【取材】気がつけば19歳。始まったばかりの介護生活は「やれることは何でもやる」日々。#36マメタロウ
平均寿命は12〜15歳と言われる柴犬。そこで我が『柴犬ライフ』では、12歳を超えてもなお元気な柴犬を、憧れと敬意を込めて“レジェンド柴”と呼んでいます。 この特集では、レジェンド柴たちのライフスタイルや食生活などにフォーカスし、その元気の秘訣や、老犬と暮らすうえで大切だと思うことを、オーナーさんに語っていただきます。今回登場するのは、なんと19歳というスーパーレジェンドのマメタロウくんです。特別なことは何もしていないというオーナーさんですが、そんなマメタロウくんの柴犬ライフとは…。
マメタロウくんプロフィール
年齢&性別
19歳の男の子(2004年1月7日生まれ)
体重
7.3kg(若い時は8.5kg)
大好きなこと
食べること
既往歴
・2歳で右前脚の関節炎。激しい運動を控え、サプリも使って改善。
・3歳頃、右耳に良性腫瘍。薬と、今も続けている定期洗浄で収まる。同じ頃、左耳も外耳炎に。
・15 歳で精巣炎。初めて食欲がなくなるなど、最大のピンチ。
このほか、軽度の腎臓疾患と椎間板ヘルニアあり。
しっかりしつけて弟分に
マメタロウくんは、オーナーさんの知人の家で生まれた男の子。ダックスの先住犬・ジッポくんの弟分として、オーナーさん一家に迎えられました。
「1歳くらいまでは豆柴かと思うほど身体が小さく、よく女の子に間違われてましたね。
性格もおっとりしてますが、元気でやんちゃな面も持っていて、ジッポと序列が逆転しかけたこともあったくらいです。
でもそこはちゃんとしておこうと思って、年上で先輩のジッポが上になるようにしつけました」(オーナーさん=以下「」内同)。
序列のしつけ方は、何でもジッポくんを先にさせること。ごはんや、散歩に行く時のリード着けなど、日常で何度も繰り返す動作で教え込みました。
それから散歩は、1日2回の計1時間程度が基本でした。休日には公園に出かけ、ジッポくんとのんびり長時間歩いたり、関節炎になるまではダッシュやボールレトリーブもさせていました。
マメタロウくんは散歩好きで、ごく最近まではゆっくりながらちゃんと歩けていたそうです。
ところが、ここ1カ月程で急に足腰が弱り、転倒が目立つように。そのため、なだらかな坂で足腰を強化したり、調子が悪い時は平坦な道だけにしたりと、散歩も工夫されています。
また、ずっと良い関係だったジッポくんとも、シニアになって急に仲が悪くなってしまったそう。やはり年齢と共に色々な変化が起きてくるのですね。
手探りの介護
シニアになって一番困ったのが、ここ最近の転倒です。
「一度転倒すると、自力では起き上がれないんですよね。仕事から帰ると転んだままだったり、夜中も起きようとしてもがいたり。どう対応したらいいのか、今も悩んでいます。
夜の対策としては、横向きで寝る時いつも同じ側を下にしていたので、逆向きに寝かせてみたら、ここ数日は朝まで寝てくれました。
本当に手探り状態ですね。先月まではほとんど苦労してなかったのに、急にシニアになったというか、対策が必要になった感じです。
つい昨日も新しいグッズが届いたのですが、滑り止めや体幹を鍛えるものなど、色々買ったり調べたりを続けています」。
滑り止めは、塗るタイプの滑り止め剤からコルクマット、そして今回の転倒を機にヨガマットに変えました。効果は出ているものの、素材が柔らかく爪で穴が開いてしまうのが課題です。
それから体幹を整えるという『ウェルネスウェア』。マジックテープで留めるタイプの服ですが、剥がす時にバリバリ音がしないなど細かい工夫も気に入り、もう3着持っています。
そして昨日届いたバランスディスクは、上に乗って体幹を鍛えるもので、犬のリハビリ施設でも使われていると聞いて購入したそう。
もちろんグッズだけでなく、後脚に負荷をかけるトレーニングや、足腰と背中をほぐすマッサージ、脚を延ばすストレッチなど、やれることは何でもやる日々が続いています。
また、1年程前からオムツも着けていますが、こちらはコストを考えて人間の赤ちゃん用。テープタイプより、可動域が広いパンツタイプが良いそうです。
高齢手術も大丈夫!
