2022年1月1日11,971 ビュー View

『年神様』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#12

お笑いコンビ「アキナ」の山名文和さんは、2020年6月9日に愛柴のおまめを迎えました。保護犬施設からやってきた彼女は、当時8歳。

長年夢みてた“柴犬ライフ”を、ようやく実現した山名さん。おまめとどのように出会い、どんな生活をおくっているのでしょうかー。

アキナ山名と柴犬おまめの最高にラブい日々を、山名さんご本人が綴っていきます。

#12は、新年のご挨拶と一年の締めくくりについてー。

『年神様』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#12

柴犬ライフ,アキナ山名,おまめ

明けましておめでとうございます。

と、言いたいけれど、本当はまだ年末の最中である。正直クリスマスもまだで。でも心は少しずつ、明ける年に向かっているのがわかる。

 

わかりにくくなるかもしれないが、2021年を軸に読んで貰いたい。

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撮影:山名文和(アキナ)

 

去年初めて、日本人として由緒正しき正月の準備をした。と思っている。大掃除を済ませ、しめ縄を飾り、門松を置いて、鏡餅を供えた。この一連に意味があることなど知らなかった。

新しい年の神様、年神様を迎える為に大掃除をし、「この家終わってますよ〜」のサインとしてしめ縄を玄関に飾る。それを見た年神様は玄関にやってきて門松にまず腰をおろす。そのあと、家の中に入ってきて鏡餅にくっつく。鏡開きで頂くことで、年神さんを身体に取り込むという流れ。

鏡開きの日、カビが生えた所を削り砕いて揚げ餅にするとき、きーんと耳鳴りがしたのを覚えている。その頃、2020年のM-1グランプリで強烈なダメージを食らったのか年末から年明けにかけて、顔面の右半分がピクピクと痙攣を起こしていた。芸人になってそんなことは初めてだった。砕いている途中耳鳴りがして、欠片を集めおかきにすることにした。揚がった餅を食べたあと、顔の痙攣が止んだことは忘れない。驚いた。

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撮影:山名文和(アキナ)

 

しかし今年は、去年の反省を踏まえてもう少し丁寧に準備することにしている。去年は大掃除を終え大晦日に天神橋の商店街を走り回った。鏡餅としめ縄を買おうと奔走した。どこにもなく、「あ〜、これたぶんもっとはよせなあかんかったんや〜、うわ〜、知らんかったがな〜最悪や〜慣れへんことしたらこうなるんやな〜でもこういう失敗の繰り返しで物事が良くなっていくならそれはそれでありやな〜この失敗も意味があるか〜でも失礼にあたるなら嫌やな〜バチあたるんはちゃうしな〜いや神さんもそこまで厳しくは言わんやろ〜やっぱ最後は心やしな〜神さんみたいな懐大きい人はこんなことで怒らんやろ〜ええねんええねん、こんなふうに走り回ってんのも人間らしくてええがなええがな、逆にこれで怒るん? 神さん。これで怒る神さんやったら逆に俺いややけど。そうじゃない? 俺が今走り回ってるん、鏡餅買う為って結構美しいことじゃない? 食い逃げやったらきったないで? でも鏡餅の為やん?絶対俺今美しいわ。それ神さんは感じ取ってくれはるわ。神さんはやっぱすげーなー」と徐々に都合よく考えながら和菓子屋さんの鏡餅と嘘みたいなしめ縄をスーパーで買った。が、調べるとやはり失礼だったようだ。31日は「一夜飾り」と言われ縁起が悪く、29日は「二重苦」と音が良くないので、28日までに飾るのが良いとされている、とのこと。30日はどやねん、この日はいいんか? とも思っているが。

 

色々失敗はあったが、年神さんは僕の痙攣を止めるまで頑張ってくれはったんやなあと有り難く思っている。都合よく神さんの懐をでかくしてすいませんでした。

 

とりあえず、今年は準備万端である。

柴犬ライフ,アキナ山名,おまめ

撮影:山名文和(アキナ)

 

そしてもう一つ。

おまめにもおせちを注文している。

去年買ったおまめの和服もある。

おまめには、年が明ける妙な感覚はあるのだろうか。今年の悪いものを全て捨て去りまた新しい風だけを取り込んでいこうとする感覚。

あってもなくてもいいけれど、あれば面白いなあと思う。

 

アトピーという悪い風がもう知らない何処かの穴に吹き去ったらいいなあと思う。その風が二度と出てこれないよう大きな岩で堰き止める。岩の前で耳を澄ますとかすかにびゅうびゅうと音がする。悪い風は光を好まない。閉じ込められた闇を養分にしてどんどんと膨らんでいく。大きくなったその悪い風は穴の中に余白がないのか音を立てなくなりしんと静まりかえる。翌年、おまめがそこを通りかかる。音もないその岩を嗅ぐ。不思議に思っておまめは岩をどける。虎視眈々とチャンスを伺っていた悪い風がびゅうううと外に吹き荒ぶ。その刹那、朝陽に照らされた悪い風は激しい光と共に弾け飛ぶ。ぼとぼとと塊になっておまめの周りに何かが落ちてくる。躊躇いもなくおまめはそれらにかぶりつく。慌てて見に行くと、焼けたササミが沢山転がっている。おまめは年神様としてそれを取り込む。そんな日があれば最高。

 

 

2022年、元旦。おまめは訳もわからず和服を着せられ、きっと遮二無二おせちを食べるだろう。その一瞬を、見逃さないようにしたい。

 

 

【プロフィール】山名文和(アキナ)

柴犬ライフ,アキナ山名,おまめ

1980年7月3日生まれ。2012年、秋山賢太とお笑いコンビ「アキナ」を結成。

レギュラー番組を多数抱えるほか、『キンブオブコント』『M-1グランプリ』『THE MANZAI』で決勝進出を果たす。

愛柴は、保護施設から迎えたおまめ(9歳)。

 

 

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