『経て経て経て』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#23
お笑いコンビ「アキナ」の山名文和さんは、2020年6月9日に愛柴のおまめを迎えました。保護犬施設からやってきた彼女は、当時8歳。
長年夢みてた“柴犬ライフ”を、ようやく実現した山名さん。おまめとどのように出会い、どんな生活をおくっているのでしょうかー。
アキナ山名と柴犬おまめの最高にラブい日々を、山名さんご本人が綴っていきます。
#23は、経て、経て、経て…思うこと。
『経て経て経て』ーアキナ山名とおまめのラブい日々#23
二十年程前「晴れた空を見て幸せな気持ちになった」と、何かの本でそんな一文を読んだ。
嘘つけ、なんでやねん、そんなことあるかいくそが、と思った。すっかり読む気も失せて本を棚に直して書店を出た。店を出てからも金や金、欲しいもん買えて、行きたいところに行きたい時に行けて、財布ん中気にせんとコンビニで買い物する、それが幸せやろ。と、一人ごちた。何故か怒りは収まらず、当時のバイト先のリーダーに、どう思う? と話した。
でも同時に、それで幸せ感じれたら人生めっちゃ余裕やん、ええなあと思った。
それ以来空を見て晴れていると、俺今幸せかなあ、と一旦確認するようになった。
四年前から始まったおまめの朝晩の散歩。空を見上げているうちに、季節によって空はこんなにも違うのかと思い知った。気温やその日の天気によっても変わるけど、春は柔らかくて、夏は大きく、秋は抜けるように透明で、冬はどことなく狭い。いつのまにか、ちゃんと幸せになった。年齢もきっとある。
甲本ヒロトさんが「幸せを感じることのできる心を手に入れるんじゃ」と言っていた。
沖縄のおばあさんが「幸せにいつかなりたいと思ってもなれないよ。今幸せはここにあるからね」と言っていた。
こういう感じかなと思った。
「今を生きろ」とよく言うけれど、そんなことはなかなかできない。うるさい、ほっといてくれ、と耳を塞いだ。
そんなとき、忌野清志郎さんが「今日と明日と明後日のことぐらいを考えていればいいんだよ」と言っていて、そうかそうかと楽になった。明後日のことも考えていいとロックなミュージシャンが寛容になってくれた。
二十代そこそこで、幸せを感じられる心を手にいれるんじゃと言ってのけた甲本さんを想うと、三十代後半で気付いた自分にぞっとするが、なんとなくよしとしたい。
過ぎてみないとわからないことが多い。けれど目に映るものにはきっと意味がある。時計が好きな人は、すれ違う人間の時計を見るし、車が好きな人は、人間ではなく車道を眺める。意識は無意識になって、人それぞれに視界を作る。その視界は、生活を作り、日々を通して環境が出来上がり、人生になっていく。だから、出会う人間も起こることもばらばらで。そこに兆しがあって喜んだり怒ったりする。
脅迫観念のようにこびりついた「晴れた空を見て幸せな気持ちになった」というフレーズは、自分が死ぬほど望んだ事だった。でもあの頃は出来ないから腹がたった。ロックが好きで、好きな人の言葉はちょうどいい感じでコロコロ転がるように答えに近づけてくれた。なんとなく人生はうまく出来てるなあと驚く。
麻婆豆腐の器が欲しくて買おうかなと思っていたら、たまたま知り合いから貰った。欲しいチョコレートがどこも売り切れで諦めていたら、妻の弟が買ってきてくれた。バリカンがほしいなと思ったら、木村祐一さんから突然届いて、丸三日は幸福感で朦朧とした。ぴったりはまる感じで幸せはやって来る。
おまめが家に来たことは、ペットとか家族とかそんな言葉では表せないものを持ち込んでくれた。僕の人生の指導者くらい。
それほど尊敬する方に、今日も僕は「待て」という。「お座り」「よし」の合図で、おまめはがっついて皿に顔を埋めていく。バチ当たりだ。
でも、当の本人は、幸せそうに尻尾を振ってくれている。
特別におやつをあげようものなら、よだれを垂らし真っすぐこちらを見てくれる。
先生、毎日、本当にありがとうございます。
あなたは、最高です。
【プロフィール】山名文和(アキナ)
1980年7月3日生まれ。2012年、秋山賢太とお笑いコンビ「アキナ」を結成。
レギュラー番組を多数抱えるほか、『キンブオブコント』『M-1グランプリ』『THE MANZAI』で決勝進出を果たす。
愛柴は、保護施設から迎えたおまめ(11歳)。
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