最近こそ手厚いケアが必要になっていますが、元々マメタロウくんは病気も少なく、手がかからない子でした。
「お兄ちゃん犬のジッポは、食事をあまり食べなかったり心臓の病気があったり、シニアになってからは夜中の徘徊もあったので、割と手がかかる子でした。
でもマメタロウは全然そういうことはなく、大きな病気は15歳の精巣炎くらいです。この時は初めてごはんを食べなくなり、もう高齢だったので手術に耐えられるかも心配でした。
ですが10年以上診てくれているお医者さんが“この子は体力があるので大丈夫!”と言ってくださり、手術も成功して無事回復してくれました」。
ジッポくんより前に飼っていたハスキーが手術後に早く亡くなってしまい、それ以来できるだけ手術を避けてきたというオーナーさん。
信頼できるかかりつけ医が勧めてくれたおかげで、15歳での手術に踏み切ることができました。
この先生は、普段から新しい知識や技術を積極的に取り入れ、自分の考えを自信を持って話してくれるそう。
リスクの高い高齢での手術。責任を持ってしっかり方針を出してくれる先生の存在は、本当にありがたいですね。
やり過ぎない食事ケア
精巣炎のほかは、若い頃に関節炎や耳の良性腫瘍があった程度で、薬やサプリなどで対処されてきました。
今は腎臓が年齢相応に弱ってきたためケアが必要ですが、こちらもフードで対応できています。
「フードのメインは『サイエンスダイエット』のドライフードです。年齢に応じたものを、カロリー摂取量を計算してあげていました。
ジッポがあまり食べない時は『ファーストチョイス』や『ユーカヌバ』にしたこともあったと思います。
あと、たまに馬肉ふりかけをトッピングしたりしていましたが、ほとんどフードのみで、おやつもたまにジャーキーをあげたり、病院でクッキーをもらったりという程度でした。
それでずっと来ていましたが、18歳になって急にドライフードが食べ辛そうになったので、コーヒーミルで挽き、『シーザー』のウェットフードを混ぜてあげるようになりました。
最初はドライフードを手で潰してたんですけど、すごく時間がかかるんですよ。それでコーヒーミルを使ってみたら、1時間かけてたのが“秒”で終わって感動しました(笑)。
ミルは色々なメーカーを試して『COSORI』になったのですが、ドッグフードは油分がすごいので、挽く部分を外して洗えるのが決め手でした」。
腎臓のためにリンが少ない食事を心がけているものの、食の楽しみを損なわないよう、厳密な療法食にはしていないというオーナーさん。
お医者さんと相談しながら、ササミをあげるなら茹でこぼしにする、フードやおやつを買う時は“シニア用”や“腎臓ケア”を選ぶ、といった程度に留めています。
今のマメタロウくんのお気に入りは、ヤギミルクを使ったボーロなのだとか。また、関節のために『アンチノール』などのサプリもあげているそうです。
気が付けば19歳
迎えた当初は、時代的な背景もあり“10歳を超えたら長生き”と思っていたというオーナーさん。その倍の20歳が、もう目の前になりました。
「こんなに長生きしてくれると思ってなかったので、ただ一緒に過ごせるだけで本当に嬉しいです。
どうしてこんなに長生きかといわれると、とにかく食欲旺盛だったからかなと思ったりもしますが、気が付けば19歳になっていたというのが正直な感想です。
フードの種類は年齢に応じて変えてきましたが、それ以外では歳のことは気にせず、その時その時のマメタロウを見ながらやってきたというか。
それだけ手のかからない子だったということなんでしょうね」。
気が付けば19歳。飾らない話し方が印象的だったオーナーさんの、本当に正直なお気持ちなのだと思います。
マメタロウくんが19歳になったことを機にインスタを始め、“世界が広がった”と感じたそうですが、きっとフォロワーさんたちもそう感じたことでしょう。
愛柴が19歳になるまで元気に、普通に暮らす。オーナーさんはサラッと“今はみんな長生きになりましたよね”なんて仰いましたが、今の時代でも驚くべき境地です。
歳がいくつでも、急にやってきた介護の荒波に揉まれても、一緒にいられるだけで幸せと感じる心。
そんな心のままに辿り着いた世界で、マメタロウくんとオーナーさんは今日も同じ時間を過ごしています。
取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)
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