【取材】車いす散歩を楽しむ16歳! 長寿の秘訣は「好きなものだけ食べること」#25こむぎ
平均寿命が12〜15歳と言われる柴犬。そこで我らが『柴犬ライフ』では、12歳を超えてもなお元気な柴犬を、憧れと敬意を込めて“レジェンド柴”と呼んでいます。そんなレジェンド柴たちのライフスタイルや食生活などにフォーカスし、その元気の秘訣や、老犬と暮らす上で大切だと思うことを、オーナーさんに語っていただくこの特集。
今回登場するのは、16歳のこむぎちゃん。前庭疾患のため足が不自由になったものの、食欲旺盛、車いすでの散歩も大好きな元気いっぱいの女の子です。
目次
こむぎちゃんのプロフィール
年齢&性別
16歳8カ月の女の子(2005年8月1日生まれ)
体重
4.8kg
好きなこと
食べること。シニアになっても食欲旺盛で、好物はバナナとパンケーキ。若いころは、ドライブも大好きでした。
既往歴
・12歳のころ、腎不全に。療養食に切り替え、その後回復。
・14歳で前庭疾患に。15歳のころから体が思うように動かなくなり介護生活がスタート。
前庭疾患で15歳のときに車いすを導入
オーナーの井岡さんご一家と関西で暮らすこむぎちゃんは、16歳の女の子。
井岡さんには4人のお子さんがいましたが、その“末っ子”ポジションで迎えられたからか、パピーのころからお姫様……というより、“オレ様”気質なクール女子。シニアになるまで病気知らずで、育てやすい子だったそうです。
人間の子どもたちはすでに独立し、今は主にママさんと三女の娘さんがお世話をしています。
初めて異変があったのは、14歳のころ。前庭疾患から、以前のように走れなくなりました。
「後から考えると、その前に一度、お散歩中に真っすぐ歩けないことがありました。
すぐに元に戻ったんですけど、あのときが1回目の前庭疾患やったんかなって」(三女)。
後ろ脚の甲が前に上がらなくなり、お散歩をしても引きずるように歩いて、足の甲をケガしてしまうことも。
そこで、タオルで作ったハーネスでおなかをつり上げるようにしてサポートしながら散歩をしていましたが、人間の腰への負担が大きいため、15歳で車いすを導入。
最初は戸惑っていたこむぎちゃんも、平坦な道ではカタカタと走れるようになり、車いす生活を喜んでいたそうです。
「もうちょっと早く車いすに乗せてあがられたらよかったなぁ、って思います。そしたら、少しはリハビリにもなったのかも」(ママさん)。
家族が交代で“夜勤”に入る介護生活
自力で思うように歩けなくなって始まった介護生活。
寝たきりになってすぐのころは、体力があり余っていて、自分が立てないことが理解できずに苦しんでいたように見えたそう。
「横向きで寝たまま前足で床をかくように動かし、大暴れしてたんですよ」と娘さんが言うと、ママさんは「床でぐるぐるって。風車みたいやったなぁ(笑)」と穏やかに微笑みます。
サークルに入れても、こむぎちゃんが激しく動くせいで、しばらくすると壊されてしまいます。また、家族が気がつかない間にどこかに頭をぶつける心配もあり、目が離せない状態が数カ月続きました。
また夜中でも関係なく暴れたり鳴くため、隣で寝られない時期も。
「娘と私が交代で“夜勤”と呼んでいたんですけど、それが続いた時期は、さすがにしんどかったです(笑)」(ママさん)。
「動けないのに徘徊したがるので、私が支えてあげながら2~3時間、家中を歩き回る生活が半年くらい続きましたね」(娘さん)。想像するだけでも大変な苦労ですが、それも去年の11月ごろにはだいぶ落ち着いてきたそう。
「私たちの体はだいぶ楽になりました」とホッとする反面、その言葉のあとに「でもそれは、この子が弱ってきたってことだと思うんですけどね」と、寂しそうに話してくれたママさんが印象的でした。
介護生活に入ると、褥瘡(じょくそう)、いわゆる床ずれに悩まされることに。そんな時、犬友さんから勧められたのが高反発のマットレス。購入にはフリマアプリを活用したそうです。
「普通に買うと高いから、赤ちゃん用の中古の高反発敷布団を、フリマアプリで買いました。私が買ったのは中古といってもとてもキレイで、使い始めてからは褥瘡が極端に減り、また元あったものも大きくなりませんでした」(ママさん)。
