。これも腎臓機能の低下を進行させてしまいます。

 

特にシニア期は食べムラも起きやすくなるので、飼い主さんにとってはどうやって食べさせるかが大きな悩みに。

 

そんなときは、おいしさをアップしてくれるトッピングアイテムがおすすめです。

  • Yum Yum Yum! ジュレ仕立て はじめてセット

    Yum Yum Yum! ジュレ仕立て はじめてセット

    鶏肉、馬肉、かつおの3種の味セット。寒天によるジュレ仕立てで肉の量は少なめなのでトッピングに差的。日本犬になじみ深い和風な香りが人気の理由です。

おわりに

柴犬

Robert Way/shutterstock

 

いかがでしたでしょうか。腎臓は大事な臓器であるだけに働き者で年齢とともに衰えていくもの。

 

検査結果が悪いと私たちはたいへん大きなショックを受けますが、それだけ長い時間、愛柴と一緒に過ごしてきたということですね。

 

食事でケアをすることは、さらに愛柴との時間を濃密にすることだと思います。どんなときも食べる喜びが続きますよう願っています。

 

GREEN DOGとは

世界中から厳選してセレクトした愛犬のためのプレミアムペットフード・ケアの専門店。通販店だけでなく、関東・関西に5店舗、実店舗を構えています。

 

フード選びや食事内容に困ったら、お気軽にお問合せください。

GREEN DOG 相談ルーム

https://www.green-dog.com/shop/consult.php

 

執筆者

GREEN DOG

ペットフーディスト

山本 由能

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