2024年12月1日4,354 ビュー View

『儀式』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#27

お笑いコンビ「アキナ」の山名文和さんは、2020年6月9日に愛柴のおまめを迎えました。保護犬施設からやってきた彼女は、当時8歳。

長年夢みてた“柴犬ライフ”を、ようやく実現した山名さん。おまめとどのように出会い、どんな生活をおくっているのでしょうかー。

アキナ山名と柴犬おまめの最高にラブい日々を、山名さんご本人が綴っていきます。

#27は、おまめとの儀式ー。

『儀式』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#27

いつまで暑いねん

と思っていたら突然しれっと秋はやって来た。

ばたばたと自分の装いを変えるそばで、おまめに強烈な変化があった。それは、猛烈にご飯を欲するようになったこと。

 

夏場、よく妻と話していた。

あれ? 大丈夫かな?

どうしたん?

朝ごはんまるまる皿に残ってるわ。

うそやん?

でも、元気そうではあるねん。

たしかに病院でもなんも悪いとこないって。おま、ばりばり健康やで。

そうよなあ。私、手であげてみるわ。甘えてるんかも。

どう?

あ、手やったら食べるわ。

あ、ほんま!?

あかんわ、でもちょっと残した

年齢なんかな?

暑いからかな?

暑いっていう理由だけやったらいいけどな。

たしかに、夜は普通に食べたりするしなあ。

この会話を何回したことか。秋が来て、答えがわかった。

結局、暑いだけやった。

撮影:山名文和(アキナ)

 

気温が下がるにつれて、散歩の足取りは、驚くほど軽快になった。一日一回の便も二回になった。量、質ともに、それはそれは見事なものだ。去年の秋はここまでじゃなかった気がする。余計に腹が減るのか、朝から晩まで何かほしいと甘えた声を出すようになる始末。去年まで以上に甘え方が、加速している気がする。年々気を許してきてくれているのか。それとも「毎年同じ気持ちやったけど控えめに言うてただけで、いい加減気づかんねやったら、こっちも極論生死に関わるわけやから強めに言うしかないわ」と思ったのか。真意はわからない。

ただ、去年までになかったその訴えは、こちらからすれば物凄く怖いもので、Instagramで皆様に問うたところ、うちもです! と何件もコメントが来て、安堵した。人間と同じである。食欲の秋。

撮影:山名文和(アキナ)

 

十二歳にもなると、より食事には気を遣っていきたい。人間でいうところの六十路をすっかり迎えたおまめ。出会うまでの八年間、何を食べてきたのかは知らない。アトピーが先天的なものかどうかもわからない。おまめの脳みそに線を繋いで過去の景色を見られたらなと思う。でもそれは叶わない。

 

犬の楽しみは、飼い主と一緒に居て、眠って、ご飯を食べて、散歩する。大きくはこの4つが人生のイベントだと思う。進学も就職もない。恋はあるか。シンプルに「生きる」ということに特化している生き物。ならば、出来るだけどれも完璧に用意してあげたい。

その中の一つ。食事。うちは今、手作り食と固定のカリカリフードを混ぜている。皮膚のことを考えて数ヶ月前にやりだした。だけどやっぱりカリカリフードはあまり食べない。不味いんだろう。不味いのに、ほぼ毎日出てくる。気が狂う。だから時々は、完全手作りにしてあげる。おもくそ食べる。眉間にえのきをひっつけてがむしゃらに食べる。食べ終わったあとも、口の周りをベロンベロンなめている。その後、身体中を舐めたりする。その姿がとても愛おしい。あの姿をみると、完全手作りに戻してあげたくなる。栄養のバランスもあるから、様子を見ながら挑みたい。

撮影:山名文和(アキナ)

 

最近始めた儀式がある。おまめのおでこに鼻をつけ、身体中の悪いものを取り払うイメージで、思い切り吸い込む。身体中が足の先から真っ白になっていくイメージをしながら、悪いものをいったん僕の肺に取り込み、それを空に吐き出すという完全に我流の何一つ根拠のない、客観視しなくても気持ち悪いと断言できるそれ。完全無欠のオリジナル。きもすぎる。人前ではこうして気持ち悪いこととは言っているが、僕は本気でやり続けると思う。やろうと決めてしまったから。おまめはきょとんとしているが関係ない。嫌がってはいない。

 

たぶん皆さんにも自分だけのルーティンがあるだろう。

 

正しいか間違っているか、曖昧なものがたくさんある。犬に留守番をしてもらう時「いってくるね、ちょっと待っててね」と言ってあげたほうがいいという方も入れば、寂しい思いをさせるなら声かけをせず黙って出ていったほうがいいという方もいる。知らないままのほうが無駄なストレスを与えないと。僕は、両方正解だと思っている。その日の出かける時間の長さとか、その家庭の犬との距離感にも因る。だから、曖昧なものを他人に押し付けないようにしていきたい。そして自分が正解だと思ったものを、疑う姿勢は持ち続けたい。

 

鼻から吸い込むことは、誰にも迷惑はかけていないから続けていきたい。僕がきもいだけだ。

 

 

【プロフィール】山名文和(アキナ)

柴犬ライフ,アキナ山名,おまめ

1980年7月3日生まれ。2012年、秋山賢太とお笑いコンビ「アキナ」を結成。

レギュラー番組を多数抱えるほか、『キンブオブコント』『M-1グランプリ』『THE MANZAI』で決勝進出を果たす。

愛柴は、保護施設から迎えたおまめ(12歳)。

 

 

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