大変な介護ですが、「私ひとりだったら絶対無理ですけど、娘が半分以上やってくれています」とママさん。家族が支え合って、こむぎちゃんを守っています。
ようやく抱っこさせてくれるように
こむぎちゃんを家族に迎えたのは、いちばん下の男の子が小学校低学年のころ。
「動物と暮らしたい」と願う子どもたちに対して、パパさんの希望は秋田犬。しかし、実家に紀州犬がいたママさんは大型犬を迎えることに反対しました。
「将来的に介護が必要になるかもしれないと理解していました。そうなった場合、大型犬だと大人ふたりがかりでないと運べないのを見ていたので、ひとりでも抱きかかえられる柴犬を選んだんです。
子供たちはだいぶ大きくなっていたから、私はひざに乗って甘えてくれるような動物が良かったんですけど、こむちゃんがひざに乗ってくれたことはほとんどなくて(笑)」(ママさん)。
娘さんいわく、「こむちゃんはツンデレどころか、ツンツンツンツンデレくらい(笑)」と言うほど独立心が強いタイプ。
「冬、コタツに入ってるときだけは、人の足の間に入ってグーグー寝るんです。だけど、こっちが動くと“ガルル……。寝てるんだから、動かんといて!”って怒られてました(笑)」(娘さん)。
ママさんも「今は抱っこさせてくれるので、私の不満は解消されています(笑)」と、体を預けるこむぎちゃんに、目を細めていました。
食べるのは好きなものだけ!な食生活
ママさんが考えるこむぎちゃんの長寿の秘訣は、「よく食べること」だそう。
腎臓の数値が悪化したころ、病院で「食べたがらない子もいる」と言われた腎臓の療養食も、嫌がらずに食べていたそう。
それほど食べることが大好きだったのにもかかわらず、シニアになってからはフードを食べなくなりました。
「食欲がないわけじゃなくて、好き嫌いするようになったんです(笑)」と、娘さん。
名前に見合わず“小麦”は体質に合わず、ママさんは「消化が良くておなかにたまるものを」と考え米粉のパンケーキを焼いて与えています。これにバナナが朝食の定番、というオシャレ女子。
ほかにもキャベツやブロッコリー、リンゴ、ササミなど、好きなものだと食が進むそう。
また、若いころから水をあまり飲みたがらないので、水分補給には、獣医さんから薦められたお肉のゆで汁や薄いカルピスなどをあげています。
こうして好きなものを食べられるのも、16歳という年齢のわりに歯がそろっているから。
「最近は、口が大きく開きづらくなってきていますが、ちょうど唇の端の歯がないので、ごく細いスティック状に切った野菜やパンケーキを、そのすき間から1本ずつ入れるんです」(娘さん)。
「この年齢で、これだけそろってるのはすごいね」って、お医者さんにほめられました」(ママさん)。
「こんなに長いこと一緒にいてくれるなんて」と感謝の気持ちでいっぱい
介護が始まったころ、お医者さんからは1年も持たないだろうと言われていたそう。
それでも変わらず元気で、今は娘さんのおなかの上で寝るのがお気に入りの様子。
「心臓の音が安心するみたいで、すっごく気持ちよさそうに寝てるから動けません(笑)」と、ちょっと困りながらも温かく見守っています。
ママさんは「褥瘡ができたときも、擦れて足から血が出ていても、触っても痛がらなかったんです。だまっているけど、どこか痛かったり苦しかったりがなければいいですね」と、こむぎちゃんの健やかな毎日を祈るばかり。
「痛みも苦しみもなく、このまま穏やかに逝ってくれたら。それが最大の目標です」(ママさん)
娘さんも「東京で暮らす姉はたまにしか帰省できないんですけど、帰ってくると私を“院長”とか“婦長”って呼びながら、お世話を手伝ってくれます(笑)。
姉弟たちは口には出さないけど、帰ってくるたびに“これが最後かも…”って思ってるんじゃないかな。でも、こむちゃんが思った以上に元気で、驚いてるはず。
こんなに長いこと一緒にいてくれると思わなかったから、本当にありがたいです」と、こむぎちゃんへの感謝があふれるようでした。
夜中のケアを“夜勤”と呼んだり、深刻になりがちな介護生活も、時折ユーモアを交えて説明するママさんと娘さん。
ほんわかと穏やかで、こむぎちゃんが安心して過ごせる井岡家の雰囲気も長寿の秘訣だと実感しました。
取材・文/都丸優子
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