2022年4月18日2,786 ビュー View

【取材】推定6歳で迎え、今や16歳のご長寿犬に!当初悩みだった「噛み癖」が解決したあるキッカケとは…? #5福太郎

“保護犬と家族になって感じた幸せ”をテーマに、元保護犬を迎えた柴オーナーさんに愛柴との出会いから、家族になっていくまでの過程などを伺う特集「保護犬と家族になって」。今回登場するのは、推定16歳のレジェンド柴でもある福太郎くん。迎え入れたばかりのころに悩みだった噛み癖、そして福太郎くんの不安を解消できたのは、オーナー・徳永さんのとったある意外な行動でした…。

保護柴特集

福太郎くんプロフィール

柴犬

年齢&性別

推定6歳で迎え入れた、現在16歳の男の子

保護されていた理由

路上をウロウロしていているところを保護された

性格

元々は穏やかで優しい。でも噛み癖が⋯。

 

運命のSOS

柴犬

 

先代の柴犬・はなちゃんを亡くした後、次に迎えるなら保護犬が良いな⋯と思っていた徳永さんご夫妻。

 

そんな二人のもとに、SNSから運命的な“SOS”が届きます。

 

「福太郎は路上で保護され、愛護団体に引き取られていたのですが、色々な事情で早く里親を見つけないといけない、という状況でした。

 

はなを半年ほど前に失ったばかりだったので、すぐに次の子を迎えるつもりはなかったんですが、福太郎の顔がはなに似ていて⋯。

 

保護犬だし、はなに似てるし、(迎えるなら)今だ! と思って迎えることにしました」(徳永さん=以下「」内同)。

 

いつかは保護犬をという気持ちと、はなちゃんへの想い。そこにぴったり合わさるように現れた福太郎くん。

 

徳永さんと福太郎くんの家族ストーリーは、運命的な出会いから始まりました。

 

迎え入れまでの手続きは?

柴犬

 

福太郎くんを迎え入れることにした徳永さん。その後、実際に迎え入れるまではどんな流れだったのでしょう。

 

「まず愛護団体さんに連絡して、福太郎に会いに行きました。それから1週間のトライアルをして、迎え入れという感じです。

 

トライアル中、福太郎がすぐ噛んでしまうので少し悩みましたが、やはり一緒に暮らすと離れ難く、ウチの子にしよう! と決めました」。

 

トライアルの時は、愛護団体が里親の家を確認するという目的もあり、福太郎くんを家まで連れてきてくれたそうです。

 

柴犬と家族

 

そして譲渡が正式に決まると、譲渡同意書の取り交わしや、ワクチン費用等の支払いを行ないます。

 

同意書には、最後まで責任を持って飼育することはもちろん、この団体では室内飼いやマイクロチップに関する取り決めもあったそう。

 

また、引き取り後の最初のワクチン接種時は証明書を送るなど、少し手が掛かることも。

 

ですが、それだけ真剣に犬たちのことを考えている団体であれば、安心して家族に迎えられますね。

 

徳永さんも団体の姿勢に共感し、任意で寄付もされたそうです。

 

ケンカ・籠城・話し合い⁉︎

柴犬

 

いよいよ始まった福太郎くんとの生活。心配だった噛み癖には、やはり悩まされました。

 

「来た時から元気で食欲もあり、普通にしていれば穏やかな子でした。お腹を見せたりもしてたんですよ。

 

散歩も最初はちゃんと横に付いて歩いていました。その後は自由にさせてたら好きに歩くようになりましたが(笑)。

 

でも、やはり急に噛むことがあって。タイミングが分からないんですよ」。

 

なぜ噛むのか、何かイヤなことがあるのか、理由が分からないと、しつけるのも我慢するのも難しいですよね。

 

柴犬

 

半年もすると噛み癖のピークは過ぎ、なぜ噛むのかもだんだん分かってくるのですが、解決のきっかけは“ケンカ”でした。

 

「最初は私も“家族になるんだから、ちゃんと一緒に暮らしてね!”という気持ちが強く、ときにはケンカみたいになることもありました。

 

ウチに来て3カ月くらい経ったある日、あんまり言うことを聞かないのでちょっと厳しく怒ったら、ケージに閉じ籠ってしまったんです。

 

朝ごはんの後から夕方まで、散歩にも出てこなくて。それで、話し合いをすることにしました(笑)

 

福太郎に向かって、“分かったよ、私は仲良く暮らしたいだけ。私も折れるから、あなたもよろしくね”みたいなことを話しました」。

 

言葉は通じなかったかもしれませんが、気持ちは伝わったのでしょう。福太郎くんの篭城は半日で終わったそうです。

 

柴犬

“強気”同士の歩み寄り

柴犬

 

徳永さんが一歩引いたことで、福太郎くんも少し気持ちが和らぎ、だんだんと噛み癖は収まっていきます。

 

目まぐるしく変わる環境に何とか適応しようと、不安と戦い自分を守ろうとする福太郎くん。

 

