2024年5月18日13,014 ビュー View

『まさかだった』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#22

お笑いコンビ「アキナ」の山名文和さんは、2020年6月9日に愛柴のおまめを迎えました。保護犬施設からやってきた彼女は、当時8歳。

長年夢みてた“柴犬ライフ”を、ようやく実現した山名さん。おまめとどのように出会い、どんな生活をおくっているのでしょうかー。

アキナ山名と柴犬おまめの最高にラブい日々を、山名さんご本人が綴っていきます。

#22は、まさかの出来事ー。

『まさかだった』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#22

 

おまめの皮膚の調子が、どうにも悪い。程度こそあるが、この一年顔の毛が、特に目の周りが抜け落ちてきた。病院に行っても、アトピーということで向き合うしかないかあ、耐えてもらうしかないのかと思ってた。アトピーは今始まったことじゃないし「どこかがおさまれば、次は別のところに出てきたりするよ」って先生に言われたから、そんなもんかとたまにやって来る無闇な不安も少し落ち着いた。

撮影:山名文和(アキナ)

 

先日、以前犬の皮膚病の学会に参加させて貰いそこでぐっと距離を縮めさせて貰った先生から連絡が来た。「おまちゃんの調子はどうですか」って。状況を伝えると先生は病院を紹介してくれた。

 

先生曰く、動物病院の先生は、非常に多忙。当たり前だと思うかもしれないけれど、僕らが思っている以上に何倍も大変な職業だと聞いた。そりゃそうか。犬、猫ですでに二種の個体を学ぶことになり、学ぶことが膨大。診る動物はもっと他にも。犬の皮膚となれば、沢山いる動物の中の、ほんの一部の症状。そう考えれば、獣医の方は凄いし、可哀想だ。少しのミスで周りからぼろくそ言われたり。そもそも、治してくれるだろう、と思い込んで、場合によっては決めつけて僕たちが病院に行くのはちょっとわがままに思えてくる。

 

先生に幾つか病院を教えて貰い、家から一番近い病院に行くことにした。

「顔に出るのは、ほぼ間違いなくフードアレルギーです」と言われて驚いた。「ご存知かとは思いますが」と付け足されて、顔が赤くなった。初耳だった。今まで色々な病院に行ったし、少しは自分でも学んだつもりだった。おまめが家に来て、ほぼ四年。指定のドッグフードのみを食べて生きるおまめが可哀想で、家に来て数ヶ月で手作りに変えた。出来るだけ考慮して、おまめには与えてきたつもりだった。アレルギー検査もした(もちろん曖昧なもので、身体は変化するから絶対ではないことも知っている)し、ひっかかるようなものを与えている覚えはない。

撮影:山名文和(アキナ)

 

「この一年で変えたものはありますか」と聞かれても思い当たる節はない。与えている食材と、皮膚ケア用のドッグフードも栄養バランスをとるためにたまに混ぜていることを伝える。

「ドッグフードかもしれないですね」

そんなはずはないと、ドッグフードの内容物を調べて見せた。皮膚ケアに特化したフードだったから、胸を張って見せた。

「あぁ、これだけ食材が使われているとありえますよ」

 そう言われると、返す言葉はない。

「とりあえず指定のフードにしてみて一度様子を見てください」

 幾つかの種類から一つ選んで注文した。病院からではないと買えないやつ。

 

きっとほとんどのことは、後になってからようやく気づく。正解とか間違っていたとか。何かを始める時、心底それが正解だと思い込んで、思うようにして、信じて、場合によっては息巻いて。その気持ちが強いほど、振り返ることなんかしない。自分が正しいと思う時、人は反省しなくなる。いいのかわるいのか。本当は、正解だけを叩き出し続けて、すぐにゴールに向かいたい。でも、残念ながら人生はそんなふうにはできていない。遠回りや寄り道を余儀なくされる。純喫茶みたいな優しい寄り道ならいいが、決してそんなことはなく。暗い道をひたすら歩く時もあれば、知らんおっさんにねちねち嫌味を言われ、金持ちのおばさんが綺麗な時計を見せびらかしてきて、不覚にも羨ましいと思ってしまうときがほとんど。一番厄介なのは、正解が自分にとっていいことで、不正解が悪いことかどうかは曖昧なこと。なにか成し得たとして、その間に誰かの大切なものを踏みつけていたら、途端にすっきりしなくなる。結局は、後悔しない選択を毎日繰り返すこと。それでも後悔があるから尚更。

撮影:山名文和(アキナ)

 

フードが届く。おまめには申し訳ないが、数日我慢して食べてもらった。

なんとまあ。一週間も経たずにみるみる綺麗になりだした。黒ずんだ皮膚に真っ白な毛が生えだし、驚いた。外耳炎と言われた耳も治りだした。とりあえず今は、様子を見ながら以前あげていたものも少し混ぜながら試している。恐らく、このままいけば。よしよし、いけいけ、この際なにもかも悪いもん消え去れ、と願っている。

 

 

【プロフィール】山名文和(アキナ)

柴犬ライフ,アキナ山名,おまめ

1980年7月3日生まれ。2012年、秋山賢太とお笑いコンビ「アキナ」を結成。

レギュラー番組を多数抱えるほか、『キンブオブコント』『M-1グランプリ』『THE MANZAI』で決勝進出を果たす。

愛柴は、保護施設から迎えたおまめ(11歳)。

 

 

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