2021年9月30日5,809 ビュー View

『キャンプに行こう』ーKIKI連載・お転婆姉妹の椿と柊 #4

モデルや執筆家、写真家として活動するKIKIさんは、東京と逗子の二拠点で「柴犬ライフ」を満喫中。愛柴の名前は椿(つばき)で、キツネ顔とたぬき顔のハーフさん。そして忘れてはならないのが、KIKIさんの娘であり、椿の妹である柊(ひいらぎ)の存在。

お転婆娘たちが繰り出す、明るくにぎやかで、癒しに包まれた柴犬ライフー。KIKIさんご自身が、温かな文章で綴ります。

 

#4は犬と子どもがいる環境でたどり着いた、キャンプという選択肢ー。

『キャンプに行こう』ーKIKI連載・お転婆姉妹の椿と柊 #4

柴犬ライフ,kiki,モデル

一緒に暮らしていて、犬と子どもに共通点はありますか? 時々、そう聞かれることがあって、いつも「うんうん、あるある」と頷いている。椿が3歳、柊が2歳になった今、言って聞かないことが日々度々。もちろん、何事においても、言い聞かせてねじ伏せるつもりはないけれど、ちょっと悩んでしまうのが、家族揃っての外出先を選ばなければならないことだ。

 

それぞれに常識的なしつけはしているつもりだけれど、飲食店などでは、時折、食べ物を欲しがって椿が吠えてしまったり、場に飽きてきた柊が駄々をこねだしたりしてしまうときがある。わたしとしては、仕方ないなぁ、くらいの日常的な出来事なのだけれど、外出先だとそうはいかない。わりと気を使っている方だと思うのだけれど、それでも舌打ちされたり、ジロっと睨まれたりして、落ち込んでしまったことも何回かある。

 

周りに迷惑がかからないようにとばかり気を使うのも疲れるので、今では、ここのお店なら大丈夫、という数店に限り、娘たちも一緒に出かけるようにしている。

柴犬ライフ,kiki,モデル

 

これが旅行になると、もっと大変だ。犬と一緒に泊まれる宿が、想像していた以上に多いことには有り難く思ったけれど、実際に利用しようとすると部屋数が限られているのか、たいてい満室なのだ。直前にならないと、休暇の計画を立てられない自分の仕事のせいもあるのだけれど。

 

そしてあるとき思いついたのは、キャンプだった。自然のなかで過ごすのがメインになるキャンプ場なら、たとえ椿が吠えても柊が騒いでも、そんなに周囲を気にしないで過ごせるのではないだろうか。調べてみると、キャンプ場も犬連れOKのところと、そうでないところがある。夏なら、木陰が多めで水辺に隣接しているところが、椿も柊も楽しく過ごせるだろう。そうして、毎回がその条件に当てはまるわけではないけれど、これまでにいくつかの場所で、お転婆姉妹も一緒にキャンプを楽しんできた。

柴犬ライフ,kiki,モデル

 

とはいえ、最初に犬と赤ちゃん連れでキャンプをしたときは、なにが必要になってくるかわからず、準備に手間取った。あらためて調べてみると、今の流行りは、普段の生活をそのまま外に持ち出したかのように豪勢なもので、わたしが趣味にしている登山でのテント泊の最小限の装備とは真逆だった。たしかに、椿も柊も、日常の延長に近い環境で過ごせた方が快適だろう。なにより、無理強いしてキャンプが嫌いになってしまっては元も子もない。それ以上に、わたし自身も、気楽に楽しみたい。

 

昨年の夏、訪れたキャンプ場は2箇所。そのうちひとつは、車で乗り込めるオートキャンプのスペースがある新潟県の苗場近くのキャンプ場だった。BBQ台をレンタルできたり、食材セットも注文できたり、とにかく手軽だった。そんなこともあり新しく揃えた道具は、折りたたみの椅子とテーブルのみ。妹の柊用に用意したピンク色のローチェアは大正解で、「わたしのいす!」と大喜び。目新しいことばかりで興奮しながらも、楽しそうに過ごしてくれた。

柴犬ライフ,kiki,モデル

 

椿はなんだか慣れたもので、ふんふんと周囲の匂いをかぎまわると、すぐに落ち着いて、木陰やわたしたちの足元でのんびりとしていた。ただ、暗くなってから、ほかの利用客の使う懐中電灯やヘッドライトの明かりにいちいち吠えて困ったのだけれど、テントの前室にケージを置いて入れてあげると、すぐに静かにしてくれるようになった。

 

椿も柊も、昼間は芝生を走りまわり、水辺で遊んで、夕暮れからはBBQをして、夜はテントのなかでぐっすり。翌朝も早くから起きて、また「おみずのところにいく〜!」とノリノリ。妹の声は、喋れないけれど姉の願いとおなじだろうと、本当はもう少しゆっくり過ごしたいと思いつつも、帰る間際まで、彼女たちの思うままにキャンプ場のあっちこっちで遊んだのだった。

 

 

【PROFILE】KIKI

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東京生まれ。武蔵野美術大学建築学科卒業後、ファッション雑誌や広告媒体を中心にモデルとして活躍。

近年では写真家、執筆家として活動の幅を広げている。

著書は『KIKI LOVE FASHION』(宝島社)『山スタイル手帖 KIKI』(講談社)ほか

Instagram:@campagne_premiere

 

 

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