保護犬を迎え、絶対に幸せにしてあげよう、良い家族になろう、と一所懸命な徳永さん。

 

お互いに張り詰めていた気持ちが、徳永さんは言葉や態度に、福太郎くんは噛み癖として出てしまったのかもしれません。

 

柴犬

 

例えば、福太郎くんの足拭き。嫌がる様子もありましたが、福太郎くんのため、そして共同生活にも必要なことなので、徳永さんいわく“強気”で頑張っていました。

 

すると福太郎くんもそれに対抗するように「イヤだ!」という意思表示が強くなっていき、噛むことに繋がってしまいました。

 

お互いに強い気持ちで頑張っているとき、犬の方から「まあまあ、そう構えずに仲良くしようよ」と歩み寄るのは難しいこと。

 

でもその分、こちらが歩み寄ると、犬は人間よりも素直に反応してくれる気がします。

 

誰にとっても難しい“歩み寄り”ですが、最初の一歩さえ私たちが踏み出せば、愛犬との関係はぐっと近くなるのではないでしょうか。

 

家族の距離

柴犬

 

少しづつ距離が近づいてきた徳永さんと福太郎くん。噛み癖などの困りごとが減ると同時に、嬉しいことが増えていきます。

 

「主人が休みの日は、福太郎と公園に行って遊んでいました。福太郎は一緒に走るのが大好きで、とってもご機嫌に走っていました。

 

それから、先代の“はな”はあまり他の犬と仲良くできなかったので、福太郎にはたくさんコミュニケーションを取らせました。

 

最初は吠えたりすることもありましたが、良いお友だちや飼い主さんと出会えて、もう10年のお付き合いになる方もいます。

 

人にも犬にも最初は警戒心があるものの、基本的にはオープンな性格だったことが分かりました」。

 

柴犬と家族

 

そして公園から帰ってくる度に、ご主人と福太郎くんの距離が縮まっていることを感じたという徳永さん。

 

気持ちだけでなく、実際の居場所も近くなっていて、「心を開いてくれてる!」と嬉しくなったそうです。

 

大切な人と一緒にいたい、もっと近くにいたい。福太郎くんからそんな気持ちを感じ取った時の幸せは、どれほどだったでしょう。

 

まさに“家族になっていく”、最高に嬉しい瞬間ですね。

 

人との繋がり

柴犬と家族

 

そして、福太郎くんを介して出会った人々との繋がりも、徳永さんにとって想像以上の喜びでした。

 

「一番ありがたかったのは、愛護団体から里親に渡るまでの一時預かりをされるボランティア、“預かりさん”の存在です。

 

福太郎を迎えて、何かあるごとに本やネットで調べたりもしましたが、書いてあることは当然ですが一般論なんですよね。

 

その点、預かりさんは福太郎のことを知っているので、具体的なアドバイスをくれたり、何より大変さを分かってくれるのが大きな支えになりました。

 

“福太郎はこんな子だからね”とか“私も噛まれたよ”とか言ってもらえると、頑張り過ぎることも多かった私は、気持ち的にとても楽になれたんです」。

 

柴犬

 

精神的な支えにもなってくれた預かりさんとは今も親交があり、また預かりさんを通じて多くの柴犬仲間と出会うこともできました。

 

それから福太郎くんを迎える時には、SNSで里親を探していた方々が集まってお祝いしてくれたそうです。

 

たくさんの人と繋がり、その優しさに触れることができるのも、保護犬が運んでくれる幸せのひとつですね。

 

共に乗り越える幸せ

柴犬と家族

 

保護犬を家族に迎えるということ、そして家族になった今感じることについて、改めて伺いました。

 

「以前は子犬から育てたいと思っていました。でも今は保護犬の方が良いなと思います。手はかかりますが、それ以上のものが返ってくるというか。

 

“大変そう”、“かわいそう”というイメージがあるかもしれませんが、家族になってしまえば全然そんなことは思いません。

 

保護犬ではなく“この子”として見ますし、成犬だけど年々新しい発見もあって、だんだん家族になっていく嬉しさは言い表せないほど。

 

大変なことがあっても、一緒に頑張って乗り越えたときの喜びが大きくて、愛情が溢れてくるんです」。

 

柴犬

 

保護犬には色々な子がいますが、どの子にも共通しているのは、本当の家族を見つけるまでに険しい道を歩んできたこと。

 

福太郎くんの噛み癖は、その険しい道のりで自分を守るためのものだったのでしょう。

 

徳永さんと家族になり、自分だけで生きる必要がなくなったとき、本来の優しさや大らかさを表に出すことができました。

 

犬たちが本来の姿を取り戻し、自分らしく幸せになる瞬間を一緒に迎えることは、何物にも代えがたい喜びだと思います。

 

取材中、ずっと徳永さんの膝の上で甘えていた福太郎くん。ふと気付くと、何とも幸せそうにまどろんでいました。

 

 

取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)

 

 

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